石をつかんで潜め(Nip the Buds)

ex俺だって日藝中退したかった

シニカル気取りのバカ、あいみょん聞いてセンチメンタルな気持ちになる前に、てめぇを人間にしてくれた方々への感謝の意を伝えるのが先だろ。

あいみょんの「瞬間的シックスセンス」を借りた。泥目線の34歳にあるまじきこの行為には理由があって、youtubeで公式チャンネルで「マリーゴールド」と「今夜このまま」のPVを見ていたらやたら何度も繰り返して聞いていたら、あいみょんの曲がゆずの岩沢厚治に似ているということに気がついた。岩沢の、世の中つまんないくだらない、みんなバカばっか、俺もバカ、ボケが、ラジオ番組でネタ披露しておいて「ラジオなんだから伝わらねえだろ」っていう漫才師は何をやらせても駄目だよとか、「令和」を際立たせないといけないのに後ろに繰り過ぎた名前いれたら主旨がブレるぞとか、あー全てがつまんねえなあ、っていうような気持ちを撒き散らしながらとりあえず存在している感じが、あいみょんの曲から滲み出ていたからだ。あいみょんはラフターナイトを聞いていないだろうけど、「風の強さがちょっと心をゆさぶりすぎて」っていう歌詞に持っていかれた。なぜなら、そういう夜はあるから。そんな夜はコンビニの灯りにとても惹かれるから。めちゃくちゃ良いですね。シングル曲はもちろんのこと、「ら、のはなし」「夢追いベンガル」、フォロワーさんに聞いてほしい!と言われた「from 四階の角部屋」とか良かったです。暗い部屋の中で爆音で聴くよりも、寒い日の深夜のコンビニの帰り道がぴったり合うそんなアルバムだな、と思った。それこそ、ゆずの「方程式2」のような気持ちの時にハマるそんなアルバム。あいみょんを好きになっても何も変わんないけど、何かを変えようという気持ちにはなりました。子供が産まれたという話を職場に報告をしたら、そりゃあ鈴木もぐらも眼の色をかえて奥さんに御祝儀を渡すのを嫌がるわと実感するくらいの御祝儀と、それよりも何よりも、戴いた数々のおめでとうという言葉が本当に染みました。がんばるよー、ほんとだよー。この年度末、自分がお世話になった上司が一気に定年退職していった。新規採用のときに直属の課長で、仕事上での部下ではなくなったものの今年までよく話をしたりした人、つい最近まで直属の課長だった人、新規採用の時の面接官だったというだけで何故か声をかけてもらうことが多かったけれど仕事を一緒にしたことが無かった人。そんな方々が一気に退職してしまうということで、一人でだったり、同僚を集めて一緒にだったりしてプレゼントを買って渡すということをした。沖縄のプレゼントはかりゆしウェアと相場が決まっているので、その通りにしたり、悩みに悩んだ挙句、その自意識が爆発して、やっぱり買うのを辞めようとなったけれどそれを振り払って、少し高めのハリオのティーポットを買ったりした。ありきたりなお酒とおちょこのセットよりも、背伸びした革靴の手入れセットよりも、ニンを出せたと思う。ハリオ好きだしと自分に言い聞かせた。それらをへらへらしながら渡したら、きちんと受け取ってくれた。仕事をしたことない方には、「仕事をご一緒したかったです」とこぼした。それは本心だったと思う。こうやって手塚治虫の『どろろ』のように、定年まで時間をかけて人間になっていくのだろう。その時の飲み会で飲むお酒はさぞかし受けるだろう。そう思った途端に、まあいっかと思ってその日の飲み会を断ったことをゆるく後悔した。