石をつかんで潜め(Nip the Buds)

ex俺だって日藝中退したかった

ここは忙しいけど、迎えに行くぜ!

山内マリコ著「ここは退屈迎えに来て」を読んだ。率直な感想といえば、「お前ら、全員暇なんだよ。」というつまらないものだった。そのつまらないというのは、藝がないという意味でもあるのだけれど、自分が登場人物に感情移入できている時にそういう感想を目にしていたら、真っ先に反論をしていたであろうという意味のそれでもある。
「大河のようにどこまでもつづく幹線道路、行列をなしたチェーン店の、巨大看板が延々と連なる。ブックオフハードオフ、モードオフ、TSUTAYAとワンセットになった書店、東京靴流通センター洋服の青山紳士服はるやまユニクロ、ガスト、ビッグボーイドン・キホーテマクドナルド、スターバックスマックスバリュ、パチンコ屋、スーパー銭湯アピタ、そしてジャスコ。」といったファスト風土と呼ばれる郊外を舞台としている。
話のほとんどは登場人物である田舎に住んでいる女性が、「自分の人生が上手くいっていないのも、東京の文化が自分のところに流れてこないのも、人間関係が停滞しているのも全部田舎のせいだ」という内容のもので、田舎に対して批評的なものではなく、妬み嫉み逆恨みにとどまっている小説だった。
他にも、サブカル的な言葉が多用されていたのだけれど、それすらも、「それを知っていることにたいする優越感を演出する」という意味以上のものは見いだせなかった。
「ああ、それ分かる分かる!」と共感するほどには若くないということだけなのかもしれないのだけれど。
特にイラついたのが、「椎名は松本人志を神と崇める世代に属する。ゆうこはラーメンズのDVDを勧めたが、ちっともハマらなかった椎名を、以来ちょっとだけ下に見ている。」という文章。雑なクンニしてんじゃねえぞっていう気持ちになった。ただ「お笑い偏差値が高い」っていうだけのアイコンでいじるっていう手法の賞味期限は2006年で切れているんですよ。
郊外生まれ、ジャスコ育ちと社会学を専攻していた連中が簡単に定義してしまうような地方よりもないものが多くて、そもそも失うものすらないようなロストロストジェネレーションだったりするんだけど、仕事とか本読んだりだとかラジオ聴いたりだとか毎日やることが多いんだよ。
その合間に高校時代の友達と遊んだりする。
こないだは友達から頼まれて買ってきた、月島のもんじゃ焼きセットを、俺も食べたいってことで、強引にもんじゃパーティーを、友達二人と、その彼女と、俺の計四人で、もんじゃ焼きをワイワイと作って、食べて、今まで散々擦りまくった思い出話なんかをしたりした。俺が高校生の頃、変な色のズボンを履いていたって話、何回すりゃあ飽きるのよって感じだけれども、それを差し引きしたとしても人生は楽しすぎるだろ。
帰りにきゃりーぱみゅぱみゅこと桐子の、「100%のじぶんに」を聞いていたら「100%のじぶんに/100%のじぶんにいちまるまる/100%のじぶんをじぶんらしい言えるようになーる」って歌詞が五臓六腑に染みちゃってしょうがなかった。
その日は車だったので飲まなかったのだけれど、職場の飲み会ではお酒を飲むので帰りの交通機関がなくなると歩いて帰る。タクシー代が惜しいというのもあるのだけれど、夜道を歩くと、それまでの喧騒の一つ一つが体からほどけていくような感覚にもなるし、アルコールが入った頭の中を雑多な思考がぐるぐると回転するのは気持ちいい。熱を持った体で触る電柱は冷たくて、もっと気持ちいい。
そのくらい歩くと、家に着く頃にはレザボアドッグスのOPみたいにくたびれたスーツ姿になっているし、疲れているのですぐ眠ることが出来る。
最近になって、ももいろクローバーZの「労働讃歌」を何度も繰り返しては聴いている。
「おこられぶち切れトラブりあやまる」毎日だし、未だに同じようなミスをしては、鼻と耳の真ん中くらいにダムの穴みたいなものが出来て、顔のパーツが吸い込まれて消えてしまいたくなるような気持ちになって、そんな日々が続くと、「そもそも小学校四年生くらいから他人との距離感が乱視気味になって俺が対人の仕事っておかしいですよね。最終面接で『本が好きで』『考えすぎてしまうのが短所で・・・・・・』って言いましたよね!!」と人事課に悪態を付きたくなるのが人というものだと思うのだけれど、それでも日常は続いていく。
ストレスを発散するための飲み会のはずで新しいストレスが生まれるなんてザラですからね。甘いお酒がないお店に行くことなんてしょっちゅうです。言ってみれば、大人になるということはカルアルミクのない飲み会でも笑えるようになるってことだろう。しょうもないブロガーは、「○○とは△△だろうと定義つけて悦に入ること」でもあります。
なんにせよ、資本主義というシステムを考えた人は天才だなって思いますよ。
朝八時半に職場に行って、五時過ぎまで仕事して、なんだったら夜九時に帰るってことを毎月22回位から、幾ばくかのお金が貰えるって。
で、そのお金でamazonでお笑いのDVDばっかり買っていると、地元の生活でもある程度の彩りになるんですよね。問題としては、HONDAのカブの排気音聞いたら、「あ、amazon来た!」ってなった後に、そういや何も頼んでいなかったってなる時はあります。メール、電話が入っていないのに携帯が震えたと勘違いしてしまうバイブ病みたいな症状が頻発しちゃっているのが玉に瑕ですが。街中でそれが発症したらノイローゼです。病院行きます。
労働を捧げる君は、恋人だったり、アイドルだったり、amazonで買ったDVDだったりするんだよ。
なんやかんや言うてますけど、来月から繁忙期が始まりますんで、頑張っていかなあきませんなー。