石をつかんで潜め(Nip the Buds)

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「落語はハードルが低い」といえる5つの理由

僕は落語が好きです。といっても地方に住んでいるので、CDで音源を聞いたり東京に行った時に舞台をみる程度の者です。それでも好きだと言えます。ただ落語に関しては、興味があるという所で止まってしまっている人も多いのが残念でなりません。
こんな素敵な娯楽に手をつけないというのはもったいないとさえ思っています。じゃあ、何が「興味がある」止まりにさせているのか考えて、五つのハードルを下げてみたいと思います。

1・日本語を喋る
どうですか、このハードルの低さ。馬鹿にしている、というわけではなく、落語は能や歌舞伎よりも見に来ているお客さんとの言葉遣いの差は小さいです。ということは、きちんと見ていれば、大まかなストーリーは追えるということです。
落語のオチについても、実際オチていないようなものもあったりするので必ずしもオチが分からないと意味がないかというとそうではなく、最初は物語の運びを楽しめばいいと思います。
落語は特に伝統芸能と大衆芸能という狭間で揺らいでる文化です。落語家自身もそこに自覚的なので、初めて聞く人にもわかるように要所要所で状況や用語を説明してくれるということもするし、出来る芸なので、全くもって心配はいりません。

2・用語なんて覚えなくていい
落語を見るためには勉強をしないといけないというイメージを持たれているというのもハードルの一つはないでしょうか。
それは、恐らく伝統芸能だからというところから来ていると思います。実際、「前座」「二つ目」「真打」「上下をきる」「鳴り物」などなど、専門用語のようなものは多いですが、それはどの業界でも同じで、全ての言葉を覚える必要は全くありません。
ドラマや映画、小説が色々とありますが、例えば病気のことに詳しくないと医療モノは楽しめないのか、金融業界に詳しくないと銀行モノを楽しめないのかというと全くもってそういうわけじゃないように、落語は予習が全くいらないと断言していいです。もちろんそこから掘り下げるためには色々と調べないといけないのは当然ですが、それはそれで楽しい作業です。
落語は伝統芸能であると同時に大衆芸能です。昔の音源を聞いたりすると、子供がげらげら笑っている声が入っていることはよくありますし、江戸時代には吉原という今でいうキャバクらや風俗のような場所に行く前の時間つぶしの娯楽でしたから、難しく考える必要は全くないのです。

3・落語はすべらない話であり、その楽しみ方はすでに知っている。
 落語に興味があるということは、少なからずお笑いが好きな人だと思います。そうでなくても『すべらない話』や『M-1グランプリ』『キングオブコント』を見たことあると思いますし、バラエティ番組の多くがトーク番組の側面を持っているという現代の日本では、トークの楽しみ方がわからない人はいないでしょう。
 落語の起源は江戸時代にまでさかのぼりますが、何百年も残っているのは何故かというと、とても単純にいうと「良く出来た話」だからです。もちろん長い歴史の中で消えていった話もありますが、逆にいえば現代でも聞ける落語は、残ってきた「良く出来た話」なわけで、何百年もすべっていない話ということです。
 芸人や芸能人がするトークと同じように楽しむことが出来る、といえばハードルは下がるでしょうか。

4・二次創作が豊富
それでもまだまだ、ハードルが高いという人は、落語を題材にした創作物を手に取ってみましょう。現在アニメの放送が開始された『昭和元禄落語心中』、宮藤官九郎脚本の『タイガー&ドラゴン』、連続テレビ小説ちりとてちん』、ドラマ『赤めだか』と枚挙にいとまはなく、それらが面白かったら、落語にハマれる素養があるかもしれません。

5・生の舞台でデビューする必要はない
落語デビューというと、寄席という名前ぐらいしか聞いたことのない場所に行かないといけないというイメージもついてきて、ぐっとハードルはあがるような気がしますが、別に必ずしも「生」の落語でデビューしないといけないという決まりはありません。
近くのツタヤに、CDやDVDがレンタルコーナーにあるはずですし、どちらも貸し出しをしている公立図書館も少なくありません。もっといえば、youtubeに音源が転がっています。
 これらの場合は、逆に噺や演者の数の組み合わせが多くなるという問題もありますが、その場合は、(4)にあるフィクションのなかで題材として用いられているものを聞けばいいと思いますし、極端な話、どれを手にとっても、どれを再生してもいいと思います。
 今現在残っているということは、面白いという理由に他ならないのですから。

以上が、ばっと思いついた、落語は怖くないよといえる5つの理由です。
ツタヤに行くもよし、図書館に行くもよし、youtubeを検索するもよし、寄席や渋谷らくごという会(初心者歓迎を謳っている!)に行くもよし、アニメ『昭和元禄心中』を予約してみるのもよし。
落語デビューしてみませんか?