石をつかんで潜め(Nip the Buds)

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スカート×街裏ぴんくツーマンライブ「VALE TUDO QUATRO」(配信)感想

 大阪・梅田CLUB QUATTROで開催された、スカートと街裏ぴんくのツーマンライブ「VALE TUDO QUATRO」を配信で視聴しました。

 単なる、交互に歌とネタを披露するのではなく、二人が喫茶店に集まり、このライブの打ち合わせをして、そうなるならこうなるよね、それって最高だよね、と話し合うという、ある意味では「有り得たかもしれない未来」問題を孕んでいるような、練られた構造になっているライブだった。

 元々、街裏ぴんくの漫談は、存在しない話を延々としていくなかで、その嘘が一縷の現実を宿すという、虚実の皮膜を突き破るカタルシスを楽しむという、言ってみれば脳への負荷が少なくないネタなのだが、スカートのナイスなポップソングが、何故なのか、本当にそうなのか分からないが、その嘘と本当の境目が、薄皮あんぱんの皮ぐらい薄くなったような気にさせられて、わかりやすく揺さぶられる。これは、仮に同じネタを同じ順番でぶっ通しで観ても、この感触にはなっていなかっただろう。スカートの澤部のセリフの「サウナと水風呂」というのは言い得て妙だったが、ポップソングの、カルチャーと接続せんという本能の強さを垣間見れた気がした。

 この、街裏ぴんくの、嘘なのに本当に聞こえるけれど笑いが生じるということは嘘だと認識しているという入れ子構造というか、メビウスの輪のような構造が、いつもよりもくっきりと見えて、脳が悦んでいるのが分かり、街裏ぴんくの藝における、有り得たかもしれない完成形の萌芽を感じていた。

 スカートの演奏で、街裏ぴんく真心ブラザーズの「サマーヌード」を熱唱するという、街裏ぴんくのネタのような本当に見た、多分、それは本当にあったと思うパートで、一つの山場を迎えたが、そこから、澤部がトイレに行き、街裏ぴんくが「このライブ、見えてきたな」というフってからの、スカートの「視界良好」、そこから街裏ぴんくのショートネタと、スカートの短い楽曲を3つずつ、交互にかけ合い、続いて街裏ぴんくが金属音を作っている工場に行く「カンカン音」からの、スカートの「ODDTAXI」という、13ターン目以降の後半はずっと、うねっていた。スカートひとりでの「ODD TAXI」は、PUNPEEパートのラップが超良かったが、一番は、街裏ぴんくのネタの後に、スカートが、はははっ笑いながら、名曲「Aを弾け」に入ったところは、抑圧からの解放であり、このツーマンは、これを観れただけでも最高のものだった。

 巨躯の才能がぶつかり合いスパークしているのを目の当たりにして、早く観ないとと思っていた「聖域サンクチュアリ」欲が霧散してしまったので、宮藤官九郎の「離婚しようよ」が始まってから一緒に観ようと思います。

 というメールを京都αステーションで放送されている「スカート澤部弥のNICEPOP RADIO」のメール投稿フォームに送ろうと思っているんですけど、迷惑ですかね。