石をつかんで潜め(Nip the Buds)

ex俺だって日藝中退したかった

芽むしり的ベストラジオ2019その2(10位~1位&キラーフレーズ)

memushiri.hatenablog.com

 

続きです。

10位 「令和一発目の生放送」『爆笑問題カーボーイ(2019.5.1)』
 新元号の令和になって初めのTBSラジオで放送された番組は、通常通り『アルコ&ピース D.C.GAREGE』だった。番組は、生放送反対派というカルト集団が生まれたりしていて、まるで年越しのようなノリだった。続く『爆笑問題カーボーイ』も生放送だったが、爆笑問題だけではなく、ゲストにウエストランド、24時台三兄弟のハライチ、アルコ&ピース、うしろシティの金子、まんじゅう大帝国がぞくぞくと登場し、まるで新年会のようにただただ楽しい放送になっていた。爆笑問題が楽しければそれでいいので、ランクイン。

9位 「名跡 神田伯山を襲名するための挨拶(2019.05.03)」『神田松之丞 問わず語りの松之丞』
神田松鯉に入門してから、現在の高座名である松之丞をもらった時の思い出話しから始まった名跡の襲名にまつわる裏話という、なかなかラジオ番組でも聞けない興味深いものでもあった。名跡「神田伯山」の歴史と功績については、『絶滅危惧職、講談師を生きる』の文庫版に収録されている、長井好広が書いた「伯山に「外れ」なし___講釈師・神田伯山の系譜」に詳しいが、その文章によると、先代の伯山に遡るだけでも、40年以上前の話となる。「神田伯山」という時計が再び動き出したという寄席演芸史的にも大きな意味が出てくる放送でもあった。
 師匠である神田松鯉から、神田松之丞という名前をもらった時の話から振り返りながら、真打昇進の納会での師匠とのやりとりを話し始める。
「俺の方から、で、師匠ぉ、あのぉ、名前なんですけどって言ったら、で師匠も察しがいいからさ、んんぅって、変えるのかって、あ、まぁ自分から言うことじゃないんですけどちょっと継ぎたい名前がありましてつったら、したら、俺の言うこと全部察して、伯山かっつって、まあ、はいつって、よし、分かった、じゃあ掛け合ってやるって言って。」
 それから、松之丞は、今現在、神田伯山の名前を預かっている、先代の神田伯山の弟子で過去に講釈師だった杉山という男性と直接会って話をしたという。
 落語家の事情についてある程度の知識を持っていれば、襲名したい名跡を守っている人に譲り受けに行くということはあるのだろう、ということは知識として持っていたものの、それがどういう風なやりとりが交わされるのかまでは分からなかったが、このトークで、詳細なやり取りまでは松之丞は再現こそしなかったものの、講談業界の未来についての話をかなり熱く話したようで、 そして、松之丞が神田伯山を譲り受けることになった。
 松之丞のトークから聞いている限りだが、名前を守るということは、墓守もしなければならないということにもなるようだが、それを40年以上にわたって担っていた、しかも講釈師になるという夢を破れた人間がやるということの、伝統芸能ならではのこの出来事の重みを思うと、『クロノトリガー』での、ひとりで砂漠を森に変えたロボを思い出さずにはいられない。しかも、松鯉自身が一度、伯山の名前を譲り受けることを断られているというのであるから、まるで大河ドラマのように物語が巡っている。
伝統芸能をやる者の藝の頂点というのは、基本的に60歳から70歳と言われており、それを考えると、神田松之丞改め神田伯山を30年、いや40年以上、同じ時代に生きて、その藝を楽しむことが出来るのである。 
 ところで、この話のオチは、「伯山って名前は宗家ですから、神田派のトップの名前なんで、あの、伯山を渡すということになると色んな名前が付いてきますって言うの。したらさ、見たらびっくりしたんだけどさ、俺も、桃川 如燕っていうのは多分付いてくるんじゃねえかなって思ったんだけど、その他にもなんか凄いんだよ。えぇ、神田五山、桃川三燕、桃川燕玉、桃川桂玉、柴田南玉、桃川燕国、神田松山、神田伯鯉ってもう、色んなのついてくるの。だから、伯山をもらうとハッピーセットみたいになってくんのよ。」と、これまた寄席演芸好きには刺さるけど、あんま伝わらないような素敵なものでした。

 

8位 「武道館ライブ当日」『オードリーのANN(2019.3.3)』
 犬が飼いたいけど、どんな犬を飼えばいいか悩んでいるという通常の放送の様な入りで始まった、『オードリーのオールナイトニッポン 10周年ツアー in 日本武道館』の当日に放送されたこの回がランクイン。
ライブを振り返りつつ、ルシファー吉岡や、ギース高佐、ラブレターズ溜口らが楽屋挨拶を止められたという事件について直接彼らに電話で出演しその真相を探る。
 地方公演に出演したにも関わらず楽屋挨拶にも行けなかったこのメンバーは「怒ってはいない」とはいうものの不満げな空気が完全に出ている。特に溜口がオードリーの二人に向けて放った「そっちは、かかってるかもしれないけれど、こっちは冷静です」とオードリーに冷や水をぶっかけるところはめちゃくちゃ笑いました。
 他にも、恒例の岡田マネージャーのミス話、サプライズゲストだった梅沢登美男との裏話、後半にはどきどきキャンプの佐藤光春がブースに入ってきて、話が盛り上がった。  
 まるで後夜祭のようなとても楽しい放送だった。

 

7位 「メメント金子サーガ」『アルコ&ピース D.C.GAREGE(2019.5.1)』『うしろシティ 星のギガボディ(2019.5.2)』『ハライチのターン!(2019.5.3)』

 

 『うしろシティ 星のギガボディ』で、「ヘビメタ編み物選手権」ではなく、「メメント金子サーガ」がランクイン。「メメント金子サーガ」は24時台三兄弟の番組と、収録日と放送日がバラバラなことで起きた一大時系列シャッフル物語だった。
爆笑問題カーボーイ(2019.5.1)』の令和一発目の放送で、金子は元気がなく「お笑いをやめそうになりました。アルコ&ピースとハライチに、お笑いでぼこられました」とへこんでいたが、それには理由があり、平成31年4月30日に収録された『うしろシティ 星のギガボディ(2019.5.2)』にまで遡る。
 その放送にて、「わたし、金子。令和一発目のアルコ&ピースのD.C.GAREGEに乱入してやろうと思っております。はい、この収録終って、これまあ、三時位に終わるか。で、十時間後くらいにアルコ&ピースの生放送なんです。やるじゃない。そのまんま俺出る振りして隠れてTBSに。な、いろんなトイレとか。十時間。潜伏して、で、行ってやりますよ。何すんのとかじゃねぇよ。乱入っつってんだろ。ぶっこわしてやんだよ、全て。」と高らかに宣言し、阿諏訪に「阿諏訪ぁ、十年間ありがとな」と感謝の意を伝えるその姿はまさに革命前夜だが、この決意こそが金子学の受難の始まりだった。
 続くトークゾーンでは、金子がパクさんという子に恋をしているが、その共通の知人である女性と三人で食事をしていたら、そのお店に、はんにゃ金田、ハライチ岩井、パンサー向井が来て、密会だと思われてそうでだるかったという話をしていた。
『ハライチのターン!(2019.5.3)』の岩井のトークゾーンでは、岩井サイドのストーリーが話されたが、そこからは、金子自身がトークしていたよりも、岩井の目にはすかしている感じの金子のようだった。岩井の恐ろしいところは、「今朝多分収録、今朝だから。してると思うんだよね。うしろシティさん。だから、恥ずかしくないように言い訳とかそのラジオで気がしてるんだよね。すごい外堀埋めてってっから。これ当たってたらやばいよ。外堀埋めてってっから。あの人ね。いじらせないようにいじらせないように。え、何が。別にそんなんじゃないけど、みたいな。いじられても良いような感じに、いじられてもダメージないですよみたいな感じにしてるとは思うんだけど。星のギガボディのリスナーさんね、金子さんが言ってること全部ウソですから。」と看破し、「でも例えば、この後おれらがD.C.GAREGE出るとしたら、その話するわ。金子さん来るんでしょうから。ああ、だったら俺らのほうが先手になるから、これもう将棋だから。指し合いですよ。」とさらに先を考えていたところである。
 『アルコ&ピース D.C.GAREGE(2019.5.1)』でひとしきり令和になったことを楽しんだ後に、平子がブースの外にずっといたうしろシティの金子を呼び込む。
しかし、明らかに無策の金子とアルコ&ピースはスイングせず、無茶振りをされても全く爆発しない時間がしばらく続き、ついには、ハライチもさらに飛び込んでくる。
岩井はそこで「金子が女性二人と食事していた話」をし始める。
 『ハライチのターン!』で語った岩井の策略をまだ知らないリスナーからすれば、岩井の話は突然ぶっこまれたただの暴露トークだが、この全ての放送を聞いたリスナーとここまで読んだ方には、これがもっと深い意味を持った攻撃であることが分かる。 
CMが明けても「俺らって面白くないからとか、俺なんもないからとか、自分で言って、ちゃんとしたいじりさせないような感じのところ、金子さんってあります。」「それで致死量のダメージを受けないようにしてい」と、刺し続ける。
 『爆笑問題カーボーイ』に、すでに満身創痍の金子が登場し、最終的には太田に前田ビバリーヒルズに改名させられる。
 時系列的には『星のギガボディ』、『ハライチのターン!』、『D.C.GAREGE』、『爆笑問題カーボーイ』だが、放送日の関係上、『D.C.GAREGE』、『爆笑問題カーボーイ』、『星のギガボディ』、『ハライチのターン!』と時系列のシャッフルがなされ、そのことで、うしろシティ金子が女性と飲んでいるのを芸人仲間に見つかって、ラジオに乱入して爪痕を残そうとするも、無策すぎたのでぼろぼろになった話が、一人の革命を起こそうとした男が、ぼこぼこにされて、前田ビバリへと改名させられるまでの、まるで時空をさまようカート・ヴォネガット作品のようなサーガへと変貌した放送だった。

 

 

6位 「アンガールズ田中ゲスト」『オードリーのANN(2019.7.28)』
 お笑い芸人のラジオに、一線級で活躍している同世代の芸人がゲストに来る時は、普通は、熱い話になるものだし、いやが応にも期待してしまうのだが、この回の若林と田中は一切そんな話をせず、ずっと若林が自分にタメ口を使うのはおかしいというタメ口問題や、NONSTYLE井上は「この世の最低品質の男だと思ってる」と言い放ったり、南海キャンディーズ山里は「合コンでの振る舞いが卑怯だ」と方々に悪口を田中が言いまくったりするのを、若林が上から殴りつけるようなツッコミをして、ただただ笑えるだけの話をして盛り上がっていた。そんな田中と若林のフルコンタクトで60分以上行われた殴り合いは、間違いなく2019年深夜ラジオでのベストバウトだった。
 この週は、オードリーの春日が、大会のためにお休みということで、若林の一人喋りから始まった。その話の一つに、合コンに行った話をしていたが、改めて聞けば、若林が結婚相手と出会った話であり、コンパそのものは負け戦だったように話しているが、実は電撃結婚の伏線となっていた。
 話は独身男性の悲哀についても移るが、そこでの田中が話した二つのエピソードが秀逸だった。
 「(なか卯で食事していたら)一回、夜中に停電なったの。なか卯でおっちゃんと二人で。ばーっと消えて。外見たら、外の電気は点いていんの。だから、なか卯だけブレーカー落ちてんの。俺、食べてた和風牛丼が見えなくなって。うって。したらおっちゃんが、『すいません、ちょっと今電気つけますんで』つってうろちょろしはじめたの。ブレーカーを探し始めたんだけど、どこ探してもなくて最終的に俺んとこ来て、すいません、スイッチどこかわかりますかって。いや、俺もわかんないけどつって、いちおうそっちバックヤード入らせてもらって良いですかつって。バックヤード入って、多分そのなんか更衣室みたいなとこにありますかなつって言って、入って、したら鉄の扉みたいなのガチャってあけて、俺ブレーカーあげてあげたの。」
 「俺はね、もう、ほか弁とかさぁ、なか卯とかでさぁ、テイクアウト、よし、今日これ食べようって嬉しく、嬉しく持って帰って、玄関とかでその夫婦(ロバート山本)に会ったらさぁ、急にその弁当持っていることが悲しくなってくんの。さっきまですげー良いモノだと思っていたものが、すごい価値低いモノに感じて、俺、太ももの裏にそれ隠したんだよね・・・・・・。」
 まだまだ、田中無双は続きそうだと震える放送でした。 

 あ、田中さん、テレビ越しではありますが、お年玉ありがとうございました。

 

5位 「くりぃむしちゅー上田晋也ゲスト」『オードリーのANN』

 あまりにも、この回が良すぎたので、すでに「『ガゼッタ・デロ・オワライーノ』~『オードリーのANN ゲスト:くりぃむしちゅー上田晋也』感想~」にて、『くりぃむしちゅーのANN』のいちコーナーの「ガゼッタ・デロ・オワライーノ」をパロディにして感想を書きなぐってしまったので、そちらも読んでほしいですが、どうしたって、くりぃむしちゅー上田晋也とオードリーのがっぷり四つという出来事は、豊島公会堂での「ギャグコレクション」をはじめ、初回の放送に話題が出てきたことなどを含めてどうしたって、文脈やエモを感じずにはいられないが、そこに振りきることなく、ずっと笑っていた最高の回でした。

 

4位 「鬼越トマホークゲスト」『爆笑問題カーボーイ(2019.11.12)』
 この年の『27時間テレビ』で因縁が出来た鬼越トマホークがゲスト出演した回がランクイン。だが、まずその前に、OPトークも絶品だった。太田が『ファミリーヒストリー』に出演した話をしていたのだが、その中でひとつのエピソードを披露していた。
それは、太田の母が勤めていた会社の社報に、社員の紹介が載っているが、他の社員の良いところが書かれているが、太田の母だけはあまりよく書かれていなかったが、実はそれを書いていたのは太田の母だったというエピソードが話された。
そんなシニカルを眩しすぎた愛を振りまく様子はまさに太田光の源泉であった。
 それから登場した鬼越トマホークの二人は全てがひどくて最高だった。
全員の悪口をいう鬼越の二人とそれに乗る爆笑問題の二人というそのグルーヴたるや、凄まじかった。道路に飛び出して愛を告白する武田鉄矢も跳ね飛ばすほどのブレーキの壊れたトラックに煽り運転をされる爆笑問題。まさに、煽り煽られラジオ。
あまりにも面白かったのだけれど、鬼越トマホークの未来のために、デジタルタトゥーとしてインターネット上に残ることは避けたいので、書き起こすことは避けます。
書き起こしサイトもradikoのタイムフリーもエリアフリーもないような時代に逆走するような何も書き起こせない放送がこんなに面白かったのに、なんで、こんな順位かというと、このベストラジオの判断基準のひとつに、どれだけ感想を書けるかというものがあるので、文字数の面から減点となった次第です。
 言えるとしたら、ジョニ男をちょっと嫌いになりました、くらいです。
 それからすぐに、「タイタンライブ」に鬼越トマホークのゲスト出演が決まった。その前に、ぜんじろうが出演するということが決まって、本当に落ち込んでいたのだけれども、これは、もうビートたけしのいうところの振りこの理論というところで、俄然、やる気が出てきた。タイタンライブ当日、ぜんじろうは、前回人情話をやっていたことを受けて爆笑問題に禁止と言われたようで、笑いで勝負するしかなくなって、結局最悪だったのだけれど、その後の鬼越の喧嘩を止めるくだりでギリありということにしました。
 鬼越トマホークの喧嘩を止めたぜんじろうに向かって「お前今のお笑い界に必要ねえんだよ」「そんなこと思っていないと思うんですけど社長との癒着だけでライブ出てるんで、もうちょっとウケてもらわないと困る」
 エピグラフは、<「それ喧嘩だ」「浪人組同志だ」「あぶないあぶない、逃げろ逃げろ」‥‥『二人町奴』国枝史郎>。鳥肌が立つほどにぴったりである。
 観客全員が鬼越の喧嘩をぜんじろうが止めるのを期待しているなか、EDもいつもよりタイトで、あわや無しか!?という空気の中で巻き気味で鬼越の喧嘩が始まって、よし!となったら、ぜんじろうが止める前に太田さんが鬼越の喧嘩に入ってったのは、この僕でもさすがに、太田さん違うだろ!となりました。
 悪口の数々は、ライブを見た人だけのお楽しみなので、詳しいことはお教えすることはできないが、聞くことが出来なかった人のなかには「ライブだから、ラジオよりも過激だったのだろう」と思っている人達がいるかもしれない。そんな方々に言えることは、悪口を言う相手の範囲が広まっただけで、ほぼラジオと同じ威力だったということです。

 上位の発表前に、2019年のラジオでも、キラーフレーズがいくつも産まれました。既に紹介したなかでいうと、匿名希望の「MONGOL嘘八百の小さなコアの歌」、アルコ&ピース平子の「デブのラジオにガリがやってきた」、爆笑問題太田が医者に出された三つの単語「猫、桜、電車」などがそうでした。
 その他の印象深いワードを紹介したいと思います。
 「ドリームエンタメラジオ」は、佐久間宣行が自身の番組『佐久間宣行のANN0』を、半ばギャグめかして称した言葉だけれども、テレビ東京のプロデューサーであることの利と人望を活かした、伊集院光やオードリー若林などの豪華なゲストと、そのカルチャー紹介っぷりに、あながち間違っていないことになってしまった言葉です。
 空気階段水川かたまりの「いったん、ジングルください」は、『空気階段の踊り場(2019.9.14)』にて出てきた発言。もぐらが、奥さんとの約束を破って携帯を没収された話から、そのことでライブで遅刻してかたまりだけでなくほかの出演者に迷惑をかけ、しかもライブ後にも自分に謝らなかったことなどでそのときもムカついたが、あらためてトークすることでブースでどんどん怒りが再燃してきたかたまりがクールダウンするために放送中に何度も言った言葉。改めて、もぐらがクズで、他人の心に石を積む人間であることを痛感させられた放送だった。
 オードリー若林正恭からは、『佐久間宣行のANN0』に出演した際にリスナーからinstagramに長文を投稿したことをいじるメールが来たさいの「有楽町で受け身取ると思うなよ」、「敵はこんな近くにいたか、こらあああああああ」、斜に構えていることを意味する「ハスってる」などが産まれた。
 同じく、『佐久間宣行のANN0』にゲスト出演したテレビ朝日のプロデューサー加地倫三の、『水曜日のダウンタウン』のお笑いコンビななまがりが新元号を当てるという企画の視聴率が9.4%だったことを受けての、「馬鹿でしょ。国民。」もありました。
そんななかで同率1位となった二つはこちら。
 爆笑問題の太田が、『サンデージャポン』で悲惨な事件を受けてピカソの話をしたが、そのことを神田松之丞が『問わず語りの松之丞』で、太田の評判があがったことをやっかんでか、散々いじったトークを受けて、「あいつはヤなやつだなぁー」「傷ついたわ、おれほんとに。俺ほんとに真面目に話してるのさ」と太田の返しのオチとして言った発言「人間として不良品だと思ったね。あ、これいうと炎上しちゃうんだよね」。みなまでは、い合わないが、太田の得意分野である時事ネタで全てを乗り越えた瞬間であり、ファンとして震えた一言でした。
 『深夜の馬鹿力』での長年、伊集院光の親友兼放送作家として、ブースで笑い声を響かせていた構成の渡辺くんが番組を卒業するとなかなか衝撃的なニュースがありました。その渡辺くんがブースにいる最後の放送の終りに、ナレーションとして流れた「というわけで、渡辺くんは機械の身体をもとめて、999で旅立って行きました。いつの日か渡辺くんが何処かの星で色々あってなめ茸の蓋にされるその日まで。渡辺くんFOREVER。銀河鉄道よ、永遠に。」は強く心に残りました。
 
3位 「覇王の帰還伊集院光ゲスト)」『佐久間宣行のANN0(2019.6.19)』
 伊集院光の『とらじおと(2019.05.14)』に、ゲストとして、テレビ東京のプロデューサー佐久間宣行がゲストとして登場したことをきっかけに、佐久間がパーソナリティを務める『佐久間宣行のANN0』に、伊集院光がゲスト出演した回。
 『とらじおと』と、その出演のあとに『とらじおと』にゲスト出演したことを振り返りいがら裏話をしつつ、伊集院光への思いと思い出を話していた回(2019.5.16)もとても熱くて良かったが、その流れで、伊集院光が『佐久間宣行のANN0』に出演したのだから、「昭和最後平成最初のANN水曜2部が伊集院光、平成最後令和最初の水曜2部が佐久間宣行」という文脈を抜きにしても、面白くならないはずがない。
 覇王なのに、伊集院はフルスロットルで、ニッポン放送への恨み節や悪口をぶちまけつつ、お笑いナタリーの記者と化した佐久間が伊集院光のラジオ観を引き出してくれる。
 「最近おんなじだろって思ったんだけど、朝と夜のラジオの決定的な違いってものい気付いて、まだTBSで発表してないだ、やってる当時のところだから、朝のラジオって取り組み方ね、性善説で取り組まないとなんか始まらなくて、いろんなことに違和感を感じても、この人良かれと思ってやってんだろってところからアプローチしないと、そのゲストの人とかに対せないって、夜のラジオって性悪説っていうか、なんつーの、ちょっとした違和感を、覇王って言われてることを、バカにしてるよね・・・・・・っていうトーンでいかないと、話広がんないでしょ。」など、『大竹まことのゴールデンラジオ!』にゲスト出演した回と合わせて、普段のラジオの答え合わせをしているような気にもさせられる言葉などを聞くことが出来た。
 また『深夜の馬鹿力』を立ち上げた永田守プロデューサーの話などは、ゲストに出た番組でしか聞けないものだったが、上柳昌彦の乱入などもお祭り感があって昔のしくじり話を言い合うのもあって、ラジオの過去と現在と未来が混濁した素晴らしい放送だった。

 

2位 「とんだ大バカ変態野郎がフライデー報道された」『オードリーのANN(2019.4.28)』

 『ニンゲン観察バラエティ モニタリング3時間SP(2019.4.18)』にて、オードリー春日の感動のプロポーズが放送された。日本全国で、リアルタイムで見られていたと思うと、この場で大正解だったと思っている。その番組を受けての『オードリーのANN(2019.4.21)』は、お祝いムードで、暢気にどこに家を建てるかなんて話をしている放送だった。なかでも、若林が話していた、南海キャンディーズの山里が若林に「また、ステージ上げやがったな」という連絡をしてきたという、蒼井優と付き合っているにも関わらず、やりにいっていたということは強く刻みつけたいと思います。
それからしばらくして、平成ももうすぐ終わるという時に、春日がフライデーされるという事件が起きた。お通夜モードで始まった、『オードリーのANN(2019.4.28)』だったが、10分を過ぎたあたりから、若林の怒りが沸点を迎える。
 「おれね、今までね、今までそのワイドショーのコメンテーターのオファー来たけど全部断ってんのよぉ。自分の善悪の判断に自信がないから。分からないからぁ。まともな人間じゃないと思ってるから、自分が。全部断ったんですぅ。ワイドショーのオファーはぁ。わかっ、自身が無いから。人のことを言うほどの人間じゃねえから。そぉれを、おまえ、このラジオだって、おまえ、ニュースとか時事ネタ喋んねぇでやってきて、敵はこんな近いとこいたか、こらああああああああああ。」と若林は咆哮したが、激昂しすぎた自分を反省し、キャップかけをする。
 それから、実はこれまでのやり取りを狙女のクミさんに聞いてもらっていたということが明かされ、クミさんと電話が繋がる。そのやり取りでの、クミさんの「諸悪の根源のパラダイスぅ」と若林の「時代に合わせろ、チャンネルをぉ」というキラーフレーズが出つつ、春日はクミさんにいくつかの約束をして謝罪し、とりあえずの解決を見せた。
 その後の若林のトークゾーンでは、『モニタリング』のロケで、春日の出身地である埼玉県所沢市に行って、皮肉なことにオードリーを振り返るような場所も寄るなかで、春日がずっと意気消沈していたトークをしていた。そんな状態だったが春日唯一テンションあがったのは、倉庫でキン骨マンとイワオのキン消しを見つけた時だったという。
 そのことを、クミさんに報告したときの、クミさんの返し「そんときは、キン骨マンとイワオだけの世界に入れたんでしょうね」は、若手芸人だったら、すぐに営業三つ入ってくるくらいの達者なものでした。
 『内村&さまぁ〜ずの初出しトークバラエティ 笑いダネ(2020.1.1)』にて、この放送で出ていた、春日がフライデー直後に若林の家を訪ねた話のさらにこの舞台裏の話をしていた。若林は「全部仕事無くなるだろうな」と思ったし、若林の家を訪ねた時に春日は「モニタリングの製作費を全部払って、芸人辞めます」と話していたほどにパニックになっていたという。
 それを聞いて、当時、あんまり真剣に受け止めていなかったけれども、一歩間違えたら、大変なことになっていたんだなと思いました。だから、一応言っておきますけど、フライデー、別にお前らのお陰じゃねえからな。

 

1位 「駆け抜けてもぐら」『空気階段の踊り場(2019.4.6)』

 詳しくは、すでにこのブログにて、エモいという二文字で済むことを、7000文字かけて「鈴木もぐらの恋は永遠、愛はひとつ。」という記事で紹介したので省略するが、空気階段の鈴木もぐらのその時間をかけた人生の伏線回収っぷりとクズキャラなのに口が固すぎるというその信念の重さに驚き、放送に感動したことなどから堂々の2019年のベストラジオといって間違いない。その後に、念願の『キングオブコント』にも出場、お笑い第七世代にくくられてネタ番組でも頻繁に見かけるようになる、水川かたまりが結婚するなど、昨年よりもまたもや空気階段を楽しむことが出来た一年だった。
 2019.12.14に放送した『空気階段の踊り場』では、番組イベント『空気階段の大踊り場』にてシークレットゲストである銀杏BOYZの峯田が出演したパートが放送されていたが、そこでの峯田ともぐらのやりとりがとても良かった。
 当時のもぐらの印象や思い出話をする峯田だったが、それにつられてもぐらから話そうとすると、峯田は「なんだよ、だから。いいんだよ、昔のことなんてもうわかんねえ、もう。もうこうなったら関係ないからね。おなじ、もう、あれだから。ジャンルは違うけど。もう、もうあれだよ。関係ないよ。昔どうだったとか、ね、憧れだったとか関係ない、同じ台、板の上に立ったらもう関係ない。俺はもう、こう(ファイティングポーズ)だからね。」と、同じプロとしてのバチバチ関係にあることを宣言する。だからもぐらとも普段会っていない峯田は、「連絡もしないしさ、くさいし」とべたべたした、なあなあな関係を拒否すしつつ、「だから、一千万超えたら、借金が、来ていいよ。首くくる直前。指ももう一本くらいしかなくて。いよいよ、全部やられて、もう一本しかないって時は来ていいよ。そんときはもう飯おごるよ」と話す。
 そして、もぐらのリクエストとして「夢で逢えたら」を弾き語りして歌い、万雷の拍手のなか「これからもほんと、すいません、僕が言うのもあれですけど、空気階段を末永くよろしくおねがいします」と言ってくれた。
 空気階段爆売れ前夜はもう少し続きそうだけれども、夜明け前には夜明け前の美しさがあるように来年もきっと楽しませてくれるはずだ。

 冒頭にも書きましたが、2019年のラジオはほんとうに面白い年でした。「ラジコフェス」もめちゃくちゃ楽しかったですし、まだまだ話足りないです。特に、上半期が濃密過ぎたのですが、単にドラマ性やハプニングだけじゃなく、純粋に笑える話なども多くて、リスナー冥利につきる一年でした。なかでも、総合優勝は、『オードリーのANN』です。バランスを考えて、若林がサプライズで結婚を報告した回を外したくらいです。こんなに、面白くて、グッとくる、ドラマチックな一年になるとは夢にも思いませんでした。明らかに、オードリーの第二章が始まっています。


 最後にワーストラジオですが、ネタに出来るもので言うとその期待値が高かったがゆえにスイングしなさを感じてしまった『トム・ブラウンのANNR』、まじのやつでいうと、全てを履き違えていた『弘中綾香のANNR』です。
 2020年には、『マイナビラフターナイト』の月間チャンピォンになったことでお試しでラジオをやって良かった宮下草薙のラジオや、『ANN0』枠をやったchelmicoのラジオも始まりますし、それだけではなく、『アンタッチャブルのシカゴマンゴ』の真の最終回も期待してしまいますし、まだ目をつけられていないラジオスターが出てくるかもしれないと思うと、まだまだラジオ聞いちゃいますね。
 2019年から2020年の年またぎは、令和と同じく、火曜日の深夜だったのですが、20時から24時をハライチメインで、24時から25時までアルコ&ピースが、25時からは爆笑問題が担当という、好きが繋がったものでしたが、そのなかで、ハライチ岩井の「普段言わないけど、爆笑問題が一番好きなんだよ」とアルコ&ピース平子の「爆笑問題、若手好きがち」でブースが笑いに包まれるということがあっての、『爆笑問題カーボーイ』のタイトルコールを、爆笑問題と24時台三兄弟でやるというのには、じーんと来てしまいました。そんなんで始まった2020年のラジオ、面白くならないわけがありません。
 それでは、今年も頑張っていきましょう!

 ここまで読んだあなたは偉い!

 

 

 

 

 

 

2020年の目標です。
・投稿を再開する。
・お笑いについて以外は極力ツイートしない。
・同人誌2冊目の完成、noteの稼働
愛媛県に行く。
フェミニズムについて勉強する。
・「人を傷つけない笑い」などの粗い表現を憎みながら、人を傷つけないツイートを心がける。
twitterでしくじらない。
よろしくお願いします。

昨年は今回の記事も合わせると多分5万字くらい書いた気がします。もしかしたら、ブログの更新自体は少し減るかもしれませんが、今年もよろしくお願いします。
ハスらずに、かかってるくらいの感じで。