石をつかんで潜め(Nip the Buds)

ex俺だって日藝中退したかった

新社会人の皆様にオススメしたいラジオベスト20!!

 新社会人の皆さま、こんにちは。

 新生活には慣れましたか。

もしかしたら新しい土地での生活が始まったり、クレジットカードを取得したりしていませんか。これはもう新しいラジオ開拓のチャンスです。

ということで、今日は、新社会人の皆さまに聞いてみてほしいラジオをご紹介いたします。

いや、ベストラジオ2022じゃねえか!

いくらなんでも完成が遅すぎるけど、やりきらないと後悔するけど、このタイミングで2022年のラジオを振り返る記事なんてアップしても大して読まれないし、羊頭狗肉な方法で照れを隠してこっそりあげとくかという作戦でした。すいません。

新社会人のみなさんにお伝えしたいのは、こういうことを言って誤魔化す先輩の言うことは聞かないほうがいいですし、こういうことを言ってでもやるべきことをやる先輩のいうことは聞いたほうがいいです。

 そう、お察しのとおり、最近、竹原ピストルのライブに行ってきたので、感化されてしまいました。

 あと、言いたいことは、エナジードリンクはまじで飲まないで良いです。あれを飲むことで仕事出来る感が何故か出ますが、肝臓を酷使するだけなので、まじで常飲しないでください。本当にしんどいときに飲む分には否定できませんが、あれと同じ効能を求めるのであれば、昼休みの20分程度の昼寝と、コーヒーとブドウ糖で事足ります。そもそも、あれはドーピングなので、ほぼ毎日これ見よがしに飲んでいる人は、それを使用しないとついていけてない奴ってことなので、アメリカでは太っている人は自己管理が出来ないから出世しないみたいに、エナドリ常飲しているやつは自己管理が出来ないみたいになってほしい。というか、ベスト20って、10でよくない!?ツイッター、もうインプレッションも少なくなってて、ほぼ読まれていないのに!

 さて、ベストラジオ2022、スタートです!

 

 

第20位『爆笑問題カーボーイ(2022.7.13)』「2回目の選挙特番直後の放送」

「どうも皆さん、こんばんは。爆笑問題田中裕二です」

「お前、先週はのんきに過ごしたんだ。のんきに。」

 

 2021年に、稀代の大炎上の火種となった選挙特番に、再度登板した爆笑問題太田光。元首相が狙撃された事件も直前に起きて、言葉も見つからないまま放送に向けなければならない人々の混乱と迷いを話しつつ、自らも大変だった太田の一日を50分近く使ってトークした回。濃密でした。

 

 

第19位 『桑田佳祐やさしい夜遊び(2022.09.03)』「ひとりROCK IN JAPAN Fes.

 諸般の事情により、参加できなかったROCK IN JAPAN Fes.のリベンジとして、ライブをラジオでやった回。この情報を聞きつけて、慌てて聞いたけど、とても良く、スマホに入れて、繰り返し聞いていました。なんだかんだでポップソングは強い。

 

第18位『AuDee CONNECT(2022.09.15)』「スカート澤部ゲスト」

 今年一番、毎週の楽しみとしていたラジオに、ずっと聞いているラジオのパーソナリティがゲストに来るという夢のクロスオーバーラジオ。そして、その実態は、ツイッターの相互フォロワーが初めて会ったときに、あのツイート良かったですねと褒め合うみたいなファミレスおしゃべりのマックスのやつで、何ともニヨニヨという吉岡里帆が『僕の人生には事件が起きない』の帯にしか存在しない感情になってしまった放送でした。

 

第17位『NICEPOPRADIO(2022.09.30放送)』「涙のNICEPOPRADIO」

 柴田聡子の『あなたはあなた』を、澤部は読み解く。「歌詞を読んでいくと、こうなんかこう自分の例えば、この歌の主人公は男性だと思うんですけど、男性であることに居心地が悪いような人だと思うんですよね。でなんかそれに、それをね、こー、こういうポップスで包んでくれるっていうのがね、俺にとってはもー、何ていうべきか、僕にとってはねぇ、とてもー、心強い音楽なんですよね。そういうなんかこう、んー、男性として産まれて、なんとか男性として認識もあるんですけど、やっぱりどこかでね、このぉ、俺とも言えないし、僕でもないし、わたしでもわたくしでもない時がどうしてもあって、なんかそういう気持ちになる時がやっぱ必ずあるんですよね。で、そういう時に、この柴田さんの歌った『あなたはあなた』とか聞いて、何かを肯定するような気がするんですよね。そういう自分にとっては心強い一曲です。」

 この言葉が意味することとは異なるかもしれないが、出来る限り、僕や私、俺という言葉を使わないようにしている。そのワードで産まれるニュアンスを徹底的に排除したいからである。それが何を意味するのかはもちろん分からないのだが、なるべく、文章から性別や個を剥ぎとりたいという意思がどこかにあるのかもしれない。

 そして、PIZZICATO FIVE『陽の当たる大通り』をかける。

 「まあ、これは柴田さんの『あなたはあなた』に近いんですけど、アメリカのツアーでこう、ゲイの方が熱心に受け入れてくれて、それがとても嬉しかったって話を小西さんがされて、で、それに対して、えー、のアンサーていう感じの曲だっていうのを、何年か前にツイッターで見て、ほんとかどうか分かんないんだけどぉ、本当だったら何て完璧な歌詞なんだっていって、それでまあ泣きますよね。何て素晴らしい歌なんだろうって。そういう目線をもって今もう一度みんなで聞いてみようじゃないか。」

 もちろん、この歌のことは知っていたが、この底抜けに明るい曲調が、とてつもなく悲しく思えてきたと同時に、ポップスの強度というのを改めて感じることが出来た。それと同時に、はたして、こういったことで、虐げられてきた歴史に組みこまれざるを得ない人たちに安易に寄り添った気になってもよいのかとも逡巡もしたりする。例えば、マイノリティの描き方を極力適切に描ききろうとする作品とその裏側が話題になるが、個人的には、明確に、この下駄は脱げないからなるべく腰を低くはするけれども、分かりきれないものは分かりきれないものであるという諦めも無くさないでいようと思う。

 何となく、最近自らの男性としての暴力性を削ぎ落すために結婚指輪を外して生活している。痩せたことでブカブカになっていたし。そっちがメインじゃねえかとなりつつも、それならそれで、一歩ずつ、良き方向を目指せればと思う日々だ。

 

第16位 『エレ片のケツビ!(2022.03.13放送)』「片桐仁バナナマンとの思い出」

 エレキコミックの二人が休みとなったために、片桐仁ひとりでの放送となって、お笑いを始めたばかりのころのエピソードがいくつも聞けた回であり、2021年の12月に刊行されたことで、ベストお笑い本としてあまり語られていない名著こと、オークラの『自意識とコメディの日々』にも登場していたラーメンズだが、そのラーメンズ視点によるサブテキストのようなトークだった。

 エレ片の収録と、『バナナマンバナナムーンGOLD』の放送の曜日が重なっているので、片桐は、その時によく挨拶するという。

「普通に挨拶しますよ。おつかれさまですって。だって嬉しいじゃん。なんか、設楽さんに会えると、あぁしたらさんだ~って思っちゃう。憧れの人だから」と未だに設楽に挨拶出来るのが嬉しいという片桐に対して、未だに『落下女』の話をしたがるお笑いファンのこちらも嬉しくなってしまう。

 そこから、バナナマンとの出会いの話、そのことをきっかけに、ラーメンズバナナマンに影響を受けて変わり始めた話は良かった。

「97年の12月に、バナナマンライブ、ラーメンズで観に行って、こんぅなおもしろいんだっていって、もうちょっと続けようって言って、ラーメンズ続けようって言って、ラーメンズ続けることになったっていう。辞めようとしてたの。なんか、俺もあまりにもやる気が無かったし、演技も出来ないしぃ、堅太郎は堅太郎で作家の誘いを受けたりしてて、悩んでて、ボケとツッコミ入れ替えたりしててもなんかボケもツッコミも、俺はツッコミが、三村さんに憧れて始めたから。バカルディさんが好きだったから。もちろんダウンタウンさんがいて。それで渋谷の『ジァン・ジァン』っていう、今無くなっちゃたけどそれこそ一週前に、イッセー尾形見に行って、そんときはもう、オークラといっしょに観に行って、こんどオークラはバナナマンの作家に入っているからって言って、オークラに席取ってもらって、ジァン・ジァンの階段の行列に並んで、見たの。日本人は、人に謝罪をする時、土下座をすると聞いたのだがってね。あってるかな(※正しくは「日本人は人に物を頼む時、土下座すると聞いたのだが。」)。それが、初めて観た生で観た芸人の単独ライブでぇ、当時芸人て単独ライブやんないからぁ。単独ライブ自体、すごい珍しかったのよ。で、なおかつ、こう、演じ分けみたいのが出来てぇ、あの面白い顔の日村さんが純粋にツッコミになるネタがあったりとか、両方ボケなったりとか、あと結構下ネタがあったりとか、そういうの自由自在にこう行ったり来たりして、しかもコントが繋がってたのよ。こぉーれはもうほんとに、球が速すぎて見えないみたいな。だけど、この方向だなつって、そっから、コントをボケボケにして、だけど俺は出来ないから、だから俺が何にもしなくていい立ってるだけのネタで、片桐の授業とか入口であって(※「現代片桐学概論」)、あと日本語学校も覚えなくて良いから、俺のゆったあともういっかい言うだけでいいみたいな。とにかく俺という重荷をどうやって活かすかみたいな方向で、なんかコントが回っていって、オーディションに受かるようになっていったんですね。」

 まじで、2ちゃんねるで、「いや、コバケンと設楽は演出方法が違うから、仲悪くなった」みたいなことを訳知り顔で吹聴していたやつに、「普通に先輩後輩の間柄じゃねえか」と20年ぶりにムカつきもしたりした。

 

第15位『SUBARU Wonderful Journey 土曜日のエウレカ(2022.08.13)』「伊集院光ゲスト回」

 2022年は配信のトークライブを始め、伊集院の過去を聞けた年だった。そこに、何らかの意図を感じ過ぎるのは怖いので、まあ、そういう年齢なんだろうで留めるとして、その中でも一番良かったのが、『土曜日のエウレカ』での麒麟の川島とのトークだった。基本的にここで話されているトークは、「高校に行かずふらふらしている時に三遊亭楽太郎の弟子になったあと、ラジオにも出るようになる二重生活が始まる」というほぼ知っている話なのだけれど、川島の合いの手も良かった。だからこそ、こう例えられるのは初めてだとか、そういう物語の進み方は、まるで古典落語だ。

 そんな中、飛び出た一個だけ知らなかった話がとても良かった。

 「最終的には、ぼく落語の才能無いんで、辞めますって辞めるんですけど、最後までうちの師匠は二重生活を許してくれるんです。これがすっごいあとになってわかるんですけど、師匠が初めて、師匠の師匠に弟子入りしたときに、落語界がとても大きな波で揺れてるときでちょっと弟子が多すぎるから新しい弟子をとるのは禁止だっていう令が流れてた時に、うちの師匠は学生アルバイトだっていうことにして、ずっと内弟子をやってるんです。自分も一度、二重生活をしてて、他の師匠には、えーっと自分はただのやすみちという、やすみちくんですってやってるんだけど、弟子じゃないって言ってるけど、大師匠のお世話をしながら、落語を教わっているっていう弟子の状態があった。それは俺がもう45とか50になってから知るんですけど。それであんとき、師匠は何故かあんなに寛大だったのは、おまえ隠し通すの大変だろっていうのが分かってたんだなぁみたいな。」

 他にも、「自分がすごい好きで楽しいことに社会性を少しでも持たせられるとそれで食ってける」という師匠からの教えの話をしていた。

 「それは、えーっとギャグを入れて喋れるが落語家としては分かりやすい。自分はアニメがアニメが好きです、で、そのアニメの説明をするのに、ギャグを入れて喋れれば、それで食えます。」

 2022年は、この「好きなことに社会性を足す」という言葉をどう受け止め、どう咀嚼するか、そしてどう実践するかを考えていた。このブログは、基本的に「太田はこう思う」を目指し、きちんとそれが出来ているのかということを課しているところがあり、飯を食うか食わないかはさておき、実はずっと「好きなことに社会性を足す」ということをしているのかもしれない、あながちこの方向は間違っていないのかもしれないと後ろ盾を拾ったような気持ちになることが出来た。昨年のブログは、笑いをまぶす気力も無くて、ずっと鬱蒼とした森みたいで、自分でもげんなりしていたんですけど、やっと抜け出せた気はしました。この社会性ちょい足しという概念については、今後も出てきますので、各自、忘れないでいただきたい。

 あと、ラジオネームではない方の電柱理論の話も出たし、川島のアシストも見事すぎて、ベストゲスト伊集院光でした。 

なお、2022年のベストいじゅさんは、鬼越トマホークへのYoutubeへの殴りこみとする。

 

第14位『東京ポッド許可局(2022.06.19)』「快適論」

 もはや批評が求められなくなり、他者の意見が快適かそうでないかでしか判断できなくなっており、まるで脳に雑誌『小学三年生』のおまけの電極プラグをぶっ刺された猿のように、快適な方へ快適な方へ流れていく力が大きくなっているという話をしていた。

 許可局のメンバーは、それぞれ批評について語っていたが、このなかで述べていたことのうち、引っかかったことをメモしておく。

 プチ鹿島は、「プロレスライターに聞いたのは、結局ファンに求められてない、だから良い話を求められる。一方で、批評みたいなのは、こういう見方を提示すると、当のレスラーからぁ、『いや、これ違いますよ。ちゃんと取材してください。』みたいな。なんかそれ、本人登場みたいなこともある。でも、本人登場で、自分はこういう風にやったからって言うんだけど、観客席や記者席でどう見えたかっつうのは、その人の見方じゃないですか。それはコントロールしようとしたって無理だし、ねぇ、違うじゃないですか。でもそこは、やっぱりファンは、そうだそうだ、だって本人が言ってんだからそうじゃねぇか、はい、おしまいっていう。やっぱ批評産まれないよね」と話す。これは、賞レースひとつ取っても、放送後すぐに、いっせいにプレイヤーたちが語り出したそれが、見方の一つとして受け取られるのではなく、絶対的な正解になってしまうことへの警鐘でもあるし、ひいては社会性が欠如した内輪の技術論に収斂してしまうことで、自分の思考を捨ててしまうことになる。 

 マキタスポーツは、「笑いか笑いじゃないかみたいなことで、笑いってけっこう最大の批評だとも思うけど、だけど、自分にとって笑いじゃないものに行く、行こうとすると、なに、もうめんどくせみたいな線引くのでやると、全然つまらなくなる。で、一方で笑いによる均質化っていうか、で、何でもかんでも笑いにならないと、凄い速度があってちゃんとオチにいって、あぁー、みんなが笑いましたっていうのが正しいものであって、それ以外は、もうめんどくさいっていうものにいれちゃうって態度が許せない。」とういう部分は、突き詰めていくと、どこかで、社会性ちょい足しの話とはベン図のような関係に思えてくる。ここを読み解くと、社会から生まれた笑いという現象を、また社会に還元していくという行為が出来そうな気がする。

 サンキュータツオは「アイディアや意見と、人は、イコールじゃないっていう前提に立ててない」「例えばさ、真理の前で人は平等だし、なんか別にここではぁ、個人の勝ち負けとか、その、論破とかではなくて、何が知りたくて、どういうアプローチをして、どういうデータが得られたかみたいな話をすべきだし、このアプローチだと、あのー、知りたいことが知れないから、こういうやりかたはどうなんだとか、はっきり言うことも全然オッケーなわけよ。ていうか、ま、それ国際基準だと思うんだけど。このやり方だと限界があるっていうのが人格批判だと、まぁ、とられてしまうし、そう思っちゃう人がかなり多いのよ」と話す。

 個人的には、批評は快適な言葉だけで構成されるものではなく、嫌な言葉も入ってこそだと思っていて、だからこそ、言語化してくれたと全信頼されても困る。嫌な言葉にこそ、本質が見える時もあるし、嫌な言葉によってこそ思考が深まることもある。

 ひいては快適な人間として見られること、ふるまうことへの危うさについても考えさせられてしまう回だった。

 

第13位『TOKYO SPEAKEASY(2022.02.24)』「真空ジェシカ、ぼく脳」

 冒頭から放送禁止用語をまとめたサイトで見つけた言葉を読み上げるという、とにかく、ざらついたお笑いが充満していた放送だった。特にぼく脳と川北が初対面とは思えないほどにガッチリ噛み合って、その分、ガクの負担が異常に大きかったのも聞きどころだった。

 真空ジェシカの持ちネタの「逆ニッチェ」に、ぼく脳が「それはやるよな」「凄い分かるというか」「江上さんが逆逆ニッチェなんじゃないかなって思うくらい、完璧、スッて入ってくる」くらいに共感していると話し出す。

 真空ジェシカの二人が、「他には、もじゃもじゃだけの無ッチェ。無いにニッチェで、無ッチェ。無ッチェは、インフィニッチェっていうのになりたかったんですよ。ニッチェさんの顔がいっぱいついた、もじゃもじゃと顔が交互についた。無限のニッチェになりたくてなれなかった、哀れな無ッチェは、舌をもたないんで、何も喋れない。その代わり無ッチェは、小ッチェっていう、小さいニッチェを持って、小ッチェが喋ってくれる。二ニッチェは、そんな無ッチェでも、二人集まったら、江上さんの二つの髪が出来るわけじゃないですか。二人集まると、すぽんと江上さんの顔が出来て、自然と出てきて、胴体が二つに江上さんの顔が一つの二ニッチェ。あと、デジタルニッチェあるよね。」

 ここはほぼ神話だったし、ぼく脳は「分かるわぁ~」と共感していた。

 このトークの書き起こしを読んで、脳が痺れた人は今すぐ、ラジオ好きの友達からこの放送を録音したMDを借りて聞いてほしい。ガクが「アラビア直人」というタトゥーをいれることになりそうになったくだりも普段使わない脳の部分を使っているような感じになるが、一番凄いのは、「ガチャピンの中の人」の話だった。

 ぼく脳が「俺、ガチャピンの外の人」と言い出すと、川北が「ガチャピンを内側に向かって勝手に俺らが外の人だから見てるだけで、ガチャピンの中の人は、自分以外がみんなガチャピンなわけでしょ。」と返し、ガクが「そっちを中だと思ってるかもしれないってことでしょ。」「僕らがガチャピンの中だと思われてる」というくだり。最後にぼく脳が「裏返したガチャピンを着れば、俺らがガチャピン、みんなが。中の人だけがガチャピンの外になるわけで」と加える。

 これは凄すぎる。

 他にも徐々に、会話が逸脱して、意味が剥奪されていく様子がとてつもなく、脳がぐらんぐらんしてくる。

 

第12位 『蓮見翔(ダウ90000)、紗倉まなのAuDeesCONNECT(2022.09.01)』「ダウ90000、タイタンライブに出演」

 

 ダウ90000がタイタンライブに出演し、その裏側を蓮見がトークしていた回。

スケジュールの都合で、タイタンライブの直後にラジオの収録したこともあって、アツアツの感想をトークしてくれた。

 楽屋挨拶に行ったら、「多いなお前ら」とか「男女混合のユニットであること」といろいろといじられたという話を嬉しそうに話す、蓮見のトークを聞いているとこちらまで嬉しくなってくる。

「結構喋らせてもらって、あんまやっぱりぃ、あれぐらいのキャリアの人とあんまり喋らないんですよね、挨拶いっても、あい、お願いしますっていうその、まぁ丁寧に挨拶してくださってもう終わるっていうだけなんで、いつも。あ、これ、こんな喋ってくれるんだっていうので、おねがいしまーすって言って、じゃよろしくねーって言ってくれて、いやぁ楽しみだわぁって言ってくれたんですよ。ネタを見てぇ、くれるんだっていう、ネタ見てくれるんだっていう。本人が、もう最後にネタやるからぁ、別になんか見ない理由もいっぱいあるじゃないですか。あー、見てくれるんだ、みたいな。みんなで、もう大好きですよ」

 蓮見は、BOOMER&プリンプリンの、ネタ中に客に話しかけるスタイルに衝撃を受けた後に見た舞台袖の爆笑問題のネタ前も目撃することが出来た。

 「僕は下手袖で見てたんですけど、下手袖から上手袖が見えるんですよ。上手袖にパッと、爆笑さんがパッと来て、その、太田さんがアップしてんのが見えたんですよ。肩を回してんのが見えて。こんなもん見れんのかと思って、むぅちゃくちゃ、まぁまぁまぁ、芸人さんに使う言葉じゃないですけど、ちょーかっこよかったっす。」

 蓮見は、爆笑問題と30年以上芸歴が離れているわけだが、それでも面白くてカッコ良いという視線で見てくれていることが聞けて、嬉しかった。

 

【タイタンシネマライブ エピグラフ

ダウ90000「得体の知れない大勢の男女が、変な稽古をやっている。これが彼には面白かった。」・・・国枝史郎『あさひの鎧』

 

第11位『バナナムーンGOLD』『ハライチのターン』「100万円クイズ」

 きっかけは、2022年6月4日放送の『バナナマンバナナムーンGOLD』に設楽統が体調不良のために欠席し、一人で放送することになった日村勇紀の助っ人として、ハライチの岩井勇気が駆けつけたことによる。ダブルゆうきラジオとして和気あいあいとした放送だったが、番組も後半にさしかかったころ、サウナの話題になり、日村から、自分がサウナで偶然に出会った有名人は誰かというクイズを出題される。

 話の流れで、正解したら百万円あげると言っていたら、岩井が見事に正解を叩きだす。

 さて、ここから、設楽統と同じく、逃がさない精神の持ち主の岩井の百万円取り立て劇場が始まる。

 その翌週の2022年6月10日放送の『ハライチのターン!』では、その緊急出演の裏側を話しつつ、「うやむやにしようとしてたけど、俺は。これはうやむやにさせない。これは取りたてようと思ってる。だって、自分がピンチな時に来てもらったわけじゃないんだから。俺行った立場で、日村さんが出したクイズ、正当にあてて百万もらえることになったんだから。」「これは確実に百万頂きますんで」と、闘っていくことを宣言する。

 その後、数週間にわたって、どうにか支払いを回避しようとする日村と、権利が正当なものであることを主張し請求する岩井との攻防が繰り広げられた。

 この結末がどうなったのかは、友人からMDを借りてチェックしてみよう。

 

第10位『伊集院光 深夜の馬鹿力(2022.06.14)』「キンタマカメラ」

 現在、妻が実家のある和歌山に一カ月行って、また東京に一カ月戻ってくるという生活になっている伊集院光家。伊集院光妻が、前々からお世話をしていた地域猫への餌やりを継続するために設置した餌やりマシーンがきちんと稼働しているかをチェックするために、伊集院がカメラで監視できるシステムを構築したという。

 そのカメラは、前で何かが動くとセンサーで録画を開始、アプリを通せば遠隔地からでも動画を見られるというもの。そしてもともとは、全くなついていなかった猫が、餌やりマシーンの管理をする中で、猫にどうやら、餌をあげる人間と認識されたようで、手からにぼしをあげられるまでにはなったという。

 「猫が近付けるようになってきたの。で、近付けるようになってくると、ちょっとかわいいもんで。カミさんに言われなくても、朝こう新聞取りに行くついでに、いちおう猫どうしてっかなみたいなやつを、餌あるかなっていうのをするようになって、でまあ、わざわざそいつのために起きて、えーっとスウェット着てとかはしないけど、家の車庫だから、ま、パンツのまま、新聞取りいったついでに、餌だけ見てやろうとか。で、いて、どうしても食いが悪い時に、あげる用のなんかこうえーっと、にぼしなやつをあげたりとかすんだけど、とうとうそのにぼしを、手から食べるようになってきて、で、そうなるとちょっと面白いじゃん。毎朝こうやって座ってしゃがんで、機嫌によってこなかったりするんだけど、えーっと猫ににぼしをやるようになっていたら、カミさんからlineが届いて、えーっといつもそのポジションであげてるけど、そういうあげかたをして、いつも朝の何時頃に新聞を取りに行った帰りに、あげてくれるのはかまわないんだけど、その角度で、柄パン履いてると、キンタマがずっと映ってると。毎朝キンタマの映像で起こされると。朝何か動いた後、センサーでキロンってやると、寝ボケて見るとぉ、関係性として、えっ、キンタマの奥に猫がいる、キンタマにぼし猫になるからぁ、あげてくれるのは嬉しいし、猫がなついたのは凄くいいことだけれども、あげる場所を考えるか、キンタマを考える貸してくれっていう、それが今、キンタマカメラです」

 2022年のベストトークだってくらい、凄く好きなトークでした。善意から生まれたマヌケさって、面白いだけじゃない、心に残るものがあります。

 

第9位 『ハライチのターン!(2023.11.11)』「岩井のラジオ観」

 伊集院光からオススメのアニメを聞かれては、レコメンドするというソムリエになっているハライチの岩井。

 その流れで、とある賛否が分かれる映画の話を伊集院光として、その後に見に行ってから、また感想を伝えに行ったという話をしてから、岩井はこう話す。

「で、これが先週の月曜の話。で、このラジオの収録って火曜の夜にやってんじゃん。なんで先週ここまでの話を、先週話さなかったのか。っていうのも色々何か、考えて。伊集院さんに感想を言いに行くまでのこの流れを、先週の火曜日のタイミングでラジオで話すと、あれって思って、これなんかぁ、ラジオで話すために逆算で映画見て感想を言いに行ったみたいな感じになんないかって思って、おれん中で。そんなこと思ってないんだけど。その感じになっちゃわねえかなーって思って。そう、そうなると、最初に言ってたラジオのネタ作るために出かけることに当たらないかこれって。うん、なったの。だから先週話せなかったんだけど、そっと心の奥にしまってたの先週。でも、じゃあ今週ラジオで何でこの件を話しているのか。でもそれは、ここまで言うんだったら、ありなんじゃないかと。これがね、伊集院さんに教えてもらった映画を観に行って、感想を言いに行ったのは、とらえようによっては、ラジオのネタを作りに行った感じに、あのー、なるかもしれないけど、それに気付いて、ラジオで話しにくくなった話は、俺のこの意図とは全く別のー、ところで起こったことで、偶然話しにくくなっちゃってるわけだから、これって。これは話せるわぁって思ってね。で今思ってるのは何で、めんどくさいやつになっちゃったんだろう」

 ものすごく、ラジオパーソナリティーとして信頼出来る感覚だと思ったので、ものすごく印象深いトークだった。

 ラジオって、これくらいねじれているメディアなんだから好きなんだと思う。

 

第8位『脳盗(2022.10.16)』「爆笑問題脳」

 後進の者が、大っぴらにリスペクトの意を唱えることが難しい時代は、今はもう遠くなったと懐かしがると同時に、やはり、そのような時代があったと述べ続けることで歴史修正主義に抗う。でも、歴史修正主義って言葉、なんかおかしくないですかね。往々にして、歴史修正主義者と批判されるものは、見たいものしか見ていないが故に実施される自説の補強であって、問題でありタチが悪いのは、そこに主義などなく、ナチュラルにやっているからではないだろうか。主義が無い分、事実を受け入れることが出来ない。だから、歴史修正願望が強い人と呼ぶべきだと強く主張したい。こんな屁理屈を言うことが好きになったのは、伊集院光太田光の影響を下地としながら、東京ポッド許可局の影響も加わったためだ。だから、ずっと「論」に変わる、語りの枠組みに用いるワードをずっと探していた。TBSラジオで始まった「脳盗」は、そこに「脳」を出してきて、うわー、やられたーと悔しくなった。

 DosMonosのラッパーのTaiTan、MONO NO AWAREの玉置周啓による可処分時間猫糞ラジオにて、TaiTanが爆笑問題の『日曜サンデー』にゲスト出演したこととそれに思ったことのトークをしていた。そもそも、爆笑問題の事務所名そのものが芸名の由来になっているTaiTanだけあって、憧れの人物に会ったというトークになるが、そこは爆笑問題太田光に影響を受けたことを公言しているだけあって、さらに、「そこでどう考えたのか」までトークしていた。

 TaiTanにとって、太田光は「大衆の人」であり、「あらゆるメディアを通して、自分は常に大衆の側に立つっていう矜持を絶対にぶれない、人だなって印象」「ずーっと大衆に立つって俺からしたらカッコいいわけ」と話す。

 そうそうそうだよ、と、ニコニコしながらトークを聞いていた。とりわけ、2022年は、爆笑問題にとってはTaiTanも話すように、大衆からの跳ね返りを受けたような日々が続く激動の年であって、ファンとしても心が痛む時があったので、なおのこと嬉しかった。

 この数年、爆笑問題が好きだと公言できる土壌が出来上がり、お笑いだけに留まらない、様々なカルチャーで活躍している若い世代から、憧れているというという声が聞こえるようになった。むしろ純粋な賛辞は、その世代が無邪気にしてくれるという印象がある。爆笑問題という遺伝子は、様々な要因によって、隔世遺伝によって花開くものであったと実感している。

 爆笑問題の漫才は即効性の毒だが、爆笑問題は遅行性の毒だったのだ。てーつがくてき~。

 

第7位『蓮見翔(ダウ90000)、紗倉まなのAuDee CONNECT(20022.6.16)』

 ダウ90000の蓮見翔と、紗倉まなという二人が面識のないまま始まったラジオだが、二ヶ月ほど経ち、なんか会話の息があってきたなと何となく思っちゃった回がランクイン。便宜上、この回をベストラジオにランクインさせているが、ハスマナは今年一番、楽しく聴いたラジオだった。蓮見のパートナーが、紗倉まなであることが発表された時、とてもガッカリしてしまったことを心から見る目、聴く耳がなく、恥ずかしいことだったと思う。と同時に、なぜ、AV女優がパーソナリティーになることに嫌悪感を抱いたのかを考えると、これまで聴いてきた深夜ラジオがためだと気付いた。AV女優が深夜ラジオにゲスト出演する時は、原則として、喘ぎ声などを叫ばされたり、露骨な下ネタを言わされるなど、ホモソーシャルの中でのみ機能する記号のようにしか扱われておらず、そう言うことを意識する前から、ゲストとして登場することに飽きていたのだが、ハスマナを聴いて、つまりはそれが、AV女優を記号として扱うことのダサさへの忌避感だったということに気付かされた。もちろん、ハスマナでは「都立しゃぶりながら学園」の話なども出るのだが、そのAVがめちゃくちゃ売れなかった話などといった感じで、紗倉まな個人としてのエピソードとなっているところや、AV女優という職業に就いている人の話になっているのがいいのだろう。

 あと、蓮見の案出しの凄さも、聴いていて実感する。具体例は出せないけど。その角度の見方提示するんだと驚き、そりゃ「夜衝」書けるわとなるかと思えば、かなりの偏食と食材に関する偏見が強すぎるという舌雑魚っぷりに笑って、だせぇなとなったりする。

紗倉も、意外と抜けている人で、セクシー女優に抜けているっていうと意味が渋滞してしまうけれども、そういう意味ではなく、隙がある人なので、蓮見にツッコまれ、セクシー女優にツッコまれっていうとややこしいんだけど、もういいや、とにかく、良い塩梅で楽しいトークややりとりが聞ける。また、流れてくる音楽も、良い感じのものばっかりで、その空気はゼロ年代の伝説枠『WANTED』を思い出させる。何より、蓮見は東京60WATSをかけてくれるので、それに関しては本当にありがとう、となってしまった。

 付属して嬉しかったのは、八ヶ月、蓮見から出るメンバーのトークを聴いて、いつの間にか、ダウ90000のメンバーの名前と顔を覚えることが出来たことだ。未だに男性ブランコはどっちが浦井なのか平井なのか、阿佐ヶ谷姉妹どっちがどっちなのかも覚えられていないのはもちろんのこと、ずっと子供が見ていたパウパトロールの犬連中なんて、全く名前を覚えられない。それなのに、ダウ90000のメンバーの顔と名前が一致するということは、とんでもないことだ。だから、ケントはもうちょっと、メンバーの特色を織り交ぜたトーク、例えば「こないだ、ラブルと銭湯行ってたら、ロッキーとバッタリ会って、でもロッキーってお風呂嫌いじゃないですか。で、ロッキーに、今からサウナ行くから、じゃあ、明日ねみたいに言ったら、『サウナ好きであります~』って言ってきて、いや、サウナは風呂やろ~ってラブルが即ツッコんでて笑っちゃいました」みたいなトークしてみたり、ケント、スカイ、エレベスト、グッドウェイ市長、ケイティでM-1グランプリに出場して、動画で爪痕残して、視聴者にメンバーの顔と名前と犬種を覚えさせる努力をすべきだ。ただ、ケントはパウパトロールのメンバーを鼓舞し、的確な指示をし、時に一緒に泣き笑う理想の上司であることは、間違いない。 

 皆さんもぜひ、『パウパトロール』を見てみてください。

『パウパトロール』の好きなくだりは、「ケントが部屋でくつろいでいる時に、犬のぬいぐるみがついた靴下を履いていて、真の犬キチだとなったところ」

 

第6位『デドコロ(2022.6.5~7.27)』「永野担当」

 とにかくどうにかしてチェックしてください。芯を喰っていないただの悪辣さと、痛快さを行ったり来たりしています。

 

第5位『バナナマンバナナムーンGOLD(2022.04.09)』「設楽統はPKを知らない」

 設楽統は少し前の放送でのとあるやり取りが気になっていたという。

「日村さんが話の流れで、PKさんがどーたらって話をしたことがあったわけ。か、PKみたいかみたいな。俺がそん時に、え、何、わかんなくて。え、知らないの?みたいになって。で、オークラに確認したらオークラも、はぁい知ってますみたいなってノリがあったわけ。」

 このくだりは、すぐに流れてしまったこともあって、設楽はPKが誰なのかを知ることが出来なかった。その後、日村とオークラにPKが誰なのかを聞きそびれてしまっていたので、自分で調べるも、サッカーのPKしかでなかったり、マネージャーに聞いても「モノマネのJPさんじゃないですか」と言われたりと答えが見つからない。それから「設楽、PK、知らない」で検索をして初めて、リスナーであろう人の「設楽さん、PK知らないんだ」という書き込みをいくつも見かけて、やはり、JPではなく、PKであることを知る。それでも、答えには辿りつけないので、放送中に、二人に改めてPKとは誰なのかを問うてみたということである。

 このトークの面白いところは、当の日村とオークラがこのくだりを忘れていたが故に、二人からもすっとPKが誰なのかが出てこないところだった。特に日村が完全に忘れていて、何でよ!ともなった。

種明かしをすると、PKとは、東京ポッド許可局でお馴染のプチ鹿島に対しての基本的にマキタスポーツや許可局リスナーしか使っていない呼称のことなのだが、この答えを知っていると、サッカーのPKやJP、パンサーの管などを経由してもなお答えになかなか辿りつかないバナナマンとオークラのトークが、めちゃくちゃ面白く聞こえてくる。誰も嘘を吐いていないというか、リアルな会話だった。

 てか、TBSラジオを消すことないんじゃなかったのかよ!

 

第4位『マヂカルラブリーオールナイトニッポン0(2022.05.27)』「冨樫義博twitter開設」

 オープニングトークも早々にすませた後に、村上が「さぁ、野田さん」と仕切り直して始まった、冨樫義博twitter開設の話題から始まった、冨樫回。

 「凝で、凝したってことでいいすか」「凝しましたね。」「凝で視たわけですねぇ」「目のまわりにオーラを集めたわけですね」「でもなんかねぇ、正直言うとぉ、その、王が、『HUNTER×HUNTER』に出てくる王が、『凝をせずとも、分かってしもうたわ』みたいなことを言うのね。念能力使いはじめ、全く同じ感覚あって」「王と」「その、あのtwitterを見て、その凝を使わずとも、これ冨樫先生なんじゃないかって思ってしまう感じなんすよ」と、このやりとりだけで、熱心な冨樫読者は、分かっている者同士のトークだと判断し、傾聴せざるを得ないだろう。

 ただただ、冨樫先生がtwitterを開設したということ以外は、情報がないので、しばらく、連載が再開されるまで一日千回の感謝の正拳突きをしているyoutuber、作中の軍儀が本当に発売していること、同様に長く休載している『バガボンド』のDASH島のような農作業の話をするなど、うろうろしていたが、リスナーのメールにより、『HUNTER×HUNTER』が徐々に『馬鹿ボンド』の農業編に侵食されていってしまう。

 「冨樫先生がtwitterにあげた、製作中のネームはまるで林の中でした。これは、畑の線、あると思います。」というメールに、「困るのよ、その線があっちゃうと」「あんのかなーは畑も」「念能力で畑耕す。凝で育つ土か見分けるってこと?」「大丈夫ですか、これ。暗黒大陸向かってますか?DASH島行ってません?DASH大陸」

 『バガボンド』は『バガボンド』で、「バガボンドという言葉には、放浪者、土地から土地へと流れ歩く人という意味があります。バガボンド、ソーラーカーでの旅編の伏線です。」と、『鉄腕DASH』に侵食されていく。

 番組ラスト一分前、冨樫義博先生の本人のtwitterであることを確認した村田雄介先生当人が作画を担当する『ワンパンマン』が休載していることを思い出し、野田が「原作の方の休載も続いてる、村田さぁん、村田先生、原作のONE先生の、止まってるんすよ、結構止まってるんすよ、そぉっちのほうもお願いできますかね、村田先生。冨樫先生のことを気にしているよりも前に、ちょっとね。お願いします、ちょっと」と、冒頭に戻るという円環構造のようなオチも見事で美しかった。 

 なかなか、冨樫ファンのトークというのは聞けないので、とてつもなく楽しかったので、10ランクくらいアップしてます。

 そして、これ以降、twitterに関する良いニュースは一切、金輪際、何もありませんでしたとさ。

 

第3位『ナインティナインのオールナイトニッポン(2022.12.23)』「2022年の最強芸人は俺が決める!審査員岡村隆史!岡―1グランプリ!」

 下北沢の路上で笑い転げてしまいそうになった本放送。これまでの経緯や文脈を把握していないので、何故、ミキの昴生が一人でミキの本ネタを一人で演じるのか、牛乳とインパルス堤下の因縁、東京ホテイソンの漫才中に女性の叫び声やカラスの鳴き声と言った不穏なSEが流されるのかは全く分からないが、笑いの量だけで言えば、ベストラジオです。山田邦子を呼び捨てにしたミキの昴生に対して、岡村が「そんなことするから、たけしさんに嫌われんねん」とゴシップを暴露した瞬間に、ぐっとアクセルが踏みこまれた。

 『THEMANZAI』で、ミキがネタを披露した後、ビートたけしが「うるさいだけで面白くない」と言われたという。そのことに加えて、昴生は、同じスタジオで、たけしの隣にいたナインティンナインが助けてくれなかったことに大荒れする。それから後に、登場したランジャタイの国崎が、いじくりこかす。

「あんちゃんよぉ、うるせえだけでつまんねぇな」「おもしろくなかったら使ってくれよな」「うるせえだけでつまんねえな」「弟はおもしろいのか、あんちゃんだけか」「うるさくてつまんねぇな、くーっ」「静かになって、面白くなったら使ってくれよな。」「くじら屋、行かせねぇぞ。お代はおいてかねえぞ」「お前らには煮込みもねぇぞ」

 どう考えても、ランジャタイの方がうるさいが、あまりにもうるさいのに面白すぎて、旧ヤム邸でカレーを食べながら聞いていたのだがこれはヤバいと判断し、途中で再生を止め、店を出てから再開したために、下北沢の路上で笑い転げそうになった。

 その後の東京ホテイソンも面白すぎました。

 

第2位『とらじおと(2022.3.24)』「最終回」

 白状すると、朝の番組は一時期、ニュースコーナーを聞いていたくらいで、コアなリスナーでない。まあ、いつかもうちょっと余裕が出来たら、聞くぞと思っていたので、収量が発表された時は、そういう意味でがっくり来てしまった。月曜日の朝とか仕事に行きたくない日も、伊集院さんだって朝から働いているんだから頑張らないと思って出勤することもあり、聞いていなくても支えになっていた番組ではあった。何とも勝手な話だ。

 それだけではなく、朝の番組での出来事や、出会った人、出会ったアレコード、出会った自由律俳句など『深夜の馬鹿力』にもフィードバックされていて、何より、師匠との二人会に繋がったこともこの番組が縁なので、放送期間は長くはなかったものの、伊集院光史において重要なタームになっているのは間違いない。アレコードは、ほんと、腹抱えて笑ったのが何枚もあった。

 後半は、ゲストに伊集院光を迎えての「伊集院光とらじおとゲストと」というていの、伊集院光の現時点でのラジオへのスタンスなども聞けて、垂涎ものであったが、特にニュースについては、ラジオに対しての誠実さが表れていたので書き起こしておく。

「ニュースのつらいのは、よくいう言い方で、雑な言い方で申し訳ないけど、右左っていう言い方あるじゃないですか。自分はなるべく寄りたくないと思うんです。自分の素直な意見、寄りたくないとも思わないくらいです。素直にいろんなこと言いたいと思うんですけど。かならずっ、両方の人から怒られます。必ず両方の人から抗議されます。正直に言います。みなさんもリスナーとして分かっててほしいのはぁ、寄った方が、ラジオみたいに小さい数字で勝負しているものは、簡単に数字を上げることが出来ます。あの、要するに、政治って大事なことだからぁ、あなたの皆さんの思想と違うことを言った時に、二度と聞かないってなりやすいです。楽だし、ラジオとしては聞いてもらえる人の人数が増えることもあるんですけど、おれはそれはやっちゃ駄目だっていう風に多分、うちの父親から教わった。父親はなぜかぁ、新聞を8紙取るっていう、そういう人だったから。」

 最後に今後の夢や野望を尋ねられて「僕はまた朝の番組やりますよ。やります、絶対やりますよ」と答えていて、これからの伊集院光が楽しみになった。これからも伊集院光の良いお客さんであろう。

 

第1位『伊集院光 深夜の馬鹿力(2022.03.15)』「ピンチをカオスに変えてやる。スタッフ総出でやってやっからなSP」

 

 「いない」ということについて考える。先日、祖母が亡くなった。僥倖にして、亡くなる2時間ほど前に、入院先を尋ねることが出来たのだが、実際は、この数年、認知症対応型共同生活介護事業所に入居していると何となく聞いてはいたものの、どこのグループホームなのかも教えてもらうことも自分から積極的に聞くこともなく、会うことも出来なかった。それは実母の嫌いなところであり、病院に行く車中で、怒りを露わにしてしまったのだが、それは話す必要のない話なのでさておくが、自分にとって、祖母は少なくとも、この数年は、祖母宅を訪ねてもいない人であり、いまさら明確な、死を持っての別離を言い渡されたところで、あまり実感はなく、法要の場では、親戚が集まる場が嫌いだということを差し引いても、ある種の居心地の悪さを拭うことは出来なかった。晩年は鶏ガラのように痩せていた祖母は、すでにいなくなっていた、といえば、すでにいなくなっていたし、まだ、祖母宅に行けば、いるような気がしないでもない。死や不在をもってのみ、いないとすることは難しい。これで父方、母方の祖父母全員が、鬼籍に入ってしまったわけだが、この祖母だけに対して、そういう浮遊した感覚がある。また祖母の夫の祖父については、30年以上前に他界しているが、この間、ずっと祖母にとって祖父は、いたのだろうか。あと、祖母には、中学生の頃に、一万円を盗んだことがバレて謝まって許してもらったことがあるのだが、本当は三万円だし、そのくすねたお金で買ったラジカセでラジオを聴くようになって、今に至るわけだから、武田鉄矢の盗みは悪いとは言い切れない云々という発言を糾弾できなかったりする。沖縄県は、電車が無く、戦前には存在した以上、それは明らかに、敗戦後の街の再建政策のミスではあると思うのだが、車社会になったことで、一部ではラジオ天国とも言われるほどに、ラジオが定着する要因であり、そのことでかなり早くからTBSラジオがネットし、高校生になる前から『深夜の馬鹿力』や『爆笑問題カーボーイ』、『中川家のネコ電』、『スピードワゴンのキャラメルontheビーチ』「たんぽぽ編集部おそろ」を聴けるようになったということもある。

 あの日の放送において、本当に、伊集院光はいなかったのか、と未だに考える。あの日の放送というのは、2時間ずっと、奇声をあげながら、ポルノDVDを手裏剣のように投げて、それで障子が破れる音が流れていたとしても、なんとなく、伊集院、コロナで休むって言っていたけど、いたよな、となりそうな気がする。

伊集院光が新型コロナに罹患してしまったことにより、生放送が出来なくなってしまったので、かねてよりこういった緊急事態のために用意していた備蓄素材を放送することで乗り切った回。このような放送をベストラジオにすることは、突き詰めると、不幸を喜ぶことに繋がってしまうので、心情として、ランクインさせたくないのだけれども、どう考えても、2022年のベストラジオだった。

オープニング早々に始まった4歳児による「人生4年」は5分と持たず爆発、伊集院光が原作と演出を担当し、伊集院光役を声優の小野大輔が演じた「ラジオアニメ版」も脚本に卑猥な言葉が羅列し始めたことにより、爆発してしまう。この時点で、老害リスナーさんは、ここから、及川奈央の『及川奈央の深夜にシェイシェイシェイク』や、伊集院光入院時の小島慶子の手紙朗読を思い出すが、今回は、笑い屋をやっている埼京パンダースの河野和夫の娘、伊集院光の番組のヘビーリスナーである小野といった、関係性が強いところからの助っ人による登板であることで、より面白くリビルドされている。

 他にも、『とらじおと』にも出演していたTBSの喜入友浩アナが進行役を勤め、宮嵜プロデューサーや若手構成作家の大矢くん、瓶ちゃんなどのスタッフも出演、そしてコーナーの振り返りが入ることで、構成作家Uberの労組的な事をやっているでお馴染の渡辺くんの声も聞こえてくる。本当にスタッフ総出じゃないか。

 放送された備蓄素材としては、療養中に伊集院光が聞きたいアレコードをかけ、カルタのコーナーで「わ行」まで到達した「試してガセテンカルタ」「ネオ地獄カルタ」の振り返り、最後に「空脳」と来て、もうスタッフ総出というか、ストップって言うまでかけるのが止まらないイクラ丼だった。

 それでもやっぱり、2022年のベストいじゅさんは、鬼越トマホークへのYoutubeへの殴りこみですかね。

 

 昨年は、ダチョウ倶楽部の上島が逝去し、そのことでぐっと落ち込んで、必要最低限のラジオ番組しか聞けなかった。ベストラジオのドロップに時間がかかったのは、ただの怠慢でした。

 ニュートン!りんごが落ちたところでお時間です!(マツオアトム前派出所)