毎週月曜日の深夜、赤坂で覇王がおしまいな歌を高らかに歌いあげている裏で、ひっそりと『宮下草薙の15分』が放送されている。2020年の1月7日から始まったこの番組は、タイトルの通り、宮下草薙の二人が15分ほど、しゃべるというラジオなのだが、これが実質10分程度でひとつのテーマでトークするという番組で、とてもさらりと聞けてしまい、早くも、短いながらも週に一回の楽しみとなっている。
例えば、第2回の「洗濯機」では大家と洗濯機についての契約を巡る攻防が話されたが、半径3M以内で完結している、上質なシットコムのようであったし、第4回の「お菓子」はただただ幸せな放送であったのだが、衝撃だったのは、第7回の「こわい」は、汚部屋状態になった草薙の部屋から、ポケモンのビブラーバみたいな虫が出て怖いという話をして、しょうがねえなあ、草薙は、と笑っていたのだが、最後の最後の短い時間で、草薙が「自分に来たファンレターの送り主の名前が、自分のアマゾンのパスワードと一緒だった」というめちゃくちゃぞっとする話をしてきて、鳥肌が立った。油断していたら、顎にカウンターをいれられてしまったようだった。
テレビで見るたびに「跳ねてんなー」と思わされる宮下草薙だが、ラジオを聞けば聞くほどに、テレビでの振る舞いを見れば見るほど、彼らのことが分からなくなる。強いて言えば、ピッコロのワンオペ育児を受けている幼少期の孫悟飯の修行をリアルタイムで見ているようだ。甘ったれな悟飯のくせに、ぶちキレてその本領を発揮する。それを見守る、ニの線を気取ったピッコロさんという構図だろうか。
番組が始まって一カ月後の2月8日に、「宮下草薙の60分」という生放送の特別番組も一度行ったが、そこで文化放送のパーソナリティーの先輩の大竹まことから二人にアドバイスが送られた。それは大竹が、上岡龍太郎から言われた「芸人は、蝿みたいにぶんぶん飛んどりゃあ、ええやん。物事には中心があるだろ、蝿は、中心がうんこだとしても、ぶんぶんぶんぶん飛んどらあ」というものである。良い言葉だなあと思っていたが、二人はピンと来ていなかった。十数年後にどっかで気付いてほしい。
この時間とこの場所、この分数、この感じで、百回、ニ百回と続いてほしい番組である。
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— 芽むしり(RN電柱理論) (@memushiri) 2020年3月8日