キングオブコント2017感想

こんにちは、琉球バナナマンです。

キングオブコント2017見ました。以下、感想と与太。順番は点数順。


10位・GAG少年楽団『幼なじみ』
幼なじみが恋愛だけ全く進展しないまま59歳を迎えたという設定の哀愁あって好きなネタ。

9位・パーパー『卒業式』
じわーっと爆発しそうな空気のまま終わってしまったのが物足りなかった。
マルチ商法のくだりとかを山田に言わせるとかするなりして、山田のセリフで笑いたいという欲求が出てきた。一本のコントの中で関係性がひっくり返るとかの転も欲しい。

8位・ゾフィー『母親の家出』
母親が出ていった理由が徐々に明らかになっていく奥行きを感じさせるたまらないコント。上田はネタを書いてるだけじゃなく、よーく見ると、飛び跳ねたり、舞台袖へ走る時の動きが絶妙にコミカルで面白い。これがサイコパスな息子のエグみを消している。もっと動きまわってほしい。生で見たらもっと面白いんだろう。
他にももっと面白いネタあるんだろうなと思わされたので、来年以降も戻ってくるだろうし、かもめんたるのように微調整してキングになる可能性だって十分にあると思う。
そういう意味では二本目も見たかった。
ゾフィー、フリーも良いけどタイタンという選択肢もあるよ。社員旅行もあるしね。

 

 7位・アキナ『バイトの休憩』
バイトの休憩室でのバイト同士のやりとり。面白かったけども、オムニバス的な作りになるとモンスターエンジンの名作『ミスターメタリック』と比較してしまうのと爆発が生まれにくいってのがありますね。

 

6位・わらふぢなるお『お客様サポートセンター』
わらふぢなるおはトップでありながら、確実にハメてくる骨太のコントでした。何よりふぢわらの目がいつにも増してバッキバキだった。
なるおが電話を架けたお客様サポートセンターに働いているふぢわらが「今日でこの仕事やめるのでむちゃくちゃやってやろうかと思って」と言うのだけれど、これは、今から面白い話をします、と言ってフリートークするようなもの。でも、それを越えたら、コントにおける「何でこの人はこんな変なことをやっているんだ」問題をクリアに出来るという諸刃の剣だったりする。わらふぢなるおの実力は、その賭けに勝ち、本当にむちゃくちゃなことをやって、ボケとツッコミも面白く、そのラリーが心地よい。それはまさに、サンドウィッチマンの系譜にある。だからこそ、もっとそのやりとりを増やしてくれ!と欲しがってしまう。重ね重ねトップバッターというのが惜しい。
加えて何故か、電話相手の様子が見えているのかもしれないという恐怖を乗っけることでより深みが出てて単に変な人コントでなくなっていたのが良かった。
ここからは余談。前半にあったように電話が繋がらなくなったと思ったら、後ろにふぢわらが立っていたっていうほうが怖い気がするので、そっちも見てみたいと思った。
怖いといえば、バナナマン日村が「電話でのやり取りというありがちな設定だけどそれを越えてきた」という旨の話をしていたけれども、その日村が電話でやりとりをするという設定の「ルスデン」というコントをもう十数年前にやっていることのほうが怖いな……。

 

5位・アンガールズ『海水浴で』『尾行』
アンガールズのネタが面白いのは分かりきっているからこそ、最初は賞レースというよりはネタ番組のように、ゆるやかに見てしまった。
「自分達のことを分かってる」過ぎるゆえのネタでもあったのでどうしても欲しがってしまった。二本目はめちゃめちゃ好き。この悲哀よ。
「法の中で暴れてるだけ~」は他のコントでも見たことあるセリフなのだけれども、全然面白い。むしろ、このセリフを入れるコントを色んな設定で作り続けてほしい。

 

4位・ジャングルポケット『エレベーターにて』『組織』
一本目については、これまでで一番好きです。ただ去年の『トイレ』のネタも同様ですが、ボケが多すぎるので間がキツキツになってしまうので、個人的な好みとしてはもっとボケを減らして重くしてほしいというのがある。このキツキツな感じが賞レースだというのも分かるけども。
ダウンタウン松本がドアの開閉の間が惜しかったと言及していた件については、恐らく裏に誰かがいて、人力で開閉しているからこその間のズレなので、モノ作りが得意なチョコレートプラネット長田に、本物のエレベーターと同じような電動で開閉するボタン式のドアを作ってもらうしかないと思う。
ただ例えコントがどんなに面白くなっても、おたけのことはコロコロチキチキペッパーズ同様に愛せる気がしない。

 

3位・さらば青春の光『居酒屋の注文』『パワースポット』
一本目なんてどんな発想で思い付くのか全く分からないくらいに面白い。さらばに関しては面白いしか感想が出ないのがつらい……。

 

2位・にゃんこスター『リズムなわとび』『リズムフラフープ』
何といってもにゃんこスターですが、まさにどこから話しましょうかという感じ。もちろんめちゃめちゃ笑いました。
何より導入とオチ。まさかの自己紹介オチ。でもこんな言葉は無い。
アルコ&ピースはその昔、病院では血液が不足しているので献血をしましょう!という、厚労省オチはやってました。厚労省オチという言葉もないけど。
にゃんこスター、何が面白いって、きちんとした構成を、スーパー3助の裏返りそうで裏返らない、ぎりぎりノイズになっていない、おぎやはぎ矢作以来の面白い叫び声と、アンゴラ村長の目を細めた顔で肉付けしていくところ。これはもうプリミティブな笑いで、だからこそ脳に直撃して笑ってしまう。突き詰めると、赤ちゃんがいないいないばあ、で何故笑うのかとかそういう類の話しになってくるので、文化人類学を勉強するか、『たけしの万物創世記』で扱うものだ。

ハートフルなネタと見せかけておいて、縄跳びやフラフープを床に叩きつけるという音が意外に響くという暴力性もあるところもまた最高だった。
他にも、スーパー3助が全然アンゴラ村長を見ていない時があるとか、昨年のラブレターズの野球拳の流れもあったとか、または、それらが渾然一体となったからあの爆発が生まれたとか、「堂本剛の正直しんどい」よろしく、VTRを停止しながら一つ一つツッコミを入れることが出来る。ということは、お笑いの理屈から離れていないということなので、因数分解的に解説することは可能といえば可能なのですが、これはもう、このコンビが持っている要素や場、文脈全てがびたーっとはまって共鳴して笑いを増幅させているということになる。説明出来るのに、説明出来ないところに到達してしまっていた。物理学者が研究すればするほどに、神の存在を認めざるを得なくなるといった話と同じ。
これがWikipediaの説明文を百回読んでもピンとこなかったポリリズムのことかと理解出来ましたし、あと、ここ最近鬱々としていたのだけれども、このネタを見て完全に脱出しました。
何が面白いか分からないと怯えてる皆さん、不安を怒りに変えて自我を保つ必要はありません。僕らも何が面白いのか分かってないんですから。

 

優勝・かまいたち『告白』『試着』
告白というよくある設定を「話しかけられてる人は見えなくても、存在するものとする」というお約束を逆手に取った叙述トリックで一気に変な世界へと引っくり返して、一発で観客を捕まえる。
そしてそこからは、予想を裏切りつつ脱線しすぎない展開で、どんどん転がっていくこのコントは本当に面白かった。
二本目は、試着したウエットスーツが脱げないというネタで一本目と全く異なるカラーのネタで、しかも同じくらい面白かった。
それぞれテキストの笑いとムーブの笑いの比重が異なっていて、しかも登場人物演じる二人のパワーバランスが違うという、かまいたちのネタの層の厚さと地肩の強さよ!
コントって、コント師ってこういうことだよなー。

 

・まとめ

お笑いルポライターが予選を見に行けずにすき家で味噌汁飲んでいたり、かまいたちの「浪速のバナナマン」というキャッチコピーにざわついたりしてどうなることかと思いましたが、10回目ということもあってなのか、空気感やファイナリストの色が初期に戻りつつ、コントそのものはきちんとアップデートされているという素晴らしい大会でした。
何より全体的にテキストの笑いとムーブの笑いのバランスが良くて、ああ、コントって良いなと改めて思いました。
フリーや男女コンビなど新しいものづくめで、社会人が二人(ゾフィー・サイトウ、アンゴラ村長)というのも、新しい時代という感じがしました。
バラクオバマが大統領になったことで、「どーせ黒人なんだから俺たちなんて頑張っても無駄」とアメリカの若い黒人たちが腐れなくなったのと完全に同じ構図なので、専業芸人はより頑張らないといけないですし、兼業芸人は、にゃんこスターゾフィーが出来るなら自分達にも……!となってそういうスタイルの芸人が増える可能性もあります。
この時代において社会人だからこそ表現出来る笑いや提示できる視点というのはあるはずですし、何よりお笑いを続けてもらえますから、社会人芸人という選択肢も多くなってほしい。その方が面白いことが生まれる気がします。

来年も楽しみです。