石をつかんで潜め(Nip the Buds)

ex俺だって日藝中退したかった

爆笑問題カーボーイOPの太田の挨拶で振り返る2018年

 TBSラジオ爆笑問題カーボーイ』は番組がはじまると、太田がその週にあった時事に絡めた挨拶をしています。その挨拶で、2018年を振り返ってみたいと思います。

 

(1)2018年1月2日
太田「あけおめ、ことよろ、春ま富士、一富士ニ鷹日馬富士、三遊亭夢太郎」

 

(2)2018年1月9日
太田「式守伊之助の友達のですね、股間もっこりえろのすけ、軍配で前を隠してひやひやしたでしょ。どうです、ひやひやしたでしょ。勝敗変えますよ、ぱん!」
日本相撲協会は5日、立行司(たてぎょうじ)の第40代式守伊之助(58)が昨年12月の冬巡業中に酒に酔って、10代の若手行司にセクハラ行為をしたと発表した。

 

(3)2018年1月16日
「今どんな格好しとるの?あのー、ネグリジェっていうか、すけすけの。すけすけかいな!それ以上はR指定になっちゃう。」
桂文枝の愛人疑惑。

 

(4)2018年1月23日
「『アナと雪の女王』の友達のですね、アナルと雪の女王、少しも寒くないわって、寒いよ馬鹿野郎、おまえ、なんだよこの雪は、お前。冗談じゃないよ。」

 

(5)2018年1月30日
星新一の友達のですね、ぽしちんぽこです」
星新一賞の選考員に選ばれた太田が、選考会に参加したトーク。他の選考委員に舐められまいとして七転八倒する様は絶品。

 

(6)2018年2月6日
「寒いね。広島雪らしいよ。岡村てめえ、この野郎!裏切りやがって。」
※太田、岡村、水道橋による三つ巴抗争で岡村による手のひら返しを受けて。詳細は、岡村隆史のANN公式ブログを参照。

 

(7)2018年2月13日
「寒くてね、なんだかもう、口の、ベろの下に口内炎できたんだよ。痛いんだよ。人の悪口ばっかいってるから(ブース内爆笑)。ほんとにバチがあたったのかなあ。先週もあたりかまわず、見境なくほら悪口。」

 

(8)2018年2月20日
「いやー、あのですね、岡村さんからですね、有難い頂き物いただきましてね。ありがとうございました。」
※一カ月にわたる、太田、岡村、水道橋による三つ巴抗争の終焉。

 

(9)2018年2月27日 ゲスト チュートリアル徳井
田中「爆笑問題田中裕二です。えぇー、水道橋博士の友達の、お茶の水博士です。
いやいや、太田さんいないんだよ。帰ってきた帰ってきた!直前に俺遅れて入るからつって、帰ってきました」
太田「おしっこしてきた」

 

(10)2018年3月6日
伊調馨の友達の胃腸薬です」
日本レスリング協会栄和人強化本部長が五輪の伊調馨選手に対し、パワハラを行ったと告発する文書が内閣府の公益認定等委員会に提出される。

 

(11)2018年3月13日
「あ、どうも籠池さんの友達の安倍晋三でございます。えー、わたくしももう駄目です。わたくしももう終わりです。終わっちゃいました。とうとう終わっちゃいましたけど。これ万事休すと。」

 

(12)2018年3月20日
孫正義の友達の、そんたくよしです。忖度すったら忖度す。」
※「ドンタコスったらドンタコス」のリズムで。

 

(13)2018年3月27日
「佐川局長の友人のですね、瀬川永子です」
※3月27日の証人喚問において、自身に全責任があったと改めて陳謝し、安倍晋三内閣総理大臣や妻・安倍昭恵夫人、麻生太郎財務大臣らの関与は明確に否定した。一方、丸川珠代参議院議員小池晃参議院議員らの追及を受けた際には、「刑事訴追を受ける可能性がある」ことを理由に証言を55回拒否。

 

(14)2018年4月3日
「森社長の友達の家計理事長です」
ビートたけしが、所属していた事務所「オフィス北野」から独立した。

 

(15)2018年4月10日
「わたしもですね、家計学園の問題に関して、あのーうちの妻に聞きまして、えー、妻はそういうこと言っていない、いうことで、森友のことで確認いたしました、あたくしはね、安倍でございますけどね。ぽてちん!」
※田中曰く、昨日からずっと番組で一緒になった松村邦洋の影響で安倍同士の会話を延々とやっていた。

 

(16)2018年4月17日 「IKURAちゃんの格言」スペシャ

田中「生放送でお送りしております、火曜JUNK爆笑問題カーボーイ。」
太田「生、危険だよ。俺今日コンドームしてきたから。生は危険だから、一番危険だから。カウパーカウパー。」
田中「やるから、抑えろよ!」
太田「抑えられないんだよ。夢精するところだった。」

 

(17)2018年4月24日
「泰葉、どうしたんだ、泰葉。どうして婚約破棄したんだ」
※泰葉が昨秋にフェイスブックで知り合ったイラン人実業家のメヒディ・カーゼンプール氏との婚約を解消。
 婚約解消の理由は、泰葉の新曲『深愛のmythology』のジャケット写真について、メヒディ氏が「気に入らないから変えてくれ」と口出ししたことにあるという。

 

(18)2018年5月1日
「GWということで、その友達のスペシャルウィークです」
※1998年東京優駿(GⅠ)を優勝するなどGⅠを4勝し、種牡馬引退後は、北海道沙流郡日高町日高大洋牧場に繋養されていたスペシャルウィーク号(牡・23歳)は、本日(4月27日(金曜))の16時40分頃死亡

 

(19)2018年5月8日
「砂掛けばばあの友達の引っ越しおばさん。引っ越し!引っ越し!今すぐ引っ越し!しばくぞ!あれラッパーの最初ですからね。ライムスター引っ越し。」
※今年4月30日、神戸市北区の70代の砂かけ女が2階の自宅ベランダから階下の女性に植木鉢の砂や自身の尿などをかけるなどして暴行罪で逮捕された。

 

(20)2018年5月15日
麻生太郎の友達のですね、あいすいません太郎です。あいすいません太郎でしてね、毎日あたし謝ってますよ。わたくしは個人的にもセクハラを認定しますよ。10回も言ってます。ICレコーダーで録ってるんですから。それ巻き戻して聴いてもらえばいいんですよ、わかりますから。個人的にもセクハラを認定しますよ。」
 ※財務省福田淳一・前事務次官のセクハラ問題をめぐり、麻生太郎財務相は8日の閣議後会見で「セクハラ罪って罪はない」と改めて述べた。

 

(21)2018年5月22日
太田「日大アメフト部から移籍して、わたくし、日大カリ太部という、カリが太い。まあ、フェニックスがあって、私の場合はフェラックス。」
田中「やめなさい、もうほんとやめなさい」
太田「現にあった。現にあった部活ですよ」
田中「ねえよ!何競うんだよ」
太田「フェラチオの上手さだよ」

※2018年(平成30年)5月6日:日本大学フェニックス反則タックル問題(日本大学フェニックスの選手Aが相手の関西学院大学ファイターズの選手Bに反則行為のタックルをした)が発生

 

(22)2018年5月29日
「日大OBの太田ですけどね。」
※二ヶ月後にとんでもない報道が起きてしまう。

 

(23)2018年6月5日
「生活は踊る、ジェーンスーの友達の、ショーンKです。」
※ショーンK、TOKYO MX新番組でナビゲーター就任経営者と未来を語り合う。

 

(24)2018年6月12日 
「ファルコンの友達のチンコンです。」
※『アルコ&ピース D.C.GARAGE』の、6月12日のスペシャルウィークで、アベンジャーズからファルコンを脱退させようSP & アベンジャーズ新メンバーオーディション!を行うと発表したところ、ファルコンファンから批判が起った。
 この挨拶の後に、「(太田)だってさ、アベンジャーズって正義のヒーローだろ?それが好きなら、そんなさ、湾曲して捉えてさ、炎上させるとかさ、そういうの一番卑怯なっことだと思わない?そういうの贔屓の引き倒しって言うんだぞ、おまえら。ふざけんな。」「(田中)ほんとだよ、なあ!」と最高のやり取りをしてた。

 

(25)2018年6月19日
加計学園の友人というか、盟友のコキ理事長です。手コキばっかり、手コキ学園と言われて、特区でね、手コキを出来る」
安倍晋三首相の不適切な関与の有無が問題になっている学校法人「加計学園」による獣医学部の新設をめぐり、学園の理事長で安倍首相の友人、加計孝太郎理事長が6月19日、岡山市内で記者会見し、公の場で初めて安倍首相の関与を否定した。

 

(26)2018年6月26日
「本田三角形の友達の、まさる四角形です。」
※2018 FIFAワールドカップ 開催中

 

(27)2018年7月3日

2018年7月10日
「あさ、まあまあ、いいか。やめとこ。」
※18年7月6日、オウム真理教麻原彰晃の死刑が執行。この後、一回目の「あさ」で察しなかったことを田中が怒られる。

 

(28)2018年7月17日
「どうも、荻野です。」
※越崎Dに番組直前に「太田プロの荻野さん知ってますか?」と聞かれたため。

 

(29)2018年7月24日
イニエスタ先週のハゲニスタ」
ヴィッセル神戸に加入したイニエスタが、7月22日にJリーグ初出場を果たした

 

(30)2018年7月31日
前田敦子の旦那のですね、前田吟です。」
前田敦子勝地涼さんとの入籍を発表した。

 

(31)2018年8月7日
浦口直樹の、裏口でお馴染の太田光です。」
週刊新潮に「太田光が日藝を裏口入学していた」という記事が掲載される。

 

(32)2018年8月14日
「裏口太郎の友達の、勝手口三河屋です。」

 

(33)2018年8月21日
「新潮この野郎!!!」

 

(34)2018年8月28日
ゆうこりんの旦那のですね、ちんこりんです。ちんこ星から来たんですよ。来たんだりん。」
ゆうこりんこと小倉優子、40代歯科医師との熱愛が報道される。

 

(35)2018年9月4日
「塚原夫妻のですね、友達のですね、塚原卜伝です。」
※体操選手の宮川紗江に速見佑斗コーチが暴力を振るったとして協会が同コーチを無期限登録抹消処分にした事に関連して、速見コーチを擁護する宮川が会見を開いて千恵子と夫の塚原光男による宮川に対するパワハラ朝日生命体操クラブへの引き抜きを目論んでいたとを告発した。

 

(36)2018年9月11日
三田佳子の二男の友達でしてね、三田よしてなかった蔵です。」
三田佳子の二男の高橋 祐也が渋谷区内の焼肉店覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕。

 

(37)2018年9月18日
「寺内貫太郎の友達のですね、北風小僧の貫太郎です」
※女優の樹木希林が死去。

 

(38)2018年9月25日

 

(39)2018年10月2日
まぼろし~」
※『ENGEIグランドスラム』の生放送があり、その客席にIKKOがいた。

 

(40)2018年10月9日
「ちんぽこ親父です。ちんぽこ親父の友達で、海外から来ました、ペニースーブラックです。」

 

(41)2018年10月16日 「お菓子王子決定戦」スペシャ
「ミヤネ屋の友達の駄菓子屋です。」

 

(42)2018年10月23日
「『プレジデント』の元木の友達の、ポリデント太田です。おじいちゃん、お口くさーい。元木!お前終ってんぞ!ジャーナリズムの限界だな。」
※「プレジデントオンライン」で元木昌彦が書いた太田の裏口入学疑惑についてのコラムを受けて。あまりに浅薄で愚かなので読む価値なし。

 

(43)2018年10月30日

楽天太田光の友達の、埼玉の太田光です。二位で入りました。お父さんありがとうみたいなね。800万払ってくれてありがとう。うるせえ、馬鹿野郎!言わすんじゃないよ、そういうこと!!」
プロ野球ドラフト会議で大商大の太田光(ひかる)捕手が楽天から2位指名を受けた。 

 

(44)2018年11月6日
岩崎恭子の友達の、岩崎弥太郎です。三菱!」
岩崎恭子が離婚を発表

 

(45)2018年11月13日
防弾少年団の知り合いのですね、田舎の青年団です。」
防弾少年団のメンバーが過去に着用していたTシャツに、原爆投下後のキノコ雲があがる写真と韓国国民が万歳をする、原爆投下を揶揄するような写真が印刷されていたことが発覚した。

 

(46)2018年11月20日
カルロス・ゴーンの友達の、不正金どーんです。」
※日産の会長カルロス・ゴーン金融商品取引法違反の疑いで逮捕

 

(47)2018年11月27日
貴乃花の弟の若乃花の、まあ、弟も離婚しちゃいました。そろそろまた仲直りしようかなと。ダイニングキッチン若。二人で一緒にちゃんこでも食いあってね、弟の顔をちゃんこ鍋に押しつけてやろうかな。」
※元貴乃花親方が景子夫人との離婚を発表した。

 

(48)2018年12月4日
霜降りじょう、明星の友達でですね、ケツ振り女です。」
※M-1グランプリ2018で、霜降り明星が優勝。

 

(49)2018年12月11日
「泥沼恵美子です。……蒸し返すんじゃあないよ!!」
とろサーモン久保田とスーパーマラドーナの武智のインスタ配信について落ち着いてきた頃に蒸し返す発言。

 

(50)2018年12月18日
「桑名正博の息子を語る息子に騙されそうになったんですけどね。その手は桑名の焼き蛤。」
※桑名正博の息子を語る男が、全国各地に出没して、出会った人に食事や宿泊先を提供してもらっていた。

 

(51)2018年12月25日 第13回メールNo.1グランプリ 
「サンタクロースの友達のマンタクトルズ」
※クリスマスの放送

 RN小栗旬筋太郎さんメールNo.1グランプリ優勝おめでとうございます。「欽ちゃんのこれでいいの」コーナーの誕生を始めとして大活躍の一年でしたね!

 

 2018年の爆笑問題は、タイタンライブやカーボーイといった通常営業に加えて、結成30周年を記念する単独ライブを開いてくれました。その他にも、岡村×水道橋との三つ巴抗争、神田松之丞とバチバチになったり、地方ラジオのハブになったり、下賤な報道やそれにまつわるコメントに全力で向き合ってくれて、未だそのエネルギーの衰えを感じさせることなく、ファンの目を、未来に向けさせてくれた。
 印象深いラジオでのトークと言えば、さくらももこ樹木希林が亡くなったことを受けてのトークがある。そうかと思えば、「IKURAちゃんの格言」ではほんとうにくだらない放送をしてくれた。「スイーツハラスメント」「キツネバイバイ」や「暑い夏になったな!」「欽ちゃんのこれでいいの」が生まれたのも今年だ。
一年の終りには、こうして爆笑問題で振り返り、来る新年をテレビで爆笑問題の漫才を見て迎える。そんなサイクルです。それが出来るように丁寧な生活を続けていこう。 
 ビバビビンバ!
 

たくろう幻想を追い求めて

 M-1グランプリ2018での一番の儲けものは、敗者復活でたくろうを知れたことだった。たくろうの「面白いことを言うだろう」という空気をまといながら、本当に面白いことを言っていく、そして練習を感じさせない、そんな漫才をしていた。番組を録画していなかったので、再見出来ておらず、詳細も「後から恥ずかしがっていたというところが面白かった」という部分しか思い出せないのが残念だが、とりあえず良いものみっけた、という気持ちになった。
 そんな風にネタでひと目惚れしたのは久しぶりだったのでめちゃくちゃ興奮したと同時に、まあ、しばらくネタを見ることは出来なそうだなあなんて冷めていたのだけれど、よしもと沖縄花月のスケジュールを何となく見ていたら、たくろうが出ることに気がついた。これは、と思い、チケットを購入し、見てきました。思えば、平場のよしもと沖縄花月に来るのは初めてである。沖縄に吉本の養成所が出来ると聞いた時、完全に沖縄国際映画祭のための奴隷にされるだけじゃねえかと、いぶかっていたのだけれど、今はそこそこローカル番組や地元のイベントなどでちらほらと見るようになった。国際通りを歩いていたら、「お笑い興味ないですか!?」と呼びこみをされて、「興味あるよ・・・・・・、おめえよりな!」と心の中で唾きを吐いたことが遠い昔の様である。ただ、別に今も、せやろがいおじさんの悪口をぶつぶつ言っているので、メンタリティは何か変わったというわけではない。
 Gorillazを聞きながら、眉間にしわを寄せて『社会人が仕事もそっちのけでTVにRADIO』のM-1グランプリの感想を読んでいるという、ゼロ年代の残滓のような状態で、開演を待つ。
 観客12人というなか、ライブが始まると、まず初めに、アダージョ、OCEAN、ピーチキャッスル、カシスオレンジと、沖縄の芸人が続く。「修学旅行の夜に好きな人を話しあう。」「十回クイズ」「コンビニの店員」などなど、やっぱりゼロ年代じゃないかと思わされる題材のネタが続いたので、万引きGメンみたいな目で見てしまっていたのだけれど、ピーチキャッスルの桃原の狂人の役が良かったなど、光るものをいくつか拾うことは出来た。
 他には、相席スタートが登場。ケイさん、色々負けずに頑張ってくれ、と思いながらも、最高のちょうど良い男女漫才を堪能。
 ケイさんの「全ての男性には、多かれ少なかれ大泉洋要素がいる」という言葉は至言であり、次はこっちをドラマ化してほしいと思った次第。
 他にはチーモンチョウチュウの菊池の達者さに舌を巻くなどしたが、レギュラーに至っては、「じじいかばばあか分からない!」というあるあるや、スーパーマリオがジャンプする音とドナルドダックのモノマネという、ゼロ年代から一切アップデートされていないネタながらも、テツ&トモ、レイザーラモンHGやジョイマンという一発屋芸人仲間のネタを軽くなぞったり、島田紳助に言われて宮古島に行ったという、ここ十年のことを異常なまでに間を詰めて喋り続けてしかも笑いを一切絶えさせないという、ほぼ走馬灯のようなネタで、観客が12人ということも合わせて、親戚のめちゃくちゃ面白いおじさんが普通は一人いれば十分なのに二人いたボーナス家系のお正月みたいな幸せな空気に包まれて会場を後にすることが出来た。
 さて、目当てのたくろうである。
 「名探偵コナンメインテーマ」を出囃子に登場したたくろうのネタは「人間ドッグ」と「ねずみ講」で、めちゃくちゃ面白く、十分近くの長尺のネタを満喫して、幻想はより高まってしまった。
 たくろうの漫才は、コミュニケーション障害の人の思考が駄々漏れになって、それを優しく汲んでくれる人の会話でその一つ一つが、十万円以上の電気炊飯器で炊いた新米くらい粒だって体に入ってくる。
 ボケも「採尿しますね」「草むら行ってきます」「あ、トイレありますよ」と、文字にするとくだらないんですけど、ものすごく気持のいいテンポで言ってくるもんだから、笑ってしまう。かと思えば、「(採血のハリを刺す時に)ちくっとしますね」「ちくわっとしました。練り物くさくて」とよく分からないボケも入れてくるから、本当にずっと低温火傷のような漫才が続く。一番好きだったのは、「ねずみ講」「偏差値引くそうですね」「・・・・・・あ、ねずみ高校じゃないですよ」「鼠先輩が通っていた高校かと思いました。偏差値低そうな歌を歌ってて。歌詞書くぞってノート開いたら、ぽぽぽって書く・・・・・」ってところでした。
 本当に今後が楽しみです。

 

慶安太平記あれこれ

 「講談って、でかい本屋行っても、入門書すらないんですよ。落語は何冊もあるし、同じくらい馴染みのない能とか狂言もある。それとかは、コーナーがあったりすることもあるのに、講談は本が一冊もないんですよね」
これは、少し前に、神田松之丞を勧めまくっていたときに、いかに講談が死んだジャンルであるかを説明するときのマクラとして使っていた言葉なのだけれども、今では、僕は人に好きなものを知られたくないので神田松之丞を勧める人にはそれなりに理解してくれる人にしか話していなかったのだけれど、そのくらいそれを話すような相手は大体、それが不要になったくらいには、『ENGEIグランドスラム』『ダウンタウンなう』に出演したり、爆笑問題伊集院光両方のファンに嫌われたりと、認知された2018年だったと思う。
 いつか、講談の入門になりそうな本でも探そうかな、なんて思っていながらも、ダラダラしているうちにその神田松之丞が入門書を上梓した。
 『神田松之丞 講談入門』は、当初は、講談を網羅できるような本にする予定だったが、途中でそれだと情報過多になってしまい、間口を狭めてしまうことになるということから、自身の持ちネタを中心としたものにして作ったと話している。ということは、これは、講談の入門でありながら、神田松之丞の講談の入門にもなっているということで、例えば神田松之丞を舞台で見たあとに、この本をめくって、そのネタの項目を調べて、話の前後や内容を確認する、もっといえば、これは見たな、あれは見ていないな、といって、神田松之丞を追っかけるための地図としても、機能する一冊になっている。スタンプラリーのように、チェックしていけるわけだ。
 それ以外にも、今後の展望、いずれは「伯」の名前が欲しいという話などとかを話していて、とても興味深かった。まだまだ神田松之丞幻想は続きそうである。
初めて、神田松之丞を見たのは、東京の神田にある、神田連雀亭というところでなのだが、そのときは「雷電爲右エ門」のネタの「谷風の初相撲」をかけていたのだが、数年の時を経て、本で確認したら、その時の記憶もよみがえってきた。

 というわけで、講談に、神田松之丞に興味があって、勉強したいという人にとってはマストな本になっていると思います。
 神田松之丞がリリースしたCD『松之丞ひとり~名演集~』には、連続物である「慶安太平記」のなかから、「箱根の惨劇」と「宇都谷峠」の二席が収録されているが、これはドラマでいえば、3話と7話だけをやっているようなものであって、単体でも面白いのだけれども、もちろん出来ることなら全部を知った方がいい。『神田松之丞 講談入門』にももちろん、解説が収録されていたので、項目を読み、概要を抑えたうえで、あらためてCDを聞きなおした。
 この「慶安太平記」というのは、日本史の教科書では、1行しか書かれていない「由井正雪の乱」についての話で、軍学者である由井正雪が、幕府転覆を図るも、失敗してしまい、最終的には自刃するというものだが、講談の「慶安太平記」は、今の言葉で言えば、ダークヒーローとでも言うべき由比小雪が、仲間を集めていくのだがそれは、さしづめ、『るろうに剣心』の京都編で、志々雄真実が十本刀を集めていくような感じだろうか、そんな少年漫画のような面白さで、現代でも充分に伝わるものだろう。
 南条範夫の『慶安太平記』も読んでみたが、そちらは、由井正雪の視点だが、謀略あり、裏切りあり、エロありと、こちらはジョージ秋山の『銭ゲバ』のようでもあって、ピカレスク要素が多かった。
 立川談志の『慶安太平記』も購入して聞いたが、こちらは、講談の『慶安太平記』とは全く異なって、なるほど~~となった。
 今度松之丞が、『慶安太平記』の通し公演をやるようで、行ける人は本当にうらやましい。

『M-1グランプリ2018』で立川志らくは何をどのように審査したのか。

 『M-1グランプリ2018』を見ました。第一回大会からずっと見続けて来て、初めてリアルタイムで見ることが出来ませんでした。というのも、シソンヌのライブ『モノクロ』を見に行っていたからです。だから、よく聞く情報を遮断するという行為自体が初めてでしたが、無事に何も情報を得ないまま帰宅して、録画を再生することが出来ました。危なかったのは、会場で、絶対にネタバレをペラペラ喋る奴がいるなと思っていたので、開演の前後ギリギリまでラジオ聞いていたんだけど、同行した奥さんが言うには、僕の隣でやっぱり「ミキが敗者復活で言ったらしいよ」とネタバレを話している人がいたらしいのですが、それを始めとして避することが出来ました。冨樫漫画を読んでいて良かったです。
 大会としては、芸風がバラけていて、いわゆる多牌ってやつで、誰が優勝してもおかしくない空気がビンビンで、それこそ、初期の大会のようでした。加えて審査員も、いろんな背景があって、文脈フェチにはたまんなかったです。そこも味わって良いんですか、みたいな。そして、その期待を裏切らない、めちゃくちゃ好きな大会になりました。
 立川志らくが、審査員になるという発表を聞いたときは、もちろん立川談志が審査員に来て、むちゃくちゃな空気にしていたことを思い出させたのですが嬉しく思いました。
 妻がシソンヌのライブに行く前に、「志らくに漫才の審査なんて出来るのかね」と軽口を言ってきたので、「まず、志らくは若手のころに深夜番組で漫才とかコントをやっていて、若者の人気を得ているんだよ。これは『雨ン中の、らくだ』に詳しいんだけど。で、立川流は寄席こそ出られないものの、ぜんぜん舞台で漫才師とも共演しているのよ。これがベースね。で、漫才と落語という演目の違いはあれど、立川流には二つ目、真打と昇進するためには明確な基準があって、志らくももちろんその審査を乗り越えて真打になった。それから、弟子をとって、何人も真打にしてきている。てことは、志らくは、審査というものが身近にあるんだよ。それだけで言えば、志らくは、恐らく今回の審査員のなかで一番、審査してきたし、されてきたと思うんだけど、それを理解したうえで、同じ質問言えるかな。」ときちんと論破しました。そのくらい、嬉しかったです。
 ただ、ひとつ気になったことがありまして、立川志らくの審査がめちゃくちゃ叩かれているということです。ネタの後の寸評を聞いて、ああ、ぶれていないなあ、ちゃんと演芸としての目線で審査しているなあとか思っていたのですが、叩かれている!
そのことに衝撃を受けて、モヤモヤしながらも寝て、でも、朝起きたら、「志らくの審査批判はちょっと落語への敬意や流れを踏まえてなさすぎだと思う。」と暴れてしまいました。
 ただ自分でも自信が無くなってきて、上沼恵美子のミキへの98点みたいな判断をしているんじゃないかなと心配になってきたので、M-1での寸評を書き起こしてみました。   
 そこから、志らくは何を基準に審査をしたのか、考えて行きたいと思います。
点数については、数字のマジックがある気がするので、今回はあくまで寸評だけを見ていきたいと思います。
どこをM-1の感想の縦軸にしてるんだっていう話ですが、まず、一覧をご覧ください。

 

■見取り図
「最初聞いているうちはなんか新しさがないから、あ、これはほんとに50点くらいつけようと思ったんですけど、だけど、あの、マルコ牧師で70点くらいまで跳ね上がって、須田えり子で85点まで跳ね上がった。」

 

スーパーマラドーナ
(指名なし)

 

かまいたち
「いやあ、あのぅ、ものすごくうまいし、えぇそれから、おもしろいし、上手さを感じすぎてしまったんで、本当に面白い凄い漫才師、ここら辺(審査員席)にいらっしゃいますけども。上手いとか感じないですよね。もうとにかく、うわ、おもしれえ、すごい、上手さの前には、あのー、魅力ってのが現れたらば、太刀打ちできないんですよ。だからすごい上手いと思ってしまった。えぇ。発想からいったら、さっきの猟奇的なやつのほうが、発想としては凄いと思ってしまった。同じ点にしてしまったのですけれどもね。」

 

ジャルジャル
「実は私ずっと見てて、一つも笑えなかったんですよ。だけどもものすごい面白かった。だから、これがプロの芸人を笑わせる、あの芸なのかな、というふうに関心して。で、プロがあんまりゲラゲラ笑うようなのっていうのはそんな面白くないんです、本当は。頭の中めっちゃくちゃ面白かったんです。最初はふざけてるだけで、くだらねえなって思ってたんだけど、だんだんこのノリはね、昔のあのコント55号を思い出す感じにもなってきて。とんだ漫才に、私は惹かれましたね」

 

ギャロップ
「おそらく広い劇場とかでのんびり見てると面白いんだろうけど、テレビサイズで、ひときわこっち(舞台)と、モニター見てたんだけど、禿げ方があんまり面白くないんですよね。遠くで見てると面白いけど、モニターで見てると、大して、どこにでもいるハゲだなあっていう感じで、あんまり面白くない」

 

■ゆにばーす
「出てきた感じとか、それから見た目とか、声の雰囲気とか、ものすごく面白い感じがするんだけれども、それほどでもなかったのかなと。まあでも、はらさんのほうは、ほっといてもきっとテレビで売れるんじゃないですか。そのかわり、でも漫才は別れちゃ駄目ですよ、絶対に。」

 

■ミキ
「恐らく今日やった漫才のなかでは一番素晴らしいし、今後30年40年、漫才師として生きているのは、恐らくこのお二人だろうと、思います。ただもっとなんか凄い新しいモノをどーんとこういう、なんか、欲しいですね。なんか心が揺れるくらい、うわーっ、すごい、この発想は我々には到底及びもつかないっていうような。ものすごい新しいものがあったらば、10点くらい上乗せしましたけれども。」

 

■トム・ブラウン
「なんなんですか、あんたたちは。意味も全く分かんないんだけど、衝撃を受けましたね。だから、もしかしたらこんな変な奴等が好きなのかもしれない。だから、今ものすごいがっくりしているのはもうネタが聞けないっていうことですよ。二本目いったいどんなのが来るのか。だからM-1では敗退したけど、わたしはあなたたちを追っかけますよ。」

 

霜降り明星
「一番あのー現代的で、ほどがいい、あの漫才なんでしょうね。だから会場もひっくり返ってウけてて。であとは、うるさ型の人が、たとえばあのお笑いに関係ない、尖がった芸能界の人や文化人が、彼らに食いつくかどうかっていう勝負でしょうね。大衆は彼らをものすごく支持すると思います。」

 

■和牛
「ゾンビにそれから殺すってワードが出てきて、非常に最初は嫌な感じがしたんだけども、全体でものすごく品があるんですよね。品があるから、ゾンビって言おうが殺すって言おうが、どんなことをしても、楽しく聞けるっていう。それはやっぱり、お二方が持ってる才能でしょうね。」

 

 どうでしょうか。
 書き起こして一読してみると、改めて、これはやっぱり、落語家が漫才師を審査するということに一定の線を引いて踏み込み過ぎず、かといって落語家という目線から一切ぶれていないと改めて思っています。ほぼ我を出していない。
 そして気付いたのは、立川談志の名前を、冒頭に「(過去に同じ舞台で)50点をつけてピリつかせた」という話以外出していないということ。もっといえば、「業の肯定」や「イリュージョン」という言葉を使わずに、審査の点数の説明をしている。
いくらでも流れ的に「談志がいうところの」とか使えるのに、使っていない。これだけで、タレントの立川志らくとして来ているわけではないということが存分に伝わってくる。むしろ、立川談志の審査こそが、お墨付きをもらえるか、否定されるかの一か八かのギャンブル性が強いようなものだったので、立川談志よりも真摯に向き合っているとも言えます。
 これらの中から、ワードをさらにピックアップしていきたいと思います。
 まず、かまいたちへの「上手さを感じすぎてしまった」。
 落語には、桂文楽古今亭志ん生論争みたいなのがあって、それは何かと言うと、寸分違わず同じ芸を見せる文楽と、ネタの出来の当たり外れが激しい志ん生、どちらが好みかというものだ。間違いなく上手いのは文楽なのだけれど、ホームランの本数が多いのは志ん生なんじゃないか、好みはどっちだという話である。
 漫才でいえば「台本が見えてしまう」「練習量が見えてしまう」というところであろうか。台本があって、さらに何度も何度も練習をしているのに、互いが初めて話をしているていで、漫才は進んでいく。観客もその嘘を共有し笑う。これは冷静に考えるとものすごく矛盾をはらんでいる構造で、だからこそ、絶妙なバランスで成り立っている演芸である。
 かまいたちの漫才、漫才中にパワーバランスも入れ替わり、構成も見事で、ブラックマヨネーズの漫才により緻密な計算が加えられたようなもので、ものすごく面白いんだけれども、だからこそ、先述したバランスが崩れてしまったように志らくには思えたのではないだろうか。 
続いて、霜降り明星への「尖がった芸能界の人や文化人が、彼らに食いつくかどうかっていう勝負」。
 立川談志ビートたけし爆笑問題ダウンタウン、は、実際、そういったうるさ型に注目されて、天下を取ってきた。それは志らくの若いころも同じで、だからこそ、天下を取るためには、そういった連中に語られてなんぼであって、この評価軸は絶対に必要であるこということを理解している。
 何故、霜降り明星にこう言ったのか。
 それは、志らくは、霜降り明星について「大衆という評価軸ではすでに満点を取っている」「大衆だけを相手にするならそのままで何の問題も無い」と思っているからではないだろうか。
 志らくが、霜降り明星に入れた点数は93点と、ジャルジャル、トム・ブラウンに次いで三番目ではあるものの、これはほぼ絶賛といっても良いのではないだろうか。
だから、この言葉は十年二十年後の霜降り明星に対しての「芸の重さも手に入れても損はないぞ」というアドバイスだ。あとあとから効いてくるやつ。
 ちなみに、学者は学者でも茂木健一郎はうるさ型ではなく、ただうるさいだけなので、あれに評価されても何の意味もないです。国税局に目をつけられて終り。 
続いて、トム・ブラウンへの「こんな変な奴等が好きなのかもしれない」。
落語の世界では「フラ」という言葉がある。これは、「言葉や理屈では説明出来ない面白さ」という意味で、説明できないということを説明する言葉で、「あの芸人はフラがある」などと使われる。
 今回のメンバーで一番未知数であったトム・ブラウンは、それをまとっていた。幻想と言い換えてもいい、絶対に面白い漫才をするという空気。
 「サザエさんの中島を五人集めて中島MAXを作る」というそれこそイリュージョンなでめちゃくちゃゃな、トム・ブラウンの漫才、実は「平成ヒットメドレー」とかツッコミが面白いワードを入れてそこで笑いを取っていたり、「誰か分からない女が来たと思ったら(これがボケになっている)、それが花沢さんで、花沢さんが呼んだから中島が五人そろって中島MAXが出来た」とか、よく見たら構成もテクニックも上手いのだけれども、ナンセンスさや90年代ギャグ漫画からそのまま出てきたような佇まいがそれをかき消して、その上手さが上手くかき消されている。一回見ただけでは、上手いという評価をくだす人はそんなにいないだろう。これが計算なのかは分からないが、これが志らくのいう、上手さを感じさせない漫才の一つとも言える。
 それが、同じくらいぶっとんだ発想をしているランジャタイ(大好き)、金属バット、Aマッソなどよりも先に決勝に行けた理由だろう。
 ギャロップというか林への「禿げ方があんまり面白くないんですよね」については、やっぱり、他の面白いハゲと比べると林は禿げ方で負けちゃってますよ。桂枝雀やら、笑福亭鶴瓶やら、海原はるかやら、ブラマヨ小杉やら。林は白髪もあるし、頭の形もボコボコだし。ダイアンのラジオで、林にはめちゃくちゃ笑っていましたが、動画で見たら、少し「こんなにおじさんだったっけ」となってしまいましたもん。そういった悲壮感が林の持ち味だと思うのですが、こと今回のネタに関しては、それがただ積み重ねられるだけで終わってしまったので、ハゲが武器にならなかったのかな、と思いました。
振り返ってみても、僕は志らくからは、「イロモノを上から審査する」という目線は一切感じられず、他の審査員と同じくらい漫才というジャンルと若手漫才師への敬意に溢れていた審査だと思っている。そのなかで「大衆に向けた伝統芸能」という相反する落語の価値観に基づいて、審査をしている。「全体でものすごく品がある」とかは、落語家の価値観だ。
 審査員が持っている基準は、大別すると「大衆、伝統、技術、発想、ニン」の五つのパラメーターになっていて、それぞれが何に多めにゲージを振り分けているかを考えるという遊びを提唱したいと思う。
 これまで紹介した寸評から推理すると、志らくは、「発想とニンを重視し、技術や大衆はそこまで重視していない」という見たてが出来る。オール巨人は技術を重視しているだろうからそこと志らくの違いはやっぱり、漫才と落語の違いだな~とか、上沼は大衆のゲージが大きいけどやっぱり審査員の中でその役割を持っている人は外せない、などとぶつぶつと考えていけば、きっと審査員席全体でのバランスはものすごく良いものになっていると思う。
 「今後30年40年、漫才師として生きている」「尖がった芸能界の人や文化人が、彼らに食いつくかどうかっていう勝負」という言葉のとおり、志らくオール巨人よりも先の未来を見ているような気がしないでもない。生涯、漫才師たりえるコンビかどうか。
 これらの理由で、僕は志らく師匠の審査はとてもよかったと思います。
 ガッテンしていただけましたでしょうか。

鼠穴とグロテスクさに、少し泣く。

 先日、自転車で140キロ走ってきた。自転車をこいでいる時は、足が爆発しそうになっている半面、上半身と頭は元気なので、割と暇な気持ちになるので、海を見つつ、「俺は、落語や落語家が好きというよりは、古典落語が好きなだけだから、落語家になってもすぐに言いわけして廃業しただろうな」とか考えていた。
その間、僕に置いて行かれた妻は、落語会に行ってきたとのこと。僕の影響で落語会には行ったことあるのだが、一人で行ったのは初めてで、それはとても嬉しかった。何をやっていたのか聞くと、「鼠穴」だという。
 ふと思い立って、『笑う超人』の特典映像の立川談志の「鼠穴」を二人で見ることにした。
 そこで、立川談志が言っていたセリフに思わず泣いてしまった。
 長くなるけれど引用したいと思います。
「私がやっているのは非常識、常識が無くなって非常識が出てくる、その非常識のもっと奥にある人間の芯てえ、業(ごう)みたいなのが出てくる。全く説明のつきようがないもの。これをやっていいものは、藝術家とスポーツマンだけだ。殴りっこってのはいけないんですよ。ぶん殴るなんてのは。だけど、ボクシングというのを借りれば殴りっこもいいと。気障にいうと、常識という非常に狭い部分でしかつながらない、お互い様。うん、わずかなもんだ。だからつながってないところで、いる人たち。例えばダウン症の子供なんかつれている母親とかこう見てると、我々の知る、親子なんていう絆では桁が違うという、太いものでつながれてるな、というのをひしひしと感じます。では、それらグロテスクなものも含めて、人間の中に入れとくもの、それが無くなったから次から次へと出てくるグロテスクな犯罪。あれはみんなが望んでるんです。あれを出ることによって、やだね、と言って自分のあれを添えるんです。だからそのグロテスクなものを藝術は出してくる、映画でいうと、フェリーニみたいに、どっちかというと常人とつながらない、唖であるとか小人であるとか背虫であるとかという常人と同じサイクルというか感情でつなぎあう方法をもてない人達の了見、ああ、この了見な。これがあるかでないかで芸人決まるんだ。爆笑問題にはそれがあると思ったから、行けってわたしは言ったんだ。」
 この映像は、最初見たときは本当にすごかったと感じたのだけれど、久々に見てみたら、ここ最近寝る前に聞いていた30代から50代の立川談志と比べると、やはり老いや勢いの衰えを感じてしまったのだけれども、この部分には震えてしまった。

 2006年の年末に出演してその五年後に亡くなってしまう立川談志が、30周年を迎えた爆笑問題に今年向けられたビデオメッセージのようでもあるし、何度もこの部分を見ていたはずなのに、最近考えていたことの答えを教えてもらったんだろうと、頭の中の時間軸がぐちゃぐちゃになってしまった。

町田コーを読むとそういう文章を書きたくなるよね。

アメトーーク』の「カメラかじってる芸人」を見ました。2013年に放送したものだったのですが、今も面白かったです。

いまさらですが、小藪無双をリアルタイムで見逃していたことを後悔するほどに笑いました。

小藪の撮るべきものは半径5Mの世界である、技術や道具はそれからという至極まっとうな主張で、改めてカメラが欲しくなりました。

このTVショーをサナトリウムで見ながらぶつぶつ呟いてたらふと気付いたのですが、そのつぶやきが小藪とかなり合致していて、あ、小藪とニンが近いんだなと、嬉しくなりました。イキりを逃さない。設楽さんも逃がさない精神の持ち主ですが、それよりも理詰めで、おっとろしいもんで、そこに強いシンパシーを感じる。

つい先日も、武田砂鉄がナンシー関の本の帯に「ナンシー関に賞味期限はない」みたいなことを書いているのを見かけて、あほか、人間が人間のことを書く以上、ましてや、タレントっつー俗物の権化、大衆の鏡を批評するという仕事をして、それがウけていたんだぞ、そらそんな文章に賞味期限があるわけないやんけ、ほなあれか、きみは、司馬遼太郎の小説の帯に「司馬遼太郎に賞味期限はない」って書くかいな、それ見た人は、そらせやろ、なんやこいつ、平成も終るというのに映画泥棒をいじったCMを作って、クリエイター気取っている広告代理店が、飲み会で十把一絡げの後輩の就職活動中の女子に向けた「まあ、どんなに大きな会社に入っても何をするかっていうのが一番大事だから。本当に出来る人は、入社式の時点で、会社を辞めるためにはどうすればいいか考えているもんだよ。そんなことよりセックスしない?」っていうアドバイスくらい何も言っていないのと同じやんか、そんなことも気付かんと今更こんなあたりきなことをこれ見よがしにドヤ顔で帯にしてだっさ、ああ、それより、高崎山の猿のことが気になってしょうがないなあ、猿ですら餌のレベルが下がったという理由で、ストライキをするというのに、日本人はデモをしてもストライキをしやがらない、みんなで税金納めるの辞めて、仕事行くのを辞めればええんや、そんなことより、最近TUTAYAから成人コーナーが消えて、なんかそれってご時世だからしゃあないですやんって感じにしても、今までTUTAYAが培ってきた文化を打っ棄って、梯子を急にはずすなんて、殺生やでご無体やでと思ったくらいですし。

つーわけで買ってきました。

ガンガン写真を撮りたいと思います。

ミニにタコ!!

 

 

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面倒臭いの迷路

僕は自分が面倒臭い人間であることに自覚があるきちんとした面倒臭い人間である。

どれくらい面倒臭いかというと、今僕は、ヒゲを伸ばしているのだけど、こないだまでヒゲを伸ばすというからには、頬や口髭とあごひげがつながる部分を剃るのはおかしいのではないかと思って、一時期一切カミソリをいれないというヒゲの伸ばし方をしていたくらいのものだ。

男がヒゲを伸ばすと少なからず、社会人失格という目で見られたり、幸いにもそんなことはまだないが、上司に、剃るように言われたりすることもあるという。ヒゲどうしたんだ?などと言われたことはあるので、それを嫌味とカウントするのかは難しいところではあるものの、剃るように強制されたことはないので、まあ良しとしている。

ただ、そういうことをいう上司たちも、女性に、髪を染めるな、とは言わないだろう。僕は男性がヒゲを伸ばすことは、女性の染髪と同じおしゃれの一つで、同等のものだと思うのだけれど、世の中はそうではないらしいということはなんとなく分かっている。

よくこういったことを考えている。これがダメなら、あれが良いのはおかしいとぶつぶつ言っている。

不倫をした芸能人が叩かれると、不倫をしてることが羨ましいからだと、紋切り型のことをいう奴がいるが、欲望に沿った行動をしている人間を叩くことの原動力が嫉妬だけというなら、飲酒運転をした吉澤ひとみを叩いた人に対しても、嫉妬で叩いてるというべきなのだけれど、そういったことはないので、じゃあ、嫉妬じゃねえじゃねえかとなる。

改めるけれど、僕はそんな面倒臭い思考をして日々を暮らしている。

もうこうなると自分以外は全員狂人と思ってしまう脳の病気なので、猿の脳みそを食べ続ける未開の部族の医療を受けるしかない。

ただ最初に話したように、自分の面倒臭さを認識していて、宿痾と思っているので、なるべくなら向き合わずに生きていたい。それはまあ、他の人にも伝わるだろう。

先日、中学からの同級生のLINEをブロックした。LINEのアイコンをとある写真に変えたとき、LINE経由で話しかけられた。それは、こちらとあちらの間でよくやるやりとりの一つであったが、その時は面白いものとして成立していない、つまりはLINEのアイコンを変えたこと、そしてその画像に対しても、特にかかっていないことだったので、つまんねえし、気に入った写真だったからアイコンにしたのに、冷めたわ、となった。ので、ほしたら元に戻すわ、と返した。そのあと、どう返してくるのかと待っていたら、全く何もなかったので、ブロックしたということである。

僕の中でよくある、え?これ俺が悪いの?案件である。

こういったことにぶつかると、僕の脳みそはその迷路から全く抜け出せなくなってしまう。しかし、どう考えても俺は悪くないのに、なぜこんなことになっているのかという、ある意味絶対に答えの出ない問答をしないといけなくなる。

迷路の壁は鏡で出来ている。思考がさまざまなことを巡るのだが、その間、自分の面倒臭さに向き合わなければならなくなる。

これが本当にストレスで、頭を掻きむしりたくなるし、コンビニのおでんを指で突きたくなるし、大声を出して本屋に平積みされているキングコング西野の本を破りたくなるし、全く性的嗜好ではない熟女スパンキングもののAVを借りて暴れ手筒の一つや二つをしたくなる。全く興奮しないポルノでオナニーをしないといけないことほど、自分を傷付けるものはない。フォロワーが数千人もいて、ただスイーツの写真をInstagramにアップして、イイね!を貰っても承認欲求が満たされない、それどころか前よりも、虚しさが募っている、はーリスストカットしよと思ってしまう、女子大生は手首を切る前に、全く興味のないジャンルで手慰みをすることをおすすめする。

人生は有限なので、ん?と思うことが多くなった人間関係は切っていけば良いのだなとここ最近はとみにそう思う。

ナイツのライブビューイング前に書くブログではないな。

それでは、また来世。