死にたい死にたいって言いながら生きていくからな、ずっと。

精神がパンクすぎるが故に、パンクバンドを組んだものの、アルバムを出さないという形でパンクを体現していた峯田和伸率いる銀杏BOYZが9年ぶりに新譜をリリースした。
ライブでの音源を収録した「BEACH」、そして、フルアルバム「光のなかに立っていてね」。
TSUTAYAでアルバムを予約しにいくと、ネットでも買えるこのご時世に、前金が必要だということは腑に落ちなかったし、そもそもの話として赤の他人に、買うくらい好きなものがばれるという行為が恥ずかしくてたまらないんだから、今後はやっぱりネットで買おうかな、でもTポイント10倍の特典は捨て難いなとも思いつつ、発売日を待った。
「I DON'T WANNA DIE FOREVER」を最初に聞いたのは、深夜の馬鹿力で、シングルの「あいどんわなだい」を初めて聴いた時にイントロを聞いて興奮したのを覚えているくらい思い入れがある、その曲の変わりように、ついていけなかった。
それでも、アルバムを通して聴くととても良いし、何度も何度も聴くだろう。
ダイノジ大谷ノブ彦のANNに峯田和伸がゲストに出ていた。
デリヘル嬢を呼んだ時に、その子が帰り際に「銀杏、ライブやんないの?」と聞いてきたという、風俗に行った武田鉄也が「金八先生はこんな所来ない!」と指名した子に号泣されたという話に勝るとも劣らない素晴らしいエピソードも飛び出したが、この「I DON'T WANNA DIE FOREVER」についての「ちゃっちい感じを出したかったのかもしれないですね。出したかったというか、ちゃっちくしかなんなかったです。僕ら作ったら。なんかゲームセンターの音にしたかったのね。ああいう。よく行くんで。なんかあったら。(中野)ブロードウェイのゲーセンなんすけど。太鼓叩くゲームがあって、すごい好きで、その音がね、すごい良いんですよ。なんかちゃっちい感じのゲーセンの感じが。」という話は聞けてよかった。
この話の後に、録音データを巻き戻して、もう一度聞き直したら、そのすぐ前に聞いた時よりも良く感じて、掴めていたような気がした。AMの音源じゃなくて、CDコンポでもなく、ヘッドフォンから爆音で流すべき曲だったんだ。
阿佐ヶ谷のパチンコ店に行って轟音を浴びると、頭がクリアになるとも話していたけど、「人間以下の僕は生きてる価値なし。人間以下の僕はときめく権利なし。人間以下の僕は人間になりたい。」ってところ、これ峯田が無気力でなんにもする気が起きない時に口ずさんでいた替え歌をそのまま使ったんじゃないかとも思えてきた。
その他にも、この放送で峯田はついさっき歌詞ができたばっかりという『夕闇を殺せ』を生歌で披露してくれた。
「夕闇を殺せ。眠れずに夜のかさぶたに泣いていたあの少年はもういない。Gコード抑えたら、メロディが泣いてくれた。消えたいとネオンの底に息を止めていたあの少年はもういない。白いノート書きなぐった遺言を歌詞にして。涙は捨てて、愛を見つけて、君の腕で、君の歌で、夕闇を殺せ。あの子を助けて。君の声で、君の声で。手繋ぎたいけど恥ずかしいから。You are my best friend 同じ君の声で」という歌詞のその歌は、深夜ラジオでの生歌ということを差し引いても揺さぶられた。
歌い終わった後の、「ご静聴ありがとうございました!」という挨拶の後の一瞬の無音は、9年という月日を、有楽町からiPhoneまでの距離を超えて、中央線の様に心に刺さった。
放送の中で、セックスはしたいけど、それよりも気持ちい瞬間があるという話になり、峯田はこう言った。
「何が好きってね、スタジオ入るじゃないですか。でね、曲始める前のね、シールドからアンプ突っ込んで、びーっ・・・・・・ってノイズが走っていて、で、俺がマイクスタンドを自分の口の高さに合わせて、で、あびちゃんがセッティング終わって、俺があびちゃんの方を見て、あびちゃんが、うんってうなずいて一回、で、村井君の目を見て、で、そっからやっとチン君がこっちを見て、それでにこっと笑うのね。で、俺が、やっかって言って、カウント始めるの、村井君が。そっから曲に入る、そこのほんのひと時、あのときめきがね、俺はね、あのためだけにロックやっているんだと思う」
それを聞いて、THE BLUE HEARTSのアルバム「STICK OUT」の、「月の爆撃機」と「1000のバイオリン」の曲の間の一瞬のことにつながって、もしかしたら、音楽というのはそんな無音に到達することが最終的な目標の行為なのかもしれないとさえ思わされた。
通っていた高校は中途半端な進学校だったから尖がっていたのか、ただのブームだったのかGREENDAYのベストアルバムやGOINGSTEADYのアルバムを持ってる人は結構いた。その中で「光のなかに立っていてね」を何人が新譜を買ったんだろうな。
そんな時期に三日だけ付き合った子が結婚したという話を聞いた。きゃんちは年齢公表して年上になっていたし、ミリオンガールズの隆盛も昔の話だ。早坂ひとみが好きだったとことが遠くなるほどに、9年というのはそんな歳月だ。
銀杏BOYZは、もっと短いスパンで「DOOR」や「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」のようなものを出せていたのかもしれない。
「ぽあだむ」はキュートで最高だけど、もしかしたら、こんなポップな歌だけで固めることができたのかもしれない。でもそんなアルバムは嘘くさいし、誤魔化しだなとも思う。このバンドは、たとえ崩壊することになるとしても、手癖だけで続けることを拒否したんだ。
大きな理由はさておき、小さな理由は、弁当のしきり用の繰り返し使えるシリコン製のカップを、一回も使わないまま、親に使い切りのものと思われて捨てられたからふてくされたという小さな理由で、今月家を出る。歩いて15分くらいのところだけれども。
新しい生活が始まっても、性格なんてすぐに変わらないし、嫌でも変わっていく部分はある。それでも、死にたい死にたいと言って、人生に対して尖りながら生きていってやる。