深夜に届いたラブレター

初めてラブレターズを見たのは、アルバイトを辞めて今の仕事を始める前、何にもすることがない空白の数ヶ月が出来たので、せっかくの機会だからと、色々なライブを見るために東京に長めの滞在をした時になる。
たまたま別の二つのライブで、彼らのネタを二つ続けて見た。笑ったのはもちろんだけれど、その時に「バナナマンっぽい!」と思ったこと、一つはASH&Dの事務所ライブでその日に「預かりから所属になったという報告をライブでやった」ということが記憶に残っていて、すごく印象的だったのを覚えている。
思いを馳せながらも、見ることが出来る機会なんて全くなかったのだが、その年のキングオブコントで、ラブレターズは決勝に駒を進める。そのネタ前の煽りVTRで、ネタを書いている坊主頭の塚本が、バナナマンのファンであるということが紹介されていた。
相方であるベビーフェイスの溜口と2009年にコンビを結成、その年のキングオブコントに出るこも、初めてのネタ披露がその一回戦の場というラブレターズは、あえなく敗退したものの、そこの予選で見たバナナマンのコントに衝撃を受け、バナナマンのDVDのネタを書き起こして台本にする等して彼らのコントを参考にし、ネタ作りを勉強したという。
そんな二人の出身校は日本大学藝術学部。つまり爆笑問題の後輩にあたる。溜口は爆笑問題カーボーイでハガキを読まれたこともあるリスナーでもある。
爆笑問題バナナマン、両方の遺伝子を受け継いでいるコンビ、それがラブレターズだ。
ラブレターズのコントが、何故、バナナマンのようなのかについて考えていたら「二人の関係性が見える」からだと思った。
コント中に説明をしなくても、見ているだけで二人の関係を肌で感じることができる。今見ているのは、あくまで彼らの日常の一瞬の点であり、今までもこれからも、こんな関係が続いて行くような、そんな縦の時間軸を意識出来る。目の前にあるのは、立体的なコントだ。
いわゆる「関係性萌え」が、コントを見終わった後に心を和ませる。
バナナマンのコントは、一人がもう一方を攻めるというものが結構ある。例えば、親友同士の会話の夏のひとコマを描いた「サマータイム(monkey time)、刑事が道で犯人を待っている「張り込み(激ミルク)、溜まりに溜まった日頃の不満をぶつける「ギリギリセーフ(spicy flower)」。言葉遣いはきつめのコントで、ともすれば、笑えなくなってようなその応酬でも、友人同士が強いツッコミを言いあっても許容されるように、観客は登場人物のやりとりに納得する。
そこに、客と店員、医者と患者というような初対面にも関わらず、大声でツッコミをいれるというコントを見るときに覚える違和感はない。
コントのために登場人物がいるのではなく、登場人物の日常がコントになったようなリアリティ。
日常で人はあまり声を荒げることはない。その大声を出すことに対しての説得力や雰囲気を醸し出すためには、ラブレターズがKOC2011で披露した、「西岡中学校」だと「最初の泣きの演技」、「平田の追試」だと「叱ったあとにすぐ慰める」といったところが、図抜けた演技力、心の機微を表すような繊細なセリフ選びが必要なのだろう。神は細部に宿るといったような、細かな演出が緩和剤として効果を発揮する。
しかし、大学で演技の基礎を、脚本の基礎を学んだラブレターズがそれを会得し、他の若手芸人よりも抜き出ているのは分かる。でも、バナナマンの二人が体得してるのは謎すぎる。まあ、それは別の話。

コントではなく素の部分のラブレターズはANNで楽しむことが出来た。ラブレターズは2013年1月現在で、2回ANNを担当している。
一度目は2012年8月末の「オールナイト45周年 お笑いスターウィーク」で一度、2回目は4ヶ月の沈黙を破り、2013年1月12日。
一回目の放送は、事務所の先輩であるシティボーイズの誰を敬うか決める「シティーボーイズ総選挙」、大喜利を出し、溜口が答えそうな回答を当てに行く「ため喜利」、溜口がアカペラでイントロクイズを出す「溜口presentsアカペライントロクイズ」、塚本が大学の同窓生と電話でやりとりを溜口が指示する電話コーナーと盛りだくさんの内容だった。
その中でもコーナーでは塚本に、ハガキの対応ではリスナーに「ふっつうなんだよなあ」「リスナーを育てるのがパーソナリティだから」と大上段からモノをいう溜口が面白すぎたし、何より「イントロクイズ」ではアクターとしての凄さも堪能でき、とても楽しめた2時間だった。
同じくお笑いスターウィークでANNRをやったアルコ&ピースが3回目のANNを担当したのに、それ以降、ラブレターズのANNに動きがなかったので、放送はないのかなと諦めていた矢先だったので、2回目の放送の予告には高まった。
ラジオでの溜口は、本当に傍若無人な言い方で、「(シティボーイズの)きたろうはお年寄りなのに、お年玉をくれない」だとか「ニッポン放送遅いよ!(KOCやTHEMANZAIの)ファイナリストに固執しすぎなんじゃないの?」「ついに(ニッポン放送が)囲いにきたな」、有名なハガキ職人さんが送ってきた大喜利の答えに「俺、がっかりだったなー、逆になー。違うでしょー。逆にナめられている気がしたよ」と言い放つも、それが面白くて面白くてしょうがない。
そんな溜口のフリースタイルに、不快感が全くなく、めちゃくちゃ面白いのは、当の本人がスキだらけだからだろうなと思った。
例えば、ため喜利ではリスナーの答えに笑いをこらえながらも「不正解だ!」と、イントロクイズのコーナーでは「アカペロクイズ」と噛んだりと、ちびっこギャングのような愛らしさに満ちていた。
何より、その「憎めなさ」の芯として一番嬉しかったのは、それがネタ送ってきたり、電話出演してくれたハガキ職人の名前への反応の仕方が「お!」だったり、「ああ、あの!」といったもので、二人のラジオ好きが現れているのが何よりも嬉しかった。
塚本は、溜口に振り回されながらも、ツッコミをいれて揺さぶりをかけたりと、そのスタンスが上手く溜口ワンマンショーを成立させていた。
二人の関係性は、塚本が溜口に「たかいたかい」をしているような感じで、上下関係が一筋縄ではないところがバナナマン爆笑問題とは違っていて、そこが複雑に絡み合って、単なるフォロワーとは一味違うラブレターズの良さになっているような気がした。
2回目の放送を聞いて改めて、ラブレターズのANNRは本当に楽しかったなあと思った。
もう、ラブレターズとリスナーの関係性は出来上がってんだな。