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アメリカの底力がフルスイングで解放されたドレッドノート級の超絶ウルトラCモリスエ傑作「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」感想(ネタバレあり)

スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」見てきました。もう、とんでもない、アメリカの底力がフルスイングで解放されたドレッドノート級の超絶ウルトラCモリスエ傑作でした。大喜利の正解を出し続ける演出、「親愛なる隣人」「大いなる力には、大いなる責任が伴う」、そして「運命を受け入れろ」というスパイダーマンのテーマを、スパイダーマンだけじゃなく、映画として達成している。えげつねえすよ。同人誌とか言われているけど、よーけ知らんけど、めちゃくちゃ権利関係もガチャついているようで、そこらへんをクリアして成し遂げているから、凄いわけで、自由に書ける同人誌とは全然違いますよね。

初代のトビースパイダーマンは好きで、アメイジングスパイダーマンは見ていなくて、アベンジャーズシリーズをほとんど知らないというから最近MCUスパイダーマンを見てから行ってきたという熱心なファンではないにも関わらず、こんなに感動したのだから、古くからのファンはもっとでしょう。

以下、ネタバレ。

 

何より一番感動したのは、ドクターオットを、MCUスパイダーマンが治療したことで、あっこのシーン、えげつないほど、エモスペシャルでしたね。単に、初代スパイダーマンから時を経ての救いというだけじゃなく、アメリカがやってきた政治的なことへの自己批評にも見える。他にも、トムホスパイダーマンの代わりにアンドリュースパイダーマンがMJを助ける。アンドリュースパイダーマン見てないけど、さりげなくその前の会話で、フっていたので、あの演出の良さに気づけた。トムホスパイダーマンがグリーンゴブリンを殺そうとした時に、トビースパイダーマンが止めるのも、あああとなる。時間を積み重ねたことで深みが増すのは、シン・エヴァンゲリオンドラクエ12、キン肉マンなどにもあって、高尚ではないカルチャーでしか到達できない高みもあるってことですよ。

 

脚本も上手すぎたんだけど、何より、「スパイダーマンの正体がピーターパーカーであることを知っている者が来ている」ということで、過去の敵がやってくるということは知っていたけど、そこに、トビーマグワイア、アンドリューガーフィールド演じる、ピーターパーカーが連れて来られていることが分かるところ。確かに「スパイダーマンの正体がピーターパーカーであることを知っている者が来ている」わけで、この脚本の、嘘を吐いていないところがめちゃくちゃ好き。綺麗に騙された。いや、騙されたんじゃなくて、勝手に勘違いさせられた。フィクションでこれをやられるのがめちゃくちゃ好きなので、最高だった。

あと、これまでリブートだからということで、蜘蛛に噛まれたところやおじさんが死ぬところなどを省略しておいて、でも、ノーウェイホームで、おばさんが死んでしまうところも、ちょっと凄すぎる。構成も見事で、前半にアクションたっぷり見せて、中盤はアクション以外の見せ所を作って、また後半は大乱闘アクション。合間合間にギャグをまぶすのを忘れない。ほんと、凄い。

 

呪術廻戦の乙骨パイセンが、エヴァのシンジくんをやっている緒方恵美だということと、キャラクターも相まって、シンジくんだと言われているのだけれど、トムホスパイダーマンもかなり、状況はシンジくんですよね。トムホスパイダーマンのホームカミング、ファー・フロム・ホームを見た後、いやこれ、ヴィランが生まれた理由、アイアンマンの、時として残る「恨み」というカスの後処理じゃねえか。

そのくせ、アイアンマンに叱られる。初見Qの時のミサトさんくらい理不尽に思えてくる。マニュアルもちゃんと作ってないのに、仕事でミスするとめちゃくちゃ使えねぇやつ認定してくる老害野郎じゃねえか。ノーウェイホームでも、魔法使いも、全然話聞かねえし。こいつら、大人としての役割を全く果たしてねえ。大いなる力に伴う、大いなる責任が全然出来てねえ。トムホスパイダーマン、そりゃミスするわ。

 

最後に、ハッピーがCPAPつけているという映画で、マジでどうでもいいシーンがあって、それは深夜ラジオリスナーじゃなかったら笑えなかったので、ラジオリスナーで良かったなあと思いました。

 

 

 

 

アメスパ見たりして、もうちょっとしがみます。