乱交セラピー、JAPANESE PARTYバスツアー日誌『愛の渦』 ※ネタバレあり、下ネタあり

『愛の渦』を見てきました。
男2万円、女性千円、カップル5千円という料金を払うと、その夜に集まった人たちと、乱交パーティーが出来るという闇風俗を舞台にしたその映画は、特に、門脇麦という若手女優の演技が世間の耳目を集めていた。
監督は劇団ポツドールを主宰している三浦大輔だ。池松壮亮が演じるニートの青年は、親から布団を買うお金としてもらった二万円でその乱交に参加する。
豪華なマンションの一室が使われているのだけれども、セックスが出来るベッドルームと、待合室のように使われているリビングを別にしたことによって、場面に誓約はあるが動きもあるといういい塩梅になっていた。
最初は知らない人達が集まってセックスをするわけだが、ぎこちなく会話を始めるのだけれど、次第にそれはコミュニケーションへと変わっていく。そしてとあることをきっかけに崩壊、回復をしていく。
日常生活において、会話というのは言葉を選びながらなされるわけだけれど、コミュニケーションでは、それだけではない。たとえば、着ている服といったファッションなどの視覚からの情報もその一つで、それらのありようによって、距離のとり方は多かれ少なかれ左右される。この映画では、乱交パーティー場の特異性から、登場人物達は、ファッションはそぎ落とされ、「私たちはセックスがしたいからこの場所にいる」という目に見えないけれど確かな共通項としての情報が与えられた人たちということになる。これは、匿名性を高めることができるtwitterのようなSNSの隠喩としても読むことが出来る。映画の後半で、登場人物が洋服を着たあとの会話の言葉が裏の意味を持つようになるのもまるでオフ会のようだ。
時間がきて、カーテンを開くと、まぶしい朝日が目を指す。いろいろなことがあった一夜が明けたあとは、パーティーというよりはセラピーを受けたようになっていた。
この映画を見ながら思ったのは、監督のいやらしさだ。卑猥な、という意味ではなく、露悪的という意味のほうで、世間を斜にかまえて見ているような性格の悪さがにじみ出ていた。SPA!の連載で、東京03が優勝したことを、なかば同情票と言っていたときにはセンスのなさが目立っていたけど、『愛の渦』ではそれが題材含めて、いいほうに転がっていったと思う。
いくらでも本当の考えを隠すことができる言葉に依拠している人間関係という脆い土台に、承認欲求やつながりたい願望を求めてしまうという愚かしさを、監督に嗤われているような気になった。
特に、いつの頃からかコミュニケーションに難儀するようになって、帰り道にああ言えばよかった、なんであんなことを言ったんだと思う日々でした。それは後ろ向きな性格と猫背を醸成させるには十分な年月だった。もう少しコミュニケーション能力が高ければ漫才をしていたかもしれないですし、もう少し症状が重ければピン芸人になっていたかもしれない。

ここからは下ネタに入ります。








池松壮亮について調べていたら、自分にとても似ていることに気づいたのだけれど、彼を10キロ太らせたような顔をしていた大学時代は、AVばっかり借りていたのだけれど、中でも一時期は乱交のジャンルばっかり借りるようになり、メーカーを横断している二束三文の総集編を見てみたら、6割見たことあった時に、恋人同士がいったん距離を置こう、と話す意味が分かりました。その位好きです。
シリーズで好きなものといえば、誰かの部屋をたまり場にしている暇な男女の乱交を描いた「超ヤリ珍·ヤリマンサークル日誌」は童貞のファンタジーが詰まっている。特に7巻がいい。
逆に『JAPANESE PARTY HARDCORE』では、踊るほうのクラブや、金持ちの別荘で、余計な設定を省き、テクノをBGMに流し、日本人だけじゃなく黒人も参加していて結構な大人数が乱れるのはさながら性欲のサラダボウルなわけだけれど、まさにパーティーと呼ぶにふさわしい。風営法を適用させてクラブシーンを壊滅に追い込もうとしている警察はこのシリーズを見て嫉妬に狂ったからだと思っている。
中でも一番の『バコバコバスツアー』、通称『バコバス』は、豪華女優十数人とユーザーが乱交をしまくるというバスツアーで、これに参加出来るのとAVに出たという過去を持つとした場合、二週間は考える時間が欲しくなるというMOODYZキラーコンテンツだ。バコバスになら、甘く轢かれるくらいだったら、逆にテンションがあがってしまうだろう。次いで轢かれてもいい車が、マジックミラー号だ。
奇しくもMM号は2014年に、老朽化により荷台と運転席をつなぐ連結部分が、走らせたときの衝撃に耐え切れなくなってしまったという、昭和と平成、二つの時代を駆け抜けたプロレスラーのような理由で引退してしまうわけですが、MM号には、高層ビルの火災などに活躍したハシゴ付き消防車の、ハシゴ部分がもう使えなくなったあとに、ビルがまだあまり建っていないアジアの小国に寄付されて、もう少しだけ消防車としての職務を果たせるようにするみたいに、MM号も、どこかのラブホテルが買いとるといった穏やかな余生を過ごさせてあげたいと切に願います。
『バコバス』は毎年、オリンピック、小悪魔痴女、アイドル、ギャルと毎年コンセプトがあるのですが、今年はお祭りでした。
江戸から明治初期にかけて、近代化が進んだのは都市部だけであり、まだまだ村では、それまでの慣習が根付いていて、それは夜這いといった性的な風習が残っていたということは民俗学者のフィールドワークによって明らかになっていて、その一つに祭りの夜は乱交が行われるという、言ってみれば、お祭りというテーマで一周してしまったわけだけれど、特に感激したのは、女優にカラータイツを履かせるということを発明したことだ。このことによって、画面がジェリービーンズが入った瓶のようにカラフル楽しく、なおかつ奥行きのあるものになり、そして遠くからでもお目当ての女優がわかるという、一石三鳥のその衝撃度はルネッサンス期における遠近法の登場と並ぶとも言われています。
そんな話を、親しい友達にこのジャンルが好きだと話してもまったく同意を得られないという意味においては、まさに乱交はコミュニケーションの難解さを表すものなのかもしれない。死のうかな。