石をつかんで潜め(Nip the Buds)

ex俺だって日藝中退したかった

ヒライの大江戸カツ丼とミニうどんセット

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 『せっかくグルメ(2020.3.2)』で、日村さんが熊本に行っていて、そこでヒライを紹介されていた。ヒライとは、熊本のそこかしこにある弁当屋でありそこには、食券制のイートインスペースもあり、大学生時代に熊本に住んでいたころは週に2~3回ほど行っていた。店舗は違えども、そんな見なれた景色に日村さんがいて、何百杯と食べたうどんをすすっている姿や、同じく何百杯と食べた大江戸カツ丼をテレビ越しで見た時にとてつもなく不思議な感情になって、泣きそうになってしまった。
 朝までバナナマンの『WANTED』を聞いたりテレビの録画を見たりした後や、スピリッツで「ボーイズオンザラン」の青山戦を立ち読みして興奮したあとに食べた夜食のようなうどん、友達なんて誰もいないから、騒いでいるだけでただ詰まらない奴らと見下していた人たちを避けるように食べに行った昼食としての大江戸カツ丼、バイト終りツタヤでミリオンガールズを中心にAVを借りた後に食べた大江戸カツ丼とミニうどんセット。ヒライのイートインスペースという風景は、自堕落な大学生活そのものだ。
別にそこに日村さんがロケで現れたからといって、そのころの自分は何も成仏することはない。
 当時の自分は、才能がないと思い込んでいた。今は、才能という言葉すら、幻想であると思っている。実際、僕には才能がある。それはラジオに継続してメールを投稿出来たという才能や、ブログにでも文章をアップし続けるという、続けるという才能。才能というのは、好きなことを続けられるかどうか程度であるということまでに、その言葉のハードルを下げることが出来ていたら、今はライターか構成作家にでもなれていたのかもしれない。
 しかし、大竹まことが「俺たちはどう生きるか」で、「栄光をつかんでいたら、この場所にはいない」という旨を書いていたように、そうしていたら、僕もまたここにいない。
 M-1の感想を書いたあと、他の人たちの感想も読んで、その面白さに悔しがったりしたのだが、どの文章にも、ぺこぱの漫才の「正面が変わったのか」というくだりを発明と評した人はいたが、「漫才の断面図を始めてみた」ということを言っていたのは、僕しかおらず、それこそが、自分の文章における強みなのだなと、自信が持てた。おそらくこれは、2ちゃんねるの実況板のノリのように書いたことであり、ずっと2ちゃんねるの実況板を見ていたからこそ書けたと思っている。
 先日、一年もかけてしまった同人誌のデータを出版社に送り、今月末には出来あがった本が届く予定だ。一年もかけるなよ、と思っていたが、一年もかけなければ、後半の空気階段単独、大江健三郎アンタッチャブル復活のことを入れることが出来なかった。結果論だが、やっぱり「今、少なくともここには、いない」ということになる。特に狙ったわけではないのだが、気付く人がいれば良いというレベルだが、上手く円環構造になっていた。
 なるべく安くするためにとまた100冊も刷ってしまった。そもそも前のものも半分以上まだ残っている。一冊1000円と送料で1400円になると思いますので、正式な報告を待っていただけたらと思います。100円貯金して待っていてください。一冊買ってもらったら100円ほど、僕が黒字になります。

 表紙もめちゃくちゃ最高なやつを書いてもらいました。それはまた後日。

 目次は以下の通りです。

【目次】
・人生で、東京60WATSの「外は寒いから」を聞きながら引っ越しをした回 
・ベストラジオ14 
・伊集院さん、センキューです!
バナナマン設楽統の「伝えなくちゃ伝わんないんだよな。」
の系譜
・ペポカボチャの呪い
・『TITAN LIVE 20YEARS anniversary』
・全力TVウォッチャー 福永雄一
・「それは愛であり、病気だよ」
バナナマン単独ライブ『Life is RESEARCH』
・ベストラジオ15
・当たり前を迂回したその先にある当たり前
・生駒ちゃんなりの「笑顔でさらば!」
・ベストラジオ16
バナナマン単独ライブ2017『Super heart head market』
・ひと目惚れさせる男、神田松之丞
・『We Love Television?』=『大日本人』論
・ベストラジオ17
・世に万葉のでたらめが舞うなり『爆笑問題30周年記念単独ライブ「O2‐T1」』
・『M‐1グランプリ2018』での立川志らくは、漫才をどのように審査したのか。
空気階段爆売れ前夜譚その壱~ドキュメンタリーラジオ『空気階段の踊り場』はクズと泣き虫のドンフライ高山戦~ 
・悪意ある良問のパレード『オールスター後夜祭‘18秋』
・オードリーとリトルトゥースたちのあくまで普通な祝祭
・1000年使える笑いの教科書『今夜、笑いの数をかぞえましょう』
空気階段爆売れ前夜譚その弐~鈴木もぐらの恋は永遠、愛はひとつ~
岩崎う大の偉大な才能が花開く劇団かもめんたる
・令和元年のタイタンライブ
・壁を殴るしかない夜に僕たちはどう生きるか
ガゼッタ・デロ・オワライーノ 上田晋也特集
空気階段爆売れ前夜譚その参~空気階段第三回単独ライブ
『baby』~
・魂をサンプリングするということ
・おかえり、アンタッチャブル
・産まれてきただけでステッカー

 

 計32本で約15万字で、前回と比べると、1.5~6倍の量となっていて、基本的な文章は、このブログにアップしているのですが、そこに加筆修正をしているので、完成形を10とすると、ブログにあるのは7から8ですので、まあまあ直しております。ブログは、クイック&ダーティーでやっていることがほとんどで誤字脱字もありますし、しかもオチていなかったりすることもあるので、そこら辺を綺麗にしました。
前回の「俺だって日藝中退したかった」と合わせると、このテン年代に何を見てきたのか、何を考えていたのかが少なからずまとまっているかなと思います。
 ただ、文章について、明確な意識の変化があって、「邪悪な人間、濱田祐太郎」を書いた時、このヒラギノ遊ゴの悪口メインだったので除外しましたが、あの文章がいつもよりも反響があったことで、自分が出来ることが見えたような気がしたからです。
例えば、お笑いに関する文章を書いているブログで有名どころがあると思いますが、そこを読んでいて、そこで取られている手法を取捨選択しながら、やっと型を見つけることが出来たなあと思います。
 何かお笑いの事件があると、是非論になってしまうのがとてつもなく居心地悪くて、他者と他者を接続するお笑い評論というのは、これからもっと必要になってくる。女性にとってフェミニズムが武器たりえるように、戦うための武器としてのお笑い評論。
それをするために演芸史に限らず、様々な世間のことを勉強しないといけなくて、それが足りないのは重々承知なのだろうけど、それをやるのと出来るのは、僕しかいないんじゃないだろうか。
 ああ、すいません、うぬぼれの才能があったの忘れてました。