石をつかんで潜め(Nip the Buds)

ex俺だって日藝中退したかった

石を掴んで潜め的ベストラジオ2016

毎年おなじみ、私的なラジオの年間ベスト10です。
暇つぶしにどうぞ。

【10位  ゲスト:ハライチ/『バナナムーンGOLD (2016.12.24)』】
 2016年10月に、2年間半続いたデブッタンテから、深夜12時からの一時間放送へと昇級し、うしろシティとハライチはそれぞれの単独の番組が始まり、ハライチのラジオは、『ハライチのターン!』として生まれ変わった。何が良いって番組名がいい。
『ハライチのターン!』自体は、実質の放送時間が三倍になっても、間延びすることもなく、ネクヤンこと根暗ヤンキーである岩井のエッジの効いたトークやクレイジーなトーク、澤部の気付かれた話や気付かれたかった話などと毎回面白い放送となっている。その中で、「ションテンガリアー」「メゾネットタイプ圧勝」「お前は俺の木偶なんだからよぉ」というキラーワードも生まれた。
そんなアベレージヒッターがあるからこそというのもあるけれど、とりわけ本放送よりも、バナナムーンGOLDに、ハライチの二人がゲストで出た回が良かった。
 前の週に急性胃腸炎で倒れてしまった設楽を助けられる人をゲストに迎えるということで、テレビ出演本数2位である設楽に次いで3位のハライチ澤部と、その相方である岩井が呼ばれた。
澤部をメインに呼ばれたと思いきや、「ピン仕事決まったかと思ったら、バナナさんなんだよ。」と岩井が言うように、唯一岩井をピンで呼んでくれるコンビであるバナナマンだからか、トークでも終始、岩井がフィーチャーされていた。
 『ハライチのターン』ではリスナーからの同じ質問には頑なに答えなかった、設楽からの「どういう人を見てお笑いになろうと思った?」という質問には「完全に爆笑問題さん見て入りました」と答え、バナナマンについては、「『登龍門F』とかで見てました。日村さんが女のネタやってました。それをめちゃくちゃ見てました。ブラジャーしててTシャツめくったら胸もまれて気持ちよがって。やめろ!みたいに言って。でも設楽さんが最後お前ブスだなって言ってすげえ怒るっていう」とも答えていた。
 最後はバナナマンとハライチで、私物をクリスマスのプレゼント交換。
 岩井のタヌキの柄の手ぬぐいは澤部に、澤部の家族で藤子F不二雄ミュージアムに行った時にとったプリクラは日村に、日村の美顔ローラーは設楽に、設楽の香水とテニスボールは岩井に当たった。岩井が何故手ぬぐいを持っていたのかについては、実は、設楽が手ぬぐいを好きということを知った岩井が、それに憧れて手ぬぐいを集めるようになったという。可愛いね、岩井。
 澤部が「おぎやはぎさんもそうですけど、その世代は好きなんですよ、岩井のこと。」と言う様に、これからも隠れて愛される岩井であってほしい。

【9位 芝浜論/『東京ポッド許可局 (2016.1.10)』】
サンキュータツオが、古典落語の演目である芝浜についての考察を披露した回。「芝浜」といえば、立川談志が得意とした噺のひとつで、酒を飲んで仕事に行かなくなった魚屋の勝という男が、妻に仕事に行くように言われて、ひさしぶりに仕事に行ったら芝の浜で当時としては大金の42両が入った財布を拾ったもんだから、家に帰ってきて友人を呼んで宴会を開いてしまう。しかし、翌日、奥さんからは「お金を拾ったのは夢だ」と言われたことにより、反省し、心を入れ替えてお酒を絶ち、真面目に働くようになる。三年後の大みそか、立派な店も持ち、幸せな年末を過ごしている。そんな時に奥さんから実はお金はあった、こんな大金があったらあんたはもっと駄目になるからと思って隠していたと言われる。そこでひと悶着あったものの旦那は妻を許し、主人は奥さんからお酒を勧められるが断ってしまう。
「よそう、また夢になるといけねえ」
サンキュータツオは、この有名な「芝浜」と言う落語にある違和感を引っかかりに、理屈を重ねて解体していく。
例えば、何故腕もよく、夫婦仲のいい漁師である魚屋の勝がお酒に溺れて仕事に出なくなったのかについては、子供を亡くしたことによる失意からと推理する。
そしてサンキュータツオは「実は言葉にはなってないけど、そういう二人の関係が一番奥底に流れている。ということを考えるとですよ、あると思っていたものがなかった、出来ると思っていたものが出来なかった、これがそのまま財布という形で象徴されているんですよ。」「(芝浜は)お金の執着から脱却する話なんですよ。夫婦にとって子供が出来なかったということの呪縛から解き放たれる話だったんじゃないかな」と解説する。
他には、芝浜が三遊亭圓朝作であると言われている通説に着いても、三遊亭圓朝の全集に入れられていないことなどを根拠に否定していく。理屈に理屈を重ねていくだけでなく、そこから行間を読むというまさに、東京ポッド許可局らしい知的好奇心をビンビンに刺激する放送でした。

【8位 若林のキューバ一人旅/『オードリーのANN(2016.8.7)』】
 オードリーの若林が、一人でクーバに、いや、キューバに一人で旅行に行ってきたトークゾーンは良かった。いつもなら、吉留明宏akaビックスモールンのゴンでも引き連れていくのだけれども、今回は一人で行ってきたという。
 社会主義国家なので道路には広告がなく、あってもチェゲバラの名言などの看板があるだけで暗いというようなキューバの街並みや、人見知りのガイドのマルチネス、闘鶏場とホセ大佐、ビーチで島崎敏郎みたいになってしまった話なの、たっぷりと旅行の話が聞けた。
 若林が「(国営のキューバンジャズで凄い有名な)サックス奏者の演奏を聞きながら」モヒート飲んで葉巻吸って、キューバンジャズ聞いてたら」に春日が「生意気だな、早くホテル帰れよ!」と突っ込んだのは痛快だった。
 雑誌『ダ・ヴィンチ』での「どいてもらっていいですか?」でもキューバ旅行の話を書いていたので、合わせて読んでほしい。

【7位 放送1,000回記念/『爆笑問題カーボーイ(2016.6.15)』】
 1997年の4月に始まった爆笑問題カーボーイが20年目に突入した今年、ついに放送1,000回を迎えた記念すべき回。リスナー歴としては2000年に聞き始めたので、16年になる。オープニングトークはたっぷりするのかと思いきや、これまでの放送の振り返りをあっさりと終える。
 太田が「振り返るほどの歴史じゃないと思うよ」といったように、振り返りも20分ほどで終えて、その後はゲストに来た南海キャンディーズの山里相手に『テラスハウス』の話を延々とするところが太田らしい。
 第一回のオープニングトークの音源も流されたその後に、田中が「今日で放送1,000回!火曜JUNK!!爆笑問題カーボーイ」と言った後に、過去の音源を使った特別なOPが流れた。
 『太田「初めて出るからまだピカピカなんだよ」「(田中)バカじゃねえの、お前は!」「(太田)プーライ!」「(太田)実は今日、田中がいません。金玉腫れちゃいまして」「(田中)98ガール!」「(太田)みんなそれで謝ってよ。ディレクターの小塙も。」「(小塙)もうしわけありませんでした。」「(太田)あれ〜、みょーに変だな〜」「(田中)メロンはだって美味しいじゃないか!」「(太田)美味しくない!メロンは他人の評価によってお前は好きなだけなの!」「(田中)でですね、4月8日の火曜日深夜から、爆笑問題Upsがスタートー!やっほー!!」』 
爆笑問題カーボーイが素敵なところは、毎回、最後の最後にサザンオールスターズの「素敵な夢を叶えましょう」をバックに太田のショートコントがあって、それでブースの中が笑って、歌が流れて終わるところだ。毎回笑い声のあとに少しだけしんみりして終わるラジオはまだまだ続く。

【6位 ゲスト:古館伊知郎/『ラジオビバリー昼ズ(2016.6.13)』】 
 2016年に一番注目した人といえば古館伊知郎なのだけれど、その進撃の狼煙となったような放送。ある意味、さながら韓国映画の『オールドボーイ』のように十二年間監禁されていた男と、70歳に近付いてもなおマシンガンのように喋る男の殴り合いのようなトークの応酬は講談のようで、油断すると振り落とされて、音を聞いているだけになってしまう。
2016年3月末に、古舘伊知郎は十二年勤めた『報道ステーション』を降板し、その最後に、八分ほどの一人語りをしていた。
後任の富川アナへ期待する言葉や、キャスターを勤めることとそのなかで抱えていたであろう葛藤について、淀みなく話していた。例えばそこには本音しかなかったのかどうかを知る術はない。ただ十二年の代償が八分ぽっちだったとも言えるのじゃないかと思うと、テレビという器の有り様について色々と考えてしまう。
古舘伊知郎は最後に、細川たかしの『浪花節だよ人生は』の一節「人の情けにつかまりながら、折れた情けの枝で死ぬ」を引用し、「死んでまた再生します」と言った。我がに対しては「死ぬための資格を取れ、話はそれからだ。」と思った。
それから古館のテレビ進出は、『すべらない話』の出演を筆頭に、楽しくもある反面、どこかでその他の出演者に対してかかってこい、「殺してみろ」と言っているようにも思える。  
月に一回ではあるものの、古館伊知郎のANNGOLDも始まっているので、2017年はテレビと合わせて、楽しんでいきたい。

【5位 ゲスト:ウーマンラッシュアワー中川、バイきんぐ西村瑞樹『オードリーのANN(2016.4.24)』】
 春日が、ウーマンラッシュアワー中川とバイきんぐ西村でキャンプに行ったら、中川の左手が燃えた話(2016.4.3)を経て、その二人がゲストとして登場した回。
中川は何度もゲストとして来ていたので、そのやばさはリスナーも周知のところではあったのだけれども、西村がブースに来るのは初めてとなる
どうにか西村から何かを引き出そうとする若林のジャブに、西村は「ぼく、誕生日にシビアなんですよ」「わたくしもチャンピオンの一味ですよ」と答えるなどして、登場してからずっと、空ぶかしとフルスロットルのきわをナチュラルに繰りだす。その攻防はたまらないかった。中川の「チャンピオンと言われたら嬉しいけど、チャンピオンじゃないと言われても別に悔しくは無いですよね」もたいがいだけれども。
 番組中、西村の彼女から突然メールが来て、「風呂上がりに血行をよくするためにバレリーナのようにつま先立ちをしている」「ローションを食糧庫に保存している」などが暴露され、西村の彼女に電話までかけるも、彼女の「(西村の好きなところは)まっすぐな性格」で安定のガチャ切りで終了。
 若林の落ち込むことはないですかという質問への「熱めの風呂入って、ちょっとストレッチして、血の巡りをよくしたらすぐ寝れる」という西村の答えは2017年の指針としたい。
 2016年の後半から、ネタ番組だけでなく、バラエティでも、ジョーカー的に出てきてはその底知れなさがピックアップされつつあるので来年も楽しみです。
 おまけとして最後に、瑞樹さん関係で一番はっとした『ダウンタウンなう』でのダウンタウン松本の言葉を紹介します。
「(西村はポンコツだけど)ただあいつは噛まない。噛んだりネタが飛んだりってのがない」。
 
【4位「アルコ&ピースの友達の、ピースとハイライトです。」/『爆笑問題カーボーイ (2016.9.28) 』】
 アルコ&ピースの『アルコ&ピース D.C.GARAGE』の初回放送が終った直後の、『爆笑問題カーボーイ』は番組名物、50分超のOPトークだった。とあることを受けて、太田は、様々なこと、だけれども一点に集約する話をした回。過去にやっていた「太田はこう思う」というスペシャルウィークの企画を彷彿させられた。
はじめは、古館伊知郎と京都へとロケに行った話から始まり、仏教の話へと移る。
 「(仏様が)悟りを開いたときに、あ、この境地を弟子に伝えないといけないってときに、どうしても言葉っていうものが必要になってくる。仏像であったり。でもそれって、どんどん真実から、真理から離れていくんだけど、でも人間ってのは不器用なもんで、言葉ってものを使わないと、それを伝えることができない。それって自己矛盾じゃないですか、言ってみれば。」と太田は言い、それはアインシュタイン相対性理論を思い付いた時のような学問も一緒だと話す。
 そしてそれは、人間は一生かけて赤ん坊にもどるようなもんだと続ける。
 「赤ん坊の時にあー!!って泣いて、出てきたときに、あー!!って泣いて、あれ、苦しくて泣いてるんですか。全部ですよ。あれが全部なんです。苦しみも悲しみも恐ろしさも喜びも、何もかも人間が誕生する生命が生まれたってことを表現しているのが赤ん坊なんです。おぎゃあって泣くのが、あれが全てなんです。でも、あれをそのまま伝えることができないから、人間は言葉を学ぶ。実は俺達がこうやって喋っているのはあの赤ん坊の泣き声なんです。泣き声を分割して、悲しみです、喜びです、苦しみです、ちびです、かたたまです!あらゆるところを遠回りして、おぎゃあに戻ろうとしてるんです。」
 そして、柳田國男の体験を受けての小林秀雄が講演で話した「学問をする人は、こういう感受性がないとやれないんです。民俗学なんてものはこういう感受性を持っている人じゃないと、学問なんてもんは出来ないんです」という言葉を引用してこう続ける。
 「よく勘違いしがちなのは、表現っていうのは、表現の豊かさ、表現のみが大切って思うけど、そうじゃないんです。本当に大切なのは、受け取る側の感受性なんです。受け取る側の感受性を持つ人がどれだけその人の周りにいるかっていうことなんです。だから、どんだけ自分の話を面白いと思って聞いてくれるぐらいに、魅力的な人間であるかっていうことが、コミュニケーションが達者な人なんです。つまり、受け取ろうとする人が多い人、赤ん坊なんです。」
 そこから、爆笑問題の漫才とネタ作り、女の子同士の話、立川談志の「肉体と精神」、三遊亭圓朝の落語作成、『ENGEIグランドスラム - フジテレビ』での三遊亭円楽の「猫の皿」の話になっていった。それは、偶然かもしれないけれど、サザンオールスターズの『ピースとハイライト』にも通じるものだった。
 CMも流さずに太田が話し続けた後に、田中が言ったのは「おしっこしたくてしょうがない」。落語か!!
 
【3位(最終回)春歌アーティストの乱『アルコ&ピースANN0(2016.3.25)』】
 単発放送が2012年なので、足掛け五年に亘って放送したことになるアルコ&ピースのANNシリーズの最終回。放送前の『おぎやはぎのメガネびいき』では、番組のADが、出待ちに備えている有楽町のジョナサンで放送前から待機しているアルコ&ピースのリスナーをレポートしてそれを放送するなど、否が応でも高まっていく。
深夜三時になって始まった最後の放送では、「春歌アーティストの乱」という、アーティスト同士が喧嘩をするという、季節ごとに行われるお決まりの企画が始まる。お決まりだからこそ、常連のリスナーだけで振り切った放送が行われた。
アーティストの乱という企画自体もともと混沌とした生もののメールテーマなのだけれど、最終回というふわついた気持ちの中行われたものだからなのか、「喧嘩したくなったから」という一番やばい理由で復活したゆずの岩沢というカードが飛び出すという最高の出だしを切りながらも、番組のOPの曲名にひっかけたにステレオマン、そこから派生したモノラルマン、CDマン、お味噌汁ごくごくマンが登場し、アルコ&ピース二人が声をそろえて「最後だっつってんのに」と頭を抱える。
結局、優勝は剛腕でねじ伏せるようにキマグレンとなったのだけれど、その時の酒井の「キマグレンだああああ」という咆哮は忘れられない。
最終回が、粘土くらい跳ねなかったという事実は、アルコ&ピースANNシリーズの最終回に相応しく、すがすがしく爆散したと胸を張って言いきれる。
 その前の週の総括スペシャルで終われば有終の美を飾れた気もしないでもないけれど、そんなことは関係ない、そう、僕らはもう、一人じゃないのだから!
 実際、そのまま半年後の10月に、TBSで『アルコ&ピースのD.C.GARAGE』が始まるのだから、たまらない。同番組ではまだまだなりを潜めているけれども、イベントではコロッケの早食いをやるなど、静かに狂っているのでまだまだアルコ&ピースのラジオに夢中になる日が続きそうだ。

【2位 「えー、ドナルド・トランプです」/『爆笑問題カーボーイ(2016.11.16)』】
 太田の母親の告別式の話をOPトークでした回。
 喪主の挨拶で「えー、ドナルド・トランプです」と言ったのが評判悪かったという話から始まったのだけれども、終始ブースは笑いに包まれていた。
 ああ、太田の母っぽいなと笑ってしまったのは、田中は太田の母の印象は煙草を吸っていた姿を振り返ったところだ。
「ほんとに煙草吸ってたわー。お前のお袋の一番のイメージはコタツで老眼鏡かけて咥え煙草で小説読んでる」「細くて長い煙草(モア)をこう吸ってね、灰皿が火鉢みたいになってる。どんだけ、吸うんだよ、お前ら家族っていうさ。」
 太田は、今にも母が亡くなりそうだという時に、そばにいることが出来たという。
「うちのお袋ね、若い頃、越路吹雪さんのLPレコードそれこそ聞いてて、一回でいいからコンサートに行ってみたい。ただ、越路さんのチケットって取れなかったんです、当時。結局越路さんも早くに亡くなっちゃったもんですから。あーでも、好きだったなーって思って、俺確かi-podに入れてたけどどうかなって探したら出てきたんですよ。慌てて耳に入れて、お袋の。でー、『愛の讃歌』。俺もかたっぽで聞きながら、段々数字下がってきて、『愛の讃歌』終って、『バラ色の人生』始まって、ちょっとずつちょっとずつ下がっていって、『バラ色の人生』終わると同時にぴーって息が、こと切れました。これはもうね、息子として見ててもね、立派な女だなと思いました。」
 全く湿っぽくなかったこの放送を聞いている間、太田の優しさをずっと感じていた。そして、優しさというのは、例えば人種や国境だけじゃなくて時間やあの世とこの世の壁を無くすのだと思った。
 感受性の話も、今回の放送も、一貫して爆笑問題らしさが出ていて、そしてそれが1,000回目よりも後のものであるということは、嬉しかった。
 あとは、何度か会って仲良くさせてもらっている方がまさかの『爆笑問題カーボーイ』のメールNo1グランプリで、優勝するということが驚きでは一番でした。プーライ!!

【1位 ♯160/『くりぃむしちゅーANN(2016.6.17)』】
 2008年12月末に、惜しまれつつという言葉では足りないほどに愛されていたにも関わらず終了した番組『くりぃむしちゅーのANN』が、7年半ぶりに復活した。
 長い間待たされていたことによる不安は期待と安心と同じくらいあったのだけれど、
そんなものは、開始から数分で飛び出した「タマキンの中で熟成させていた」「カチコミにいく」「勘で食後二錠よ」という今後二十年は味がするパワーワードによって吹き飛ばされた。そして、リスナーは一日たりとも忘れていない「ガネック」や「例えてガッテン」などを綺麗さっぱり忘れていた上田にリスナーはカリカリさせられたものの、この七年半間、くりぃむANNは続いていて毎週聞いていたような気持にすらなった。
 パネェ質問を上田にやって、コーナー「例えてガッテン」をやって、最後の最後に、有田が歌う銀杏BOYZの「夢で逢えたら」を歌っている間に、あっという間に二時間の放送は終わってしまった。
 「ちょうどこのラジオを聞いている期間はちょど人生のなかでも底だったな」という自分のしょうもない思い出に浸る暇もないほどに、くだらないだけの二時間だった。
 それからしばらく余韻に浸っていたのもつかの間、半年後には♯161(2016.12.6)が放送された。その回では、直前に有田が結婚を発表していたというサプライズもあったり、裏番組の爆笑問題カーボーイでは、麻生久美子verの「夢で逢えたら」も流されるという粋なこともあった。
 ニッポン放送よ〜、またやってくれるわけにはいかないか。

【総評】
今年は、何といってもラジオ業界的にはラジコのタイムフリーとシェアラジオが始まるなどしたという革命的な出来事がありました。
 個人的には、時間を取れなかったことだけでなく、ラジオの音源を聞いているプレイヤーをi-pod touchからウォークマンに変えたことや、実験的にi-pod shuffleに変えてみるなどしたけれどもその変更があまりしっくりせずに、聞く時間が少なくなってしまったことというのが大きかったです。そのため、新しく始まったラジオなどもあまり聞けずに単発の特番をチェックする程度でした。ニューヨーク、三四郎星野源を聞けていないですし。
 エル・カブキについては、マイナビラフターナイトでの優勝を逃してしまったために、特番をするチャンスが手に入らなかったということにがっかりしていたら、「お笑い有楽城」で優勝して、ANNRのパーソナリティー権をゲットして、これから放送される予定であるということが嬉しかったです。
 僕から以上!