石をつかんで潜め(Nip the Buds)

ex俺だって日藝中退したかった

キングオブコント2020感想追記

テグス問題について。正直に言えば、何の批評性もない、擁護しようもないコメントだと思っているが、一番は、それを今言われても……と言うような、どうしようもないコメントであり、全くもって「優しくない」ものだった。

フルートがグローブをもって、舞台上からいなくなる時点では、もはやあのコントのバカバカしさは共有されていて、テグスが見えてもその範囲内に収まっている。磁力でも使えば点数は上がっていたというのか。

優しい爆笑問題なら、太田さんは「あのグローブの動きがバカっぽくて良かった」と笑い、田中ウーチャカは「坂本の投球フォームが下手だ」とか「今、河川敷で野球できないんだよ」とか言ってくれたはずである。 

 


ジャルジャルのキャッチコピーは「人間性の欠如と充満」だった。素晴らしいキャッチコピーだと思う。もちろん、ジャルジャルの優勝が遅すぎることは審査員を含めたみんなが思うところである。

本来であれば、キングオブコントで披露した「おばはん」、Mー1グランプリにて中田カウスが露骨に不快感を示した脱構築漫才といった、人間性が欠如した2本でキングオブコントになるべきだったのがあまりに時間がかかりすぎた。

タイトルを得てガッツポーズをしたジャルジャルの足元には、今回のエントリー数の何倍ものネタが転がっている。どこが天才だというのか。ただただ愚直にコントを作り続けてきただけじゃねえか。

そしてさらに昨年に至っては、骨折でネタを変えざるを得なかったという不幸にも見舞われている。ファンにとっては、満身創痍で戦い続けているようにも見えている人もいたのではないか。

今大会の順位は、いみじくも第6世代、第6.5世代、第7世代という順番になった。

ニューヨークは、今でこそ、第7世代ぶって、シンパイ賞で霜降り明星とやりあっているように思えるが、基本的には、実力があるけれどいまいちバラエティで跳ねきれなかった第6.5世代だ。

鬼越トマホークの喧嘩を止めては、賞レースで結果を出せてねえくせによとも言われたりしていた。

全てを追えているわけではないが、ニューヨークも、ジャルジャルと同様にタネを撒き続けていた二人だった。

今年は、アーカイブが勝った年といえるだろう。

 


ニッポンの社長のコント、さらなる飛躍があれば、自分の中でも一位になっていた気がする。さらなる発送の飛躍ってどういうのがあるだろうなと考えていたら、一つだけ思いついた。ミノタウロスケンタウロスが抱き合っている時に、甲冑を着た辻が出てきて、怪物を2体ともでかい聖剣でぶった斬るというオチ。ミノタウロスは実は辻が演じていなかったとかみたいなオチだったら、驚きもあるし、怪物達が死ぬことで今のは何だったんだとなれる。

でも、そうすると、テグスすら認めなかった松本人志に点数を低くされてしまうので、それは単独ライブでやってほしい。

 


松本は、沸点という言葉の意味をピークと思っているような気がした。

 


こればっかりは推測でしかないが、どの

芸人もこれまでの審査の傾向をよんでそこに照準を合わせてネタを作ってきているように思えた。もちろん、コンテストであり、審査員に変更がない可能性が高いのであれば、それは悪いことではない。悪いことではないが面白いことでもない。

どこかまとまったコントが多かったという感想も少しだけ抱いているのは間違いだろうか。

だからなのか、今年は、誰も傷つかない笑いばっかりだった。しかし、常日頃から監視している、誰も傷つけない笑い信者の奴らは、今年はまったくこの大会を話題にしていなかった。こういう時に、褒めたり話題にしたりしないところが、奴らの全く信用できないところである。

人を傷つけない笑いといえば、去年までの僕だったら、「人の金で寿司食ってそうな人しかいないな」と言っていただろう。アップデートが完了しエントロピーが増大していてよかった。