石をつかんで潜め(Nip the Buds)

ex俺だって日藝中退したかった

天下を取っているか、取ったとしたらいつとするか

 ツイッターで、少し前に、「バナナマンが天下を獲る世界線もあり得たと思ってる。」というツイートを見つけて、えっと声を出してしまった。十分に天下を取っていると思ったからである。普通の人なら、そう思うのならそうなのだろうという感じなのだけれど、サブカル評で書籍を出していたりする人なので、考え込んでしまった。
 コントライブのライブビューイングを全国でやって売りきれて、かつ、毎年コンスタントにライブのDVDも出し、企画にも恵まれている状態でテレビにも出ているバナナマンが天下を取っていないという認識は、ちょっと浅くねえかと思ってしまった。そのツイートの前に、千鳥のことを言っていて、個人的には千鳥は天下を取っていないという気はあるので、それはやはり何を見ているかなのだろう。他者の意見を尊重する。これが多様性ですよ。
 天下があまりに多くなりすぎている状況だと思うのだけれど、明確に天下を取ったなとされる瞬間が分かる人たちと、いつの間にか天下を取っていたという人たちに分けられると思う。後者は、バナナマンだったり、気付けば十年以上、フジテレビなどでネタ番組のトリを務め続けている爆笑問題などは漫才で天下を取っていると言ってもいいだろう。バナナマンが天下を取った瞬間というのは、紅白歌合戦の副音声が決まった瞬間とも言えなくもないが、どちらかといえば、いつの間にかタイプだと思う。伊集院光に関していえば、いつのまにか天下を取っていたともいえるし、『とらじおと』が始まった時といえるかもしれない。
 千鳥はまだ天下を取ったというには何か足りないという話については、まだ千鳥はテレビで重宝されているというところのトップという気がする。山田邦子は天下を取ったなどと言われていて、それは正しいと思うが、それはテレビ一強の時代だからこそ成立する尺度だと思う。
 明確に天下を取ったなという瞬間について思い当たるのが有吉広行のことだ。有吉が、天下を取った瞬間は、2019年の秋に『かりそめ天国』が『ミュージックステーション』の枠に移動したときだと思っている。おしゃクソ事変から12年、その間売れまくっていたわけなので、遅いと思われるかもしれないが、個人的な感覚として、この瞬間というのがバチっとハマる。
 そこから逆算していくと、大人を動かすということが、天下を取った瞬間になるのかもしれない。何十年もその位置にある、老舗番組を動かすというのは大人の判断になるが、そこの枠にスライドするに足る人間と大人に判断されたというのは、十分天下を取っている感じがする。もう中学生のブレイクのきっかけを産み出したのも天下人感がある。

 そういう意味では、テレビバラエティで天下を取ったのは、この十年で有吉だったということになる。

 なんかそんなことまで考えてしまった。