石をつかんで潜め(Nip the Buds)

ex俺だって日藝中退したかった

正しさと了見について、武田砂鉄『日本の気配』を読んで思ったこと。

 RADWIMPSが、『HINOMARU』という曲をリリースしたということで、歌詞の内容が軍歌的だと批判されたことを受けて、フロントマンで作詞作曲担当した野田洋次郎が謝罪をするということがあった。それを受けてコラムニストの能町みね子は、「批判されてすぐに謝ったのはロックじゃない。そこだけは間違いない。」とツイートした。
 音楽ジャーナリストの宇野維正が、小沢健二のコンサートでの、『改めてすごいなと思ったのは「女子!」と「男子!」じゃなくて「女子の気分の人」と「男子の気分の人」と言う小沢健二のMCのジェンダーへの高度な配慮。ライブも実質上男女の2トップ。そしてステージの36人も女子17人男子19人(確か)とほぼ半々。アメリカか!(いい意味で)』とツイートし、セクシャルな事柄に配慮したことの素晴らしさを讃えていた。
 アルコ&ピースがラジオのスペシャルウィークの企画で、アベンジャーズから、一員であるファルコンを脱退させようという企画をやったところ、ファンから批判が殺到し、炎上となった。
 僕の通勤路の途中に、大きな十字路があり、月曜日の朝は、「辺野古基地はいらない」という旨が書かれたプラカードを持った人たちが立っている。
 能町みね子、宇野維正、ファルコンファン、辺野古基地に対して反対する人達。彼ら、彼女らは、全くもって正しいと思う。
 しかし、それ以上に、拒否反応を示してしまう。
 それは何故か。
 RADWIMPSにロックじゃないといった、能町みね子は、音楽ライターでもないし、ましてや音楽家でもない。にも関わらず、ロックじゃないと断言していることに強い違和感を覚える。
 また、自身が、オネエタレントという括りに入れられた時は激怒していたが、違う畑の人間には簡単にロックじゃないと言いきれる。
 もっといえば、能町みね子のこれまでの言動をみていると、明らかに自身に非があるときでも、一切謝罪の言葉を述べない。そんな人間が他人の謝罪を批評し、ロックじゃないと言えるのだろうか。その三日後に、無粋だけど一応言っとくけど、私が「謝罪したのはロックじゃない」って言ったのは、「似非リベラルの時代にこの歌詞を書けることがロックだ」と言って来た人がいたからそれを揶揄しただけで、「〇〇はロックだ/ロックじゃない」なんて言い方はふだんしないです(ダサいし)」とツイートしていたのだが、それこそダサい。
 宇野維正は、その小沢健二のコンサートに向かう道中のタクシーの車内でのやりとりをこうつぶやいている。『「大阪城ホールまでお願いします」 タクシー運転手「誰かのコンサートですか?」 「はい。運転手さん知らないと思いますけど」 タクシー運転手「誰ですか?」 「小沢健二って人」 タクシー運転手「ああ!かぐや姫の!」 「かぐや姫にはいなかったと思います」』
 何故、タクシー運転手が小沢健二を知らないと決めつけることができるのだろうか。実際知らなくても、このつぶやきから滲み出るほどの選民思想にも近い、上から目線に、たかだか一リスナーがなっていいのだろうか。
 確かに小沢健二の歌はとても素晴らしいが、歌は市井の人のもののはずだ。
 セクシャルマイノリティにだけ配慮し、半径5M以内の他人を下にみるのは、小沢健二を聴く意味はないんじゃないだろうか。小沢健二がライブ会場で歌うヒット曲と、タクシーの運転手が会社の忘年会か何かで照れながら一曲だけ河島英五(この選曲も先入観からくるものかもしれないが)、価値は同じなんじゃないだろうか。
 アルコ&ピースの企画と、腐女子として、同人BL雑誌でオカズにすることと何が違うのだろう。
 毎週月曜日の朝は、御多分に漏れず憂鬱だ。仕事に加えて、唯一の趣味であるラジオの投稿を前の日に終える。今週のお題難しかったや、多めに出せたから今週多く読まれるかも、でも無理かなあとか、火曜日のラジオに送るやつは今日考えないと考えて、気を紛らわせる。
 そんななか、老人たちが、「辺野古基地はいらない」という主張のプラカードを掲げても、仕事にもいかないでいいご身分だなという黒い思いが、心のなかで鎌首をもたげる。
 月曜日の朝の僕にとっては、遅刻しないことと、その日の夜にラジオを読まれることだけが切実な問題であって、そういったことに配慮出来ない人たちが理想とする政治に何の意味があるというのだろうか。
 例をすべてあげればキリがないが、インターネットを散策すると、このような、正しさが大通りを闊歩している。しかし、これらのように、必ずしも、正しさが心に刺さるとは限らない。それは生来の気質であるところの天邪鬼にも由来するところだが、正しさアレルギーにある。
 正しさの押し付けやそれだけを求めることは良くないが、正しさアレルギーにある状態も良いとはいえない。なぜなら、それもまた、均衡を保てていないからだ。
 しかし、このアレルギー症状がどんどんひどくなっていっているという自覚はある。
 つまりは、正しいことを相手が言っているな、と思ってしまえば、受け入れたくなくな ってしまう。
 正しさといえば、武田砂鉄の『日本の気配』という本を読んだ。
 この本は、日本の政治についての事柄がとても詳しく書かれており、知らないことばかりが多く、とても勉強になった。そしてとてつもなく、正しさに溢れていた。だからなのか、この本を読んでいる間、ずっと何故、自分が悪いと思っていないことで説教をされている子供のように、ずっと腑に落ちない気持ちでいた。
 ここ最近は、武田砂鉄が嫌いな理由、つまりはこの、えも言われぬ受け入れ難さの根っこについて考えていたのだけれども、何を思い付いても、どの角度で考えてもしっくりくる答えが見つからずにいた。
 本を読んでいると、「皮肉をいわせてもらえば」というような言葉が出てくる。また、他の連載では、「編集者にテーマを決められて」といった言葉も出てくる。著書名が日本の「空気」ではなく、「気配」という理由を書くときもこの二つの言葉の意味を辞書からひいて書いていた。
 武田砂鉄の文章は、保険で足元をガッチガチに固めていて、それでいて攻撃が投石くらい弱くHPを一桁ずつ削ってくるというもので、個人的には、その戦法がとても気持ち悪い、ということに気がついた。
 いうなれば、「その了見が気に食わねえ」である。
 「了見」という言葉は、解釈は正しいものではないかもしれないが、ニュアンスとしては、人間として所属するコミュニティの常識をベースにしながらも、これまでの経験で培ってきた嗅覚のことである。常識は理屈によって構成されるが、了見はもっと生理反応的なもので理屈はあとからついてくる。僕の了見は、武田砂鉄の文章を拒否する。
 当たり前のことだが、人は正しさだけでは生きておらず、だからこそ、正しさだけでは削られないし、削られたくない部分がある。
 正しさも正しくなさも過剰に可視化されている時代ならば、正しさの内側にある、了見をしっかり持たなければならないと強く思う。
 そして、きっと、了見に沿った行動を粛々と継続することだけが、誠実と呼ばれるのだろう。

 

 

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memushiri.booth.pm

邪悪な人間、濱田祐太郎

 

 2018年5月2日放送の『水曜日のダウンタウン』で『「箱の中身は何だろな?」特異な芸人No.1 濱田祐太郎説』が放送されていた。R1ぐらんぷり2018の覇者であり、漫談家濱田祐太郎は、先天性のほぼ全盲目である。そんな濱田祐太郎は、バラエティのゲームでもお馴染み、『箱の中身は何だろな?』が得意であるだろうという説である。
 前の週での予告を見た瞬間から、楽しみでしょうがなかった。個人的には、R1ぐらんぷりで優勝してから、全国ネットのバラエティで見るのはほぼ初めてに近い形になるが、早速「地獄の軍団」の洗礼を受けるわけである。
 スタジオでの千鳥による説のプレゼンが終り、VTRがスタートする。
 そのVTRで、濱田祐太郎は開口一番、「松ちゃん見てる?」と言い、それに松本は「お前は松ちゃんを見た事ないやろ」と返した。
その番組の一場面は、テレビのキャプチャ画像をツイッターにアップしてウケを取っているという一番安易な方法で承認欲求を満たしている、テレビの画像をアップしているというだけでフォロワーが多い、日常のつぶやきやボケツイートをしてもそれらの何分の一もお気に入りされていない人達もここぞとばかりにツイートし、拡散された。お前らは、稲村亜美に群がった中学生か。
 それはともかくとして、このやりとりについて書いた、ヒラギノ游ゴさんという方の「松本人志が何をやっているのかって話」という駄文を目にした。
千鳥の「どういう笑い?」をマクラに使っておきながら、プレゼンターが千鳥だったことを触れないという、「隣の家に囲いが出来たってね」「あそこの長男さん、大学落ちてから十年間引きこもっていたじゃない。最近は庭にまでは出られるようになったんだけど、真夜中に全裸で庭に出て体操したり、一心不乱に正座して念仏を唱えるようになっちゃったから、お父さんが作ったのよ。お父さんももう、年金暮らしだっていうのに、余計なお金使わせちゃって。どうなるのかしらねえ。昔は幸せを絵に描いたご家族だったのにねえ。お母さんも、草葉の陰で泣いてるわよ。」「へ~」という小噺みたいに、フリで失敗しているので、もう、無視してもいいのだけれど、やっぱり腹の虫がおさまらないので、言及します。
 そして、何より<盲者である濱田祐太郎は指先の感覚が優れているであろうという仮説に基づいたこの番組らしい剣呑な企画。>という時点で間違えている。この企画は、「濱田裕太郎は、日常生活が常に『箱の中身は何だろな?』状態なので、そのゲームをやらせたら最強だろう。」というものであって、単純に指先の感覚が優れているというものではない。
 それからも、<このときの濱田祐太郎のボケの核は「松ちゃん」のほうで、「見てる~?」はあくまで定型文をなぞったにすぎないというか、「元気~?」でも「久しぶり~」でもいいわけだ。>と続けているわけだが、良くないだろ。「見てる〜?」じゃないと意味がない。核を間違えるな。ラヴォスの本体は右の小さいやつだし、この場合のボケの核はどう考えても「見てる〜?」であり、松本に対しての第一声が、「元気〜?」でも「久しぶり〜」でも成立するのは清原だけだ。
そもそも、大先輩に対して、ちゃん付けで呼ぶというボケは、下の下であって、濱田祐太郎を舐めているとしかいえない評価だ。濱田が今回に向けてかなり準備しているということは、対決相手として登場した、お盆でおちんちんを隠すという宇宙で一番面白い芸をやるアキラ100%に両手で握手を求めるという動線があったことからも分かるわけだから、松本への呼びかけは、十中八九、濱田が松本の胸を借りる形で仕掛けたと見て間違いない。
 そんなことをする人間が、殆どのテレビ制作者が考えあぐねている中に、自分をフィーチャーしてくれたバラエティに無策で挑むはずがない。じゃなかったら、バリバラでカンニング竹山とブラサカをやってろって話だ。
 その他にも、<そのボケの核「松ちゃん」を素通りして別の"おもしろいところ"を見つけてツッコんで、ツッコむことによってその言葉をボケにする、それが松本人志が近年やっている"お笑い"なんじゃないかというのがこの文章で言いたいことで、このあとのくだりはどうにか話をキレイに着地させようと模索しながら書いたものだ。続ける。>については、少なくとも、僕が中学生のころに見ていた、『ダウンタウンDX』や『HEYHEYHEY』という、対ゲストのテレビ番組ですでに見ていたので、20年前に遡るのでこれも間違えている。<"おもしろいところ"を見つけてツッコんで、ツッコむことによってその言葉をボケにする>は、番宣にきた女優や、大御所俳優にツッコミをいれるこれは、ハライチ澤部が二人の娘とアンパンマンミュージアムに行くためや、オードリー若林がアイスランドにオーロラを見に行くためを筆頭にほとんどの芸人がやってることであって、松本に限ったことではない。
 ちなみに「このあとのくだりは」というのも、テキストのテクニックとして、もう賞味期限は切れている。
 特に醜悪なのが、この部分だ。
 <そして彼が劇場に出ていた頃やっていたお笑いは、それまでおもしろいとされてこなかったことを"おもしろいこと"に変える芸だ。この言葉は定義や解釈で簡単に戦争が起こるのであまり使いたくないんだけど、いわゆる「シュール」というやつだ。>
 ヒラノギさんは平成生まれということなので、劇場でのダウンタウンは見ていないだろう。おそらくどういうネタをしていたのかも知らないだろう。知っていたとしても、『ごっつええ感じ』のコントでもいい、一つの例も出さずに、「おもしろくないということをおもしろいことに変える」という、全ての芸人がやってきたこと、やろうとしてきたことであるにもかかわらず、松本人志のみがやってきたと断言するのはライターとして怠慢以外の何者でもないだろう。すべての芸人を舐めている、まさに逆「火花」状態。
 そして、シュールという言葉で戦争が起こるのは、これまたゼロ年代の終わりの話だ。今お笑いの話でのバルカン半島は、パーパーあいなぷぅが可愛いかどうかだけ。
 とにかく何回もこの文章を読んで、俺の心の中の千鳥のノブが叫んでいたのは「最後の『「ありがてえ…!」に尽きる。』だけで良かったじゃ」だったし、同じく心の中の柴田勝頼に至っては、「ボケがつまらない。以上!」だ。
 アキラ100%と松本への仕掛けから察するにきっと濱田祐太郎は邪悪でクレバーな人間だ。甘いマスクと柔和な声で包みながら、その腹黒さを小出しにしながら、バラエティで色々と仕掛けていってほしい、そう願っている。対決してほしい人はまだまだいっぱいいる。ラジオはそれからでも遅くはない。
 立川談志ジョークにこういうものがある。「とある外国の教授を寄席につれていって、落語を見せたんです。で、そのセンセイ、それ見て笑っていた。終わったあとに、センセイ、日本語がわかるんですか?と尋ねてみたんだ。すと、こう答えた。『いや、わからないよ。でも私は芸人を信用しているんだ』」
 最近は、こういうお笑い評論が目立つし、それがウケるるのであれば、俺はもう、ルドヴィゴ療法で死ぬまでトムとジェリーを見たあとに、戸愚呂と同じ地獄へ行く。
あ、あと、松っちゃんを一番見ていないのは濱田裕太郎ではなく、角田信朗です。
 間違いない!
 さて、前置きが長くなってしまいましたが、僕が言いたいのは、それよりも何よりも、バカリズムの「箱でなくてもいいですもんね」である。
 話を戻すと、千鳥がプレゼンをしている時に、バカリズムはすぐさま、この言葉を発した。松本の返しよりも脳をゆさぶられた。
 濱田裕太郎を語ろうとすれば、どうしても、エクスキューズが出てしまう。濱田が、
R1ぐらんぷりを優勝したときに、ラジオをやってほしいという意見が散見された。これは、活躍してほしいという意味での言葉の現れかもしれないが、その裏には、視覚障害者と、耳で聞くメディアを安易に結びつける、無意識の中の差別が横たわっていると、指摘することもできる。
 しかし、バカリズムのセリフは、それらを超越した視点にあるものであり、ただ、「箱の中身は何だろな?」というゲームを、目が見えない人がやった時のシステムの矛盾をついたものだ。
 「視覚障害者が『箱の中身はなんだろな』をやったときのありがちなこと」「そもそも箱の中に入れられていない」と大喜利の形にしてみれば、その美しさが分かるだろう。
 それだけではなく、振り返ってみるに、この返しの凄さには、本来であれば、松本人志本人が発言すべきものだったはずということが乗っかっている。
 『ガキの使いやあらへんで!』でタカダコーポレーションの大貫さんが発した「女が言うのも変なんですけど、金玉の匂いがするんですよ」というゆるいボケに、「女性のほうが金玉の匂いを知っているからな」と松本は返した。
 この、視点を変えるというよりももっと高次の、脳みそが向いている方向を捻じ曲げられると言い表した方が実感に近い価値観の転換こそが、松本人志の凄さである。それをバカリズムは、松本の目の前でやったわけである。
 「ヒデ、そこにいるんだ」という衝撃。バカリズムは、ファンでも追うのが大変なくらい、鬼のように、作品を世に出しているが、それ故になのだろう。
逆に言えば、松本はほぼ天性に近い形で、その位置にいたわけだから、それはもう一つの教科書をつくったといわれうのもむベなるかなである。『HUNTER×HUNTER』でいえば、松本がキメラアントの王・メルエムであり、バカリズムは、感謝の正拳突き一万回で音速を超えたネテロ会長だ。
 ついでに言わせてもらえれば、もう一人、そのような視点を持っているのが歌手の 竹原ピストルである。松本への思いを歌にした、「俺のアディダス」の一節の「噛み
合ってたまるか。噛みつき合うんだ。 絡めとられてたまるか。一方的に掻き回すんだ。」がある。「アディダスの広告塔」と揶揄して怒られた人とは大違いだ。土曜日の昼公演行くので、みんな挨拶しに来てね~。 
有名なのでいえば、『よー、そこの若いの』の「俺の言うことを聞いてくれ/俺を含め誰の言うことも聞くなよ」ってこういうことなんだろう」もそうで、言葉で遊びつつ本質を突く。
 スピードワゴンの小沢は、俺らの世代でブルーハーツダウンタウンに影響を受けていない人はいないと言っていたが、よもや、歌手とマセキ芸能社の二人が、この視点を受け継いでいくとは思わなかった。
 ちなみに今のスピードワゴンの漫才は、ダウンタウンの影響下から脱した、さながら小沢が好きな音楽のレコードにA面とB面があるように、一本で小沢と井戸田の狂気を楽しめる、二人がそれぞれ売れたからこそ出来る無二の最高な漫才となっている。
長々と書きましたが、あんまり芸人なめんじゃねえぞ、ってことです。
 そんなことしていると、ハライチ岩井に嫌われている朝井リョウみたいになりますよ。

 

生駒ちゃんの「笑顔でさらば!」_生駒里奈卒業コンサート

 乃木坂46の生駒里奈が乃木坂46を卒業するということで開かれたコンサート。それがライブビューイングで地元でも見れるということで行ってきました。
地元と言っても、いうほど地元ではないので公共交通機関を乗り継ぎながら。そういえば、中学二年生のときに、この映画館に行ったときに「2000円を貸してくれ」と言われて、貸したことがあるのですが、いつ返してもらえるのでしょうか。
 ライブは、生駒里奈から溢れる、陽のパワーがそうさせたからか、卒業コンサートでありながらも、エモすぎも湿っぽくもなりすぎないもので、とても素晴らしいライブでした。
 乃木坂46を脱退する理由の一つに、年齢が新卒を迎える22歳に達したからと言っていたからというわけではないけれど、アイドルの脱退というよりは、どこか、違う部署に行くだけの歓送迎会のような雰囲気すらあった。
 生駒がソロ曲の「水玉模様」を歌い終わった後、「全然(歌が)上手くなんなかったな」と秋田訛りで言ったところが、銀杏BOYZの峯田のMCを彷彿とさせたりと、そこにひっかかったのはここにいる中で自分だけだろうなという細かい見どころも沢山あった。
 もちろん、生駒が主役ではあるのだけれども、どの瞬間を見ても一番楽しそうに笑顔で踊っていた中田花奈をはじめとして、生駒へのメッセージの最中に泣いてしまい、客席から「頑張れ」と言われたら「頑張ってるから~」と返した斎藤飛鳥、卒業に際してのメッセージを聞かれたはずなのに「生駒ちゃんには長生きしてほしい」と言ってしっかりウケを取る高山一美、やたら見切れる新内眞衣と、全員らしさ炸裂してて最高でした。
 齋藤飛鳥といえば、「いたいと思えるグループに出来なかったのが悔しい」的なこと言ってたけれど、生駒に取って乃木坂が「ずっと乃木坂にいたいと思えるグループ」になったからこそ卒業したんじゃないかな。憶測や言葉遊びにしかならないのかもだけれど。
 ライブの合間に、ありとあらゆる関係者から生駒へのメッセージが流れるという、演出があり、その一つ一つから、乃木坂46の生駒里奈が、誠実にアイドルをやってきたということの表れだった。
 そんななか、もちろん、公式お兄ちゃんのバナナマンからのメッセージもあった。
カイザーこと設楽統のメッセージ「乃木坂に入ってなかったら、こんなに泣かなかったろうね。でも乃木坂に入ったから、こんなに応援してくれる人が出来たんだろうね(大意)」には泣きましたね。それくらい、設楽統にとって、生駒は泣いているというイメージが強かったのだろう。対するソールこと日村勇紀のメッセージは日村さんらしいストレートな応援。
 バナナマンの単独ライブに、毎回ある「赤えんぴつ」というコントがあり、そのコントは毎回「笑顔でさらば!」と閉められる。
 生駒里奈卒業コンサートは、生駒里奈が一番笑顔で、その笑顔はとても可愛くて、美しかった。最後の最後のコンサートでそんな「笑顔でさらば!」を実現出来た生駒里奈は本当にすごい。
 「生まれてくる時に泣いて、死ぬときには笑ってる」というのが良い人生というけど、思えば生駒里奈を好きになっちゃったのは、クイズ番組で泣いて、それが面白すぎるというバラエティーの女神に微笑まれていた時で、卒業の今日はずっと笑顔で、まさにその格言を体現しきった乃木坂人生なんだな。アイドル人生ではなく、乃木坂人生と書いたのは、おそらく、生駒里奈は、タレントであっても、女優をやっても、歌を歌っても、アイドルを体現してくれるからだと確信しているから。熱心に追っかけていなくても、たまたま付けたバラエティで見かけていたら、きっと手を止めて見てしまうだろう。
 そして、その笑顔を見て、明日も仕事を頑張ろうって思うんだろう。

ベストラジオ2017(2)5~1位

昨日の続きです。どぞ。


5位 『エル・カブキANNR(17.02.25)』

 

 2016年10月の『決戦!お笑い有楽城』で優勝したエル・カブキはその時に、ANNRのパーソナリティー権を獲得していたが、しばらく音沙汰のない日が続いていた。その結果、4ヶ月後に放送された回。AVメーカーのMOODYZの名物企画に『一か月の禁欲生活』というシリーズがあるが、エル・カブキファンはその比じゃない位待たされていたということになる。あの企画が本当に禁欲しているかどうかということに対しては、議論の余地はなく「それを楽しめないならAVを見るな」なわけなのだけれども、この放送も、じらされてじらされて上がりきったハードルをなんなく飛び越えるくらいに面白かったということは議論する必要が無い。
 それはエル・カブキの二人、特にエル上田も同じの様で、パンサー向井の名前を出した後に、「チーターの水前寺清子さんじゃないよ。パンサーの向井さんが。初代タイガー佐山聡さんでもないですよ」というように、相変わらず躁病患者の独り言のような、一人というには文字量が多すぎる言葉の速射砲で間を詰める様は、まさに古館伊知郎イズムにまみれた、放送事故になったら人質の命が奪われる人くらいに喋り倒す。
今更、数年前の『アルコ&ピースANN』で話題になった「平子年齢詐称疑惑の話」から、ライブで撮影に使用した女子高生の制服を「キングオブコメディ高橋さんの忘れものじゃありません」と意を決してボケたのに、磁石の二人がツッこんでくれなかった、でも磁石は好き、という話まで、準備してきたトークからその場で飛び出したネタを、アメ横のたたき売りばりに話していく。
 番組冒頭に、その昔、二人が敬愛する爆笑問題がANNをやった時の第一声が「たけしは死にました」だったということにひっかけて、「太田光は生きてます」にしようかとしたが、少しの勇気が足りずに、出来なかったという話も良い。
エル上田が言うとおり、「(エル上田を泣かせるために募集した)泣かせメールのほうは皆さんの力不足で跳ねませんでした」というハプニングはあったものの、二時間走りきっていた。藤原さんという名前が出た時に、エル上田が「カールゴッチ」とつぶやいた時は、『1984年のUWF』を読んでいて良かったと思った。
ちなみに「俺らラジオとかたまに出させてもらってるじゃん。その時にさ、だから実は沖縄から出待ちしにしてきてくれた人がいるのよ、去年。沖縄とか広島から見に来てくれて、都内に意外とファンがいないっていう、俺ら知らない間にドーナッツ化現象があるんだけど、こういう漫談ってどう?」と一部地域とのお別れになる、ラスト三分にねじ込まれた、この沖縄のファンっての僕です。

 

4位 『ウエストランドのANNR(17.06.24)』


 タイタン所属の漫才コンビウエストランドがANNRのパーソナリティーを担当した回。
 ウエストランドは二人ともお金がないとのことだが、そんなお金のない二人の「『ABCグランプリ』の準決勝に出演するための大阪出征」トークは哀しくも笑える最高のものだった。井口は冒頭で、せっかくこんな場をもらえたのだからリスナーの価値観を変えるラジオをやると豪語していたが、その後のトークでは「結局お金がある方がいい」という確認してしまっただけだった。
 そもそもウエストランドが、お金がないのは、その芸人としての位置にあるという。
井口は、「ちょうど賞レース準決勝とかで落ちるようなレベル、たまに深夜のテレビに出てますよくらいの芸人。そうするとライブのオファーは結構ありがたいことに入って、ライブで埋まってなおかつオーディションが急に降られたりするでしょ。突然のオーディションに対応するためには、バイトもどんどん出来なくなる、そしてバイトを一回辞める、その時すでに三十を過ぎている、そうなるともうバイトを始められない、そうなるとほんとにお金がない、そういうことになってくるわけですよ。何も払えない。」だと説明する。
 奥さんがいる河本には少し余裕があるようだが、独身の井口はかなり厳しいようで、家賃も滞納し始めているという。家賃の取り立ての人と「来月の給料で、ひと月分の家賃と滞納分の一部合わせて七万円を支払います」という約束をしたが、いざ給料日になったらその月の給料が六万だったという。愕然としながらも、そのことを取り立ての人に伝えると、怒られるどころか逆に「ちゃんと食べれてますか?うちの関連会社のNPO法人で、ご飯提供するサービスもありますんで、そちらどうですか?」と言われたという。「僕、炊き出し紹介されたんだよ!」と井口は嘆く。
他にも水道を止められたので、公園の水道で顔を洗ったことを話す。「もうそういう人ですよ。」「彼らじゃん」のやり取りはつらい。
 そんな時に、ウエストランドの二人は、『ABCグランプリ』の準決勝に参加するために、会場がある大阪に行く必要が出来た。大阪に自腹で新幹線で行く後輩もいる中、二人には大会が用意した深夜高速バスに乗るという選択肢しかない。
ウエストランドは、ほぼ芸歴が一番上なので、同乗している他の芸人に気を使われてる感じがする。実際、同じくらいの芸歴のラブレターズも同様に、バスは満席だったにも関わらず、溜口の隣は空いていたという。
 トイレ休憩によったパーキングエリアでは、suicaに1,200円と現金が何十円かくらいしかないので、井口は「後輩に捕まると、奢ってくださいよというか、奢らないといけない空気になるから足早にトイレに行って、あのパーキングで過ごす15分誰にも見つからないようにように。そうしないと奢ってくださいよってなったら、いや待ってくれって話になりますから」と話す。
何回目かの休憩の時に、井口は喉が渇いたので、少し奮発して250円のココアを買ったにも関わらず、不幸に見舞われる。
「バス着いて、まあ、窓際の席に座ってましたから、そこに座ろうとした瞬間、手が滑ってココアが全部こぼれて、せっかく250円も、250円もすんだよ!250円てめちゃくちゃでかいですよ。」
 その上、一番後ろの席に座っていたために、どんどんココアはバスの廊下を進んでいく。そのことに気付いた全く関わりのない後輩に「ココアこぼれてるよ、なんだよ!」「ココアくせえな」と言われる始末。最後に運転手に「全部ちゃんとふけ!」と怒られたという。
 河本は河本で、胸に忍ばせておいたウイスキーのボトル瓶を呑んでいたので着いたらべろべろだったという。
 0泊三日で大阪まで行って「しっかり落ちていた」という、このまま、フラワーカンパニーズ「深夜高速」が脳内で流れたくらいに哀しい話でした。
 これは余談ですが、4位のエル・カブキのANNRとどっちが面白かったかということを凄く悩んだんですが、ウエストランドは二人の掛け合いが心地よかったという点、「キャンプファイヤーふとし」のコーナーが良かったという点においてほんと、僅差でこっちでした。これは好みです!
 そしてこれは関係ないですが、最近賞レースで審査員が「好みです」という言葉を使うことに関して、審査員ならもっとちゃんと技術とかを説明してほしいって怒る人がいるんですけど、審査員というのはその道のプロ中のプロなので、そういった人達の、好みが知れるという一点でも、僕はその言葉は賛成です。

 

 ベストラジオ3位の発表の前に、ラジオリスナーとして捨て置けない私的なコアの部分を刺激されたコアラジオを紹介したいと思います。もちろん、「次点」を格好良く言っているだけです。
 『アルコ&ピースDCG(17.09.05)』の「平子の家族旅行」なんかは、その前の免許を取るから繋がっているだけでなく、その話の中でも、いくつも展開があって、かつその後綺麗にまとまったりして良かったです。
 今年聞いたラジオの中で随一にくだらなくて本当に笑ったのは『伊集院光 深夜の馬鹿力(17.9.25)』の「マルサの内偵」の回。伊集院が雑誌で国税局の査察の苦労話について書かれた記事で、風俗店が収入を過少申告するために使う手口の一つに「普通のサービスで得た料金以外に、オプションの料金を帳簿に載せない」というものがあるということを知る。そこに書かれていたのは、国税局の局員は、そういったことをしている疑いのある風俗店に行って、オプションを相当頼み、そうして、査察の時にオプションの料金が帳簿に記入されていないということを指摘するという。
その時のやり取りを伊集院が、「国税局だ。査察に入りました。帳簿見せて見ろ。この日全員、誰ひとり、オプション頼んでる奴、うんこ食ってる奴ひとりもいねえな。誰もやってねえなって。全員オプションやってねえなって言ったら、それを後ろのところから多分、客になって行った奴が、僕に見覚えはありませんか!あの時、パックパクうんこを食っていた私ですよ。うんこ食いフィー23,000円払ったはずですが、しかも四日連続でねえ!帳簿に載っていませんが!これ俺の作ったやつね、今のところは。」「領収書に書かれているこのUK、うんこっ食いですよね」と妄想する。
僕はもともと伊集院さんの「うんこっ食い」という、そばっ食いみたいに言うのが好きということもありますが、それを差し置いても、迫真の演技でそのくだらなさにリアルさを持たせたこの正味5分ほどのトークは、本当に最高だった。
 ちなみに『日村ゆく』で知ったのですが、本当のうんこっ食いは抗生物質を食べているので良い子は真似しない方がいいです。多分死ぬ。
 『オードリーANN(17.08.05)』は普通の回なんですが、若林がご機嫌なのか、終始、春日の家族をいじるという放送で、ただただ笑いました。笑いの量では一番かもしれないです。
 
 3位 『爆笑問題カーボーイ(17.07.25)』「キング大集結SP」

 

 『爆笑問題カーボーイ』は2006年から、年内最後の放送に、その年に活躍したメール投稿者五人が争う「メールNo.1グランプリ」というのを行っている。そして今年は番組の放送開始20周年というアニバーサリーイヤーでもあるということで、「メールNo.1グランプリ」のチャンピォンと一緒に公開生放送が行われた。
会場は、冒頭の挨拶から声が裏返った田中に爆笑、モデルガンを発砲する太田に大興奮と異様な熱気に包まれていることがラジオを通しても伝わってくる。
 歴代キングが、一番読まれて嬉しかったメールを紹介する中で、RNステイゴールドさんがCD田中のコーナーで殿堂入りを出した回をあげる。その殿堂入りかどうかを決める当人である田中が、ステイゴールドさんに向かって「でも、殿堂入りって嬉しいもんでしょ」というと、太田に「自画自賛だな、自分の作った賞に対して」とつっ込まれる。すると田中は「めったにないじゃん!」と返す。それは過去に田中が太田に馬鹿さを責められたときに発した「俺が馬鹿なんじゃない、俺の脳が馬鹿なんだ」を彷彿とさせた。
 そして、RN公園のロケットさんが嬉しかったメールが「もしも猫が人間並みの知能を持って、人間と争うようになったら、田中さんはどちら側につくんだろうか」というもの。それは実は、田中の「人間と猫が戦争したら、猫側につく」という今でもバラエティで聴く話のきっかけになったということが発覚したりしたところも驚きだった。
あと、有名人リスナー枠としてゲストに出ていたケイさんこと相席スタート山崎が、歴代キングの中で誰が好みか訊かれた時に、個人的に仲良くさせてもらっているRN犬大丈夫さんを選んだことも、嬉しかったです。RN犬大丈夫さん、しゅっとしてるんだよ~。
とまあ、リスナーになって17年ほどですが、聞いていて幸せな気持ちになった放送でした。

 

2位 『バナナマンバナナムーンGOLD(17.04.22)』「ラジオコントSP」
 衝撃度合いでいえば、今年一番だと断言していい、実質一位のバナナムーンでのラジオコントSP。あの生粋のトンコ職人であるバナナマンが、ラジオコントをやる。まさに大事件。
 この日の放送はバナナマン設楽の誕生日の週ということもあり、毎年恒例の、同じく誕生日で友人の森山直太郎が電話越しでバースデーソングを歌い出すも何がしかに邪魔をされるといういつもの茶番が繰り広げられている中、今年は、三浦大地がスタジオに登場して歌いはじめたり、森山直太郎が歌う「さくら」に合わせて三浦大地がダンスするということもありつつ、スタートから盛りだくさんの内容になっていた。
番組開始一時間ごろに始まった、ラジオコントには東京03からはお尻を舐めたげない方の飯塚、角田が、さらに、チャランポランタンのももと小春二人が参加。ラジオコントはバナナマン二人の声が若い、昔の音源を流した後に、カッコいい音楽が流れる。それからは、ほぼ新作という豪華さ。まるで、昔のフジテレビのコント番組を見ているかのように矢継ぎ早に新作のコントが繰り広げられていく。
聞き終わった後は、「これこれ、『ペポカボチャ』に到達する前や『シャブリナコメディ』みたいなこの、どろっと濃くて、しつこくて陰湿な、でもどこかカッコいいコント。この空気がきっかけでバナナマンのことを大好きになったんだよ・・・・・・」と噛みしめていた。
 翌週は、バナナマンの二人は、「(先週のラジオコントSP)割と、聞いたって言われて。評判良かったんですけど」「ヒムペキグランド大賞とかああいうのは恒例でやっているけど、まあ、年に一回、二回、恒例にやってもいいのかな」と振り返っていたのも嬉しかった。
 余談だけれども、今年のバナナマンの単独「Super heart head market」がここ数年でも出色の出来栄えだったのは、このラジオコントSPがいい具合に準備運動としても機能したのではないかと思っている。
 ところで、番組10周年イベントってどうなったんですかねえ。100円玉貯金して待っているんですが・・・・・・。

 

1位 『伊集院光 深夜の馬鹿力(17.06.27)』「初めてネタメールを採用された」

 

 ラジオはもっぱら、聞く専門で、これまでに少しだけ何回かネタメールを送ったことはありましたが、採用されることは特にありませんでした。それが何故か、今年の下半期に入ってから、ちょっと真面目に取り組んで見ようという気持ちが湧き、ネタメールを書き始めました。ネタを投稿すると言えば、高校浪人をしていた時、一回「爆笑問題カーボーイ」のCD田中へハガキを書いて送ろうとしたこともあります。その時は、急に恥ずかしくなり、ハガキを、コンロで火をつけて燃やしてしまいました。もしその頃から我が家のコンロが、電気だったら、それが採用されていたら、
そんなもしもに思いを馳せつつ、そこから、17年の時を経て、その自意識の呪縛はいつの間にか無くなっており、「読まれないということは全否定ということではない」「読まれたら御の字」という当たり前のことに気付きました。
 とりあえず一番考えやすいことに加えて、好きなコーナーの、深夜の馬鹿力の新勝ち抜きカルタ合戦改のコーナーに送り始めて三週間ほどして、ついに読まれました。その時のことを思い出すと、今でも高揚してしまいます。
 「ラスト、ペンネーム電柱理論。ろ、六本木心中を熱唱しているオネエに、『勃ててる、勃ててる、おちんちん!』とコールを入れていたときに入っていた、母親からの『お父さんが倒れました、早く帰ってきてください』という内容のメールに気付かなかったのはなんでだろう。ん~、今思えばね、後悔先に立たずだからね。」
 伊集院光が自分のネタを笑いながら読み、構成の渡辺君も笑ってくれたという、これが生まれて初めてラジオでメールを読まれました。
 それからも一喜一憂、という言葉を超越したような感情を抱きながら何とか投稿を続けられている。『爆笑問題カーボーイ』と『ハライチのターン!』でも読まれた。
 「ハライチのターン!」では、ハライチの二人が結構笑ってくれただけでなく、自分のネタを自分ではまったく考え付かない角度で膨らませて、プロってすげえを実感させられた。馬鹿力での「熱が40度あるせいかベージュの洋服でニュースを読む市川沙耶がおっぱい丸出しに見えるので病院に行くのはユアタイムが終わってから」は、伊集院さんがくみ取ってくれたという気持ちで本当に嬉しかった。

 来年は、馬鹿力で「絶好調!」と言ってもらうを最大目標にしながら、カーボーイの投稿増やして採用を増やす、死んでもやめんじゃねえぞを始めとしてその他のラジオでもなるべく投稿することを目標に頑張ります。とりあえず、今年の7月の初採用からの一年は続ける!
 以上が2017年のベストラジオです。

 今年アベレージが一番高くかったのは『オードリーANN』で、毎週楽しみだった。

 全く意味のないやりとりや、若林の春日の父親バッシングに腹をかかえて笑わされたかと思うと、「ワイルドスギちゃんとの思い出(17.12.10)」のような映画みたいに何となくじんわりとした気持ちになるトークも聞けて、本当に良かった。
 『バナナマンのバナナムーンGOLD』は相変わらず、想像が全くできない「ホールインワンを出す」みたいな事件もあったりするわけですから、こっちはわくわくするという。
 ちなみにワーストは、「熱海五郎一座」という舞台のCMを聞いていたら、Take2の二人が、別日に同じ役を演じるという、不仲説の真相が行間から漏れまくってしまっていた、今更不必要に僕らの心をざわつかせたものかにしようかと思ったんですが、審議の結果「番組ではない」という結論に到達したため、今年のワーストは繰り上がりで「藤岡みなみのおささらナイト」で、「藤岡みなみが結婚をさらっと報告をした回」になりました。
 そのぽっかり空いた心には、何となく、聞いてみた乃木坂46の新内眞衣がすっぽりと入っているわけですが。今回はベストラジオには惜しくもランクインしませんでしたが、新内眞衣のANN0はとても良いです。一週間に何本もラジオを聞いていると、さすがにちょっと今はラジオを聞くというテンションじゃないなって思う時があるのですが、そういう時にこのラジオを聞いたりします。何を言っているのかわからないかと思いますが、分かる人にはわかる感覚だと思います。
 来年も超おもしろかっこいいラジオがあると良いですね。よいお年を!

ベストラジオ2017(1)10~5位

 今年で5回目、いよいよ毎年恒例になってきたベストラジオです。過去の記事を見てみると、アーカイブになりつつあって、ラジオが面白限りは続けていきたいと思います。それでは、いきましょう。どん!!

 

10位 『バナナマンバナナムーンGOLD(17.06.10)』「バナナマン日村、ホールインワンを出す」

 

 アマチュアホールインワンを出す確率は12,750分の一らしいが、そのホールインワンを日村が出したまさにその日の夜に放送された回。トークで、生放送の前にタレントのヒロミらとゴルフに行っていた日村がホールインワンを出したことが話題に上がると、「確かに綺麗に打てたのよ。5番アイアン。ちょっと長めのアイアンですよ。ほんと、綺麗に入ったの。設楽さんもゴルフやるから分かるとおもうけど、ぱんって打ったら、はるか先、150Mくらい先にグリーンがあるんですけど、同じ目の高さです。言ったら打ちおろすわけでもない、打ちあげるわけでもない。同じ高さのところ、旗があって、そこにめがけてボールが飛んでってる。本当に旗にめがけてなの。1cmもずれてないの。旗にめがけて行ってるの。これ綺麗に入ったなーって。乗った。当然乗るんですよ。コロンコロンってしたら、はい!消えた!」「とりあえず、カメラもってうわーって走って行って、カップ覗いたら、あるー!!ってなって、うわー入ってる本当に」「大興奮でした本当に。」とその時の興奮も冷めやらぬままに振り返る。
 すると、スタッフがサプライズで急遽作成した、ホールインワン記念Tシャツも登場すると、そのTシャツをリスナーにプレゼントするために、「祝!ホールインワン記念!日村をホールインワンさせるメールを大募集」という展開が始まる。
 「日村をホールインワンさせる」とは番組が出したお題に対して、日村がホールインワンだと思う回答をリスナーが送り、日村本人がホールインワンかどうかを答えるというもの。そこでは、「自分(日村)を乗り物に例えるなら」では「新幹線」、「日村勇紀の半生を映画化した場合の主演」では「星野源」などのホールインが飛び出し、リスナーも日村が喜ぶようなメールを送り、終始、ホールインワンを出した日村へのお祝いモードで、とても幸せな放送だった。
 『バナナムーンGOLD』は毎年こういうハプニングがあり、それだけでも嬉しいのだけれども、それをただのトークだけで終わらせるだけじゃなく、リスナーも巻き込んだ放送にしていく。他には「2017年上半期テレビ出演本数1位に返り咲いたことで、同じくTシャツを作成したり、設楽が家を買ったり、星野源の公式お兄ちゃんになったり、高級マンゴーを奪い合ったりした。
 来年の最強のふたり達の金曜の楽しい夜更かしも楽しみです。

 

9位 『オードリーANN(17.2.26)』「ビビる大木ゲスト回」
 

 以前からちょくちょく、オードリーの二人がトークで、ヤバイと話していたビビる大木が、ついに満を持してのANNに出演した。オードリーは芸人の先輩である大木と真面目な話をしたいにも関わらず、オードリーをとっちめにきたと豪語する大木は、登場して早々にオードリーの二人に握手をさせようとしたり、ひたすらに二人を振り回す。そんな攻防が最高だった回。
 オードリーの二人が、大木が、オードリー若林が『キャプテン翼』の若林源三をもじった若林ゲンゼイとして車のCMに出演したことや、映画『アバター』が地上波初放送される際、 ナビゲーターに就任した春日が全身青色のアバターに扮して「アバトゥース!」と叫んだことを何年経っても未だにいじってくるのが不思議で、何でそんなことをするのかと尋ねると、大木は「最初見た時驚いたのよ」「ついにそこに噛んできたんだあいつ(若林)」「ひっかかってるの俺だけなのかなあ」「月日とともに何となくみんなの記憶が終ってくってなった時に、あ、やっぱりこれは風化させちゃいけないんだなーっていうのが俺の中で芽生えて」「いじったはいいけど、一回ニ回言ったら、CMの終りと同時に何となくみんな終っていっちゃったりするけども、それで終っていいのっていう字も自答だよ」と、その理由を淡々と説明する。それをオードリーの二人はツッコみながら、笑いながら聞いていく。
 その様子から、つるの剛士が言っていた、「クイズでやりにいっている人かどうかの判断は、出したクイズの答えをしっかり言えたのはやっぱり本物だった」という話を思い出さずにはいられない。
 結局、「仕事終わりに、マクドナルドでアイスコーヒーを飲みながら坂本竜馬の本を読みながら、隣に座った女子高生の会話を盗み聞きする」「ジョン万次郎の資料館を見るために高知に一人旅をする」という生態ぐらいしか聞けなかったわけだが
 大木は最後にトッポをオードリーの二人に端から食べさせてから帰っていった。
 ビビる大木といえば、ネプチューン堀内健に振り回されているというイメージがあったが、「狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり」ならぬ、堀内の傍にいすぎたからなのかは不明だけれども、本人も十二分にクレイジーだということを確認できた放送でした。

 

8位 『極楽とんぼの吠え魂(17.02.29)』「一夜限りの復活」

 

 山本が吉本興業を解雇になったことによって、リスナーにとって不本意な形で終ってしまった『極楽とんぼの吠え魂』が、本当の意味での二人での最終回を行うために、10年7カ月ぶりに一夜限りの復活を果たした回。
 そんな悲願の放送が出来たことの喜びに浸る間もなく、放送開始すぐに山本が風邪をひいている疑惑で、加藤やリスナーから責められるという、そんな年月をすっ飛ばすような、先週まで放送していたような通常回モードに入っていく。
 他にも、加藤が山本の卑屈な言葉の数々に「茶ぁ濁す癖ついているよな」と指摘したり、それは良くない、きちんと背負わないといけないこともあるが、山本のこれからのためにも「山本圭壱が炸裂することしかないと思っている」とはっぱをかけたりする。そのやり取りの中で、立ち位置をどうすれば分からなくなった山本が加藤に「お前もうるせえんだよ!」「こっちが言えば、そっちが尻尾とってぶんまわして」とキレ出したのは最高に笑いました。
 小沢健二も『流動体について』で「躍動する流動体/文学的/素敵に炸裂する蜃気楼」と歌っていたが、一年を振り返ってみると、自分は炸裂できたかと自問自答してしまう。
 番組後半には、いてもたってもいられなくなって来てしまうでお馴染の「いてもたっても遠藤」ことココリコ遠藤も乱入し、トーク玉置浩二の「Mr.Lonely」を歌いきった。
 最後には、加藤が「次に進めます。僕ら、だから吠え魂最終回やらせてもらったことで、次の極楽とんぼ、10年間あいだ空きましたけど、またどういう形で皆さんに笑っていただけるか分かりませんし、それがどこまで出来るか分かりませんけれど、こっから頑張っていきたいと思いますんで、一回この吠え魂っていうのをね、最終回迎えて終わらせていただくっていう言葉をこれ、はっきり言わせていただくっていうのは有難かったと思います。」と締めた。エンディング曲はエレファントカシマシ 「俺たちの明日」だった。それはまさに、「本当の最終回」に相応しい内容だった。
 放送の中では、当時のサウンドステッカーもふんだんに使われていて、色々なことを思い出した。
 事件の当時、ネットしていない地域に住んでいた。もちろんradikoなんてものはないので、リアルタイムで聴取することが出来ず、2ちゃんねるの実況板に張り付いて、リロードしては増えていく文字だけを眺めていたことだとか、もっと遡って、高校生の頃、こちらも当時ネットされていなかったので『めちゃ×2イケてるッ!』で番組名がいじられていることでしか知らなかった『極楽とんぼとび蹴りゴッデス』の「本気喧嘩マッチSP 」を見て興奮しながら、そのまま流れるようにちょうどその日が初回だった『極楽とんぼの吠え魂』を聞いたこと、初期はフリートークは最高でコーナー弱かったなあとか、絨毯をクリーニングに出して揉めた「絨毯訴訟」はあの年のベストトークだったなあとかを思い出した。
 『極楽とんぼの吠え魂』、『加藤浩次の吠え魂』リスナーとしても、本当に聞けて良かった回でした。

 

7位 『オードリーのANN(17.12.17)』「豊島公会堂の思い出」

 

 爆笑問題の『検索ちゃんネタ祭り』にここ数年出場しているオードリーの二人は、その収録の時期になると、若林は爆笑問題くりぃむしちゅーに憧れていたので二人の前で漫才をするということが感慨深いという話をするのが恒例となっているが、今年は、その話から、高校生の頃にアメフト部の練習の帰りにバスに乗って、春日と豊島公会堂に見に行った「ギャグコレクション」というライブについての思い出が長めに聞けた。
高校生の春日が「もし一回も笑えなかったらどうしよう」「俺が笑えなかった場合自分のほうが上になっちゃうから、そしたらその先何で笑えばいいんだろう」と言っていたにも関わらず、隣に座った若林が「聞こえないからうるせえな」ってなるくらい前説から爆笑していた話や、初めて見る生の爆笑問題は、何故か爆笑問題の太田が噛みまくって、それで笑いが起こるという漫才を見た高校生の若林は「いや、そういうんじゃねえんだよなあ、見たかったの。」と思った話をする。それを聞いた春日は「生意気な奴らだな!もう絶対行くなよ、お笑い見に。めんどくせえから!」とツッコミ、二人で爆笑する。
 若林が十何年後に太田にそのことを話したら、恥ずかしがって「それはごめん、それは申し訳なかった」と謝られたという話もとても良い。
 そんな『検索ちゃんネタ祭り』で披露された漫才「CR春日」は、ラジオでのやりとりを彷彿とされるやりとりや、ボディビルとエアロビという春日が「なんでも屋」としてバラエティで習得した新たな武器がふんだんに盛り込まれている、アップデートしながらも多幸感はそのままの漫才で、それはもう見事な豊島公会堂の間(ま)でした。
 思い出話といえば、お笑い芸人のほうのスギちゃんではなく、高校の同級生の「ワイルドスギちゃんの話(17.12.10)」もノスタルジックで、そのまま小説として読みたくなるような味のある話でとても良かった。高校生のころからワイルドスギちゃんに「ジャリ(若林)も喧嘩とかしたほうがいいよ」と言われていた若林が、最近になって偶然再会したら同じことを言われたという話はたまらなく愛おしい話だった。

 

 6位 『伊集院光 深夜の馬鹿力(17.12.12)』「ヤギの怪獣・ヤギゴン」
 

 伊集院光がMCを勤めている『100分 de 名著(NHK)』という番組は、伊集院曰く「名著の力が強すぎてちょいちょい気持ち悪いことを言ってしまって、しかもOAされてしまう」とのことだが、先日スタニスワフ・レムの小説『ソラリス』が取り上げられた時に、伊集院がうっかり番組内で話してしまった「ヤギの怪獣・ヤギゴン」について話した回。
 『ソラリス』には、記憶から物質化された存在に蝕まれていくという話があるのだけれども、そのことについて、番組で解説のために出演している先生は、「昔自分の自殺した女が出るってパターンよりも、始末が悪いのは、やらなかったものが出てくる」ということを一所懸命話しているのだけれども、伊集院はその途中でピンときてすぐに理解できたと話す。
 その理由と言うのが、「高校行けなくなって自分の中の心がかなりやべーことになっている時に、ヤギの怪獣、いつもヤギの化け物が、この世の中を端から食えばいいって思ってたんです。」と話しだす。そして、「あれが出るってことだ」「本当にあったやつよりより始末が悪いのはそういうことで妄想だったり、こんな奴世の中いたら終わりだって思っているようなやつが送り込まれちゃう。自分の心の中の一番出てほしくないやつが、そのどうやらソラリスによって実物化されて来るわけだから」ということで理解したという。
 その話を収録中にした時に、先生はどんびき、アシスタントの女性アナウンサーはグンびき、ゲロびきしたという。
 伊集院は高校生の頃に、学校に行かない日は、あらかわ遊園地に何となく行っては、ヤギに今までの自分の写真をヤギに食べさせるということをしていたという。
そこから、「世の中全体をヤギが食べればいいって思ったんです。で、その僕の想像が作ったのが、ヤギの怪獣が全て僕の周りの世の中を食べ終わって、ヤギともう俺と空間だけになれば、どんなに楽かって思ったわけです。」「自分がこうやって立ってる。前にヤギがいて、その周りの風景が全部一枚の書き割りみたいになって、それを端から、ヤギが食べ始めるっていう、で、その食べ終わったところは、無だから、その無の中にヤギと俺がいる世界になってくれれば、今よりは楽っていうそういう考え方」と話す。
「だから病んではいないんです!」「今のコンプライアンスでは駄目なんですよ、ヤギ法の方が決まりましたから。何年か前ですかね、今の自民党じゃない、ヤギ政権があったときに」という笑いどころを挟みはするものの、十七年来のリスナーでも、ややびきする話になっていた
 こんな話する予定なんかなかった、という様に本当に不安定な放送になっていた。
初めに『ソラリス』のあらすじと話のキモを話してから、「ヤギゴン」の話に入っていくいくという、伊集院光の卓越した話術がフル活用されているからこそ、リスナーもその不安定さの波に襲われていくという、それこそ『ソラリス』のような話になっていた。

 

以上、ベストラジオ2017の10位から5位まででした。
長くなったのでまた明日~。

お笑いピューリッツァー賞2017

 今年のお笑いでぐっときた写真をまとめました。お笑いピューリッツァー賞スタートです。優勝は、あなたの心の中に……。 

 

(1)爆笑問題田中の妻である山口もえがポンポコ妊娠した!2018年はそんな素晴らしいニュースから始まりました、な写真。

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(2)恐らく今一番、お笑いインナーマッスルがむっきむきでバッキバキの男、オードリー若林正恭。『激レアさんを連れてきました』では角度ある例えツッコミを的確に決めながら、ラジオではふざけ倒す悪童。漫才は見るたびにアップデートされている。『IPPONグランプリ』では準優勝。クーバ、いや、キューバ旅行記の『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』もとても良い本だった。振り返れば活躍の年ではなく、序章に過ぎなかったといわれるくらいに、若林は来年も突き進むことだろう。そんな若林がつかの間の休息として、葉巻を嗜んでいる写真。

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(3)お笑いインナーマッスルがむっきむきでバッキバキの相方である、オードリー春日。『水曜日のダウンタウン』ではその異常性をいかんなく発揮。室温50度の部屋でも5時間耐えただけでなく、汗が出なくなってきたからという医療知識を駆使して「しょうがねえな」と言い放ち、危機を回避。さすが失恋して過呼吸になった若林を携帯電話越しで助けた男である。バラエティーでの肉体仕事だけでなく、エアロビ、東大受験も並行していった一年だった。そんな春日を端的に表した写真。

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(4)『水曜日のダウンタウン』でドッキリという皮をかぶった私刑を食らい続けた一年間。さすがに地獄の軍団といえども、やり過ぎではないかという論争が起こった瞬間に、自分からチョンボをして、「私刑やむなし」に持っていく力技で、勝手にリセットされてしまう。
何よりむかつくのは、黒川が追い詰められた瞬間に放つワードの切れ味が鋭く、きちんと面白いところだ。そのせいで、村上龍の『昭和歌謡大全集』のような暴力の連鎖ではなく、『うる星やつら』の『ビューティフルドリーマー』や、『涼宮ハルヒの憂鬱』の『エンドレスエイト』といったループ物のような、メビウスの輪のような、ウロボロスのようなそんな狂想曲はまだまだ続く。黒川がガチの犯罪をしない限りは。その黒川がアップした一枚の謎の写真。精神鑑定を望む。

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(5)『水曜日のダウンタウン』がフィーチャーした陰のサイコパス安田大サーカスの黒川であれば、そこぬけに陽のサイコパスがバイきんぐ西村。クレイジーとしか言い表せないそのトリックスターは、蟹を食べるだけで何万人ものお笑いファンの腹を爆発させた。そんな写真。 

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(6) 売れれば売れるほどに、そのコンビ名であるアイデンティティが崩壊していくその様子は皮肉というほかなく、『自我』に対して自己言及していかなければならない写真。

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(7)「野生爆弾が一切スタイルを変えずに売れる」。それは、ゼロ年代のお笑いに青春を捧げた人間であれば一回は夢想したことであり、それ実現するよ、とラベンダーの香りを嗅いでタイムリープして当時のお笑い好きに伝えても、「馬鹿いってら」と一笑に付されるだろう。小沢健二が「間違いに気付くことがなかったなら?」と夢想する並行世界があるように、アラサーを超えたお笑いファンが夢想した並行世界にいつの間にか入ってしまっていたように、野生爆弾のくっきーがテレビを荒らした、そんな一年。そして、そのきっかけを作ったのはフジテレビであるということを僕らは忘れてはいけない。そんな写真。

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(8)今年一年、バンドとの対バンだったり、お寺でやったりと、様々な形の単独ライブを重ねてきたラブレターズ。惜しくもKOCへの出演は逃してしまったものの、12月に行われたその一年間の集大成の単独ライブで披露されたコントの数々は、バナナマン譲りの不思議な悲しさやブラックさを残しつつも、そのコンビ名に劣らないポップなもので、もう、バナナマンが好きすぎて、ネタを書いたら、まんまバナナマンのコントだったあの頃からは一皮もふた皮も向けた素晴らしいものだった。カイザー、ガイコツとヌードモデルは立派なコント師ですよ!!な写真。

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(9)我らがくりぃむ有田が、ドラマ主演、しかもあの古谷実漫画の『わにとかげぎす』だというニュースに色めきだった瞬間は今も記憶に新しい。原作の無気力人間を、子供に「土に埋まって死ね」と言われた有田が演じるのだから面白くならないはずがない。それだけでなく、「パンティーのブローカー」ならぬ、くりぃむ有田の楽屋写真のブローカー本田翼が自身のSNSに惜しげなく、有田の写真をアップしてくれた。髪の毛が天パになっているのは、相方である上田の天然パーマをいじりすぎた呪いとのことで髪質が気になるところだが、それを差し引いても最高の写真。

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(10)有田哲平がMCを勤める、日本で、いや、世界で一番難しいことを普通にやり遂げている異常な番組『全力!脱力タイムス』の主演が有田ならば、間違いなく、全力解説員として助演男優賞を受賞すべきなのが出口先生だ。犯罪心理学者でありながら、何故こんなコントに乗っかっているのか、そして何故こんなにその演技が上手いのか、誰もが頭上にハテナマークを浮かべながら爆笑した一年だった。そのうちのひとコマを抑えた写真。

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おまけ。
NegiccoのKaedeが聞いているであろうと推測されるラジオ。

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爆笑問題カーボーイOPの太田の挨拶で振り返る2017年

 

 TBSラジオで放送されている『爆笑問題カーボーイ』のオープニングは、田中の挨拶と自己紹介、そして太田のボケから始まるのが恒例となっています。この挨拶ボケは、放送日付近に起こった事件などを絡めたもので、この挨拶ボケで2017年を振り返りたいと思います。

(1)2017年1月4日放送
「あけましてワオ、開店がらがら、岡田の相方のますおかき夫、岡田真澄です。」
※新年一発目の放送

(2)2017年1月11日放送
エスパー伊東の先輩の、三ツ木 清隆です。」
※「エスパー伊東「体力限界」で芸能界引退へ 芸術家に転身」と報じられる。翌日本人が否定。
三ツ木清隆は『光速エスパー』というドラマで主役を演じた俳優。

(3)2017年1月18日放送
袴田吉彦の友達の、袴田ちんこです」
※俳優の袴田吉彦の不倫報道。

(4)2017年1月25日放送
江角マキコの友達の長嶋ジュニアです。ごめんなさいごめんなさい。もう良いじゃないか、過去のことほじくりかえすのは。未納三兄弟とかさ、そういうこと言うんじゃないよ、お前。」
江角マキコが2017年1月23日、代理人の弁護士を通じて芸能界を引退することを発表。

(5)2017年2月1日放送
「まんしゅうきつこの友達のちんかす男です。」

(6)2017年2月8日放送
「元気ですか!ライオン飼ってましたけどね。臭いんですあいつは!ライオン臭いんですね。だからシャンプーやろうと思ってね、ばーっと暴れるからね、頭ぼかーとやったらおとなしくなったんです。アントニオ猪木の友達の松島トモコです。私は噛まれちゃったんですよ。猪木さん、あんとき言ってくれればよかったのに。いや~、本当にね。」

アントニオ猪木氏、予算委でライオンとの生活激白アントニオ猪木参院議員(無所属)が31日の参院予算委員会で、かつてファンから、オリに入ったライオンを贈られたことを明かし、「昔はニュースをみたファンが、いろんなものを送ってくれた。ライオンが欲しいと言ったら、しばらくしてオリに入ったライオンが送られてきた」「当時は(自宅が)マンションで、どこに置こうかと。何より、くさいものですから風呂場に連れて行き、シャンプーをかけようと思ったら『わーっ』となるから、頭をガガンとひっぱたいたら、おとなしくなった」「でも非常にいいライオンで、ベランダに寝かせたら中に入れろということでドアを開けたら、いきなりベッドを占領された。そこで小便をされてしまって…。そんな思い出があります」と振り返った。

(7)2017年2月15日放送
※データ紛失してしまいました。誰か情報ください。

(8)2017年2月22日放送
「キムタクのメル友の太田です。」

(9)2017年3月1日放送
千眼美子の友達のせんずりする男です。なりました、名前が。元は太田光です。出家してそうなりました。」
※2017年2月11日、日刊スポーツが芸能界の引退を宣言し、幸福の科学での活動に専念することを報道した

(10)2017年3月8日放送
ラ・ラ・ランドの次回作のベ・ベ・便所です。便所で踊る。」
※映画『ラ・ラ・ランド』が、第89回アカデミー賞授賞式で作品賞は「ラ・ラ・ランド」という発表があり、受賞したと思ったら、それがミスであることが分かり、受賞出来なかった。

(11)2017年3月15日放送
星野源の友達の、ほしのあき。ペニー、ペニー。ペニー葉山です。」
星野源ANNが4月の放送より、月曜日から火曜日へとお引っ越し。

(12)2017年3月22日放送
「チャックベリーの友達のブルーベリーです。」
※2017年3月18日、ミュージシャンのチャック・ベリー死去。

(13)2017年3月29日放送
「籠池の友達のそれ行けです。応援してるからね。籠池がんばれ!」
※2017年3月10日、瑞穂の國記念小學院の設立認可申請を取り下げ。学校法人森友学園の理事長を辞任。

(14)2017年4月5日放送
「星野てめえ、この野郎!」
星野源ANNが月曜日から火曜日に移動して初回の放送。

(15)2017年4月12日放送
浅田真央の友達の川崎麻世です。カイヤごめんね!麻世、絶対許さないよー。ユタ馬鹿にしないでよー!ホワイジャパニーズピープル。まーちゃんごめんね!」
※2017年4月10日に、フィギュアスケーター浅田真央が、競技選手としての現役引退をブログで表明。

(16)2017年4月19日放送
175Rの友達のスキマスイッチです。ハタハタ足んねえんだよ!」
※前番組「アルコ&ピースD.C.GARAGE」のSPW175Rがネタとして登場したことを受けて。

(17)2017年4月26日放送
「泰葉の友達の爆弾です。」
※泰葉、「小朝から20年にわたり虐待」とブログで告白。

(18)2017年5月3日放送
「横山てめえ、この野郎!裏切り者!!ほんとにこないだお世話になってね。」
※TOHOシネマズ緑井(広島)でのタイタンシネマライブ上映、満員御礼。

(19)2017年5月10日放送
「泰葉の友達の落ち葉です。」

(20)2017年5月17日放送
ガリガリガリクソンの友達のですね、髪長すぎ男です。」
※2017年5月12日、芸人のガリガリガリクソン酒気帯び運転が発覚、道路交通法違反で大阪府警に逮捕。

(21)2017年5月24日放送
「IKURAちゃんの友達の、タラちゃんです。」

(22)2017年5月31日放送
「タイガーウッズの友達のライオンキングです。心配ないさー!」
※タイガーウッズがフロリダ州内で飲酒または薬物の影響下で運転した容疑で逮捕。

(23)2017年6月7日放送
橋爪功を大尊敬しています。張り込みぱくるです。」
※俳優の橋爪功の息子で、俳優の橋爪遼容疑者が覚せい剤取締法違反(所持)で逮捕された。

(24)2017年6月14日放送
星野源の友達の作曲家の星野哲郎です。」
SPW 

(25)2017年6月21日放送
大島優子の友達の大島渚です。駄目なんだよ!結婚とか駄目なんだよ!」
※AKB総選挙でNMB須藤凜々花が結婚を発表。それを受けた大島優子が、「総じていいたいことは私の帽子に書いてあるこうゆうことだと思うの」.と言って、帽子の「FUCK」という字を見せる。

(26)2017年6月28日放送
「藤井四段の友達の、会話が全部余談です。」
※藤井四段の快進撃が話題に。

(27)2017年7月5日放送
おばたのお兄さんと別れることになりました、おばたのお姉ちゃんです。」
※フジテレビアナウンサー山崎夕貴と交際中のおばたのお兄さんの浮気が報じられる。

(28)2017年7月12日放送
「こんばんは、船越英一郎の妻のシン・ゴジラ松井です。」
松居一代YouTube船越英一郎の不倫を暴露

(29)2017年7月19日放送
「こんばんは、ひよっこの友達のおちんこです。」
太田光は「ひよっこ」視聴者。

(30)2017年7月26日放送
「くたばれレッズ、上西小百合です。」
※キング大集結SP

(31)2017年8月2日放送
「籠池の妻の順子です。順子ですぅ。なんでうちのおとうちゃん、そんなことなってんの。もー。ぽい!もう嬉しい!ぽい!」
森友学園籠池泰典・前理事長と妻、国の補助金を詐取した疑いで逮捕。

(32)2017年8月9日放送
「泰葉改め、林家アンダーヘアーと申します。」
※歌手・泰葉が、8日7日発売の「週刊ポスト」で56歳にして人生初の艶ショットを披露。

(33)2017年8月16日放送
小山ひかるの友達の太田ひかるです。美容ライターやってます。」
雨上がり決死隊宮迫博之小山ひかるとの不倫疑惑が報じられる。

(34)2017年8月23日放送
「クリスハートの先輩のクリスタルキングです。」
SPWにより生放送。番組開始前にクリスハートが流れていた。

(35)2017年8月30日放送
「閉店ガラガラ。わお!岡田の相棒のますかき男です。」
ますだおかだの岡田が、妻との別居を報じられる。

(36)2017年9月13日放送
斉藤由貴さんの、ご迷惑をおかけました、医者の知り合いの、医大の時の知り合いだった留学生の、アレパンツ・カブリエルです。」
斉藤由貴の不倫報道

(37)2017年9月20日放送
「どどどどどうもこんばんは、豊田真由美の秘書です。」
※男性秘書に対し「このハゲ」と暴言を吐き、暴行疑惑のあった元自民党豊田真由子衆院議員が9月18日に記者会見を行った。

(38)2017年9月27日放送
「こんばんはー、泰葉の旦那のイラン人です。今すぐ連れて帰りたーい。やーだもー。」
※泰葉、イラン人男性と並んで婚約会見「感無量だわ」と目頭押さえる。

(39)2017年10月4日放送
「泰葉の姉の海老名みどりです。わたくし、今度記者会見します。純愛小説作家宣言。」
ビートたけし、純愛小説『アナログ』を書く。

(40)2017年10月11日放送
にゃんこスターの友達の、ちんこくた~です。」
※「KOC2017」でにゃんこスターが準優勝し話題に。

(41)2017年10月18日放送
「AKBのCDを大量に捨てたのは私です。大島優子です。気に入らねえんだよ、俺気に入らねえんだよ。駄目なんだよ、あんなことやっちゃ。結婚なんかしちゃ駄目なんだよ。おい、帽子貸せ帽子。」
※「AKB48」のCD585枚を捨てた会社員の男が廃棄物処理法違反容疑で書類送検された。

(42)2017年10月25日放送
小池百合子の友達の小池無理子です。私で無理でした~。希望じゃなかったです~。希望もなくなっちゃいました~。」
※第48回総選挙終了、希望の党が惨敗。

(43)2017年11月1日放送
「ハッピーハロウィン!私は今日はど根性カエルのコスプレで着ました。ヒロシです。こないだピョン吉は全然動かないんだねって言われました。ヒロシです。」

(44)2017年11月8日放送
「マイネームイズドナルドトランプ。ワイジャパニーズピープル。ドナルドトランプの友達の神田うのです。
※トランプ米大統領が5日、公式実務訪問賓客として来日した。

(45)2017年11月15日
小池百合子の友達の小池おりこです。私、おりちゃいました。」
小池百合子東京都知事希望の党代表を辞任。

(46)2017年11月22日放送
「えー、あの立川談志のー、まあ、友達のね、草食男子です。」
立川談志の命日の翌日。7回忌。

(47)2017年11月29日放送
「大変です、八角理事長!暴行事件が発覚しました。なんですかそんな目を三角になっちゃって。仁鶴です~。一角獣がいるかもしれない。」
横綱日馬富士による貴ノ岩への暴行事件が発覚。

(48)2017年12月6日放送
「ここへきて浅野家お家断絶ということで。忠臣蔵の。」
※俳優の浅野忠信の父で、所属事務所の社長が覚せい剤取締法違反の疑いで逮捕。

(49)2017年12月13日放送
「寒いっすね~今日も寒いっすね~、ずーっと待ってて、えーこれ?って首を傾げながら、北って文字を書いた坊主です」
※2017年の漢字は「北」

(50)2017年12月20日放送
※田中が冒頭から噛んだので挨拶なし。

(51)2017年12月27日放送

「宮崎おおいの友達の、お尻が青いやつです。けつの青いやつです。未熟な二人ですけども、見守っていきたいと思います。」

※V6岡田と宮崎あおいが結婚。

 

 爆笑問題の2017年は、田中の妻である山口もえの妊娠発表から始まるというめでたい話題でスタートをきった。そんな一年をざっと振り返ってみると、同じく一月には、「猫はどうしてこんなにカワイイのか」を問うた本『猫と田中』を刊行。3月には爆チュー問題としてピコ太郎の武道館ライブへの出演と、『雑学王』の復活があった。4月はabemaTVでの『検索ちゃん』の復活、『櫻井・有吉THE夜会』へのゲスト出演があった。『櫻井・有吉THE夜会』では、楽屋挨拶に来た芸能人にモデルガンで威嚇する太田なども見ることが出来た。何より、TBSラジオで放送されている『爆笑問題カーボーイ』が20周年を迎えた。深夜ラジオで、この年月を重ねるということは並大抵のことではない。
6月には、タイタンライブにピンクの電話がゲスト出演、NHK『SONGS』にエレファントカシマシ宮本の対談相手として出演。あの太田が、きっちりMCに回っているという貴重な姿も見ることが出来た。
 10月は特に濃密なひと月だった。まず太田が、ビートたけしが一週間MCを務めた朝の特別番組『おはよう、たけしですみません。』に月曜日から金曜日まで出演。タイタンライブには、ビートたけしこと立川梅春が登場。立川梅春は、一年半ほどぶりの出演。漫談から、落語にすっと入っていく、上手さだとかそういったものを超えた高座を見ることが出来た。さらにさらに、『検索ちゃん』の地上波での復活、ハライチ岩井と田中の『ニャンコロトーク』という、ただただ猫について話すだけの音声配信もあった。
 爆笑問題に対しては、毎年思うのだけれど、結成29年目にしてもなお、ファン冥利に尽きるわくわくするような活動を続けてくれているという感謝しかない。
しかも、来年2018年は爆笑問題の結成三十周年というアニバーサリーイヤーだ。コントライブをやろうという構想があることも話していただけでなく、来年4月には、新しい地図の面々が出演するオムニバス映画『クソ野郎と美しき世界』に太田が監督として参加することも発表されている。
 私的なことでは、『爆笑問題カーボーイ』でメールを読まれ、そのノベルティとして、ステッカーが届いたのだがそこには、「SINCE 1997」って書かれており、その時間の重さに胸がきゅ~ってなった。
 太田光の言葉を借りて、締めたいと思います。

 「爆笑問題の未来はいつも面白い!」