石をつかんで潜め(Nip the Buds)

ex俺だって日藝中退したかった

最近思っていること

 おおよそ普段と変わらない日々を過ごしている。おおよそというのは、嫌な空気が蔓延しているな、というくらいで、それは、twitterをしているからで、もし、それを見ずに、メディアからの情報だけしか得ていないのであれば、インフルエンザが流行っているという程度の認識でしかないだろう。地方在住で、テレワークが不可能な仕事に就き、原付バイクで出勤し、妻が専業主婦で、子供は保育園に通っておらず、ライブの予定も無く、土日も外出を滅多にせず、趣味が読書とラジオで、ジムもしばらく行っていない、もともと現政権に懐疑的な僕にとっては、日本を覆っている騒動に対してどこか当事者意識を持てずにいる。たまたま、ぼんやりと出来る環境にいるだけなので、不謹慎であることは重々理解しているが、コロナウィルスによって浮かび上がっている様々なことは、どこか、問題提議をしてくる批評さを帯びているように見えてしょうがない。
 「マスクって意味ないらしいよ」「不要不急の外出って、どこからどこまで」「満員電車って狂ってるだろ」「賞レースにおける観客の存在」「ダブルワークしていることを隠していたかった」「自粛を要請したらそれはもう強制だろ」「トイレットペーパーを買い占めるってオイルショックのときから何も学んでないのかよ」「まじで政治家って、一丸となってっていうんだな。戦時中かよ」「桜を見る会みたいな小さなイベントでの野党に指摘されていたこと、またやってるじゃん」「政治と生活は直結する」
 ウィルスは忖度しない、という秀逸なことを誰かが言っていたが、一斉休校の要請は、これまで政府はこうやって忖度をさせようとしてきたんだな、と可視化されているようだった。
 特に、このこと自体、そう言っている人がいるという批判が目立って、もともとそう言っている人を見つけることが出来ないというような都市伝説みたいなものだが、「音楽に政治を持ち込むな」と言っていた人たちは、この、政治が音楽の場をいとも容易く奪えるという事実を見てどう思っているのか。仮にライブが中止にならなかったとしても、ライブをしたこと、もしくは、ライブ楽しかった、とツイートすること自体が、もはや政治的な発言に捉えられ、是か非かの俎上にあげられる。
 かくいう僕も、来週東京にライブを見に行く予定である。幸いにも三つのチケットのうち、細心の注意を払ったうえで上演するということなので、行くのだが、感想はツイート出来ないだろう。少し前なら、関係ねえよとなっていたが、今は、SNS上での友人が楽しみにしていたライブが中止になったり、行けなくなったり、ライブが開催されたことで叩かれているのを見たことで、そんな気にはならないなということである。
 やはり、どこかナイーブになっているのだろう。通常の生活をしようと意固地になるあまり、牛乳を普段より消費しないように気にしすぎて、逆に普段より飲んでいないという状況になっている。そもそも補償は国がすべきことであるのに、なんで一市民が政府の無策のケツを拭かないといけないんだ。てめえのケツを拭くトイレットペーパーも無いのに。
 無料で配信が決定されているのを見る気にもならない。なぜならそれは普段にあるものではないから。ましてや、暇な方ブログ読んでください、とツイートする気にはとてもなれない。
 先日、多くはない貯金で、資産運用をするために、銀行に色々と聞きに行ってきた。その後、やっぱり面倒くさいなあとなって、貰った資料に目を通すことすらしていなかったのだが、昨日、銀行より電話がかかってきた。その時に窓口で対応した行員からで、今は相場が低くなっているので始めるなら今ですよ、という内容だったのだが、それを聞いて余計にやる気を削がれてしまった。
 要は世間的に混乱していて株価などが下がっているから、儲けは出やすいですよということであり、それは資本主義の価値観から言えば、そして行員の仕事からして言えば、正しいことなのだが、どこか火事場泥棒のような気になってしまったのである。話はずれるが、キャッシュレスによる国の還元事業も、ようは、キャッシュレスに対応できない老人たちが割を食っている、国主導の緩いオレオレ詐欺じゃないのかとずっと思っている。しかし、そう思いながらもキャッシュレスでの買い物をメインとしているので、還元のお金を受け取っているし、何だったら、職場のお茶等の買い出しを担当しているので、その分もちょろまかしている。
 全ての選択や生活へのが政治的な意味合いをもってしまう日々に、どうしたらいいのか分からずにいる。

 

 (ここまでをマクラとして、太田さんの「何て従順なんだ」と言っていた「太田はこう思うシリーズ」の話から、どうにか『100分de名著』のハヴェルの『力無きものたちの力』をまとめるということを、今年中にはしたいと思います)

 

 同人誌第二弾「俗物ウィキペディア」を入稿しました。今月中にはBOOTHにおけると思いますので、詳細をお待ちください。