石をつかんで潜め(Nip the Buds)

ex俺だって日藝中退したかった

『ガゼッタ・デロ・オワライーノ』~『オードリーのANN ゲスト:くりぃむしちゅー上田晋也』感想~

俺「へー、闇営業に参加していた芸人たちが謹慎か~。そんなことより、ガゼッタのサイト見よ。今日の特集誰だろ。」

ガゼッタ・デロ・オワライーノ』「今回、本誌は6月16日に『オードリーのANN』にゲスト出演したくりぃむしちゅー上田晋也に注目した。この日の放送は、番組開始から500回目という節目の回であり、そんな記念すべき回に満を持してゲスト出演することになっていた上田晋也であったが、そこにはひとつの課題があった。それは、上田は、番組放送開始の五分前まで、日本テレビの生放送に出演しているという物理的な壁である。そのため、始まる前から、観客からは、上田はラジオに間に合うのかと懸念する声が聞こえており、あわや不穏試合になるのではないかという下馬評まで聞こえてくる始末であった。しかし、そこは、高校生のころ、豊島公会堂にギャグコレクションというライブを見に行ったほどの年季の入ったくりぃむしちゅーファンのオードリーの二人。上田のために、「500回記念にも関わらず、スポンサーからしか花が届いておらずリスナーから花が届いてこない」話をし、そこから上田が花を持ってきてくれるだろうとつなぎ、場をもたせる。そこから春日が、「上田は1時13分には到着するだろう」と大胆な予想を披露。その中で、ハンチング上田というワードも出し、ピッチを温める。しかし、番組開始から17分が経過、予想していた13分を大幅に過ぎてもなおピッチに上がってこない上田に対して、ここぞとばかりにオードリーは攻撃をしかけはじめる。春日の「遅刻だね」というパスを受けた若林が、会見に遅刻したメイウェザーにひっかけた「メイウェザーやってんのかな」「メイウェダーというか」と返すという見事なパス回しを見ることができた。
第一クォーターも終りかけ、観客も上田は来ないのかもしれないと思いはじめた番組開始28分でようやく、上田晋也が登場する。これまでの劣勢をとりかえすように、「どうも、メイウェダーです!」という第一声、オードリーの「花を持ってくる」というやり取りを受けての「枯れた花ねえかって探してたんだよ。日テレの周りを。造花はあったんだよ。」「Goingのスタッフにおばちゃんがいたんだよ。おばちゃんを枯れた花として持っていこう。いや、これ失礼だろってやり取りしてたんだよ」と、前半のオードリーのトークに絡めたゴールに加えて、「お前らの好きなハンチングだけかぶってきたんだよ」と5分もたたないうちに三点を奪取。あくまで、気軽に来たよというスタンスを見せながらも、そのゴール全てがしっかりとオープニングトークにひっかけたものであるという巧みなボールさばきは、今思えばその後の試合の展開を予想させるものであった。
しかし、そこはラジオというメディアにブランクがある上田、大好きなオードリーを前にした『ビバリー昼ズ』での高田文夫のように、かかっているだけではないのか、すぐにへばるのではないかと思わされたが、そんなスタミナへの心配は杞憂へと終わることとなる。間髪いれず、爆笑問題の太田からの「若林、女子のソフトボール選手みたいだよな」という伝言を言うも若林に「それ受けた事ないのに、ずっと言われてるんですよ」というスルーパスまで披露し、その攻撃の手をとどめることはないまま、第二クォーターを駆け抜けていった。上田ひとりのオフェンスが終ると、続いては、オードリーとの攻防が始まる。オードリーもホームである以上意地を見せなければならない。若林は、笑い話を早々に切り上げ、質問を投げかけるというシフトに切り替えていく。しかしその奇襲に対しても、若林からのお笑い雑誌の記者ばりの質問攻めもきちんと根っからの番長気質で受け止め、「単独ライブを毎月やっていた話」「『ガハハキング』で四週目で番組が終るということを知っていたけれど、スタッフに『あいつらせっかく四週勝ち抜いて良い感じだったっていうのにっていうプラスのイメージだけ残りますよ』と言われて、こりゃ幸いだと思った」という、笑えて熱い話でここでも得点を重ねていく。
第二クォーターのハイライトは、オードリーが上田司会の番組に出たさいのやりとり「春日ですから」「なんぼのもんじゃい!」という思い出エピソードを話した後の「でも、ほんとになんぼのもんじゃだからねえ」だろう。あの往年の名プレー「マックミランだからねぇ」を観客は思い出したことだろう。
ここまでを追えて、やはり、豊島公会堂が産んだレジェンドを前にしてさすがのオードリーはやや防戦気味であるが、まだまだ疲れも見えないオードリーは、第三クォーターが始まると同時に、先手を打って上田から司会の極意を聞き出そうとするも、『相棒』しか見てないから、『しゃべくり007』に8.6秒バズーカーがゲストで出てきたけど全く知らなかったので、あたふたしながら上手く誤魔化した話と、相方の有田に腹立った話へと続けるという流れるようなコンボ攻撃をカウンターで喰らわせ、反撃を一切許さない。
体勢を崩しかけながらも若林は続けざまに、くりぃむしちゅーの楽屋から笑い声聞こえてくる問題に切り込んでいく。すると、上田から、今日の楽屋での「モノマネ芸人の人ってなんで自らやりたがるのかねぇ」っていう話の内容を引き出し、くりぃむしちゅーのANNリスナーを喜ばせるというナイスアシスタントに成功。そのアシストに気が乗ったのか、上田は、有田が「上田が総理大臣になったら俺を官房長官にしてほしい」と話しかけてきたので、そこから上田が新聞記者、有田が官房長官という楽屋コントが始まり、気がつくと二時間半やっていたら、収録を再開させるために楽屋に呼びに来たスタッフに「こっちの話終わってないからちょっと待て」と言ったという、鉄板トークまで披露する。
特筆すべきは、第三クォーターの終盤あたりに、若林はライター気質を武器に深いところに攻めつづけていた中でのダメ押しの「上田の強めのツッコミに怒った人はいるのか」という攻撃だ。完全に乗りきっていた上田は、そんな若林のトラップにひっかかり、「直接言われたことは無いけれども、マネージャーとか番組終ってプロデューサーとかが、ちょっとあの人に対してのあたりがきつかったみたいだね。なんか怒ってたよみたいなことは聞いたことある」「俺な、あのたまーにな後輩の芸人とかでもいるんだけども。俺があの、一番嫌いだと言っても過言じゃないのが、本番中ね失礼なことを言いました、若林さんあんただってブサイクじゃないですかって例えば後輩芸人が言いました、で、余計な御世話だよーお前なんか言われたくねえよーってわーっと盛り上がって、本番終わりました、はい、収録オッケーでーすってなって謝りに来る後輩いるだろぉ、あのさっきは失礼なこと言ってどうも失礼なこと言ってもうしわけありませんでしたって、ああいう後輩がいっちばん嫌いなのよ。俺許せないの。そういう後輩は。俺は確かに先輩に失礼なことを言うけども、先輩が怒っても絶対に謝らないってことだけは決めてんのね。だから多少、この人表情変わったなって思ったことはある!えー、今年、橋幸夫さんがちょっとカチンと来てたかな。」「俺ずるいと思うんだよ。俺は何を言われてもいいわ。例えば後輩からすると先輩に失礼なこと言って笑いをとろう。笑いとりました。で本番終わりました。失礼なこと言いましてすいません。お前さそこで常識的な良い奴っていう評価までもらおうとすんのかいって思うわけ。」「先輩をいじって笑いをとるっていうのはこいつ失礼な奴だって思われてもいいっていう覚悟をせんかいって俺は思うのね」「俺は別に失礼なやつとか無礼なやつとかあいつは性格が悪いって思われても良い。ただ先輩に今も失礼なことを言ってもここは、すいません!ここは笑いをとりにいきますわ!を、俺はそこだけをとりに行きたいから。」と笑いを交えながらも、芸人が司会をやるうえでの上田なりの矜持を披露する。しかし、笑いを第一義に考えている上田はそこでは終らせずに、きちんと「若手の頃に共演した出川哲郎に本番で失礼なことを言った後、楽屋に謝りにもいかなかったので、7~8年前まで嫌われていた」というオチへとつなげる。「地獄に落ちる覚悟はしてんのよ。そういう意味での常識がないっていうことでね」はまさに上田が好きなプロレスラーのイズムであろう。しかしそんな油断をしていた上田の隙を狙って放ったオードリーの「よし、今日謝ろう、終わったら」華麗なカウンターに送られた観客の拍手の中、第三クォーターは終了した。上田の言葉を借りるとすれば「天竺くらい遠く」あってほしかった第四クォーターだがこちらも、若林と上田の司会業トークで盛り上がりを見せていたが、唐突に訪れた試合終了のホイッスルが鳴り、上田は惜しまれつつも闖入者のようにピッチを追いかえされてしまった。
番組も終り、いつものエンディングテーマが流れる中、くりぃむしちゅーのエンディングテーマの銀杏BOYZの「夢で逢えたら」が流れる様子は、まるで歴史がクロスする、ユニフォーム交換のようで胸にこみあげるものがあった。
上田ほどのレジェンドとの試合に、オードリーであれば、単なるパス回しでも成立したであろうに、朝からハンチング帽子を用意するほどに用意周到であった上田は完全にパンプアップした状態で1時間30分を駆け抜けていったこの試合は、体感時間ではその何分の一にも感じられるほどの濃密なゲームであった。
本誌がこの日の上田晋也にくだした点数は、年内のくりぃむしちゅーのANN復活を期待して97点をつけたい。また上田に食らいつき奮闘したオードリーにも95点を差し上げたいと思う。」

ガゼッタ・デロ・オワライーノ』の上田晋也特集を読み終わった俺がひとツッコミ「いや、趣味の例えにモンシロチョウ集めって、巣鴨でタピオカジュース売るくらいピンとこねえな!」

俗物ウィキペディア日誌#4

5月26日

 『ゴッドタン』の「お笑いを存分に語れるBAR」を見る。面白かった。ネタについて話していたので、楽しかったのだが、バラエティでの返しやライブでの伝説、あの大喜利の答えは凄かったみたいなものも見たい。全然一週では足りない企画であった。

出てきたネタは、空気階段「クローゼット」、かが屋「お母さんへのサプライズ」、東京03「小芝居」、ファイヤーサンダー「KPPTDF」、バナナマン「secretive person」「LOSER」、バカリズム「おっぱい」「マジシャン」あたり。えらいもんで、ほとんど見たことあった。ファイヤーサンダーは、あ、このネタファイヤーサンダーだったのか、と思った。無人島のネタもそう思って、どちらも良いネタだなと思っていたのだけれど、人と結びついていなかった。

東京03角田の「ドアの開け方が面白い」という指摘は、いとうせいこうからきたろうへの転び方が上手いという指摘に通じる。

劇団かもめんたるの「尾も白くなる冬」を見る。

 
5月27日

ミスタードーナッツで、俗物日誌#3を書いた。少し手薄な感じがしたので、次回からは長めに書く。

 


5月28日

劇団かもめんたるの記事をスクラップ&ビルドすることにして取り掛かる。

 
5月29日

相沢直さんの「医学部平凡日記」の5月4周目の記事を読む。医学部ってこんなに勉強しているのかと、新鮮に驚く。加えてテレビなどの仕事についても書かれている。

これが六年分貯まれば、かなり凄いことになるのではないか。

医学部の忙しさから文章に残すことは、他の人には困難であったろおうが、文章に残すということがきちんとルーティンになっている相沢さんだから出来るのだろう。

劇団かもめんたるの記事を書くために、ヴォネガットの「スローターハウス5」を読む。

こんまり批判でもないが、太田光に憧れて買った本が数年の時を経て、別のことにつながるのだから、本を買うということは面白い。

 
5月30日

妻が帰宅後映画を見に行ったので、夜は一人で子供を見ていたのでラジオを聞いていた。

 
5月31日

 空気階段の踊り場を聞く。

「ウチのガヤ」に出演した水川かたまりが、両親から仕送りをもらっていてその合計が1200万円になるということが話題になっていたらしい。

もぐらは、仕送りに対して、親からの借金なので、俺のことを批判できない、岡野陽一さんがブースにいた時、借金の総額は3000万円だったと話していた。

仕送りをもらうことができなかったもぐらからしたらそうなる気持ちはわかるし、むしろ格差社会に横たわっている問題である。

う〜ん、深い!

 
6月1日

ここから3日ほどワンオペ育児。昼に佐久間ノブロックANN0を聞く。

伊集院光「とらじおと」に出た翌週の回(190519)は、人生のっかかりラジオであった。

「とらじおと」にゲスト出演したノブロックが伊集院愛を語る。そして、ANN0のゲストに来てくれるという約束を取り付けてきたらしい。もともと伊集院は全く同じ時間帯を担当していたこともあるので、実現したらものすごいドラマとなる。

4月から始まっているにもかかわらず、すでに一年で爆散してもお釣りがくる、あれは何だったんだと言われることのないラジオとなっていて、まじでドリームエンタメラジオとなっている。

昼から溜まっていたアルピーdcgを6週分ほど聞く。イノシシをモグラにする話などをしていた。

夜、オードリーANNのゲストにくりぃむ上田が来ることが決定したことを知る。最高!!!!

 
6月2日

 親子二人生活2日目。夜特に起きることもなかったのでこちらもきちんと寝ることが出来た。

そういえばと思い、夏の東京旅行のホテルを探し、予約する。少しだけ、同人誌を進める。考えが足りないのかいまいち、進まない。それでも言いたいことは明確にあるので、姿形を変えながら一歩ずつ進むしかない。

しかし、育児をすると本当に本を読む時間が取れない。

 
6月3日

親子二人生活3日目。

昨日と同様に、家事をしながらラジオを聞きまくった。今日はハライチのターン!。五条勝の話で爆笑しているハライチの二人に釣られてめちゃくちゃ笑ってしまった。

夜10時過ぎに妻帰宅。

何事もなくて本当によかった。

 
6月4日

せこせこと「スローターハウス5」を読み進める。トラルファマドール星人が絡んでくるところ以外は面白く感じられない。

アルピーdcgをリアタイしたかったが、明日の朝早く起きて筋トレをすると決めたので、泣く泣く11時ごろに就寝。

 
6月5日

朝起床し、南海山里と蒼井優の結婚発表。それはそれとして筋トレをすることに成功。子供が産まれてから中断していたので、今日から再開するという強い意志を持つ。仕事中、特に筋トレによる弊害は感じられなかった。

筋トレしながら、アルピーdcgを聞く。前の週のノブロックANN0の加地pゲスト回を受けてのアンサー回。

20分以上全く触れずにラジオを進めたあとの「気ぃ使ってる?」は最高。「デブのラジオにガリが来た」「モンゴル嘘800の

小さなコアの歌」などのパンチラインが出て、たまらなかった。正直、もう十分楽しんだの、加地メタルジャケット事件は平子っちの勝ちである。

帰宅してからはabemaにて山里蒼井の結婚記者会見を見た。

 
6月6日

帰宅して、前の日の水曜日のダウンタウンを見る。

とあることをきっかけに、同人誌の二冊目を出すことを改めて絶対やってやるという気持ちになった。

 
6月7日

朝起きてハライチのターン!。ケロッピトーク。ここ最近のハライチのターンは、本当に自分の波長にあっていて良い。

「chelmikoのANN0」を聞く。鈴木真海子が「お笑い、好きだと思う……」と言っていたが、大学お笑いまで見ているガチガチのガチであった。スカートの澤部とお笑いのライブ会場で会って、「ではまた次のお笑いライブで!」となるのは、俺らかよ!となった。後半は失速したのは否めないものの、総じて面白かった。RNしまいにゃポコチンことトンツカタン森本や四千頭身後藤もメールを送ってきたりしていた。

 
6月8日

小銭が欲しいので、アナのマイルについて調べる。

最近は、LCCと比べてもたまにANAのほうが安いか、値段はちょっとだけ高いが時間的に便利で、乗る機会が割と増えてきた。夏の東京もANAなのでマイルを貯めようと思ったからだ。

 
6月9日

 ベストラジオ19のための上半期まとめをUPする。

その記事にも書いたが、今年は本当にラジオが面白い。どのくらいかというと、たとえ高校生の時にradiko premiumに加入していたとしても今のほうが聞いているくらいだ。

 
6月10日

またANAのマイルについて調べる。

食費なども全てクレジットカードで買ってそれをマイルに換算して等という修羅の道に入って始めて、数年に一回片道分がもらえるという計算になりそうである。正しいのかもよくわからないが。

 
6月11日

現行のカードと、生活費は全てクレカにすることで決定し、妻にもその旨を伝えた。

 
6月12日

爆笑問題カーボーイ

OPトークから空気階段ゲストパートまで最高であった。

山里の結婚から松之丞へのアンサーまで、笑いをふんだんに交えながらも、そこには大衆という存在がくだす評価の曖昧さ危うさへの指摘にもなっていた。何よりDT松本の炎上した発言で落とすという、大事件もあった。これはいろんな意味で、乗り越えたと言っても過言ではない。

空気階段は、タイタンライブのEDに出られないからということで急遽のゲスト出演。もぐらもかたまりも色々と仕込んでいてこちらも最高だった。越崎マジックに感謝。

カーボーイを聞いて芸人を目指したというかたまり。入江のニュースをヤミ中に聞いたという話や、「カラス」を持ってきてピカソ話を朗読するもぐらなどとても良かった。ウーチャカウーチャカで、引きこもっていた時にカーボーイに救われたというかたまりが「ラジオ聞くかパワプロするかだった。キャッチャー田中裕二、ピッチャー太田光とかに名前をつけて選手を作っていた」という感動的な話をしていたら、おれはピッチャーだけどね、と言い放つなどウーチャカ力(りょく)を発揮していた。

太田は踊り場リスナーなので、ラジオでのコアな話を振って、ビバリー昼ズにオードリーがゲストに迎えた高田文夫同様にかかっていて最高だった。

 日記を見ながら書いているのだが、この日はめちゃくちゃ職場の悪口を書いていて引いた。

すこし前に劇団かもめんたるの記事は書き終えた。

令和元年のタイタンライブ

 平成も残すところあと一カ月と一日と数時間、明後日には新元号が発表されるという平成31年3月30日、暢気に『ENGEIグランドスラム』を見ていた。見終わったあと、爆笑問題太田光が『ENGEIグランドスラム』の放送中に転倒したという情報を見かけた。ちょうど放送のネットが途切れた時間帯に、太田が生クリームで滑って頭を強打しているような映像が流れてしまったということまではつかめたものの、映像もインターネットにあげられた簡素なものを見てしまったものだから、無事であるという情報が聞けるまで気が気ではなかった。その後、『日曜サンデー』などの翌日の仕事は休むが、『爆笑問題カーボーイ』には復帰できるということを知って本当に安堵した。
 爆笑問題の活動は、平成という元号とともにあったというのは、爆笑問題二人も言っていることであり、平成30年の8月には30周年記念の単独ライブを成功させた。そんな爆笑問題が、平成最後のネタ番組に出てトリを務めたあと、はしゃいで生クリームで頭を強く打って、結果、舞台上で死んでしまったというのであれば、永劫語られる伝説にはなるものの、お笑いよりも爆笑問題が好きな身としては、耐えられなかったので、本当に無事でよかったと思っている。

 復帰一発目の『爆笑問題カーボーイ』は、太田が転倒してから病院に運ばれて入院するまでの顛末のトークが話されていて、それまで緊張していた分、めちゃくちゃ面白い放送となっていてゲラゲラと笑わされ、令和の爆笑問題がさらなる活躍出来ることを本気で祈ったりもした。同じ時間には、ななまがりが『水曜日のダウンタウン』に拉致られて、新元号を予想しているのだから、世界は笑いに満ちている。
 そんな中で、令和初のタイタンライブを見てきました。何と言っても、今回のタイタンライブの目玉は、空気階段、シソンヌに加えて、神田松之丞がゲストを迎えていることで、これらのゲストのお陰で、ライブのほうはもちろんのこと、シネマライブのチケット自体も全国各地でほぼ完売となるという凄い状態になっていた。
 そんな状態で始まった、タイタンシネマライブ。トップバッターを勤めたのは、猿が死んでしまったので、ダニエルズ。宝くじにまつわる人間の愚かさを描いたコントで、今まではあさひだけが望月を攻めるというコントが多かったのだが、このネタは二人のやりとりが生きていてとても良いコントであった。もうひと展開あれば、もっと良いコントになると思った。続く脳みそ夫は、「パスタだってJKするっつーの!」の「ペペロンチー子」コント。
 三番目に登場したのは、ゲストの空気階段エピグラフは、直木三十五の『わが落魄の記』より、『神様から、こゝへ生れて出ろと、云はれたのだから、「仕方がねえや」と、覚悟をしたが、その時から、貧乏には慣れてゐる。』。ネタは、「EXILEのオーディション」。EXILEのオーディションに来たもぐら扮するデブでヒゲの男は、すぐにかたまり演じる審査員に追い出されそうになるが、実はもぐら扮する男は、テレパシーの持ち主で、というコント。このネタは過去に見た事があったけれども、そこからさらにひと展開加わっていて、ブラッシュアップされていました。途中もぐらが変な動きをするところがあり、ネタを書いているかたまりが、もぐらにこうさせたら面白いと思っているというのが感じられてとてもほほえましかった。何より、EDトークに参加できない空気階段のために、爆笑問題カーボーイにゲスト出演していたのだが、その回がめちゃくちゃ面白かった。越崎マジックである。

 続く四組目は、野沢雅子のモノマネを習得することで一時は、野沢の真似をする田島だけでなく、見浦が鳥山明の真似をするために鳥山明の自画像のロボットの手造りマスクをかぶるというところまでアイデンティティを失ってしまったことで、漫才師としてのアイデンティティを獲得した漫才コンビアイデンティティは、事務所ライブで飽きられていると本人たちも言っていたように今日も今日とて野沢雅子漫才だったのだけれども、今回は、『バナナムーンGOLD』にゲスト出演時に、ちらっと話していた、野沢雅子の楽屋に挨拶に行った話をベースにした漫才をしていた。もう一度、挨拶に行ったらというコント漫才で、田島が野沢雅子に失礼なことをして見浦がそれをツッコむというもので、普通に笑っていたのだけれども、後半に、野沢雅子に扮した田島が客席に背中を向け、野沢雅子本人になって、見浦を攻めだして、何だこの叙述トリックみたいな漫才は!と驚かされてしまいました。こんな仕掛けをしているのであれば、安易に一発屋として消費もされず、反社会組織の忘年会に行かずにすむだろうとほっと胸をなでおろしました。
 この後は、タイタンメンバーのまんじゅう大帝国の「ゆるキャラ」と、日本エレキテル連合「朝礼」が続く。まんじゅう大帝国は、軽く二人の関係性が変わってきていて、お!っとなり単独やM-1に向けた作戦かなと思わされた。後半のひっくり返りをもっと早めにやってもよかったかなと思った。そして、日本エレキテル連合。普段から、ボケもツッコミもないコントが好きなのだけれども、今回のエレキテル連合に関しては、登場人物がただ懸命に生きて大声を出しているだけの領域に入っていて、そら恐ろしさを感じてしまった。
 続くゲスト三組目のシソンヌのコントは、『同居人の』というネタで、これは凄いコントだった。ネタ自体の面白さもさることながら、見ている途中で、先日起きてしまった、悲惨な事件とリンクしていることに気付いたからである。このネタ自体は、2017年に行われた単独ライブでかけられたネタなので、それはこちらの勝手な思い込みとなるのだが、どうしても連想せずにはいられなかった。
 じろうが帰宅すると、ソファに座っている忍を見つけると舌打ちをし、「まだいたのかよ」「朝言ったよな、俺帰ってきてまだいたら、もう、ぶん殴るぞ」と強く当たる。そこから数分、じろうが忍を責めていく。その中で、じろうと忍は親友でルームシェアをしていたのだが、忍はじろうに何も言わずに仕事を辞めて、そしてしばらくして全く喋れなくなったという状態にあることが分かってくる。その時のクッションで忍を叩き続けるじろうの「俺たち、こんな関係じゃなかったろ」というセリフは胸にくるものがあった。
 「今日は泊まっていって良いよ。でも明日の朝、俺が起きてきて、お前がまだいたら、もう弁護士に相談するわ」と言って、じろうは自分の部屋へと戻っていく。そして、も度てきたじろうが一言「俺の部屋に、うんこあるんだけど」と言い、怒りだすかと思いきや、「俺が今どういう気持か分かるか。嬉しいんだよ。」と喜びをあらわにする。
 このコントのスイッチに至るまでのじろうの演技が、本当に凄く、だからこそ、このコントのくだらなさが光ってくるわけだ。あとは、ひたすら、手を変え品を変えて、うんこなのだけれども、よくよく考えてみると、このネタは、コントの中の「この一年二カ月、何聞いても返さない、何の感情表現もしない。そんなお前がやっと自分から俺に何か伝えようとしたんだぞ。その手段がたまたまうんこだったってだけだろ。」というセリフの通り、コミュニケーションは言語を解さないでも可能である、という救いに溢れている。
 シソンヌが、タイタンライブでこのネタをかけた真意を知ることはできないが、この日のタイタンライブでかけた意味があるネタとなっていた。
 シソンヌの後にウエストランドの漫才を挟み、いよいよ神田松之丞の出番となる。
 神田松之丞のタイタンライブエピグラフは、南条範夫の『慶安太平記』の、「どこかこの世ならぬ超然として尊貴の風姿である。その精神も肉体も、最も世俗的な野望に取りつかれていたこの男が、その外貌において、全く正反対のものを示し得たのは、彼が常にそれを意識的に習練し、後天的にカリスマ的性格を完成し得ていたからであろう。」という部分だった。
 神田松之丞が袖からのそりのそりと歩いて釈台に向かっている間、どーせマクラにタイタンライブの楽屋の弁当はどーのこーのと愚痴を入れてくるのだろうとかまえていたら、そんな助走もなく、すぐさま講談に入ったのは、とても格好良くて、ずりぃなぁとやられてしまった。
 そんな松之丞がかけたのは『中村仲蔵』。松之丞が上梓した『神田松之丞 講談入門』によると、「家柄もなく、下回りから這い上がって名題に昇進した初代中村仲蔵。『仮名手本忠臣蔵』の晴れ舞台で、当時は端役だった「五段目」の斧定九郎の役を振られる。柳島の妙見様に願をかけ、「これまでに定九郎を作る」と意気込むが、妙案が浮かばない。満願の日、雨宿りに入った蕎麦屋で、濡れそぼった貧乏旗本に出会い、「これだ!」と喜ぶ。さっそく侍の姿を移した衣装で本番の舞台に立つが、なぜか客席から喝采が聞こえてこない……。」というあらすじの講談である。
 まあ、やはり、とんでもなく良いモノをみたな、という気持ちでいっぱいになった。当時の芝居は、家柄が絶対であり、血もなく、そして才能も無いのではないかと苦悩しながら、それでも工夫でのし上がっていく仲蔵の生きざまは、現代においてはウェットすぎるほどにブルージーであるが、それだけではなく、講談という伝統芸能の世界に身を投じた神田松之丞はどこかダブって見える。『神田松之丞 講談入門』によれば、本来、「中村仲蔵」は師匠も妻も出てくるが、松之丞は、仲蔵本人の問題とするために、その二人を登場させていないという改変をしているという。
 それは、いわゆる藝柄(ニン)が乗っかっているってやつで、今後もこの神田松之丞の「中村仲蔵」のネタはどんどん進化するんだろう。かつ、逆にそこから放たれた瞬間から神田伯山の物語が始まるのだと思った。
 今回のライブビューイングという形式で松之丞を見て始めて気がついたことだが、松之丞の太った能面みたいな顔が作るその陰影は、怪談におけるロウソクの炎のように不安定で、その揺らぎは登場人物の表情や心情を表すように千変万化し、それは表情を変えるだけでは作れない、凄みや情念などを生み出していた。これは落語でも浪曲でも能でも狂言でも歌舞伎でも、その他の伝統芸能で、効果的に使えるものではないと考えると、顔すらも講談に愛されているのかと思わずにはいられない。
 改めて、本来の時間を10分もオーバーした「中村仲蔵」は、今の松之丞でしか見られないものであったろう、そして、今後、松之丞が白山襲名以降、名人への道をひた走るなかで、あの時見たあれ、と記憶に刻まれるものとなった。基本的に仕掛けるのが下手で、まれにラジオ関係でしくじることが多いけれども、講談でその好感度を取り戻すという、問題を起こしてもギャラクシー賞で取り返す『水曜日のダウンタウン』方式で今後も爆走していくことだろう。
 その後のBOOMER&プリンプリンは「ゆうひが丘の総理大臣(令和ver.)」で、中村雅俊に扮したプリンプリンのうな加藤を筆頭に、お馴染のコントを披露していて、その内容はいつもどおりなので割愛するが、神田松之丞とは違う意味で大仕事を成し遂げていた。
タイタンライブにおけるBOOMER&プリンプリンは爆笑問題の前の空気清浄機でありフリスクであると常々言っていた。それは、タイタンライブは、よほどの大物が出演してくれない限り、基本的には爆笑問題がトリを務めるのだが、ゲストもタイタンメンバーも、お客の懐の深さを信頼してくれているのか、暴れるようなネタをしてくれる。その結果、舞台は混沌としてしまうのだが、爆笑問題の前にネタをやるBOOMER&プリンプリンがベッタベタなコントをしてくれて、場をフラットにしてくれる。そのために、観客は一旦気持ちをリセットして、爆笑問題の漫才を見ることが出来るという、信頼関係が築かれているという前提がある。
 そして、普段よりネタの尺もタイトにしていたお陰で、松之丞がオーバーした時間分を取り戻し、エンディングのトークゾーンを増やすという快挙も成し遂げていた。
先述したとおり、松之丞の「中村仲蔵」によって、観客は緊張感とその前のめりになったことの反動でぐったりしてしまっていたが、その観客の心の隙間に、BOOMER&プリンプリンのコントがじんわりと、冬に飲むモスバーガーのクラムチャウダーくらい染み込んでいくのが分かった。
 そんなBOOMER&プリンプリンの場の空気を暖めたままリセットするという仕事は、この日に限ってはフリスクを超えて、もはや事故物件の直後にひとり住んだ人がいるから、法律的には次に契約する人に、ここで自殺があったということはもう告知する必要はなくなったくらいのものであった。
 さて、爆笑問題である。ここ二カ月で起きた事件のせいか、BOOMER&プリンプリンのおかげか分からないが、南海キャンディーズの山里と蒼井優の結婚、元KAT-TUN田口淳之介の逮捕、丸山穂高議員の「戦争しなきゃ」発言、原田龍二の不倫騒動をネタにした漫才は、とても面白く、間に挟まれる、爆笑問題二人のネタから逸れてこぼれるようにしたやり取りなど含めて最高でした。
駆け足気味のエンディングトークも最高でした!

ベストラジオ19のための上半期まとめ(備忘録として)

 高校の同級生に髪を切ってもらってる時に、ラジオの話になって、今14本くらい聞いてるかなみたいに言ったら驚かれたので、いやまあラジオ聞く人にとっては普通よ?みたいな感じ出してしまいましたが、我ながら狂っていると思います。日常生活においてあんまり人の話も聞かないというのに。
 毎年やっていて、去年出来なかったベストラジオについて、年末からとりかかると、ひーひーしてしまうので、その備忘録の意味をこめて、上半期ラジオまとめをやります。
 馬鹿力を聞いていて、許可局員であり、カーボーイリスナーであり、はらいっちゃんであり、リトルトゥースであり、武闘派の残党である僕の独断と偏見ですが、あくまで備忘録という感じで。
 月曜日は、東京ポッド許可局の「チルアウト論」を話した後に、NHKのニュースで「映え離れする若者」の特集で「チル」という言葉が紹介されたり、「オススメYouTuber論」では、「自分は面白いけど・・・という時代じゃない」というサンキュータツオの言葉はなるほどなあと。それって今面白い番組ってその原理原則で出来ている気がします。自分だけが面白いというものをどう伝えるか、それをクリアした人が適切な評価を受けている気がします。他にも、やよい軒のおかわり有料化を受けての「おかわりズルい論」や「イチロー会見論」なんかも良かったのですが、一番良かったのは、第310回「チルアウト論」です。この放送の後に、NHKで「映えよりチルする若者」みたいな特集をしたりして、それは情報の断捨離のような話で、時代を深読みして半歩先行く東京ポッドにならって、今年は一年通してチルアウトするということを意識していこうと思います。
 伊集院光の『深夜の馬鹿力』について、敢えて面白さ以外の角度で紹介するのであれば、伊集院さんが大なり小なりの時事を話す際、未だに「うわ、この人、ほんとに頭良いなあ~」と思わされてしまうところです。例えば、高校球児でのサイン盗みが問題になった際、高校野球が好きであるという立ち位置にありながらも、是か非かをきちんとしないと、高校球児たちが罪悪感を持ったままプレイしてしまうということに懸念していたりして、もうなんかすげえな、そこまで頭まわんねえよなと今さらながらに感心してしまいました。あと、カルタのコーナーの「日曜JUNKクワバタオハラのウチらにまかせたやカルタ」がゴールしたことなども印象深いです。よく伊集院さんの、虚を実にするという話で、芳賀ゆいの話が出ますが、まさにこのウチまかムーブはそんな感じでした。
 火曜日は、『チョコレートナナナイト』『アルコ&ピースのDCG』『爆笑問題カーボーイ』です。
僕は圧倒的な平子信者で酒井に関しては懐疑的なので、『チョコレートナナナイト』は毎週聞いているわけでなく、気が向いた時に聞いていたりするのですが、先日chelmicoがゲストに来ていた時の、酒井のしきりが異常に良くて震えてしまいました。
 DCGは、酒井が自分のトークの受け方が気にくわないと平子が怒って言った「俺を、ないがしろにするな」や、オードリー若林とデパートで会った話がオードリーサイドからも話が出たというクロスも良かったのですが、でも間違いなくベストラジオ19に入ってくるのが『佐久間宣行のANN0』にゲスト出演したテレビ朝日の加持Pの回を受けての、平子サイドからの「アメトーークの収録後、平子さんがプロデューサーの加地さんにゼロ距離でガチギレされた、通称・カジメタルジャケット事件」の真相を、モンゴルから帰国したところから話した回はとんでもなく面白かったです。「気ぃ使ってる?」などの名言もありましたが、何よりも「デブのラジオにガリがやってきた」という平子っちの言葉だけで、この件に関してはお釣りが出たとすら思っています。
翌日の、南海キャンディーズ山里が蒼井優と結婚したニュースのせいでかき消されたこと含めて最高でした。
 『爆笑問題カーボーイ』について、何といってもぜんじろうゲストの回でしょう。ぜんじろうの発言では全く笑ったり心が動いたりすることは無かったんですが、太田さんの芸人論などが聞けたので、良かったです。令和1発目の生放送に、後輩5組が次々乱入した回もめちゃくちゃ楽しかった。
 水曜日は、『佐久間宣行のANN0』です。テレビ東京プロデューサー、様々なカルチャーの話をするだけでなく、バラエティ制作の裏側、そしてプロデューサーとしてのブッキング力を駆使した劇団ひとりテレビ朝日の加持P、千鳥などのゲスト出演などを実現させて、おもしろで自称していた「ドリームエンタメラジオ」が、もはやそれが本当になりつつあるという。一年で番組が爆散しても充分お釣りがくるラジオをしています。
 『佐久間ANN0』のベストラジオは、なんといっても、『伊集院光のとらじおと』にゲスト出演した回の裏側を話した回ですね。そして、ゲスト出演の約束まで取り付けるという敏腕っぷり。これが実現したら、伊集院光ニッポン放送に、しかも水曜日の二部と言う当時と同じ時間帯に帰ってくるという東京03が『行列のできる法律相談所』に出ることよりも大事件になるはずです。
喋る時に、わざと笑い声を入れるという演出以外は楽しんでいます。あれ、いらないと思う~。
 木曜日は『ハライチのターン!』です。
 今週のネコちゃんニュース、ほんのりどうでもいいニュースいじり、澤部の育児報告、適度な尖り、日常の些細な事件、固定コーナーが無い回転率の良さ、個室ビデオに行く話、サンシャイン池崎の近況、五条勝の話などなど、市井の民のトークって感じで、今一番聞いていて心地いいのはターン!だったりします。
 どのトークも良い感じで、すごく番組自体良い感じなのですが、「捨てだ!捨て捨て!」など、たまに日常で使いたくなる言葉も出てくる。
 金曜日は、『問わず語りの松之丞』『マイナビ Laughter Night』『空気階段の踊り場』『バナナムーンGOLD』『霜降り明星のANN0』です。
 今年の四月から金曜日の九時半に移動した『問わず語りの松之丞』は、来年二月に真打昇進、それに伴って大名跡である神田伯山を襲名することが決まったりと、今後もいろいろとありそうな番組ですが、もんじゃ屋での親子、神田伯山の名前を守っている人に挨拶に行った話、タイタンライブに出るために爆笑問題太田と楽屋で話した話などなど、まだまだ濃い話が飛び出すのだから
 たまに、番組と本人の性質上、ほんとに、つまんないだけならいいんだけど、不愉快なときがあるのが駄目ですけどね。
 『マイナビ Laughter Night』は、30分ほどの若手のネタが流れるというもので、東京の若手のネタの情報源として貴重な番組として聞いています。
 『空気階段の踊り場』も安定して面白くて、松之丞と違って純粋に空気階段の二人が愛おしくなるような味のある面白さです。
上半期だけでも、妹のみーちゃんに、自分のことをラジオでいじっていることがバレてしまった「第92回 すでに絶縁されているかもしれない」や、歌舞伎町のナベくん関連の「第96回 歌舞伎町のナベくんは歯が0本」と「第105回 クスリ飲んでも眠れないんですよー!」。この第105回は、もぐらがナベくんと相席居酒屋に行く話で、二人して空回りする様子は古谷実漫画と思うくらい哀れで切なくて爆笑しました。
とはいえ、何と言っても、ブログの記事にもした「駆け抜けてもぐら」につきますが、これはもうベストラジオ19の一位でほぼ確定でして、あと、今後は二位以降がどうなってくるのかっていう話になってきます。
 毎週、『僕といっしょ』みたいなギャグ漫画を読んでいるような気持ちで聞いています。
 『バナナムーンGOLD』、日村さん、オークラさんだけでなく、設楽さんまでインプラントをしたり、設楽さんの誕生週には、恒例の森山直太郎の電話出演、東京スカパラダイスオーケストラからのお祝い音源、東京03のゲスト出演、日村さんの誕生週には、星野源が登場したり、その他の恒例の、柏餅争奪合戦なども、ほんとうに毎年楽しい。
そして、平成最後のバナナムーンにはゲストとして漫画家の浦沢直樹先生が出演したりしました。その週のヒムペキでは、日村の平成を振り返るヒムペキソングも再OAしてくれたりして普通に泣きそうになっちゃいました。
 通常回では、日村さんがバスを買いたいというトークから、第一バス、第二バスと言う言葉が生まれたりしてそれも面白いのですが、この上半期で、何より良かったのは、リスナーからのメールを受けての、「若手の頃のお笑いユニットライブについて語る」回で、これまでのバナナマンのユニットライブの振り返りトークで、まさに青春っていう感じの話が聞けたのは良かったです。何より、あのマスターピースである『epoc TV square』のDVD化は、かなりお願いして実現したものという凄い証言を聞くことが出来ました。それが実現せずに、大学の頃にあのDVDを買っていなかったら、ここまでバナナマンが好きになっていたかも分からないくらい僕にとって重要な作品なので。熊本のTSUTAYAでDVDを買った日のことも未だに覚えていますからね。
 『霜降り明星のANN0』はまだ数回しか聞いていないのですが、キラキラしていて、面白いですね。ベストラジオに入れる!っていう回はまだないですが、ここで大きな事件が起きれば大爆発する可能性ありますから。ネタコーナーも送りやすいフォーマットだと思うので、ネタメール送ってみたいと思う人はここから挑戦してみてもいいんじゃないでしょうか。そういうてめえは最近全然送れてないですが。あと、霜降りの二人のモノマネの全て80点代というのが凄いですね。何より、せいや岡野陽一のモノマネ似過ぎ。せいや粗品の声の聞きわけがしづらいのが難点ですが。
 土曜日は、『オードリーのANN』『極楽とんぼのオレたちちょこっとやってまーす』です。
 今のオードリーのANNは、十周年記念の武道館ライブの前後あたりから、確変に入ったかのように、春日のプロポーズ、フライデー報道、春日の入籍、春日の家探し、南海キャンディーズ山里の結婚などなど、面白さが爆発していて本当に毎週面白いとしか言えないのですが、強いてあげるならフライデー報道直後の回の「敵はこんな近くにいたかこらああ」発言でしょうか。これで500回記念の「くりぃむしちゅー上田ゲスト」が待っている。しかも、確か、一回目の放送で、オードリーがくりぃむしちゅー上田に、「M-1グランプリ」でのネタの選択ミスをいじられた話があったと考えると、とても良い。

 『極楽とんぼのオレたちちょこっとやってまーす』は極楽とんぼの近況をゆるっと確認。
 日曜日は、立川志の輔の『落語DEデート』です。こちらは、あんまり聞けない落語の音源をチェックするために聞いています。
 単発のラジオで良かったのは、まず、TBSラジオだと『ラジコフェス』ですね。爆笑問題と宇垣美里がメインパーソナリティとなって、TBSラジオのパーソナリティ陣を招いてラジコについて話すという番組。その前にピエール瀧が逮捕されてしまって少し特番の主旨が揺らいでしまったものの、めちゃくちゃ面白かったです。何より、太田さん本人が実現させたというのも熱く、太田さんは24時間やろうと行っていましたが、本当にそれに近いことを来年もやってくれそうです。
 ニッポン放送だと、『内村光良のANN』、『chelmicoのANN0』ですね。ウッチャンのANNはウッチャンの日常をゆるっとしたトークで聞けて良かったです。ぜひ30分ぐらいのラジオをやってほしい。今年の夏、内村文化祭に行けるので楽しみです。
chelmicoは、何より鈴木真海子のお笑い好きトークに尽きました。お笑い好きと言われると、かまえてしまうのですが、鈴木真海子は、大学お笑いまでチェックしているってことで、オススメにママタルトやビデボーイズをあげたりして、出てきた芸人の名前だけで言えば、『マイナビ Laughter Night』よりもコアなメンツでした。加えてトンツカタン森本(RN.しまいにゃポコチン)や四千頭身後藤がメールしたりして、楽しかったです。なにより、chelmicoの音楽がめちゃくちゃ良いということに気付けたのもめっけもんでした。
 スカート澤部がやっている『NICE POP RADIO』、『藤岡みなみのおささらナイト』は、ほどよい緩やかなトークと、何より、めちゃくちゃ良い音楽がガンガンかけてくれるのでこちらも重宝しています。朝支度をしながら聞けるような番組です。

 今のニッポン放送ものすごくバランスが良い感じがして、宗岡Dが蒔いてきた種を石井Dが大事に育てて、今やっとそれが芽吹き始めてるような気がするんですが、このまま行けば近い将来、ニッポン放送TBSラジオをぶち抜いたニュースとかありそうですね。例えば、TBSラジオの今のラインナップは、「ラジオの実力ある人がTBSを始めるという」、『ACTION』のDJ陣を始めて見た時、「あー、大丈夫大丈夫、そこまでこっちに寄せてこないでいい!」となったのですが、反面、ニッポン放送は、「こういう面白い人達がいるから、ラジオやらせてみよう」という状態で、そういった風通しの良さが本来の面白さだったわけでそれを取り戻しつつあるという印象です。それが、何より、chelmicoとかみっけもんだったなーという。
 ラジオは、良くも悪くもテレビ的になっていくんじゃないかなと思っています。身近なメディアという評価は残しつつも、振り返ると、今よりそれは遠くなっているというような位置。
 そして、何より、我が家には2020年問題というのが待っています。それは今は家で普通にラジオを聞ける環境にあるのですが、子供が言葉を理解するとさすがに、アナルだ、アクメ自転車だ、クワバタオハラだと聞かせられないので、ラジオを聴けなくなってしまうという問題です。そのために、家族と一緒に聞ける、昼のラジオを探していたりして先週は「ACTION」を月~木まで聞いてみたりしました(武田砂鉄はキモいからパス)。で、思ったのが、僕らがいう「ラジオはながら聞きできる」っていうのと、お昼のラジオでの「ながら聞き」は全くの別物で、深夜は2時間をながら聞きしながらで、昼間は聞かないでもいいところがあるから2時間のコーナーコーナーをながら聞きみたいなイメージだなと思いました。僕としては、このながら聞きをもっと細分化して、子供がいる時にながら聞きする番組、子供がいない時にながら聞きする番組、一人でいる時にながら聞きできる番組とどんどん分けて行って、なるべく聞く時間を増やすようにしていきたいです。


■備忘録

空気階段の踊り場』「かけぬけてもぐら」「もぐらがナベくんと相席居酒屋に行く話」、
『問わず語りの松之丞』「もんじゃ屋」「名跡をもらうための挨拶」、『オードリーのANN』「武道館ライブの日の回」「春日のフライデー」「くりぃむ上田ゲスト(予定)」、『内村光良のANN』、『chelmicoのANN0』、『バナナムーンGOLD』「若手の頃のお笑いユニットライブについて語る」、『ラジコフェス』、『佐久間ANN0』「『伊集院光のとらじおと』にゲスト出演した回」、『東京ポッド許可局』「チルアウト論」、『深夜の馬鹿力』「ウチらにまかせてやカルタゴール」、『爆笑問題カーボーイ』「ケーキ転倒後復帰」「令和1発目の生放送」「ぜんじろうゲスト」、24時台三兄弟「メメント金子サーガ、大竹まこと『ゴールデンラジオ』「伊集院光ゲスト」

俗物ウィキペディア日誌 ♯3

5月5日

推敲。加えて、序文の追記。あまりに風景の描写が下手で嫌になる。「バナナマン設楽統のファミリーヒストリーの記事」をアップする。考えすぎてもしょうがない。小賢しい小手先の技術に頼ってもしょうがない。

結果、フォロワーが増えたし、読者も増えたので良しとしよう。まずは拡散されることが大事。アクセスも3000以上来ていたので、しかし、コメントにもあったように、書き下ろしもあるに越したことはないはずなので、それも考える。基準は書きそびれたもの、そんなに拡散はされなそうなもの。例えば、マキタスポーツの「越境芸人」の感想や、「ペポカボチャの呪い」など。

 


5月6日

いとうせいこうの『今夜、笑いの数について数えましょう』について武田砂鉄が書評を書いていた。「笑いのノウハウがあるとすれば、ノウハウがあると思っているのが一番ヤバいと気付けるか、ではないか。」<笑いとは何か>を探るはずの対談のそれぞれが、たちまち主題から脱線していく様がとにかく笑える」と書いていた。

僕はこの本は、「笑いにはノウハウはある。でもそうじゃないそれを超えたところもある」ということの証明であると思って読んでいたのだが、どうやら別の本を読んでいたらしい。

空気階段の単独があまりにも素晴らしかったようで、不貞寝。


5月7日

gw空けて、初出勤。

5万円くらいのノートパソコンが欲しい。


5月8日

推敲。推敲の遂行の連続により、何が何やらわからなくなったので、新しく、追加する分に取り掛かる。『今夜、〜』のショート版。武田砂鉄はアホ。


5月9日

設楽統ファミリーヒストリーのアクセスは結果、4000ほどであった。10RT50FAVかーっと思っていたが、意外に読まれていた。もぐら銀杏はその十倍のリアクションだがアクセスは同じくらいだったはずなのでよくわからない。

推敲と追記を継続。

 

5月10日

同人誌特に何もせず。

ネタパレをゾフィー目当てで見ていたら、永野の「お味噌汁品評会」でしたたか笑った。悪意とも裏笑いともなんとも評価できない面白さ。素晴らしい、永野の底力を見た。


5月11日

オードリー春日がラジオで入籍発表。

99人の壁で、おぎやはぎがコソ泥のような手口で100万円を獲得する。


5月12日

推敲に飽きてきたので、新作に取り掛かる。いとう『今夜、〜』のショート版をやり終える。いくつかの記事に追記。

DVDでヨーロッパ企画の『ビルのゲーツ』を見る。ラストはなんともいえないが、面白かった。「出てこようとするトロンプルイユ」同様、大喜利一つでここまで飽きさせないのは本当にすごい。上田さんの真骨頂。

『ビルのゲーツ』は『しんぼる』が到達したかったところにあった。

俺は、松っちゃんより『しんぼる』のことを考えている。


5月13日

しくじり先生なかやまきんにくんを見る。何も考えずに、アメリカ留学に行ったきんにくんと何も考えずに大学に行った自分をダブらせ少し泣く。


5月14日

最高に楽しかった。


5月15日

handmade worksも空気階段も見られなかった悲しみにより、気が狂ってしまって気がついたら、劇団かもめんたるを見に東京に来ていました。


5月16日

帰宅。


5月17日

仕事から帰宅し、ふと思い立ち、『IPPON』シリーズと、『we love television?』と『大日本人』を借りてくる。「凡人はバカリズムになれるのか」と「『we love television?』=『大日本人』論」のため。


5月18日

前日に借りた、萩本と大日本人を見る。暗くてじめっとした陰湿で悪質な人を嘲笑する笑い。

そして『IPPON』のバカリズム回答書き起こし。思った以上に面倒くさい。

今更ながら、手数論でタツオさんのデータを剽窃したラリー遠田にムカついてきた。

なるべく考察の方は決めうちにならないように。


5月19日

書くことを箇条書きしてつなげる。

劇団かもめんたるの感想を書く。

 

5月20日

ブログに劇団かもめんたる『宇宙人はクラゲが嫌い』の感想をアップ。

同人誌には、今回の記事を骨子として、劇団かもめんたるについて書くか、かもめんたるについて書くか悩む。

物販で購入したDVD「ピンクスカイ」を見る。エロひど面白い。


5月21日

今年は、新しいラジオも聞こうということで、ノブロック、chelmico霜降り明星のANNを聞く。ノブロックは話している内容や音楽はいいけれども、独り笑いがちょっとしんどいなと思った。イヤホンじゃなくてスピーカーで聞いたら大丈夫だった。霜降り明星は、まあやっぱり普通に面白い。せいやの令和またぎの話は面白かった。いずれもコーナー送りやすそうだった。

chelmicoは、鈴木真海子がゴリゴリのお笑いファンで大学お笑いの芸人の名前を出したり、ママタルトの名前を出して、その濃度は、ラフターナイト以上だった。顔もめちゃくちゃタイプなので、好きになりそうになってしまった。しかも、ラップも上手かった。

その濃度にタイムラインじゃん!となった。特にスカート澤部と、お笑いライブ会場で挨拶するという話はまさにタイムラインだった。レギュラー化したら、鈴木真海子のライブレポのコーナーを希望したい。


5月22日

『we love television?』=『大日本人

論を進める。


5月23日

特になし。

ウッチャンのオールナイト聞く。ゆるやかな近況トーク最高にchill outだった。


5月24日

帰宅して眠い目をこすりながら、IPPONの♯4のバカリズム回答書き起こし。

有吉からのバカリズムをヒールにするアングルや、Aブロックでのバカリズムと有吉のサドンデス、小木との決勝戦と見所たくさんあった。伊藤ナポリタン容疑者あったなー。

全く忘れていたが、「留守電メッセージに3秒入れてください」というお題の小木の優勝を決めた答え「あー、明日の結婚式キャンセルで」には目が開いた。バカリズムのさまざまな角度の攻撃を、小木が小木たる所以の人でなしで一掃する名勝負であった。


5月25日

『we love television?』=『大日本人

論完成(暫定)

空気階段の単独ライブが再演決定。

こんなこと今まで始めて聞いた。嬉しすぎて心臓止まるかと思った。

しかも日程的にも最高。

嬉しい!!!!!!!

 

劇団かもめんたるの第7回公演『宇宙人はクラゲが嫌い』感想

 劇団かもめんたるの第7回公演『宇宙人はクラゲが嫌い』を見ました。今回は、いつもと違って、八嶋智人も出演していましたが、いつもと同じくらい面白くて狂っていました。
 八嶋が演じるヒデちゃんは、田舎の海沿いの街で、うどん屋を営んでいる。そのうどん屋は、田舎にもかかわらず、クラゲを粉にしてうどん粉に混ぜて作ったうどんのお陰で繁盛をしている。『宇宙人はクラゲが嫌い』は、その店主のヒデちゃんが雑誌のインタビューを受けている場面から始まる。
 そんなヒデちゃんのうどん屋の常連のマダムとその娘とスピリチュアル系な彼氏、うどん屋の店員、インタビューをしている雑誌のライターの森桃子と、再生回数が一桁代のYouTuberのう大とそれに付き合う小椋、ヒデちゃんからクラゲを粉にするときの臭いを消す技術を使ってローションにしようとしている槙尾とその彼女、謎の元プロレスラーの青年などが登場し、点と点が暴れながらも、徐々につながっていき、最後はとんでもないところに着地する。
 劇団かもめんたるは第2回公演『ゴーヤの門』以来だったのだけれど面白かった。ただ面白いだけじゃなく、あまり他の人が描いていないような、ニヤニヤから爆笑、ぐっちょんぐっちょんにグロテスクな笑いや下品な笑いまであって、これを売れている他の人がやっても嘘になるんですけど、う大は、ずっとやってきている人なので、説得力がありますよね。
 これまでもそう(物販で買った『ピンクスカイ』は最高にサイテーだった)で、明らかに観客を引かせるためにある部分があり、観客もきちんと引いているにも関わらず、あとあとそれで切なくなったりさせるという力業も見せつけられる。例えば、う大がYouTubeにアップする動画として温めている「ゴミを食べる」という案をつぶさに説明するところや、槙尾が登場し、屁に固執していることを分からせるために屁を使った言葉や槙尾の造語を連呼させるシーンなどがあるのだけれど、それが後半で、心動かされることに反転するフリになっていたりする。それでも、今回はちょっと八嶋がいるからポップだなと思ってしまった。
 実は、ヒデちゃんは、もともとは長男なのに東京でお笑い芸人をやっていたりするような放蕩息子だった。う大はその弟で、ヒデちゃんの代わりに親から引き継いでうどん屋をやっていた。ある日、ヒデちゃんは海に溺れてしまい死にかけるが、一命を取り留める。その時からヒデちゃんは、別人になったようになって、うどん屋を始め、クラゲの粉を混ぜたうどんを売り始める。ヒデちゃんに居場所を奪われたように、今度はう大が、ヒデちゃんのようにぶらぶらしてしまうということが徐々に明らかになっていく。
何より、八嶋智人の、喜劇役者としての身体能力のキレの良さ、売れている人が持つ陽のエネルギー、それを一瞬で掻き消してしまうような目の奥の笑ってなさを存分に堪能しました。目の奥が笑ってないって言葉、いったもん勝ち説ってちょっとあると思うのですが、その言葉で、「分かる!」って思わせるのもそれはそれで能力の一つでもあると思います。底抜けのない明るさを見ると、人は、勝手に躁と鬱が一気に入れ替わりそうなあの感じを想起させられる。そんな八嶋の雰囲気は、今回の役ともばっちりハマっていた。
 相方としての信頼からか、基本的にやっぱり槙尾のキャラが劇団かもめんたるの公演で一番狂っていたりすることも多いのですが、今回もそうで、槙尾が演じる先輩は、屁に固執するという田舎の狭いコミュニティを引きずったまま大人になったような人でした。
 う大が先日、「宗教の勧誘に来た人をデタラメな言葉で追い返すみたいな動画が流れて来た。それが面白いみたいな感じだった。本当にサムかった。世の中にバカにしていい人なんていないってわかんないのかな。」とツイートしていたけれども、まさにこのことが劇団かもめんたるの作品の根底に流れていて、そのため、う大の描く脚本には少数派に属する性的嗜好を持った人や汚いものが出てくるのだけれども、根っこには「そういったものを抱えても生きて行かざるを得ない人(おおよそ傷ついている人達)の一所懸命さ」に存在する。それは、博愛というような優しいモノとも違う、もっとフラットな、子供の無邪気さに近い、SF作品のような大局的な視点にたった肯定力と呼ぶべきものだ。なのでそれが狂気に転換したとき、より怖さが増す。
そのような意図的に、目を背けたくなる、存在していないと思いたくなるような汚いもので、いかに、綺麗な(俗にいう)ものを描くかということにもう大は興味があるのだろう。
 ちょうど見た回のアフタートークにて、八嶋とかもめんたる三人で話をしているのを聞けました。八嶋は劇団かもめんたるの『尾も白くなる冬』を見て、是非出演したいと思い、声をかけ、今回の出演が決まったという。
 八嶋はう大の脚本について「寓話的というか、現代に通じるところがたくさんある」、「登場人物それぞれがきちんと成長している」ということを話していました。
槙尾はう大の新たな側面として、「作品に罪はない」「私はあると思う」というやりとりのように時事ネタを取り入れていたことをあげていて、う大は、「議論してもしょうがないという気はある」と話していたのは、先述した、肯定力だ。
 基本的に、劇団かもめんたるについて、公演タイトルから何をやっているのか伝わりづらくて、二の足を踏んでいる人って多いと思うのですが、それこそ、かもめんたるの単独ライブなら行くっていう人が見ていないのであれば、めちゃくちゃもったいないと思います。2時間近い公演で、笑いだけじゃなく、間延びしない脚本とその構成力などもありますし、登場人物全員が、う大感や槇尾感があって、かもめんたるしています。
 

 11月の最終週にも第8回公演が決まっているとのことなので是非皆さんには足を運んでほしいですね。

バナナマン設楽統の「伝えなくちゃ伝わんないんだよな。」の系譜

 NHKで放送されている『ファミリーヒストリー』という番組は、有名人をゲストに迎え、ゲストの父母、祖父母といった家族をさかのぼるという番組で、市井の人にも当たり前にあるダイナミズムさ溢れる「生」を浮き彫りにする。
 2016年12月21日に放送された『ファミリーヒストリー』は、ビートたけしをゲストに迎えていた。
 ビートたけしの幼少期、たけしの実家には両親と兄弟の他に、父方の祖母である北野うしも同居していた。うしは当時、義太夫の師匠をしていたのだが、家が狭かったこともあり、たけしや兄弟はうしが義太夫を教えている同じ部屋で勉強をせざるをえなかったため、それはそれはとてもうるさかったという。そして、実は、うしは、父の叔母にあたり、養母であったということが明かされる。
 たけしのルーツをさかのぼるために、番組で牛についての調査をすすめていくなかで、うしについての資料が東京大学の明治新聞雑誌倉庫で見つかる。花柳界などについての雑誌『別世界』の明治29年1月号には、当時の人気娘義太夫の武元八重子を特集している記事が載っている。その八重子こそが、北野うしの芸名であった。その記事によると、北野うしは阿波、現在の徳島県の、うどん粉を扱う問屋の娘として産まれ、幼少のころから義太夫にのめり込んでいき、頭角をあらわしていたという。うしの父であり、武の父方の曽祖父にあたる北野鶴蔵がやっていた商売は上々だったのだが、明治23年恐慌により、商売が傾きだしてしまう。そんな実家を助けるためにうしは上京し、義太夫として売れて、寄席に積極的に出演していたという。北野うしこそが、グレート義太夫だったのだ。
 このことを証明する資料として、明治26年9月6日の都新聞の「寄席の案内」という記事が番組で紹介されていた。それは木原店にあった木原亭という寄席にその日に出演する芸人が羅列されたもので、主役である八重子の文字とは別に、談志の文字を見つけ、思わず一時再生ボタンを押してしまった。
 談志といえば、立川談志のはずなのだが、もちろんあの立川談志ではない。ここに書かれてある談志は、おそらく、あの立川談志から二代遡る、のちに柳家太夫となる立川談志のことであろう。『古今東西 落語家事典』によると、この談志は、明治23年頃に師匠である先代の立川談志の名を継いだものの、その後、ほとんど高座にあがらなかったばかりか、何度か引退もしていたような人物で、あまり目立った活躍はしていなかったようだ。
 他の立川談志、例えば、「鎌堀りの談志」と呼ばれた談志などは、その二つ名の由来となった「郭巨の釜堀り」という所作事(マイム)を考案したことから、珍芸四天王として有名になるなどして、名跡たることをなしている。そのため、この資料に載っている談志は、立川談志という名跡のなかでは、格が落ちるような存在なのだが、例えそうだとしても、芸人ビートたけしとして関係性が深いあの立川談志に繋がっていく歴史の一つであり、そんな談志が、ビートたけしの戸籍上のルーツが百年以上も前の資料の上で重なり合ったことには、運命めいたものを感じずにはいられない。落語家が襲名というシステムを導入しているから感じることができた、いわゆる、歴史のロマンというやつだ。
 何より、当時の談志が高座にほとんど上がっていなかったという事実が確かならば、この八重子と談志が寄席で同じ日に出るということは滅多になかったことであったはずなので、そんな貴重な一日が番組の資料として現代にて紹介されたということを踏まえると、より味わい深い。
 名跡としての立川談志を調べていて笑ってしまったのが、三代目の「花咲爺の立川談志」に関してのことで、『古今東西 落語家事典』には「俳諧狂歌をよく詠み、洒落がうまく、そのおかしさは無理がなく、また談志特有のものがあったから、これを皆が談志流といった。」と書かれている反面、同じ時代を生きた柳亭小燕枝の『燕枝日記』には「このとき、談志、真打となりて、市中を打ちまわす。その権威、甚だしく、人を使うこと奴隷のごとし」という記録されているくらいに、仲間内から嫌われていたようで、この二つのエピソードいずれもが、まさに、あの立川談志を彷彿とさせるものだったことだ。
 また、同じく資料にはブラックという文字も載っている。これは快楽亭ブラックというオーストラリア生まれの外国人の落語家のことであり、初代にあたるのだが、その二代目はあの立川談志の弟子となった後、破門されたが、現在も落語家として活動している。
 そして、この木原亭というのは、時代はまた少しずれるが夏目漱石の『三四郎』で、三四郎が与次郎に連れて行ってもらった寄席であり、あの有名な「小さんは天才である。あんな芸術家は滅多に出るものじゃない。何時でも聞けると思うから安っぽい感じがして、甚だ気の毒だ。実は彼と時を同じうして生きている我々は大変な仕合せである。今から少し前に生まれても小さんは聞けない。少し後れても同様だ。」という文章はこの帰りに、与二郎が三四郎に向けたセリフである。しかし、改めて読んでみても、小さんという名前を入れ替えればいつの時代でもパロディで活用できるほどの名文であり、むしろ、僕が今こうして文章を書いているのは、この仕合せを分解するような作業でしかないという気持ちにさせられる。
 『ファミリーヒストリー』は、ときたま、ビートたけしの祖母が、たけしと同じく芸能で名を成していたというような、出演者とその先祖の人生やパブリックイメージが重なるようなエピソードが出てくることが多い。その時に、「血は争えない」という感想が思い浮かんだりするのだが、特に、2015年9月18日に放送された、バナナマン設楽統をゲストに迎えた同番組はそう感じさせられた。その中で出てきたひとつのエピソードが、まさに設楽統過ぎたのだ。
 「秩父・織物の絆 100年前の出会い」というサブタイトルがついたその回は、設楽統の祖父の代まで遡る。設楽は、自身の祖父が、織物か何かで成功した人物だということまでは家族から聞いたことはあったものの、詳しいことは知らないと話す。
設楽の出身地である埼玉県秩父市は、明治から昭和初期にかけて織物で栄えた街であった。そんな秩父の伝統工芸品のひとつである秩父銘仙という絹織物は、大正から昭和初期にかけてブームを起こし、日本全国の女性に手軽な普段着として愛されたという。その秩父銘仙に革新をもたらせたのが、設楽の祖父にあたる設楽逸三郎だったのだということが番組の調査によって発覚した。
 小さな織物屋に産まれた逸三郎は、小学校を卒業後、埼玉県入間郡にあった染織講習所に一期生として入所する。当時は、産業界に西洋化の波が押し寄せていて、日本にも化学染料が大量に輸入されるようになっていたが、業者自体がそれらの使い方を把握していないという問題が生じていたという。逸三郎が入所した染織講習所は、新技術を使いこなすために必要な、最低限の科学的、専門的知識を学ぶために建てられた学校であった。
 化学染料の導入によって、秩父銘仙はより鮮やかな色を表現することが可能となる。逸三郎は販路拡大を目指して、それらを携え全国行脚を始める。目算のとおり、逸三郎の秩父銘仙は全国へと広がっていくことになるのだが、そんな折、第一次世界大戦が勃発したことで、事態は一変してしまう。化学染料の大半の輸入元であるドイツが、日本の敵国となってしまったがために、化学染料の入手が困難となってしまったのだ。特に不足したのは、黒い染料であったという。
 そんな時、逸三郎の脳裏に、奄美大島の伝統工芸品である大島紬のことがよぎる。逸三郎は、秩父銘仙を持って全国を周っている間、各地の織物の勉強をしていたのだが、その時に知った大島紬がこのピンチを打破できるのではないかと閃き、黒の染料を求めて、奄美大島へと渡る。
 大島紬特有の光沢のある黒は、奄美大島に自生するシャリンバイという木から煮出した染料で糸を染め、その糸と奄美大島の泥に合わせることで産まれる。シャリンバイという木の幹に多く含まれるタンニンと呼ばれる成分が、泥に含まれる鉄分と反応するからだという。それは奄美大島に伝わる伝統的な方法であり、その土地に訪ねてきたばかりの逸三郎が、島の人たちにとって大事な木を簡単に譲ってもらえるわけはない。
 そんな窮地から脱出できたのは、染織講習所で得た化学知識のお陰であった。逸三郎は調査の結果、シャリンバイと同じように奄美大島に自生し、かつ、タンニンを多く含んでいながらも、雑木のような扱いであったチンギという木を見つけ、それらを貰い受けることに成功する。チンギからどのようにして黒の染料を産みだしたのかの詳細は残っていないとのことだが、逸三郎が黒の染料を探したということが記載された資料は、奄美市奄美博物館に保管されている。
 それから逸三郎は、奄美大島で黒の染料を作る工場を建て、それによって莫大な利益を得る。その後は、秩父に戻って織物工場を建て、そこでもまた成功を収める。しかし、その後、太平洋戦争が起きたことで、工場は軍需工場にされてしまう。その後、織物工場を再開することは叶わなかったという。
 ここまで、設楽家の男性は、全員、面長で唇がぼってりしているんだな、設楽のオシャレ好きは、こういった血から来ているのかなどと、暢気に思いながら番組を見ていたのだが、番組の最後で紹介された設楽の両親に関するエピソードと、設楽統のことが繋がったことで一気に感情がひっくり返った。
 設楽の父もまた、秩父の出身だったのだが、母親は福岡県久留米市だという。そんな遠く離れた地の二人がどのようにして出会い、結婚まで至ったのかということは、設楽も詳しくは知らなかったという。そして番組の調査で、この結婚もまた、織物がつないだ縁だったということが発覚する。
 設楽の母方の曽祖父の江頭良蔵は、佐賀県長崎街道沿いで染物屋を営んでいた。長崎街道とは、福岡県の小倉と、長崎県を結ぶ街道であり、明治時代はとても賑わっていたという。そのため、この道沿いは当時の一等地であり、そこに店舗をかまえているということは一種のステータスであり、商売が成功している証しでもあった。そんな江頭家の三男として産まれた江頭金一郎は、旧制中学校を卒業後に上京し、職工を指導する人材を排出する役割をもった蔵前工業学園とよばれた、東京工業大学の前身である学校へと入学する。そこで最先端の染織技術を身につけ、卒業後はその普及に努めることになる。  
 技術の指導者として最初に赴任されたのは、埼玉県の入間郡立染織講習所の初代所長兼講師となる。なんと、設楽の母方の祖父と、父方の祖父がここで繋がることになる。設楽の母方の曽祖父と父方の祖父は、染織講習所の所長と講師の教師と生徒という間柄だったのだ。
 そして、逸三郎が成功するためのヒントとなった大島紬を見つけたのは、全国を行商していたからだということは先述したが、その全国行脚をやってみるように勧めたのは、誰あろう金一郎だった。
 時は進み、金一郎は亡くなるのだが、逸三郎は遠方で行われたその葬儀に参加できなかったことを悔やんでいたという。それを気にかけて、金一郎の自宅があった福岡県久留米市までの旅行に誘ったのは、設楽の父であった。そこで出会った、金一郎の孫である一人の女の子が、設楽の母となる。その後も家族同士の付き合いは続き、そこから二人は結婚し、設楽統が誕生する。
 番組の最後に、設楽の兄が、設楽の父から母に宛てられた結婚までの二年間に送った50通以上の手紙を持ってくる。それは、今回番組で特集されることが決まって初めて、設楽の母親が大事に持っていたことが分かったもので、設楽の兄もこのような手紙があることを知らなかったという。
 その手紙には「ああ、一日も早く逢いたい。そしてまた手をつないで色々と話がしたいと思います。」「週末の夜や日曜日などデイトが出来ないのがちょっと淋しく思われますが、淋しいのは貴女も同じことと思い、我慢しています。」などと、ストレートに愛を伝える文章が綴られていた。
 結婚後も誕生日にはプレゼントと短い手紙を送り、それは病に倒れてから亡くなるまで続いたという。その頃に渡した手紙も「毎年この日を変わらぬ明るさと美しさと健康で迎えるあなたは素晴らしい女性だと思う。あなたに対する僕の気持は36年たった今も少しも変わらない。これからも仲良く倖せに過ごそうナ。」というもの。設楽の父親は、筆まめならぬラブレターまめだったのだ。
 設楽統とラブレターといえば、コアなファンは、設楽が奥さんと付き合っていた頃に、二人で交換日記をしていたというエピソードを思い出すだろう。そこには、父と同じように彼女へのストレートな愛と、当時設楽が付き人をしていたコント赤信号渡辺正行の悪口などが書かれていたのだが、さすがに、この程度の繋がりだけで驚いたわけではない。
 百年も遡る織物が紡いだ縁が、バナナマンの、しかも一、二を争うほどに好きなコントにまで繋がったことに驚いたのだ。
 それはどういうことか。
 バナナマンが毎年行っている単独ライブにはひとつのお約束がある。それは、最後のコントは、30分ほどの長尺のものだということだ。その多くは恋心を題材に用いており、笑いを重ねながらも最後には少し良い話だったりしんみりとしたオチに向かったりするもので、まさに、単独ライブが開かれる夏の終りのあの感じを思わせるものとなっている。
 大学一年生のころ、初めてバナナマンの『pepokabocha』という単独ライブのDVDを見た時、散々笑わせられた後に、笑い以外の感情でライブを閉めるというこの構成に度肝を抜かれ、一撃で虜になった。大袈裟ではなく、これはお笑いを見た感情なのか、という余韻が凄まじかった。それはちょうど、バナナマンがテレビに進出する少し前で、だからこそ、それから始まる快進撃を、その前夜から見ることが出来たというのも今もなお、追いかけているほどに思い入れが深いコンビとなった理由だ。そして、異常に「リアルなコント」と「コントにおけるリアリティ」を気にしてしまうという呪いをかけられた。このいささか厄介な呪いを、こっそりと「ペポカボチャ」の呪いと呼んでいる。
 『pepokabocha』に収録されている「思い出の価値」はいわずもがな、二人で四役を演じる「恋人岬(『monkey time』所収)」、「Fraud in Phuket(『Elephant pure』所収)」も、初めて見た時、相当衝撃を受けた。
 2006年の単独ライブ『kurukuru bird』の最後のコント『LAZY』はバナナマン爆売れ前夜の時期にあたる初期のコント群の中で、一、二を争うくらいに好きなコントだ。
 コントのタイトルになっている「LAZY」は、「怠けている」「無精な」という意味で、コントの中では、ずるずるに引き延ばす「ずるっずる」という意味で使われている。
 段ボールが散乱している部屋に男が二人。会話をしばらく聞いていると、設楽と日村の二人は友達でありルームメイトなのだが、設楽は、日村の妹と結婚するので引っ越しをしなければならないという状況が分かってくる。その設定を分からせるまでにおよそ6分半という時間をかける丁寧さにも舌を巻いてしまうが、それからも、リアルな会話のやりとりで笑いを重ねて行く。そして、設楽は日村に日村の妹と結婚することも直前に報告したというくらい生活面でずるっずるで、前半はこのタイトルは設楽にかかっているのかとおもわせておいて、コントが進むにつれ、日村は恋愛に対してずるっずるだということが分かっていく構成になっている。
 日村は、二年前によく設楽と自分の妹と四人で一緒に遊んでいたひとりの女性のことが好きだったのだが、それと同時に、その女性は、設楽のことが好きだと勘違いをしていた。そのために気持ちをずっと押し殺していた。勘違いが解けてもなお、今さら連絡は出来ないとずるずるの日村に、設楽は「言いたいことは言うの。伝えたいことがあったら伝えるの。人間な。ちゃんと言葉で伝えなかったら、伝わんねえことなんて山ほどあんだよ。だからこうやって思ってることなんてくみ取ってくれねえことなんてあんだぜ。本当のことを知りたかったら、自分で電話して聞け。」と発破をかける。そこからまたコントは展開を見せ、ハッピーエンドへと向かう。
 日村は最後に、設楽に向かって「自分の気持ちってのはちゃんとこう伝えなくちゃ伝わんないんだよな。」と言う。
 この「伝えなくちゃ伝わんない」こそが、バナナマンの初期のコント群には確実に流れているテーマであることは知っていたのだが、それがまさか、設楽の両親の結婚と繋がるとは夢にも思わなかった。
 伝えることで話が転回し、大団円へと向かっていくこのコントと、両親の間で交わされていたラブレターを結び付けるのは、ファンの欲目であり、深読みなのかもしれないが、やはり、世代をまたいだテーマとして浮かび上がってきたという事実をどうしたって無視できず、感動してしまったのである。