石をつかんで潜め(Nip the Buds)

ex俺だって日藝中退したかった

出会って3秒でアウフヘーベン #3

はい、どうもこんばんは。

本当に、申し訳ないんですが、全然、出会って、出来ませんでしたね。

言い訳でしかないんですが、マジで、前回の翌週あたりから土日に用事がほぼ入っていて、今日と明日なんも予定がないのがほんと二ヶ月ぶりくらいっていうくらいに、色々と仕事以外が立て込んでました。あと、やっぱラジオ向いてないというのも、2~3回で実感しましたね。

文学フリマも、開けて今週12月1日になりましたね。

よろしくお願いします。

さて、かもめんたるand劇団かもめんたるの単独ライブ「アックメ」観ました。最終日に駆け込みも駆け込みで観たんですけど、もう毎回、駆け込みになってるこの体たらく、お恥ずかしい限りなんですけど、それはそれとして、面白かったです。この日は、結構、熱が出て、で夕方から家族の用事もあったから、それから帰ってきて、時間的にはギリいけるけど、体調的にどうかなーって悩んでいたんですけど、一本でもネタを見れたら!となって買いました。

で、用事を済ませて、用事っていうのは、家族でお月見をしてきたんですけど、あいにくの天気で、月すら見れなかったんで、ただ外で団子食べただけなんですけど、子は楽しそうで良かったからよしとします。でそっから、諸々、寝かせつけまで終えてから見初めました。

そん時には、もうちょっとヘロヘロなんですよ。気力も時間もギリギリなんですけど、なんとか見ることができました。

いやー、むしろ、この体調で見る方が正解なんじゃないかっていうくらい、38度近くて半ば朦朧としている状態の波長とコントの波長が異常にシンクロして、キマりそうになった瞬間が何個かあるくらい、イルネスだった。イル入ってました。特にほぼ全てのコントのオチが、無茶苦茶なんですよ。これ、かもめんたる以外がやっていたら、放棄しているなとか、良いオチ思いつかなかったなとか、単独の中で一本くらいはこういうオチもまあ許容範囲だよねって思ってしまうけど、かもめんたる並びに劇団かもめんたるに関しては、もうこのオチが普通みたいな感じ。子供の頃、テレビで黒澤明の夢を見た時みたいな。なんか、黒澤明ってめちゃくちゃ面白いらしいよって噂は聞いてて、その流れで、なんとなく見て、こっちとしては面白いの基準が、バックトゥーザフューチャーとか、ホームアローンとか、ベイブとかそこらだから、見て、面食らうみたいな。あ、でも流石にテレビじゃ無いかも。アクメってこういうことかと。媚びてるところが一切なくて、でも、強度だけかっていうとそうでもなくて、なんか、軟体生物みたいなグニョグニョしている気持ち悪さもある。だからもはや、かもめんたるはとんでもない位置にいることはもちろん皆さんご存知だとは思いますけど、劇団かもめんたる、今回はフルメンバーでは無かったにせよ、こっちもとんでもないことになりかけている。やばいっす。劇団員たちも、う大の頭ん中の表現者として、槙尾の代わりとかっていうとこは全然抜けてる。舞台上に二人しかいなかったら、かもめんたるだってなるし、複数人いたら、劇団かもめんたるになる。このラインがパッキリしてきたってことですね。

最初、かもめんたるの単独に行く男女の会話から始まるんですけど、あと、順不同で、「ナンパ」「YouTube」「ブースの外側」「怪談」「漫才」「猿回し」、漏れがあるかもしれませんが。かもめんたるなのは、「ナンパ」「漫才」「怪談」かな。全ネタ、頭おかしかったんですけど、特に好きだったのは、「ナンパ」「YouTube」ですかね。ただ、ラストの「猿回し」はほんと凄かったですね。こっちは万全な体調で見たかった。どっかでかけることは多分無いんでちょっと記録しますけど、これを笑点とかでかけたら、来年の24時間テレビで、誰が走っても3万くらい募金しますけど。

若い女性が、猿回しをやめたいっていうことを先輩に相談しているんですね。で、その理由ってのが、「ペアの猿の顔が細すぎて、生理的に無理」っていう。僕としては、ここで、胸が躍るわけですよね。この理由の設定の凄さというか。本当に針の穴を通すくらいの絶妙な理由。相談に乗っている先輩も、ペアを変えるとかあるんじゃないかとか言っているんだけど、女性の決意は硬くて、もう辞めます、みたいな。で、そこに若い女性の同期っぽい二人の男性が舞台上に出てきて、辞めるって聞いたけど、みたいに入ってくる。空気が全く読めて無い感じで、結構はしゃいでて、そこでちょっと違和感がある。で、槙尾演じる男が、若い女性に告白する。この際だから、みたいな感じで。その槙尾は、会話の中で多分、五十くらいのおじさんってことが分かって、さらに腹捩れるみたいな。で極め付けは、この槙尾演じるおじさんが、最初に相談に乗っていた先輩から、オメーは、そもそも半人前ですらねーんだから、恋愛とかしてる場合じゃねえだろ、年齢的にもとかボロクソに叱られるんですけど、そこで槙尾が、「先輩、あの子のペアの猿の顔に、ドーラン塗って、細く見えるようにしてましたよね」って言って反撃するんですよ。脳、沸騰するかと思いましたよ。

なんかね、この設定で、人間の自分でもコントロールできない感情、これは顔の細い猿を生理的に受け付けないとか恋愛指定しまうのことなんですけど、それを描きつつ、そこはかとなく、狭い狭い極小のコミュニティの発する嫌な人間関係の濃密さとかが詰め込まれてるってすげーなって震えましたね。

 

 

 さて、続いて、浮島ブルーイングでのイベント「男たち、こんな時どうしてる?」感想です。お酒、五杯くらい入っていた割にはめちゃくちゃメモできたので、思い出しレポ。

 とても、満足度の高いイベントでした。体感的には、ヒラギノさんが7割くらい喋ってたけれど、そのおかげで、話がぐちゃぐちゃっとならずに、セクションごとの話が聞けたので、満足感が大きかったのかもしれない。

 イベントは、ミソジニーインセルホモソーシャル、ワイルディング、権力勾配などの、男性学ジェンダー学などで聞く用語が9つほど並び、それを拾って色々と話していくというスタイルで、ワードだけ言えば初心者向けといえば初心者向けなのかもしれないけれど、そこから広がっていく話は、なるほどそういう角度からの視点もあるのかとなったりして楽しかった。ヒラギノさんが「言葉を得ると整理される」「片仮名が多いのは、原始時代だから」と言っていたように、まずは、ここからということだろう。

 特に、個人的に一番、気になったワードは、「権力勾配」。これについて、ヒラギノさんは、「権威勾配」と訳しているとの方が伝わりやすいかもみたいな話をした上で、これについては、「権威勾配は気をつけようがない話」「暴力性を帯びる覚悟=腹をくくる」とも言っていた。個人的に、この権威勾配に対して、まさに、ほぼ早速しくじったとしか総括できないことが自分の身に起こった、つまり他者に対して、坂の上から暴力を振るったばっかりなので、このターンは、興味深く聞いていたし、何より、ここで、人間味のある、「気をつけようがない」「腹をくくる」という言葉をヒラギノさんが出したことで、なるほど、自分は、暴力性があるということはその前から知ってはいたし、そのことは考えてはいたけれど、腹をくくる覚悟がなかったんだな、という気付きを得ることができた。自分が起こしたことは、立場を完全に理解していなかったことに尽きるんだけど。先日、そのことで二人の同期からめちゃくちゃ叱られました。

 そのとき、反論したいことはいくつかあったけれども、傾聴し、しっかりと受け止めました。「その言葉を言われて、その人がどう考えるか考えろ」という、小学校の学級会レベルのお叱りを受けたんですが、一回、これまでの自分をぶち壊そうとなりましたね。これが、ケアとかなのかは分からないですけどね。

 バウンダリーという言葉だけは、あんまり分からなかったので、ヒラギノさんがツイートしていた、バウンダリーを自習、あ、僕は、こういうとき、自習って言ってます、勉強っていうほど肩肘はってやってないし、本を読んで、うっすら実践の機会を待ったり、内面化されたホモソーシャルみたいなのをこびり落とすためのケルヒャーだと思っているから、していかないとなと思いました。

 オチンポ騎士団って言葉があるじゃないですか。ラジオネームじゃないですよ。下心ありきで女性を守ろうとする人みたいな意味で、おそらくこれに絡めた話もしてましたね。で、あと、この言葉、そもそも騎士団がオチンポなんですよ、全員。オチンポ騎士団って、意味として重複しているんですよね。バナナムーンのリスナーメールで「天才設楽さん、異才オークラさん、チンポ日村さん」「全員チンポだろ!」っていうみたいなくだりがあったりするんですけど、オチンポ騎士団って言葉を聞くたびに、この日村さんのツッコミの「全員チンポだろ」って頭の中で聞こえるんですよ。

 セルフケアについてでは、どこからやればいいのかみたいな話で、ヒラギノさんは「書き出す。最近の自分。今こんなことに関心がある。」と言い、「自分を大事にした日があるってバカにな 

んない」とも言ってて、確かになーとなった。

 モバプリさんが言っていた「登園、登校している子が、発熱、怪我などして園や学校から急な呼び出しを喰らった時、時給ベースで考えてしまいがち」という話は、これは、既婚男性あるあるだなーとなった。我が家は完全に僕の収入の方が妻より時給が7億円くらい上なので、耳が痛いあるあるだった。

 このイベントの少し前に、子が怪我をしたという連絡が出勤1時間後くらいに入ってきて、急遽病院受診することということがたまたまありました。僕が仕事暇だったこともあったので、このときは、自分から俺が行くよとなって、思った以上に感謝されたということも直近でありましたし。別にこれ一回に限らず、やってますけどね。やっぱ、時給ベースで判断されていたりするっていう事実は少なからず相手を傷つけるんだなと改めて思いましたね。

 まあ、これは例えば、僕がどうしても休めない時の場合は、補填金として時給や日給の7割程度を補填するという仕組みを導入しました。これは僕が、制度バカを超えた、バカ制度バカバカ制度バカなので、そういうことをしてしまう他の夫婦は自分達で話し合って決めてみてください。

 今回のイベント、ほぼ物見遊山で行ったのですが、ヒラギノさんの印象がめちゃくちゃ変わりましたね。僕は一貫して、ヒラギノさんのお笑い評の、ずれている部分や、理屈としておかしい部分を指摘したので、アンチ認定されていると思いますが、本当に行ってよかったし、個人的に抱いている誤解がなくなった気はしました。むしろ好きになってます。

 多分、お笑いファンが思っている以上に、闘っている人だろうと。ただ、その闘い方は、誤解も生むんだろうなとは思いますね。

 以上!