重要な夢の競演のお知らせ。

どうも、こんばんは。新婚の者です。
それはともかく、アイドルファンは重要なお知らせという言葉を、お笑いファンは夢の共演という言葉に苦い思い出を持つといいますが、当ブログより重要な夢の競演のお知らせがあります。
「俺だって日藝中退したかった」というブログをしばらく書いていたのですが、特に、芸能人の悪口を書くコラムの執筆依頼が来ることもなく、売れる気配がないので、本にして売ることにしました。いわゆる、同人誌ですね。

ラインナップは


(1)君は『Qさま!!』での吉木りさを目撃したか。
(2)「2013年のラジオたち、これからすごいことになるぜ」
(3)中国人の罠にひっかかった話と、お金の話。
(4)『泣くな、はらちゃん』は一話が100点
(5)深夜に届いたラブレター
(6)ここは忙しいけど、迎えに行くぜ。
(7)妻の名は希望
(8)『超落語!立川談笑落語全集』は悪書である。
(9)頭をデザインする番組『考えるカラス
(10)伊集院光の「同窓会に行った話」
(11)コサキンが『ウチくる!?』DEワァオ!
(12)3本の漫才
(13)アルピーだって決勝行きたかった。
(14)『ダイノジ大谷のANNR』〜ぼくがブロガーになった理由〜
(15)お笑い界のPerfumeを見に行ったら、ももクロに会えた。
(16)種市死ね
(17)いつも心に加藤浩次を。
(18)ボクらの想像力の時代
(19)テレビを体感する番組『リアル脱出ゲームTV』
(20)政見放送かと思ったら、長井秀和の漫談でした。
(21)僕達は「恋するフォーチュンクッキー」が名曲だということと、指原莉乃のアイドルとしての正しさを混同すべきではない。
(22)くりぃむしちゅー上田の天下取り宣言
(23)『安堂ロイド』は電波豚ブーブくんの夢を見るか
(24)古美門研介の捲土重来を期せよ。
(25)グランジ遠山の、見る前に跳べの精神
(26)深夜ラジオ流行語大賞13&ベストラジオ13
(27)死にたい死にたいって言いながら生きていくからな、ずっと。
(28)異形のコント師日本エレキテル連合
(29)それぞれの「実存のゼロ地点」
(30)小説を応用するために、筒井康隆『創作の極意と掟』を読もう。
(31)JAPANESE PARTYバスツアー日誌『愛の渦』
(32)三四郎の、オルタナ漫才絶対頑張ります!
(33)スポットライトの中に立っていてね。
(34)「愛は愛でいつかどこかにたどり着くさ」


以上の34本です。
全部で10万字くらいあります。かなりの加筆修正を加えました。自分でいうのもなんですが、そこそこの読み応えはあると思います。ほとんどが、上記のタイトルで、このブログに散らばっているので、気になる方は、読んでみてください。もし面白いと感じてもらえれば、今回の本は満足してもらえると思います。2011年から2014年上半期までのテレビラジオの感想と、年齢分の業を詰め込みました。
よろしくお願いします。

よければ買ってくれ〜〜。


☆『俺だって日藝中退したかった』通信販売の流れ

(1)以下の必要事項を記入しmugen.channel.boxアットgmail.comまで送信して下さい。

名前:
住所:(クロネコヤマトの各事業所止というサービスもあるので、そちらを利用されたい方は、最寄の事業所の住所をご記載ください)
購入冊数:(1冊:920円)



(2)注文メールを確認後、不備がない方には、お支払い合計金額と支払い口座番号をご返信します。遅くても翌日には案内のメールをお送りしますので、届かない場合は、こちら側のメールが上手く送信出来ていないか、Gmailが弾かれている可能性もあります。
お手数ですが、再度の注文のメールをお送りするか、PCからのメールも受信できるように設定をしなおしてください。
1週間以内に入金して頂けると助かります。過ぎてしまう場合は、その旨を添えててもらうか、再度のメールを送信してもらえるとまたまた助かります。

例えば、一冊ご購入の方は、920円と送料80円の計1,000円のお支払となります。

(3)入金確認後、『俺だって日藝中退したかった』をクロネコヤマトメール便にて発送します。




ツイッターやっています。
https://twitter.com/memushiri

キングオブコント2017感想

こんにちは、琉球バナナマンです。

キングオブコント2017見ました。以下、感想と与太。順番は点数順。


10位・GAG少年楽団『幼なじみ』
幼なじみが恋愛だけ全く進展しないまま59歳を迎えたという設定の哀愁あって好きなネタ。

9位・パーパー『卒業式』
じわーっと爆発しそうな空気のまま終わってしまったのが物足りなかった。
マルチ商法のくだりとかを山田に言わせるとかするなりして、山田のセリフで笑いたいという欲求が出てきた。一本のコントの中で関係性がひっくり返るとかの転も欲しい。

8位・ゾフィー『母親の家出』
母親が出ていった理由が徐々に明らかになっていく奥行きを感じさせるたまらないコント。上田はネタを書いてるだけじゃなく、よーく見ると、飛び跳ねたり、舞台袖へ走る時の動きが絶妙にコミカルで面白い。これがサイコパスな息子のエグみを消している。もっと動きまわってほしい。生で見たらもっと面白いんだろう。
他にももっと面白いネタあるんだろうなと思わされたので、来年以降も戻ってくるだろうし、かもめんたるのように微調整してキングになる可能性だって十分にあると思う。
そういう意味では二本目も見たかった。
ゾフィー、フリーも良いけどタイタンという選択肢もあるよ。社員旅行もあるしね。

 

 7位・アキナ『バイトの休憩』
バイトの休憩室でのバイト同士のやりとり。面白かったけども、オムニバス的な作りになるとモンスターエンジンの名作『ミスターメタリック』と比較してしまうのと爆発が生まれにくいってのがありますね。

 

6位・わらふぢなるお『お客様サポートセンター』
わらふぢなるおはトップでありながら、確実にハメてくる骨太のコントでした。何よりふぢわらの目がいつにも増してバッキバキだった。
なるおが電話を架けたお客様サポートセンターに働いているふぢわらが「今日でこの仕事やめるのでむちゃくちゃやってやろうかと思って」と言うのだけれど、これは、今から面白い話をします、と言ってフリートークするようなもの。でも、それを越えたら、コントにおける「何でこの人はこんな変なことをやっているんだ」問題をクリアに出来るという諸刃の剣だったりする。わらふぢなるおの実力は、その賭けに勝ち、本当にむちゃくちゃなことをやって、ボケとツッコミも面白く、そのラリーが心地よい。それはまさに、サンドウィッチマンの系譜にある。だからこそ、もっとそのやりとりを増やしてくれ!と欲しがってしまう。重ね重ねトップバッターというのが惜しい。
加えて何故か、電話相手の様子が見えているのかもしれないという恐怖を乗っけることでより深みが出てて単に変な人コントでなくなっていたのが良かった。
ここからは余談。前半にあったように電話が繋がらなくなったと思ったら、後ろにふぢわらが立っていたっていうほうが怖い気がするので、そっちも見てみたいと思った。
怖いといえば、バナナマン日村が「電話でのやり取りというありがちな設定だけどそれを越えてきた」という旨の話をしていたけれども、その日村が電話でやりとりをするという設定の「ルスデン」というコントをもう十数年前にやっていることのほうが怖いな……。

 

5位・アンガールズ『海水浴で』『尾行』
アンガールズのネタが面白いのは分かりきっているからこそ、最初は賞レースというよりはネタ番組のように、ゆるやかに見てしまった。
「自分達のことを分かってる」過ぎるゆえのネタでもあったのでどうしても欲しがってしまった。二本目はめちゃめちゃ好き。この悲哀よ。
「法の中で暴れてるだけ~」は他のコントでも見たことあるセリフなのだけれども、全然面白い。むしろ、このセリフを入れるコントを色んな設定で作り続けてほしい。

 

4位・ジャングルポケット『エレベーターにて』『組織』
一本目については、これまでで一番好きです。ただ去年の『トイレ』のネタも同様ですが、ボケが多すぎるので間がキツキツになってしまうので、個人的な好みとしてはもっとボケを減らして重くしてほしいというのがある。このキツキツな感じが賞レースだというのも分かるけども。
ダウンタウン松本がドアの開閉の間が惜しかったと言及していた件については、恐らく裏に誰かがいて、人力で開閉しているからこその間のズレなので、モノ作りが得意なチョコレートプラネット長田に、本物のエレベーターと同じような電動で開閉するボタン式のドアを作ってもらうしかないと思う。
ただ例えコントがどんなに面白くなっても、おたけのことはコロコロチキチキペッパーズ同様に愛せる気がしない。

 

3位・さらば青春の光『居酒屋の注文』『パワースポット』
一本目なんてどんな発想で思い付くのか全く分からないくらいに面白い。さらばに関しては面白いしか感想が出ないのがつらい……。

 

2位・にゃんこスター『リズムなわとび』『リズムフラフープ』
何といってもにゃんこスターですが、まさにどこから話しましょうかという感じ。もちろんめちゃめちゃ笑いました。
何より導入とオチ。まさかの自己紹介オチ。でもこんな言葉は無い。
アルコ&ピースはその昔、病院では血液が不足しているので献血をしましょう!という、厚労省オチはやってました。厚労省オチという言葉もないけど。
にゃんこスター、何が面白いって、きちんとした構成を、スーパー3助の裏返りそうで裏返らない、ぎりぎりノイズになっていない、おぎやはぎ矢作以来の面白い叫び声と、アンゴラ村長の目を細めた顔で肉付けしていくところ。これはもうプリミティブな笑いで、だからこそ脳に直撃して笑ってしまう。突き詰めると、赤ちゃんがいないいないばあ、で何故笑うのかとかそういう類の話しになってくるので、文化人類学を勉強するか、『たけしの万物創世記』で扱うものだ。

ハートフルなネタと見せかけておいて、縄跳びやフラフープを床に叩きつけるという音が意外に響くという暴力性もあるところもまた最高だった。
他にも、スーパー3助が全然アンゴラ村長を見ていない時があるとか、昨年のラブレターズの野球拳の流れもあったとか、または、それらが渾然一体となったからあの爆発が生まれたとか、「堂本剛の正直しんどい」よろしく、VTRを停止しながら一つ一つツッコミを入れることが出来る。ということは、お笑いの理屈から離れていないということなので、因数分解的に解説することは可能といえば可能なのですが、これはもう、このコンビが持っている要素や場、文脈全てがびたーっとはまって共鳴して笑いを増幅させているということになる。説明出来るのに、説明出来ないところに到達してしまっていた。物理学者が研究すればするほどに、神の存在を認めざるを得なくなるといった話と同じ。
これがWikipediaの説明文を百回読んでもピンとこなかったポリリズムのことかと理解出来ましたし、あと、ここ最近鬱々としていたのだけれども、このネタを見て完全に脱出しました。
何が面白いか分からないと怯えてる皆さん、不安を怒りに変えて自我を保つ必要はありません。僕らも何が面白いのか分かってないんですから。

 

優勝・かまいたち『告白』『試着』
告白というよくある設定を「話しかけられてる人は見えなくても、存在するものとする」というお約束を逆手に取った叙述トリックで一気に変な世界へと引っくり返して、一発で観客を捕まえる。
そしてそこからは、予想を裏切りつつ脱線しすぎない展開で、どんどん転がっていくこのコントは本当に面白かった。
二本目は、試着したウエットスーツが脱げないというネタで一本目と全く異なるカラーのネタで、しかも同じくらい面白かった。
それぞれテキストの笑いとムーブの笑いの比重が異なっていて、しかも登場人物演じる二人のパワーバランスが違うという、かまいたちのネタの層の厚さと地肩の強さよ!
コントって、コント師ってこういうことだよなー。

 

・まとめ

お笑いルポライターが予選を見に行けずにすき家で味噌汁飲んでいたり、かまいたちの「浪速のバナナマン」というキャッチコピーにざわついたりしてどうなることかと思いましたが、10回目ということもあってなのか、空気感やファイナリストの色が初期に戻りつつ、コントそのものはきちんとアップデートされているという素晴らしい大会でした。
何より全体的にテキストの笑いとムーブの笑いのバランスが良くて、ああ、コントって良いなと改めて思いました。
フリーや男女コンビなど新しいものづくめで、社会人が二人(ゾフィー・サイトウ、アンゴラ村長)というのも、新しい時代という感じがしました。
バラクオバマが大統領になったことで、「どーせ黒人なんだから俺たちなんて頑張っても無駄」とアメリカの若い黒人たちが腐れなくなったのと完全に同じ構図なので、専業芸人はより頑張らないといけないですし、兼業芸人は、にゃんこスターゾフィーが出来るなら自分達にも……!となってそういうスタイルの芸人が増える可能性もあります。
この時代において社会人だからこそ表現出来る笑いや提示できる視点というのはあるはずですし、何よりお笑いを続けてもらえますから、社会人芸人という選択肢も多くなってほしい。その方が面白いことが生まれる気がします。

来年も楽しみです。

大竹まことの『ゴールデンラジオ』のゴールデンヒストリーのハガキ職人特集を聞いて思っちゃったんだからしょうがない。

 文化放送で放送されている大竹まことの『ゴールデンラジオ』のゴールデンヒストリーという、一人の人の歴史を大竹まことが読み上げるコーナーで、先日一週間の間、ハガキ職人を特集していた。
 ファイヤーダンス失敗さん、ウノTさん、顔面凶器さん、赤嶺総理さん。深夜ラジオを長く聞いている人なら、ピンとくる人達それぞれの歴史が読み上げられていた。
 なかでも、心に引っかかったのは、ファイヤーダンス失敗さんの歴史だった。バナナマンの『バナナムーンGOLD』リスナーには一番馴染みがあるからというのもあるが、その歴史に、強く共感してしまったからだ。
 「ラジオネーム・ファイヤーダンス失敗。数年前まで深夜ラジオを中心に活躍していたハガキ職人です。本名・山口慎太郎、二十歳になるまでラジオを聞いたことは一度もなかったといいます。高校時代は軽音楽部に所属。華やかな思い出は一つもありません。通っていたのはサッカーの強豪校。全てがサッカー部を中心に回っていたそうです。サッカー部の部費は百万円以上。軽音部はたった600円。誰にも相手にされずひたすら部屋に籠って少ない仲間と楽器の練習をしていました。しかし、山口さんはベースの腕前が認められ、高校を卒業する直前、当時東京で活躍していた人気アマチュアバンドにスカウトされます。山口さんは東京の大学に進み、音楽活動に打ち込みます。初めての彼女もできました。しかし、上京からおよそ一年半後、メンバーと喧嘩をしてバンドを脱退、音楽を辞めてしまいます。さらにちょうどその頃、付き合っていた彼女に振られます。大事にしていたものを全て失いました。何もやる気が起きず、学校にも行かず、家とバイト先をひたすら往復するだけの毎日。地元を離れ、友達は一人もいませんでした。バイト先はスーパーのバックヤード、肉や魚を切って、床にこぼれた血を、ひたすら掃除する仕事でした。誰とも会話をしていなかったので、声の大きさを調整出来ず、コンビニで何でもないやりとりをする時にうっかり大声が出てしまうこともよくありました。生きている意味が分からない。そんな生活が二年近く続きました。ラジオを聞き始めたのはこの頃です。ある日、兄に薦められたバナナマンのラジオに何となくメールを投稿してみました。初めてメールを読まれた時のことは忘れられません。正直大した内容じゃなかったんですけど、どーんって来ました、ほんとうに。名前を読まれた時に思ったんです。あ、俺、いるんだって。これをきっかけに山口さんは本格的に投稿を始めます。何も楽しみがない毎日の中でバナナマンに笑ってもらうことだけが救いでした。いつの間にか、二人のことが大好きになっていました。メールは番組開始前に20通以上、放送中に50から60通、番組が始まるのは金曜午前1時。いつもこの時間が近付くと頬にビンタをして気合を入れていたといいます。嘘みたいな話なんですけど本当の話なんです。あの頃はもう他に何も無かったんで。ここで頑張らないと俺の存在意義は無いって、完全に思いこんでました。少しずつ採用数は増えていき、ファイヤーダンス失敗というラジオネームはラジオリスナーの中でも有名になっていきます。自身をつけた山口さんは他の番組にも投稿を始めます。おぎやはぎバカリズム伊集院光。好きな芸人に名前を呼ばれるたび、生きていてもいい、そう言われた気持にもなりました。途中からは色んな人に面白いと思ってもらいたいとか、少しずつ欲が出てきたんですけど、正直最初は全然そんなの無かったです。どこにも居場所が無かったんで。バナナマンの二人にただ自分の名前を読んでほしかったんです。山口さんは大学を卒業後、映画館でバイトをしながら、脚本家を目指しています。大きな目標の一つは自分の書いたドラマにバナナマンに出てもらうこと。現在、24歳。人生二人目の彼女はまだいません。」
 綺麗なオチからの、theピーズの「実験4号 」という最高の選曲どん。最高でした。
 ネットストーカーの本領を発揮してしまい、ファイヤーダンス失敗さんの地元が、大学時代四年間暮らしていた県だということを知った。あの、『バナナムーンGOLD』でお馴染の節分になるとブースに乱入してくる鬼のお兄さんもということになる。

 これは今から10年ほど前の話であり、バナナマンは『WANTED』という番組をやっていて、僕は『ボーイズオンザラン』のVS青山戦と『HUNTER×HUNTER』のキメラアント編を毎週立ち読みするだけのゴミ虫だった。  
 バナナマンの『WANTED』はこれが火曜日の深夜3時から5時という時間帯で放送されており、本当に誰か聞いているのかなと思いながら聞いていた。メールや、リスナーが電話で番組に出ていたにも関わらず。その前の時間で放送されていた、くりぃむしちゅーのANNを聞いている時はそんなことは思わなかったのに。この感覚だけは、SNSが発達した今の時代ではほぼ失われたのかもしれない。
 友達もいない、生きがいもない、勉強も頑張っていない、毎日がバイト先と家の往復でしかなかった大学生活まではファイヤーダンス失敗さんと共通しているのかもしれないが、それはハエと人間の遺伝子の大多数は同じものというレベルの話であって、東京にもいない僕は、構成作家になるために上京する勇気も、メールを送る根性もなかった。あまりにも未来のことや自分のことを考えていなかった。今改めて振り返ってみても、何の意味もない四年間だったと思う。
 時は流れて、今年の六月ごろに、伊集院光の『深夜の馬鹿力』の1コーナーに送るメールを考えてみた。一週間かけて考えられるだけ考えて、それでも30通くらいしか思いつかなかったけど、送ってみた。それを三週間ほど続けていたら、「ラジオネーム・・・・・・」とついに読まれた。『深夜の馬鹿力』を聞き始めて15年以上経って初めてのことだった。もちろん他のラジオでも読まれたことはない。ラジオネームは自分のもので、嬉しいと感情よりも、何とも表現できない気持ちが先だった。自分が考えたネタを伊集院光が読んでいるということは認識できるけれども、何を言っているのかはわからない。やっちまった、という感情の方が近いのかもしれない。もちろん、その後、一気に嬉しさが押し寄せた。その日は全く仕事が手に着かなかった。
 間違いなく、ラジオはメールを送らない方がノイズなく楽しめる。これは間違いない。フリートークが始まってしばらくするとそわそわしだして、送ったコーナーが始まろうものなら、もう気が気じゃなくなる。読まれなかったら、本当に落ち込む。
 でも読まれたら、信じられないくらいに嬉しい。50通近く送って読まれるのが1通だとしても、今週も頑張ってメール送ろうって気持ちになる。
 これでメールをバンバン読まれたら、大学生の俺も成仏出来るかなと思うものの、現実は全然甘くなく、まだ他の番組で読まれる気配はない。ひとつのラジオの1コーナーで一週間かかってしまう。考えれば考えるほどに、鈴虫食べ太さん、化け物だろと思ってしまう。
 まあでも、もう一つだけ間違いないと言えることは、メールは「読まれなかったのは面白くないと思われた」じゃなくて、「読まれたら面白いと思ってもらえた」ということだ。高校生のときに気付けばよかった。
 だから、これからもメールは送ると思う。
 あ、ラジオネームはまだ内緒で。年末のベストラジオあたりで発表して、驚かれるくらいになっているように頑張るために。

一目惚れさせる男、神田松之丞

 この人がその場所を選んでくれなかったら、と思うとどうなっていたのかと思うことがいくつもある。例えば、伊集院光がそのまま落語家を続けているが深夜ラジオをやっていなかったり、爆笑問題がコントを辞めずに続けていて漫才師じゃなかったら、SMAPがバラエティーに進出していなかったらなどだ。高崎聖子MUTEKIに行ってなかったら、というのもある。三上悠亜AKB48という看板を背負ってきた割には高崎聖子に喰われているなあとか、そういった意味ではやまぐちりこは攻守揃って最高だった。やまぐちりこには幸せであってほしいとか、そんな話は呑者家の末広通り店でレモンサワーを呑みながらやるからさておき、パラレルワールドを想像することは楽しい。だが、やはり、それは柱となる現実があるからこその添え物でしかないからだろう。
 兄弟子に頼まれてオーディションを受けたからとか、台本が覚えられなかったからとか、先輩の存在が大きすぎて敢えてそうせざるを得なかったとか、例えその選択がネガティブな理由によるものだとしても、それが結果論だとしても、その「人がジャンルを選んだのか、ジャンルが人を選んだのか分からない」状態は、それだけで物語となる。
 講談における神田松之丞が今まさに、そうだ。その神田松之丞がリリースした『松之丞 講談 -シブラク名演集-』というCDがとても良かった。
 『新世紀講談大全 神田松之丞』というDVDも出ていて、これももちろん良かったのだけれども、やはり落語や講談という演芸の性質上、視覚による情報がノイズに感じられることがあるのでCDの方が良い時がある。個人的には、生で見ていたとしても目をつぶって音だけを楽しみたくなる瞬間があるが、それはタイムマシーンのように、江戸時代にいるかのような錯覚に陥る最高にトリップできる時間だからだ。
 ちなみに、シブラクとは、サンキュータツオがキュレーターを勤めている「渋谷らくご」のことであり、そこのお客さんの良さも相まって、発せられている場の熱までもが、きちんとパッケージされていた。
 さて、いくつかの疑問が出てくる。講談って何だ、落語との違いは何だ、お笑いが好きで講談に興味を持っているという、ほぼ“いよいよだぞ”な状況に片足を突っ込んでいることに自覚はあるのか、などだ。そのぐらいには未知の領域だ。自覚はある。
 そこで、まずは、神田松之丞とは誰なのかという話からしたい。
 神田松ノ丞は、神田松鯉(しょうり)の弟子になり、2017年現在34歳の講談師である。メディアで紹介される際には「気鋭の」や「今チケットが取れない」と冠され、二つ目という位置ながらとてつもなく期待されている。

 神田松之丞が34歳でここまで注目されているということは、客からしてはとても助かる。年齢が近いということは、触れてきた文化だけでなく、世の空気感を少なからず共有しているということであり、これは伝統と現代のパイプとしてものすごく機能する。この場合の伝統と現代というのは、「講談と演者」であり、「演者と客」にあたる。
 つまり、我々と共通の認識を持った人が面白いと思ったものを、その人がさらに面白くして見せてくれるということである。
 次に講談と落語は何が違うのかというと、まず、原則的には演じる噺が違う。
 落語の演目についての説明や上方と江戸の違いについては省略するが、講談は、軍記や偉人伝などが演じられる。有名なもので言えば、忠臣蔵などであり、一度、江戸時代最強の力士である雷電為右衛門が初めて土俵にあがるというネタを見たことがある。
 あと、張扇(はりおうぎ、はりせん)を使って釈台(高座に設置されている台)を叩きながら、抑揚をつけながら話を進めていくのも大きな違いである。これがとても気持ちいいグルーヴを産み出していく。音源に何かを叩く音が聞こえるのはこのためであって、講談師の横で、ギャグボールを咥えてコックロックをはめて四つん這いになっている裸のおじさんの背中を叩いてるわけではない。
 演目の違いについて立川談志は、忠臣蔵を例えに出して、こう話したという。
「落語は忠臣蔵の四十七士じゃなく、逃げちゃった残りの赤穂藩士二百五十三人が、どう生きるかを描くもんだ。」
 逆説的に言えば、そういった人間のダメさ、間抜けさといったものは講談ではあまり描かれないのかもしれない。現代風に、かつ大雑把に言えば、ドラマとバラエティーといったところだろうか。どちらが勝っているかということではなく、単に描くものの違いだ。
 ちなみに、松之丞はもともとは立川談志のファンであり、そこから講談に入ったいったという。だからなのか、やはりと言うべきか、高座を聞いていると、業を肯定するような匂いが芬芬にしてくる。
 CDは二枚組で「荒川十太夫」「天明白浪伝~金棒お鉄」「天明白浪伝~首無し事件」、そしてボーナストラックとして「松之丞ひとり語り」が収録されている。
 「荒川十太夫」は、赤穂義士伝の討ち入りから数年後の後日談であり、「堀部安兵衛切腹介錯人を務めた荒川十太夫は、その際に堀部安兵衛に身分を問われる。低い身分だった荒川十太夫は、それでは申し訳ないと思い、身分を高く偽る。その後、堀部安兵衛の墓参りを続けていたが、ある日、偶然にもその身分を偽っていたことが自分の上司にバレてしまう」というもので、かなり地味な話だという。だが、美談であり、しっかりと聞かせてくる。
 「天明白浪伝 金棒お鉄」は「お金を貸した相手が病気になっていても元本の三倍にもなったお金を取り立てようとするごうつくな婆を長屋全員でやっつける」という話で、これは分かりやすく、落語チックだ。前半はシリアスでありながら、後半はドタバタになるから聞いていて楽しい。
 「天明白浪伝 首無し事件」は、モテない男が結婚するがその相手が首無し死体で見つかるという内容で、ミステリー仕立てになっている。まさに、聞き終わった後は、ドラマ一本見たような満足感をエルことが出来る。
初回では分かりづらかったりするかもしれない。でも、あらすじを調べてみたり、何度も聞き直すうちに、だんだんと話が追えるようになってくるはすだ。伝統芸能に触れる時はそういう壁は当たり前なので、別段ハードルに感じる必要は全くない。
 CDを聞いていて、ニヤリとさせられたところがある。「天明白浪伝 首無し事件」を演じたこの日は日曜日で、順番も最後だったのだろう。そのマクラで松之丞はこう話す。
「時々、(客席の空気から感じる)ニーズを受けてですね、あ、この噺やりゃ良いなってのが分かる。今日だったらね、多分ね、適当にね、5~6分ぐらい適当なマクラふって、芝居の喧嘩、これがベスト。みんなも疲れないしね。明日から月曜日だ、Twitterの反応だって良いでしょう。いやー良かった良かった、松之丞空気読んでるよ。分かってるよ。スカッとやって帰ってさ。いやー、良かったな、なんていう風になるのは目に見えてるんですよね。でもそこじゃないんだね。そこじゃない。そこ目指してもしょうがないんだね。」
そしてそれから結局、45分のネタを演じる。この意識の高さ、天の邪鬼さ。そして、そこで外さないという確かさ。このかましはなかなか出来ない。
 それだけじゃなく、インタビューも読むと、過激で敵を作りかねない発言をしてるのもよく見かける。それは、松之丞がプロレスが好きということにも起因するのだろう。
僕はこういうことをする人間にベットしたい。神田松ノ丞の藝は間違いなく、多くの人を一目惚れさせることが出来る力を持っている。
 今さら、ではなく、今から神田松ノ丞を聞き出すとしても、向こう40年はときめくことが出来ることが約束されている。

夏の思い出'17~食べ物編~

夏'17に食べたものをメモ。

熊本城にあるTENTEというフルーツ関係の甘いやーつのお店。メロンと生クリームと、サクサクの氷。
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大分旅行で食べたりゅうきゅう丼。刺身のぶつ切りの漁師料理。りゅうきゅうは、琉球で、でも大分の料理。名前の由来は、琉球の漁師から習ったからとか諸説あるらしい。要は船の上で食べるもので、お茶漬けにしてもいいらしい。

醤油とみりんとお酒を混ぜたものに30分ほど漬けたら簡単に作れるので、半額の刺身とかを買った時にささっと一味違ったご飯を食べられるという。一回やってみたら、まあまあ成功したのでレパートリーにします。

 
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大分旅行は、福岡経由で行ったので、前から行きたかったイカの河太郎というお店のイカ刺し。イカ尽くしコースで5000円。他にはイカのお寿司やらイカシューマイ、刺身の後は天ぷらになったりと旨かった。
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同じく博多でのラーメン。一幸舎というお店で、豚骨の匂いには馴れているけど、なかなか匂い強めに感じました。でもやはり旨い!

僕はラーメンを食べる時は基本的には、白米へのワンバウンド方式を採用したい派。ダイエットしてるので最近はやっていなかったけど、解禁しました。

ほんとは、博多はうどんも旨いんですが時間無しのため行けず。

 
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新宿にある、お笑いライブのデフォルトステージ新宿バイタスとかへ向かう途中のラーメン屋「新宿あご出汁ラーメンたかはし」。十時くらいに行っても結構並んでいた。

あご出汁ラーメンはやっぱ基本ベース旨いよ。

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設楽さんも感動した、新宿にあるりんご飴専門店「ポムダムールトーキョー」。

久しぶりに食べたけど、感動する旨さ。

新宿とは行ってもちょっと駅から歩くところにあるのだけれど、夜までやってるし、持ち帰りなら全く待たずに(プレーンだけたけど)買えるので、東京へ密航する度に行きたい。

この時は一時間ぐらい待ったので、男一人だとハードル高いかな。

友人と行ってバナナマンライブの転売状況の、高騰ぶりとか、対策しない会社はバカだとかを筆頭にずっとお笑いの話をしてました。
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博多の豚骨ラーメン「shinshin」。こちらは一幸舎よりは匂いのクセ弱め。どっちも一幸舎にするかこっちにするかは、その時の気分で決めたいところ。
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大濠公園の近くにある「おいしい氷屋さん」のコーヒーかき氷。やっぱり僕は、夏は、パフェより、かき氷派ですね。
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 こんなもんですかね。

時系列は下に行くほど古いです。

しかし、痩せたことによって旨いものを食べまくることへの罪悪感が無くなったのはデカイ。

最近よく、コスパの良い回転寿司屋さんをTwitterで見るので、今度はそこをメインに行ってみたいなとかように思います。

まあでもレモンサワー飲んだら終いよ。


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当たり前を迂回する。『表参道のセレブ犬と、カバー二ャ要塞の野良犬

 少し前から、伊集院光の朝のラジオ番組『とらじおと』のニュースを聞くようになった。毎日20分ほど、その日のニュースと、それを受けて伊集院光のコメントと、解説員の解説を聞くことが出来る。これまで、ニュースといえば、神田うのが娘のバイオリン合宿の移動にヘリを使ったというような情報社会の宿痾みたいな芸能ニュースや、メロン畑に除草剤がまかれた、みたいな個人的な琴線に触れるニュースに興奮してしまうぐらいだったために、解説そのものが難しかったりするのだけれども、聞きなれないラジオCMや、深夜とは違う口調の伊集院光に何故か照れくささを感じつつも一応は続けられている。
 ただ、これは世間の動きに詳しくなりたいというよりは、伊集院光がどう感じたかということを知りたいという欲求のほうが大きいからなのかもしれない。そして、それらのニュースを受けての伊集院光のコメントは、その優しさと頭の良さの両方にダイレクトに触れられるものであるというのが一番の理由となっている。
 そもそも、何故、こんなことを始めたのかというと、オードリー若林の著作『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』を読み、若林が少し前から家庭教師を雇っているという記述を読んだからだ。設楽統に憧れてベッドと布団と枕のカバーを真っ黒にして、大学生の頃はツナギを着て生活していたくらいに影響を受けてしまう。最近だと、銀杏BOYZ峯田和伸サンボマスター山口隆オールナイトニッポンRでの、二人で好きなレコードを流しあってトークをしている様子を聞いて、まんまとレコードプレーヤーが欲しくなってしまった。
 『カバーニャ要塞の野良犬と、表参道のセレブ犬』は、「年齢もアラフォーだというのに、ニュース番組を見ても全く理解できないことが恥ずかしくなった」若林が、家庭教師を知人から紹介してもらったという近況から始まる。
若林はその家庭教師に言われて読んだ世界史と日本史の教科書で「資本主義下の自由競争秩序を重んじる立場および考え方」と定義される新自由主義という言葉に初めて出会う。そして、20代の頃の悩みが、そのひとつの枠組みの中での価値観によって作り出されたものでしかないことに、気付く。そして、その対極に位置する社会主義の国キューバに行くことを決める。
 桃を買いに行くだけでもフリートークが出来上がると評された男が、初めて一人で海外旅行に出かけるのだから、面白くならないはずがない。旅行を終えて帰国した直後のオールナイトニッポンでもキューバ旅行の話を普段のトーク時間よりもたっぷりと話していたのは聞いていたが、活字となった本作は、以前に出版されたエッセイの『社会人大学人見知り学部卒業』ともまた違う印象を受けながら、郊外のマクドナルドでむさぼるように読み進めた。
 何とかかんとかホテルに着いたり、ガイドに案内されながら街並みを観たり、闘鶏場に行って葉巻やラム酒を覚えた、お金よりもコネクションが優先されることを知って「お金のほうがフェアなのかもな」と思ったりする。風景だけでなく、キューバの人々も血が通った愛くるしいキャラクターで語られる。
 そして、本の最後では、少し前に若林の父親が亡くなったことが明かされる。
 若林の父親キューバに行きたがっていたという。とはいえ、若林がキューバを訪れたのはそれだけが理由じゃないだろう。仕事が安定して落ち着いていることで長期の休みが取れたということもあるだろうし、先輩の前田健が急逝したことも理由のひとつかもしれない。
 タイトルにもなった二匹の犬。
 若林は、真っ昼間の炎天下で、死んでいるかのように寝そべっているけれども、「なぜか気高い印象を受け」させたカバーニャ要塞の野良犬に、解説を書いたこともある藤沢周の『オレンジアンドタール』に感銘を受けたころの自分を投影したのだろうか。それと同時に、表参道の「サングラスとファーで自分をごまかしているようなブスの飼い主に、甘えて尻尾を振っているような」セレブ犬に冷ややかな視線を向けながらも、売れて何年も立ってお金や地位を手にした自分を見てしまうのだろうか。
 そういった矛盾も内包した、マーブル色のように複合的な存在は、若林が感銘を受けたという、小説家の平野啓一郎が提唱する「分人主義」のそれだ。
 多くの人は理不尽なことに出会った時に、そういうものだ、と納得したり、納得出来ないということに納得して、そのことを突き詰めることなく自分の気持ちを収める。何故ならそのほうが楽だからだ。ただ、若林はそうしなかった。自分を苦しめていたものの正体を納得するためにキューバを訪れた。
 その行動を起こそうとしたという性格が、社会に対しての窮屈さの理由となっているのかもしれない。例えばそれは、数学の問題を解くときに使う方程式を成り立ちから調べるというように、道のりを遠くしてしまうことと同じなのかもしれない。ただそれが必ずしも間違っているかというと、迂回してたどり着いた当たり前の結論は、納得したふりをしたものと同じでも強度が違うはずだ。そう信じたい。
 インターネット上で話題になる、いわゆる炎上案件についても、誰かの答えが自分の答えに近いなと思うだけで納得した気になってしまう。果たして、不倫をした人をバッシングする人全員が、不倫をしたいけど出来ないからという嫉妬だけでそんなことをしているのだろうか。
 そりゃ、インスタ映えという言葉を揶揄したりすることもあるが、美味しかった写真を撮ることもあるし、「いいね!」が欲しいときもある。「メロン畑に除草剤をぶちまけたの、松浪健四郎らしい」とツイートした時に全然、いいね!されなかった時は、楽屋に戻るなり、「ダメだ、今日の客は重いよ」と言いたくなったぐらいに、ウケたい。
 「もっともらしい答えが容易に手に入る時代だからこそ、引っ掛かることだけでも、立ち止まらなければならない。」
 『カバーニャ要塞の野良犬と表参道のセレブ犬』を読んで、そんな当たり前の結論に、到達した。
 活用出来るかは分からないけれども、データを取り込んで雑に聞き流して終わりという音楽との付き合い方を変えるために、とりあえずレコード屋に行ってみようと思った。

『コント「お前、ホンマ最低やな!」王決定戦』雑感

 東京に行くことが決まったので、何かライブはないかと探していた時に、見かけたライブタイトルと座組に惹かれて行ってきました『コント「お前、ホンマ最低やな!」王決定戦』。その感想と防備禄です。
 MCは、レイザーラモン。MC仕事は年に一回しかないらしく不安だということに加えて、HGが趣味の柔術のスパーリングで喉を潰していた(RG「趣味で柔術すな」)のだけれども、出演している芸人に対して、キングオブコントで見たあのネタは面白かった!といった舞台袖やテレビで見たであろうその芸人への知識や優しさを持って接していたので終始温かく、そしてそれがうまい具合にネタの最低さを引き立てるという台風が出来るメカニズムのような相乗効果を産み出していた。
 披露されるコントのコンセプトもさることながら、ネタ尺が8分というのがとても良かった。実力者達のネタなわけですから、八分でも強度が違って飽きさせず、優勝のかもめんたる以外の全てのネタも本当に面白かったです。こういう言い方はあまり好きではありませんが、コスパ良すぎでした。二回目があればぜひ行ってみてください。
 以下、ネタばれありの覚書。

ザブングル『バイトの面接』
 トップバッターでもあり、ライブの趣旨を説明するに相応しい、オーソドックスな「お前、ホンマ最低やな!」なネタでした。これを若手がやってもあそこまで面白くはならないはず。20年選手の力を見ました。
このネタは、KOCの予選で引くほどスベったとのことだったのだけれども、この日にウケたことで闇に葬られずにすみました。
 ちなみに、レイザーラモンの二人は、加藤に「カッチカチやぞ」「悔しいです」を振らずに、松尾に徳永英明を歌わせていました。

・空気階段『渡辺篤史の建もの探訪
 ラフターナイトで年間チャンピオンにもなったほどの実力の空気階段のコント。建物探訪に来た渡辺篤史が、家主の奥さんと犬、最後には家主を殺して犯すという、タランティーノでもどれか削るだろう、「これが俺らの、けものフレンズや!」という咆哮が聞こえてきそうな単独でも出来ないネタ。例えば、このライブの二回目があったとして、同じネタをやったとしても、誰も文句は言えないほどに「お前、ホンマ最低やな!」だけで言えば図抜けて一位なコントだった。
 何より怖いのは、ネタを書いているのが、水川かたまりというかわいこちゃんの方。
客席で悲鳴をあげる人が批判されるけど、コントで悲鳴が出てもむべなるかな、という感じだったし、むしろ誰か悲鳴をあげろと思った。余談ですが、ラフターナイトのエル・カブキのネタで神田うのが何回も結婚式をあげているというくだりが出たときに客席から小さな悲鳴が出たことがあるのですが、あれ以外の正しい客席からの悲鳴を僕は知りません。
 空気階段は、わらふぢなるおと合わせてコントが面白いコンビなので、いずれはKOC決勝に上がってくることは間違いないと密かに思っています。

・マツモトクラブ『ホームにて』
 バンドを辞めて地元に帰ることになったバンドマンのところに、元のメンバーが駆けつけて別れの挨拶を告げるも、実は・・・・・・という前半の多くをフリに使った贅沢なネタ。そんな信頼されているマツモトクラブだから見られるコントは、しっとりとしたビターな「お前、ホンマ最低やな」だった。
 次はツーマンライブもやっている、ルシファー吉岡とのコンビで出てもいいかもしれない。
 
かもめんたる『元彼』
 単独か何かですでにあるネタなのでしょうか。今回東京に行ったのは、バナナマンの単独ライブが理由だったのですが、前後でライブを探している時にかもめんたるが見られるこのライブに気付いた時はとても嬉しかった。ラッキーかもめんたるは、ラッキーのなかでも上位に入ります。その位、かもめんたるが好きなので、何の不安もなくネタを見たのですが、やっぱり面白すぎますね。
ネタは、家でくつろいでいる槇尾が、携帯電話の着信音で彼女が携帯電話を忘れていることに気付く。男からの電話だったので出て、自分は彼氏だと伝えるも、元彼だと名乗る男はそれを「別れた彼女が自分を諦めさせるために声色を変えて男のふりをしている」と言い張ってきかないというものでした。演技力、構成、ボケの精度とパワーと重さ、どれをとっても納得の優勝でした。
 ちなみに彼女の元彼が何だったら嫌かというと、自主製作映画を撮っていたら嫌だろうということから着想を得て作られたコントとのこと。
 改めて思いましたが、かもめんたるは、爆笑問題デビュー時のコント「進路相談室」や初期のバナナマンのような、じめっとした質感を持った陰湿なコントをやらせたら随一ですね。相手を追い詰めるネタはまだあれども、そういった感触のコントはほとんど消え去ってしまっているように思えるので、突っ切っていってほしい。最高です。

ジャルジャル『オーディション』
 福徳が扮したチャラ男番長というピン芸人が、ネタ番組のプロデューサーである後藤ところにオーディションを受けにくるというネタ。予想通り、ピン芸人は面白くないネタを見せるのだけれども、そこからの展開がまさに唯一無二のジャルジャルのコントで面白すぎた。あのグルーヴはジャルジャルしか出せないですね。ちょっとよだれ垂らすくらい笑ってしまった。噂では、作ったネタが五千を超えているらしい。衆生を救う千手観音様の五倍。だからなのか、ジャルジャルのネタを見るたびに、他の人達のネタでは到達していないところに触れられる気がする。
 通な見方としては、福徳が変なキャラクターをやっている時、後藤の“無”の表情に注目することです。あれは絶対に笑ってしまう。散々くだらないことをやった後にカタルシスを持ってくる構成まで含めてお見事でした。
秋から単独始まるみたいなので、とても楽しみです。

さらば青春の光『臓器売買』
 明転板付きでヤクザの森田が電話口に向かって関西弁で捲し立てるだけで、赤坂見附が一気にどや街の空気になる。森田がいる事務所に入ってきた東ブクロは、ギャンブル依存症で、借金が出来たので自主的に臓器を売りに来たのだけれども、かつすでにもう売るところは無いくらいに体がすっかすかな最低な奴というコント。
厳密に言うとボケていない東ブクロに、一つも外さずにツッコミまくる森田という、さらば青春の光のスタイルを貫いたコントは爆笑だけでなく、見ていて気持ちがいいです。
童貞のスティグマを背負っているのでスキャンダルの件で一切笑えなくなっていた東ブクロに対して、いつの間にか笑えるようになっていることに気付いたのも収穫でした。
 
天竺鼠『抜き打ちテスト』
 天竺鼠は最低なやつというよりは変な奴の方(コント「何かヘンな奴、来たぞ!」王決定戦)じゃないかと思っていたのですが、やはり今回の出場者のなかでも一番一筋縄でいかなかった。
教師の川原が抜き打ちテストを行い、生徒の瀬下がそれを受けるというネタの始まりは、オーソドックスなネタかと思わせておきながら、その正体は瀬下が空気椅子のような状態をキープさせられるというハードな筋肉いじめコントだった。
 椅子がなくても足を曲げたら椅子に座っているということになるというコントにおける叙述トリックのせいで、足の痛みを耐えるために大声を出したりする瀬下が、テスト中に騒いでいる最低な奴になってしまうという入り組んだ構造を持ったネタでした。
 下半身の筋トレを全くしないのでその仕組みに気付くのが遅れたことが悔やまれます。