くりぃむしちゅー上田の天下取り宣言

「まいったね。」
高田文夫ではないけど、まいっていますよ。何にって、10月3日放送の「銭形金太郎
スペシャルの内容にです。「銭形金太郎」といえば、「現代社会で、明るく、楽しく生きている人たち……。それは夢ある若者ビンボーさん。彼らの生活の知恵、たくましさ、生き様を学びましょう。そして、彼らには、番組から夢をつかむチャンスを!『銭形金太郎』はそんな彼らをサポートする生活応援バラエティです。」いう前口上から始まる番組で、通称「銭金」。
タイトル、ナレーションにTARACO、画面の色使い、コンセプトと、端々からセンスが滲み出ていて、大学受験の頃でもリアルタイムで見ていたほどの楽しみなバラエティでした。そして、深夜番組とゴールデンの厚い壁を痛感させられたのもこの番組でした。
TVで笑い死にかけた数回のうちの一つが銭金での、サポーターのくりぃむしちゅー有田が、壁一面にアルミホイルを貼っているビンボーさんの部屋に入り、そのアルミホイルを、掃除道具のコロコロで剥がして、それをビンボーさんが止めようとして大惨事になるという場面です。今、文字にしているだけで笑っています。
レギュラー放送が終了したあとも年に一回ほど特番として放送してくれているのですが、特番時期に放送日があると分かると、一週間くらい前からそわそわとしてしまいます。銭金スペシャルの放送日が本当の意味でのNO残業デーなんです。テレビだってライブだ!!
そんなに楽しみな番組を見て、どうしてまいっているかというと、一部地域は冒頭7分をカットされていました。
定時に帰って、ご飯も食べて、お風呂も入って、上記の前口上を聞いて、テンションを持っていくはずが、それも聞けず、なおかつ、くりぃむしちゅー上田サポーターの「ペローン」も見られなかった。銭金見る3割はこのためだといっても過言ではない「ペローン」が見られなかった。名護パイナップルパークのCM曲をフル尺で聞いている間に、上田の「ペローン」が放送されていた。もう本当だったらここで死ぬしかないですよ。
しばらく、自分でもどうかと思うくらいスタートダッシュに失敗して、くりぃむしちゅー有田サポーターのVTRで笑うものの、いまいちギアが入らない。こういう時のふてくされ方は、小三から変わっていませんよ。上田サポーターの、東MAXを一本目にもってきて、そっちおをカットすべきだったんじゃねえのかというカリカリしてしまう始末。
ギアが入ったのは、上田がサポートする二人目のビンボーさんのVTRに入ってから。このビンボーさんは、赤い帽子、赤いサングラス、赤いシャツに、赤いズボンと全身を赤で揃えていて、おまけに赤羽に住んでいるおじさん。つってもスターリンとかレーニンではないですよ。
そんなビンボーさんの家に行くと、玄関は隙間も赤いガムテープで補強されている、そこをひとしきりいじり終え、いざ中に入ろうとそのドアを開けると、今度は手製のドアが出てくる。まさかの二重扉に、上田の例えツッコミ「二度手間。ひらがなにルビふったみたいなもん。」が飛び出る。やっと中に入ると、二枚目のドアは内鍵が五個、ビンボーさんの頭の少し上を赤いワイヤーが仕掛けられている。自分よりも大男が来たらこのワイヤーに引っかかるからだという、その鉄壁さにまたもや例えツッコミ「守るわ。東京オリンピックの女子バレーより守るね。」。ここまで往年の銭金のグルーヴに。
そう、この番組は、ビンボーさんをサポートするとは名ばかりで、やべえやつを紹介して、銭金サポーターの冷たい対応、悪のりに腹抱えて笑うという、元祖悪意垂れ流しバラエティなんですよ。フゥー!こーれこれー!という感じで、気分は上々に。
実はこのビンボーさんは、カラオケビンボーさん。行きつけのお店にビンボーさんのカラオケを聞きに行くことになるのだが、これが何ともいえない出来で失笑する上田サポーター。何曲もそんな歌を歌っている中で、ソファーに寝転んだり、おなじみの衣装であるツナギに「上」と書いた風船の顔を付けた替え玉まで用意していなくなっているというボケも挟んで、VTRは終了。久々の上田イズムを堪能しました。
そもそも、くりぃむしちゅー上田は不思議な魅力を持った男だ。
嵐がメインMCを勤めている「嵐にしやがれ」が、ゲストと一緒に考えるバラエティへとのパワーアップ一発目にくりぃむしちゅーが出演していた。
この回で、考える議題のテーマは「天下取り」。MC力をつけた嵐が狙うのは、トップ中のトップ、天下だと有田が振り、VTRが始まると画面には「上田晋也はなぜ天下を取れたのか?」の文字。
「こんなもの波紋を呼ぶわ!」と否定すると、有田が「まあまあまあ、ご本人の口癖でもありますよ、天下取ったわー」とかぶせ、上田がつっこむ。
その後、櫻井が「デビュー当時は松尾伴内さんに似ているだけが取り柄だった上田さんは現在レギュラー9本ですから、バラエティはもちろん、スポーツ、報道番組までおやりになっている。そして安倍総理に鋭く切り込むなど、まさにテレビ界の豊臣秀吉」と天下取っているっぷりを紹介する。
「デビュー当時は松尾伴内に似ているだけが取り柄だった上田晋也はなぜ天下を取ることが出来たのか」
この後世にまで残すべき名フレーズ!
それから、高校生の頃、上田が母親が竹下通りで買ってきたズボンを履いていたら、有田らラグビー部員に、そのダサさをいじられて、最初は「買ったの東京だからね」といって友人達を黙らせたのだけれど、そのあとやっぱり我慢しきれなくなったのでもう一度尋ねると「東京だからね」「竹下通りだからね」から始まり、最終的には「マックミランだからね」とただブランド名を言って、力技で黙らせたという、熊本では知らない人はいないという通称「マックミラン事件」を紹介。それだけでなく、その謎のブランド、マックミランを追うVTRが流れる、もはや天下取りのことなんて一ミリも考えていない。
竹下通りのショップ、30年以上ジーンズ業界にいる人に確認するも、マックミランについての強力な情報が得られない。もはやこれまでかと思っていたら、ネットでマックミランの文字を見かけ、はるばるロンドンに飛ぶスタッフ。
しかし、その会社は出版社だった……。このままではロンドンに何しにいったのか分からないというわけで、そのあとには、マックミランを完全再現し、松本潤が履いて登場。やっぱり、様になっている。まあ、嵐だからねえ。
そのあとは、後輩芸人から募集した上田のエピソードを紹介する。
浜ロンからの証言は「若手芸人の頃、借金をしてまで良好に連れて行ってくれた。さらに旅行先で8mmビデオをマワシ、1人1人順番に観光名所をレポーターの練習をしながら回った。」、古坂大魔王からは「『芸人とは芸の人って書くだろ?つまり、人ができてない奴の芸と出来てる奴の芸は、アンルイスと半ライスくらい違うぜ!?』と真顔で言われました。」というもの。どちらも、妹の仕送りをくすねていた、例えツッコミで観客から悲鳴があがるというオチも含めて最高でした。
残り時間がギッチギチな状況で、二宮が有田に「天下取りとは?」と答えを求めると、「上田晋也、天下取ってなかったわ。」と答え、「だからオープニングから言ってただろうが!」と笑う。時間の無駄だったというか、愛しかなかったというか。
司会している姿やウンチクを言っている頭の回転の良さは勿論のこと、男気が溢れるエピソードを芸人仲間から聞けたと思えば、どこか間の抜けたエピソードも山ほどある。全然伝わらないツッコミもする。言っちゃいますけど、たまに挟んでくるボケも、そんなに面白いっていうわけじゃないんですよ!
それでも、ガハハッと笑われると、全てが愛おしいダサさに変わり、「いじり」をしたくなってしまう。そんな男が、くりぃむしちゅー上田晋也なんです。