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ダイノジ大谷とハリガネロックユウキロックが語る、M1グランプリ2010の楽しみ方!

ダイノジのラジオ「SCHOOL NINE」に、つい先日も自身のツイッター上で「M1」について、熱く語っていたハリガネロックの二人が、ゲストに出ていた。

ハリガネロックは、初期のオンエアバトルでも好成績を残し、M1グランプリでは第1回、第二回のファイナリストとして出場している。



登場するなり、「目ェ離れてましたー」というラジオでは伝わらないギャグをするユウキロック

大谷「ハリガネロックさんは第1回M1グランプリで準優勝、つまり二位ですね、翌年二回目もファイナリストでございまして、M1創成期をささえた芸人さん、それだけではなく、やっぱりワタクシから見ても、非常に批評的な視点に、非常に面白いものを沢山もっている二人だったなと」




ユウキロック(以下 ユ)「ありがとうございます!」



大谷「えー、思っております。そういう意味でもですね、今日はですね、M1の楽しみ方、なぜM1がね、このような社会現象といってもいいですよ、なんでこんなに注目されるようになったのか、まずもちろんだと思いますけど、決勝進出者はチェックしてますよね」



ユ「はーい。もちろんもちろん」



大谷「どうです、今年の大会」



ユ「そうですねー、笑い飯対他みたいな感じかなーと。今回は笑い飯対新鋭みたいな感じで作ってきたんかなーというね。気がしましたね。」



大地「毎年そういうテーマがあると」



ユ「ま、テーマがあるというか、僕の中でいうとテーマがあるというか、1位いうか出すべき人が決まった段階で、その言うたら道筋を作っていくというかね、色んな枠もありながら、だから今回なんて準決勝が24組、(今年の)M1が失敗したんは、絞りすぎたというね。一度に絞ったんで、24組くらいだったらどこが出てもみたいなところがあって、そんなかで道筋立てていくと、このメンバーになったんじゃないかということで、だからまあ、ファンの人もねこれは違うとかあれはどうとか色々、議論が渦巻いているのかなっていうね」

と、今まであまり聞いたことがない、「道筋」という単語を使い、かなり興味深い、自身の見方を提示するユウキロック

話は、「なぜ、この人たちが受かって、この人たちが落ちているのか」という問題に。

個人的なことになるけれども、今年はツイッター上でフォローしている方の中で予選を見に行く人がとても多く、誰々が一番受けていたけど、落ちていたというつぶやきを見ていただけに、予選を見に行ったことのない僕としては、初めてその問題をリアルに感じてしまったという思いもある。

大谷「よく言われるのが毎年準決勝で一番笑いを取っていたコンビ、去年でいえば優勝したパンクブーブーは何年も前から準決勝で一番笑いを取っている。仮想的という名前をあんまり使いたくないですけど、名前をあげられる人というのがタイムマシーン三号。(一同:はいはいはい。)やっぱり、小技小ボケ。非常にスピーディーな、お笑い評論家がよく使う言葉でいうと、手数の多さ。代表格でいうと、ノンスタイルなんかはまさにそういうタイプの漫才。今回の決勝進出者にはあまりそういうのは見られないですよね、そういうタイプの芸人さんが。」



ユ「難しいところでねー、準決勝でたある芸人に聞くとね、ここ何年かでパンクブーブーノンスタイルがチャンピョンなったということで、また手数勝負なってきているのかなってやっぱり準決勝というのが、よーいドンの漫才みたいなんが多かったなっていうのがねー。うん。」

お笑い評論家、手数という言葉にぴくっとさせられるものの(個人的に)、今年は例年の反動からか、そういうタイプのコンビがあまり残っていないようだ。

噂で聞いたのだけれど、ファイナリストのスリムクラブは、準決勝のネタはボケが6つしかなかったというw

個人的には、ジャブを何発も食らわせてくる漫才よりも、発想がぶっ飛んでいて、脳みそがひっくり返るような大技、へヴィー級のボクサーに全力でみぞおちをぶん殴られるような漫才を、M1の舞台で見たいというのがある。そういった意味で、スリムクラブは物凄く楽しみであるし、どうM1という舞台、笑い飯の優勝というドラマをかき回してくれるのかとわくわくしていたりする。

そして、ユウキロックは「そこ(手数の多い、前年の優勝者のコピーのような)にネタを作りこんでいくと自ずと落ちていくかな」とも述べている。


大谷「僕なんか思ったのは、笑い飯、まず決まっているじゃないですか。笑い飯のマッチメイクを考えるということで、そうなったら笑い飯の相対的な敵、誰なんだろうって時に、パンクブーブー一組だけじゃ物足りなかったの。だからそこに出てきたのがピース、ジャルジャル、この二つが揃いで足していってみたんじゃないかなと。っていうのが一点ですね。(ユ:ん、まー、そやね)準決勝で新しい漫才かつ、M1らしい発明をちゃんとしたのがスリムクラブと、いわゆるカナリアスリムクラブの枠って、千鳥と入れ替わったのかなと。」



ユ「僕は、スリムクラブはポイズンかなーっていうね。審査員で決勝ポイズン出して、全く今までポイズンはまらへんかったよね。こいつら飛び道具ではまるかなーって出してみたら、はまらへんかったから、準決勝の審査員には見切られているっていう部分はあるかなっていう。」


そして、大谷は、「手数論みたいなのが、世の中に物凄く広まっちゃったんですよ。いかにもノンスタイル的な、キングコング的な漫才。そういったものが増えてきた。審査員がね、めちゃくちゃ今回意識したと思うんですよね。だから意図的に今回外した結果、象徴がスリムクラブなんではないかと。」と発言している。

つまり、スリムクラブは、審査員側の『手数論のアンチテーゼの象徴』だと推測する。

てか、どんだけ語られているんだ、スリムクラブ





そして話題はM1の審査、そしてトータルテンボス大村の「ピースとジャルジャルが出るということに対して怒っていた」件へとに移っていく。


大谷「M1の審査、これが非常に難しいところだと思うんですけどね」



ユ「お客さんがね、そういうこと言うやんか。お客さんがそういうのは全然いいんですよ。何でかっていうと番組がそういう風に作っているやんか。やっぱりそのー、熱い、漫才の!作ってるからー、言うのは良いんやけどねー。(トータルテンボス)大村がね、ネットでね、あいつアホやから言いよるんですよね。一年間、頑張ったコンビに出てほしいみたいなね。(一同:あほやからwww)いやね、ピースとジャルジャルが出てるのは今回一番、批判のもとになってるのよね。それに関して、見てるお客さんはおかしー!みたいなことを言うでしょ。まあ、多いと。それに乗っかってね、我々現場の人間がね、同じようにね、批判してどうすんねん!と。俺らは、言うたら、分かってる部分があるやんか、競技風に見せている、けど、番組や!そこを分かってて、ちょっと見てたりするなかで、それをね、こっちの人間が批判をね。そんなんどうかと思ってね。」



大地「真剣勝負でありながら、プロレス的なものもね」



ユ「も、あったりね、言うたら24組なんて誰が出ても分からへんから筋道もたてたるし」



大谷「多分ね、それ大村が、大村って非常に革命的な男で、これもう結構すごい発言ですけど、あいつやっぱM1取る時、かしこいなーって思ったんすよ。47都道府県漫才ツアーっていうのを立ち上げたり、1年どれだけ自分たちが漫才に賭けているかっていうディティールつくりを凄いやったんですよ。(一同:うなづく)彼の、ネットのブログとかの落とし方とか見てても非常にそのクレバーなね、人気の博し方が上手いなーと思うんすよ。ここまで自分のことを演出できる。だから俺は書いたのは、大村はそういうポジションの自己演出だという部分もあると思うんですよ。ただ、それに乗っかっちゃう人が、まんま受け取っちゃって」



ユ「だからそやねん。一年間頑張ってる人を出してほしかった、漫才を頑張ってる、二人コントじゃーんみたいなね。でも、俺らの世界って野球じゃないねんから、頑張った関係ないやんか。明日、準決勝やーいうて、面白いネタできたら通るって世界やんか。それをあいつ、一年間頑張ったからM1出れたんちゃうでしょ?あいつ面白いから出れたんでしょ?」



大谷「そうそうそう、ホントそう。」



ユ「自分を否定するようなことを言うてるわけやのよね、あいつ。それが俺、現場の人間から出てるのが嫌なんですよ。」


件の動画を見て、まんまと「いいぞ、大村!」的な気持ちになっていたわけだけれど、中の人から見るとそういう気持ちなんだなーと思ってしまった。

そして、話は、リスナーからの「ゆったり感を応援していたという」メールでファイナリストに残れなかったコンビの話になっていく。

大谷「ゆったり感なんか僕ね、二重丸だった(ファイナリストに残ると予想していた)んですよ。ただ、準決勝の前日に、たまたま社員の人と『M1面白いすねー、今年誰になるんすかねー』みたいな話して、社員の松井君っていうね、演芸オタクの社員がいるんですよ。で、僕、今年はゆったり感行くと思うんですよねーみたいな、M1のバランスが整っているって思ったんです。新しいことも出来て、ちゃんと説得力もあるっていう。そしたら、去年とおんなじタイプのネタだったんですよ。ちょっとネタバレになっちゃうんで言えないですけど。そのパッケージを一年間かけてもう一回やったかと思うと、自分の中で、絶対そんなこと思っちゃいけないんですよ後輩に・・・がっかりしたんですよね。あ、ないなって思っちゃったんです。自分が審査員だったら絶対いかせないですから。」



ユ「俺ね、正直あの、今年の元旦にゆったり感にたまたま会っているんですよ。あいつね、元旦からネタ作っているんですよ。(大谷:全然ゆったり感じゃないですよね、だからw)用賀のジョナサンで会ったんですよ。ほんならね、俺言うてあげたんですよ。ちょっとゆったり感の噂は聞いていたから。というのは、タカアンドトシに似ていると思われていると。(大谷:そうですね、初期のスタイルは全くそうですね)だから、それでは決勝に絶対いけないと

。そこを思われたら、捨てないと仕方ないと。M1に勝つためにはね!言うたんやけどね。そういう部分を消化できるか出来へんかって一年間にかかっているやんか。」



大谷「僕はだからさっきのM1のやつね。磁石が好きだとか、タイムマシーン三号が好きだとか、ほんとわかる。チケット買っていったお客さんだったらその気持ち全然分かる。だって本当に笑わせてくれるし。確かにちゃんとした腕持ってる。でも、その人にしか出来ない漫才じゃなければ、M1グランプリじゃないと思っているから、やっぱり、自分の中では手数が多いとか、稽古のあとが見えるとか、これダメだ、巨人師匠みたいになっちゃったw

そういうのじゃないと思うんですよね。」



ユ「だからあのー、タイムマシーンにはね当然ね、一生飯食っていけますよ。(大谷:そう!ほんとその通りなんですよ!)大衆性っていうのを求められたらあいつら一番ですよ。革新的かっていうとどうかって話になったときに、でも、最近で言うノンスタイルパンクブーブーはその過去の、言うたら、チュートリアルよりも革新的かっていうとそうでもないやんか。(ダイノジ:ないです!)そういう部分がM1ファイナリストというか準決勝残った人たちの心を微妙に揺らしてんのね」



大谷「ほんと、かわいそう!どっち?どっちに行けばいいの?と思っていると思うんですよね」



ユ「それはもう我々もそうやんか。出たときにぶれまくりやんか。」



大谷「ぶれまくりましたよー。まさに、おにいさんなんてね松口さん(ユウキロック)前のコンビ、もちろん大上さんもそうだったんですけど、新しくコンビ組んで、あの時代にね、ぼやき漫才やるかとw(ユ:そうやなー)俺なんかナイツもめっちゃ新しいって言うのはそれは何でかっていうと、ナイツは批評芸なんですよ。みんなナイツが物凄く新しいっていうけど、全然そんなことなくて、あれ吉本の芸人だと絶対やらないですから。なぜならトミーズさんがやってるし、のりおよしお師匠がやっているから。言い間違えは。それを違う事務所だからやったんですよ。で、かつツッコミを今のハチミツ二郎的なね、あれハチミツ二郎が発明したと思っているんですけど、完全に銀シャリもハチミツチルドレンですから。いわゆるツッコミがぼけに転化させる、ツッコミみたいな。翻訳するみたいな。そういうトシとは違うタイプのツッコミ師みたいな。やっぱどっちかと思うんですよ。ていう時に、ナイツはそれを足したんだと。いわゆる言い間違いに、ハチミツ二郎的な観点を足したんだと。っていうだけで、でも、それがあの時代だったからめちゃくちゃ面白かったんですよ。俺はその時代にあって、ちゃんと斬新に見える、手法を足し算で持っていけば、全然出来ると思う。」



ここ言葉だけだとちょっと分かりづらいと思うんですけど、つまり、ナイツの言い間違いっていうのは別に新しくはないけれども、そこにハチミツ二郎的なツッコミを足すというメソッド自体が新しいってことですかね。




と、かなり熱い話をしていたのだけれど、いかんせん一時間番組ということもあり、ここで終了。



この話を踏まえて、最終決戦三組を予想するなら、どちらも優勝候補であり、西の雄笑い飯と、東の雄ナイツの対立という構図に、飛び道具であるところのスリムクラブが食い込むという展開を浅はかながら予想してしまうわけなんだけれど、今年はどんな決勝になるのか今から楽しみです。ね!