石をつかんで潜め(Nip the Buds)

ex俺だって日藝中退したかった

ベストエンタメ2023

 今年はエンタメの当たり年だったのと、本来だったら、適宜感想を書けばいいのですけど、そんな余力がないので、年末にドバッと言いたかったことを言ってきます。

 

第10位 藤井健太郎チーム「大脱出」

 番組開始10年目に突入した2023年において、第二次の黄金期を迎えている「水曜日のダウンタウン」のプロデューサーである藤井健太郎が企画、演出を務めたDMMTV限定のバラエティ番組「大脱出」。続編の希望を込めて、あえてこう呼ぶ1stシーズンにおいては、首から下が埋まっている安田大サーカスの黒川の強烈なビジュアルが印象的だが、他の脱出しなければならない、トム・ブラウン、おみおくり芸人しんいち&みなみかわ、岡野陽一&きしたかの高野の3チームのパートも良かった。それだけでなく、さまざまな仕掛けが施されていて、たまんなかった。

 読んでいる人には分かるはずですけど、これはほとんど大江健三郎の「芽むしり仔撃ち」です。

 取りこぼしているものは多いものの、ここ数年でいえば今年は、振り返ってみてもエンタメが豊作だったわけだけれど、そこにきて年始にドロップされた「大脱出」の結末が、押し付けられていたバネが飛び跳ねるかの如くのエンタメ業界の溜めの放出を予期させるようなものだったのは偶然だろうか。

 

第9位 とよ田みのる「これ描いて死ね」

 とよ田みのるの、マンガについて書いた漫画「これ書いて死ね」。離島に住む女子高生たちが、漫画を書き、部活や同人誌の作成や販売などを通して、進んでいく物語。もともと、ストーリーが面白いだけじゃなく、絵がめちゃくちゃ可愛い、とよ田先生の作品だが、年齢を重ねていくと、こういう王道的というか、ストレートなくらいが刺さってしまう。でも、衝動的に動くことのエモーショナルさとかはピカイチで、今年の漫画で印象的なのは、この作品でした。

 今年は、新しい漫画は全て電子書籍で購入するという縛りを設けてみて、なるべく今も買っている漫画以外の新しい漫画を買うことを心がけた結果、例年と比べて、結構読んだ。双龍「こういうのがいい」、福島鉄平「放課後ひみつクラブ」、たかたけし「住みにごり」、三好智樹、戸義明、萩原天晴「上京生活録イチジョウ」あたりが面白かった。特に、イチジョウなんて、スピンオフで一番面白いんじゃないかっていうくらいに面白くて、一条のラストを知っているだけに最終回がとてつもなく切なかった。モラトリアム漫画の最高傑作なんじゃないか。新宿の喫茶店で、カイジでの一条しか知らない僕と、イチジョウしか読んでいない友達と、一条について、話していたら、絶妙に認識がずれ続けてて、最高に楽しかった。

 

 

第8位 「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーユニバース」

 ピーターパーカーではなく、マイルズ・モラレスがスパイダーマンとなった「スパイダーマン:スパイダーバース」の続編。一作目もかなり面白かったのだけれど、アクロスはもう凄かった。  

 Black Lives Matter(ブラック・ライブス・マター)や、LGBTなどの社会的な問題も入れ込んでくる。これまでは、白人がスパイダーマンになることは、思春期特有のナーバスな悩みのみのメタファー程度だったものが、黒人や、女性がニューヨークでスパイダーマンをするということがどのような意味を持つのかという問いの設定が出てくる。当初のメタファーが、時代を経て古びてしまったために、新たに、そのメタファーを再設定し直すことで、当初のような批評性を帯びて、新たな社会性を得る。

 さらにそこに、スパイダーマンの身近な存在の死などの運命は絶対的なものなのかなどの、スパイダーマンという存在への自己言及的な眼差しも乗っかってくる。スパイダーマンアメリカ人にとっての芝浜論を提唱しているけれども、「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーユニバース」は、芝の浜でお金を拾わなくても、旦那がお酒が全く飲めない下戸であっても、「芝浜」は成立するのかというくらい難しいテーマに挑んでいる。

 そんな難しいことをやる上で、エンタメであるという矜持を示すために、我らが親愛なる隣人のスパイディがニューヨークの宙を舞うかの如く、どこまでも軽やかに描く。その態度にも、じんとくるものがあった。

 後編の結末次第では、とんでもない作品になると思います。

 ところで、全く関係ないタイミングで今年、上野千鶴子の「女ぎらい ニッポンのミソジニー」を読んでいたら、次の一節にぶつかった。

<「女」という矯正されたカテゴリーを、選択に変えるーそのなかに、「解放」の鍵はあるだろう>

 なるほど、アクスパは、ミソジニーが孕む問題も持っている構造としても読み解けるのだなという見立てを思いついてしまった。スパイダーマンになるという運命は背負うけれども、そこに紐付けされた不幸まで享受しなければならないのかという意味では、少なくともジェンダー平等がまだまだなされていない、現代社会において、女性になるという運命は背負うけれども、そこに紐付けされた不幸まで享受しなければならないのかへと、実は読み替えうる作品なのではないかという気になってくる。であるからこそ、今作が、女性スパイダーマンである、グウェンに焦点が当たったことも、当然のことだと言える。あー、あの本もあの本もあの本も読まないと!となった。

 アメコミのアニメ映画でいうと「ミュータントタートルズ:ミュータントパニック」も良かった。ニューヨークという大都市が放つ光によって生み出された影、つまりは資本主義などから排除された者たちを下水で生活するカメやネズミ、イエバエといった汚いモノに置き換えた、メタファーとしてのタートルズという、こちらも原点に回帰しつつ、最新のアニメ技術をガンガンに使っていて、ハライチの澤部でなくても興奮の作品だった。何より、一点、とてつもなく感動したくだりがあって、こちらもアクスパと同様に、これまでのことをフリとした上で、斜め上をいく大決断のように思え、グッときたのであった。

 ところで今年は、映画を例年に比べてよく観た。意図的に観ていたのは、妻と調整し、育児のパスタイムを数時間もらう時に、一番お金がかからず、満足度が高いから。「怪物」「福田村事件」「鬼太郎誕生ゲゲゲの謎」「ゴジラ-1.0」「首」「イノセンツ」「THEFIRSTSLAMDUK」「すずめの戸締まり」「シン・仮面ライダー」「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」「アステロイド・シティ」「リバー、流れないでよ」「バービー」「君たちはどう生きるか」「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」あたりを見ました。

 なんか腑に落ちなかったのは「バービー」くらいで、それでも観て何かを感じられるので観た方がいいと思いますし、この中でオススメなのは、「怪物」は外せないですし、「福田村」「ゲ謎」「ゴジマイ」は合わせて見てほしい。

 余談ではあるが、予告編を狂ったように観ていたら、子が、なんで亀が忍者なのと聞いてきた。子からの質問があったら、あまり子供が使わないような言葉だったり、初めて聞くような言葉を使ってでも丁寧に答えようとするのだけれど、この質問に関しては、「忍者になりたかったんだよ」とだけ答えて逃げてしまいました。大人になればなるほど、亀が忍者でティーンであるということの理由は分からなくなるので。

 来年はもっと本を読みたい!

 

7位 香山哲「プロジェクト発酵記」

 ベルリンシリーズのスマッシュヒットも記憶に新しい筆者の「プロジェクト発酵記」が発売されたのは2022年ではあるものの、少し遅れて読んだことで、今年の仕事をする上で、めちゃくちゃ指針となった。香山哲が漫画連載に向けての行動を、プロジェクトの発酵と見立てて、それを記録していくという、メイキングのような、有田哲平が監督した「特典映像」のような作品。

 昨年の段階から、今年度の仕事はとんでもないことになるぞと不安でしょうがなく、とてつもなく憂鬱だったところに、たまたま読んだこの本で、プロジェクトの立て方、進め方のイメージを掴むことが出来たことはまさに僥倖だった。自分の業務の性質的に、元々、中長期的なプランを組み立てるとかはそこまで要するものではなかったので、この本を読んでいなかったら、行き当たりばったりで進めることになり、潰れていた可能性もあるということを考えると、本当にこの本に出会ったタイミングは最高だった。

 表紙をめくって1ページ目にある、プロジェクトを発酵させるためのフローはこうある。

「①実行したいプロジェクトを考える。→②動機や目的を自覚する。→③全体のアイデアを作る。→④アイデアを広げたり削ったりする。→⑤他者の視点を取り込む。→⑥自分の状況や姿勢を見つめ直す。→⑦プロジェクトの発酵具合を見極める。」

 読了した後に、このフローを眺めていると、ふと、このやり方で、次年度の業務を管理出来るんじゃないか、ゴールまでの道のりを俯瞰できるのではないかと、思いつき、試しに図を書いてみることにした。まず、業務を箇条書きにして数を洗い出して、それぞれにタイトルをつけて個別のロードにし、11月3週目というように業務完了となる締切を大まかに設定する。そのロードを、要所となるいくつかのタスクで分割してピンを打ち、ゴールから逆算して設定していくということを、業務の数だけ実行してみたら、ぼんやりとしか把握していなかった次年度の業務が、すごくクリアになっていた。その上で、全部を合わせてみてみると、これよく考えたら、この締切はもうちょっと後ろにずらしても問題なさそうだなという微調整が、きちんとした根拠を持って出来るようにもなっている。

 その結果、並走する業務4つあるけれども、AとBとCの業務のタスクがどこでかち合っているから、何月のいつがめちゃくちゃ忙しい、といったように、夏が忙しそうとかではなく、8月の2週目から末までが忙しいだろうというような形でクリアに視覚化することに成功したそのお陰で、しんどそうっちゃしんどそうだけど、きちんと管理しながらやったらいけるんじゃないかという気が湧いてきた。

 それでもズレは生じるので、9月から11月あたりはめちゃくちゃ忙しかったけれども、適宜、スケジュールを見ながら、諸々を進めていたので、潰れるほどに焦るということはなく、乗り切ることが出来た。

 この夏、ダウ90000の蓮見翔が、4つ5つくらい、賞レースを抱えていて、偉いなあとか思っていたのだけれど、このように、ふと、自分も同じ状態にあることに気づいて、いや、俺偉いんかい!となったのもいい思い出となった。

 僕の場合は、たまたま仕事に応用出来ただけであって、イラストが可愛いこともあって自己啓発本自己啓発本していることはなく、ベルリンシリーズはもちろん、インディペンデントな作家の一つの記録であるので、漫画家をはじめとした、他者がアウトプットをどのようにしていくかに興味があれば、楽しく興味深く読めると思う。そして、自分も何かしら動いてみたいと思っているが分からない人にとっては、まずは一読し、先述したフローに沿って行動してみるだけで道筋が見えてくるような本となっている。

 

 

 

6位 NISA

 ideoは3年前ほど前から初めており、しばらくは損益がマイナスだったのだけれど、今年に入ったあたりから、銀行に預けるよりは全然マシなレベルのプラスに転じたことで欲目が出ていた頃に、ちょうど高校の友人から、ほだら積立NISAもやったらええやんと言われたことで、重い腰を上げたことがスタートになる。idecoは割と簡単に始められたのだけれど、積立NISAは、ちょうど仕事が大変な時期で帰宅時には頭がくったくたになっている時期に、スタートできるようになったこともあるだろうが、間違えて投信信託のほうを購入してしまうという愚かなミスをしてしまったくらいには、結構めんどくさかった。実際、サイトの個人ページも文字が多いのと、専門用語がたくさんあるのでいまだに調べつつ、慣れるために色々といじっているというのが現状なのだけれど、投信信託も積立NISAも、どちらも銀行に預けるよりはちょっとマシなレベルで損益を出しているので、良かったです。懸念していた、株価の推移に一喜一憂して、生活に支障が出るのではないのかということもなく、毎日、チェックするみたいなこともしないでもいいのが良い。合わせて始めたジュニアNISAにおいても、子が2,000円くらい儲けていて、損益まで可愛い~と妻と騒いでいたりしていた。

 とりあえず、銀行に預けるよりはマシだったな、で留める範囲で、続けたいと思う。

 こういうことを書くと、家計に余力があるからであるという指摘を受ける可能性もあるが、もちろんそんなことはなく、どこに支出を割くか、制度のことを勉強する時間があるかにかかっている部分が多く、ふるさと納税を所得の限界ギリギリまでやるくらいなら、その分ををidecoや積立NISAに振って後でもっと美味しい肉を食べられる可能性にベットするか、制度のことをまとめたYouTubeの動画を少しでも見てみて理解をしてみる努力をすることはできるはずであるので、あまりに、やしが、そんなことゆーのは、やーが資本家だからやっしという指摘はあまり当てはまらないのである。

 まずは身近な人に聞いてみてやってください。

 

5位 「呪術廻戦」

 アニメの2期が、原作の補完だけでなく、アニメならではの表現で、別ベクトルの高得点を叩き出してきたところに、原作も渋谷事変に続く山場を迎えて、今年の後半はずっと、色々と考えていて、かなり持っていかれた。「ONE PIECE」もめちゃくちゃ面白かったんですけど、ワイガヤ感ブーストで、呪術に軍配が上がりました。

 「壊玉・玉折」では、夏油の正義感がガラッと変わるまでの経緯が丁寧に描かれていたし、「渋谷事変」は連載当時はまだ原作に追いついていなかったので週刊連載のように楽しめているし、本誌は本誌で、こないだまでやっていた闘いなんて、ジャンプ漫画史的にめちゃくちゃ凄いことをやっちゃってた。バトル漫画におけるバトルとは何なのかっていう問いであり、答えでもありますよね。

 今から読んでみる人は、5巻くらいまで割と普通なんですが、渋谷事変入ったあたりから覚醒してみるので是非。

 

4位「キッチン戦隊クックルン

 「キッチン戦隊クックルン」は、月曜日から水曜日の朝7時から10分間に放送している、子供向け料理番組だ。毎週月曜日は、たなくじを撮って、インスタのストーリーズに垂れ流すということを続けているのだけれど、直後に放送されるクックルンについては、その流れでなんとなく観ていたので、月曜日は大体見ていたものの、火曜日と水曜日はたまに見ていたという感じできちんと全ての回を見ているわけではなかった。

 今年の3月末、なんかラスボスっぽいのと戦っているなー年度末だなーという感じで眺めていた。4月になり、新しい子供たちが出て、新シーズンが始まるかと思いきや、急に、タイゾーたちが出てきて、びっくりしていたところに、さらに「卒業したと思った?」的に第四の壁を超えて話しかけてきたのを見かけて、ちょっと待て、なんか面白いことやってたぞ今、と気になり、今年の4月から熱心に見始めたのがきっかけとなる。元々、タイゾーの父親が車椅子ユーザーなのに、そこに全く触れなかったりと、重要なことを軽やかにやってんなーという印象があったのだけれど、こういうこともしてくるのかと驚いた。

 何より、7時からの10分というのが、朝のルーティーン的に、なんとなくテレビを見てていい時間のリミットになっているのもとてもいい。緩い展開を見て、頭をじんわりと起こす感じ。

 4月からはしばらく再放送が続いてたいのだけれど最近はルーナとソレイユという新しいクックルンが出てきて、先代も出続けるという、おそらく異例なことをやっているのも面白い。

 残念なのは、タイゾーたちをサポートする大人のキャラのムール姫が卒業してしまったことだった。何とかロスという言葉を、心の底から馬鹿にしているほどには子供向け番組に適さない泥目線の持ち主ではあるものの、流石に、ムール姫ロスを地味に引きずっている。

 少し前に、この2年を振り返る総集編をやっていて、それで確認したのは、ムールは、元々シェルフィッシュ星の姫の影武者ではあるものの、自らが影武者であることを知らずに、つまりは自分が姫であるものとして暮らしていたが、本当のお姫様の無事が確保されると、影武者であることを明かされたという経緯がある。その後、クックルンの舞台となっているワッサン島でクックルンたちと暮らして新たな居場所を見つけることが出来ていたが、本当のお姫様から、自分は結婚するので、代わりにシェルフィッシュ星の姫になってくれとお願いされ、結局、そうなることを受け入れて、星に帰ってしまった。こんな、本物の姫の身勝手さに憤りすら覚えたり、アイデンティティの崩壊の後に、再設計に成功するも、またそれを奪われることになったムールの心境を思うと、悲しかった。

 なんか、めちゃくちゃすげーことやってるなあと震えてしまって以降、真面目に見るようになった。クックルンの敵のふざけた怪人たちは、皆川猿時演じるクヨッペン率いる派遣会社から派遣されているが、なぜかクックルンを許さないなどと強烈な恨みも持っていて、そこら辺の謎は、多分今後明かされるのではないだろうか。新キャラのルーナとソレイユたちのパートも、父親たちがクックルンだったけれども、なぜかクックルンミュージアムから抹消されているなどの今後の展開への布石も貼られていて、まだまだ目が離せない。 ちなみに、クヨッペン達しか出ない週や、ロケに出る週もあったりする。

 お笑いファンに向けた情報で言えば、脚本を書いているのが、有吉弘行の脱法TV」にも構成で入っている竹村武司。このことを知ってもらえたら、少しはクックルンに興味を持ってもらえるだろうか。

 

3位「ブラッシュアップライフ」

 バカリズム脚本のドラマ。今年の頭に観た時に、これを越えるのは無理だろとなるくらいには衝撃があり、結局、逃げ切りました。ちょうど、冬感のあるドラマなので、年末年始の開いた時間での一気見をおすすめします。

 詳しくは下記のブログ記事にて。

絶対的フリオチ主義者バカリズムの最高傑作『ブラッシュアップライフ』がブラッシュアップした二つのフォーマットと、描いた4つの人生の真理

https://memushiri.hatenablog.com/entry/2023/03/19/223000

 

 二人から、ドラマを見てブログの感想記事を読むまでをセットにしてくれていることを聞いてめちゃくちゃ嬉しかったし、筆がのっているのが分かったって言われるくらいには、久々に書いている間、基本ベースの苦痛ではなく久々に楽しいと思いながら書けて、これはめちゃくちゃ読まれちゃうなと思っていたんですけど、8RT20FAVというしょっぱすぎる結果で、ドン引きしてしまいました。僕はこれを桑田佳祐が、こんな曲を作っちゃうなんて、自分はなんて天才なんだと思ったけど、リリースしてみたら、全然売れず、その後、20年近く封印されることになった「イエローマン~星の王子様~」になぞらえて、イエローマン現象と呼んでます。

 

2位 ピクミン

 この夏は、ずっとピクミンのことを考えていた。帰宅してから、子が寝るまでは遅いと10時を回るんだけれどもそれでも1時間でもプレイする。そんな生活をしていたら3週間くらいで、プレイ時間は30時間を超えていた。毎日、エンタメの時間がないということを嘆いていたのだけれど、なんのことはない、やってやるという気概が足りなかっただけだし、阪神くんがちっちゃかっただけだったのである。ピクミンはそういう人生において重要なことを教えてくれる。

 肝心の作品の出来はというと、ピクミンの一作目原理主義なところはあるけれども、4は、2や3での新しいシステムや遊び方を圧縮してさらに旨味を抽出してポップに仕上げた傑作だった。

 苦戦したところはあまりなく、噛みごたえに欠ける部分もないことはないのだけれど、待たされた年月をすっ飛ばすほどには大満足です。

 オッチンに乗って、湖を進む時の、水のエフェクトがとてつもなく最高で、荒んだ心が癒されれたが、何より葉っぱ人の存在である。段取りという行為に囚われているというキャラクターの存在は、あまりに制作チーム、ピクミンの新作を待ち続けていたファンへの批評が過ぎて、痺れました。

 あまりにピクミンのプレイのことを考えすぎて、日常生活でも段取りを重視しすぎてしまうようになり、コピーを取りに席を立ってから、機械に紙をセットしてスタートボタンを押してからトイレに行って、戻ってきてから紙をとるみたいなことをする脳が焼き切れる生活のスイッチが入ってしまい、せっかちに拍車がかかってきて大変なことになってしまっていた瞬間すらあった。

 

 

1位 友達

 今年は、友達とたくさん遊びました。秩父に連れて行ってもらって小旅行みたいなことをしたり、軽い忘年会をしたりしたけれども、印象的なのは、高校の同級生との距離が復活したことだった。最初は『FIRST SLAMDUNK』を観た後、あまりに面白かったので、『SLAMDUNK』が好きな同級生と、数年前に保険のことで電話した以来の久しぶりに電話をしたことがきっかけになる。それからしばらくして、ゴールデンウィークに、妻が仕事に出る日が多いためにワンオペ育児が重なったことで、自由な日をもらうことになったので、職場の同期でも呑むかという無難な選択肢を取ろうとしたとき、ふと、このタイミングで、あいつに連絡しなかったら、さらに会う機会が無くなりそうだなと思い、勢いつけて誘ってみた。どのくらい連絡してなかったかというとLINEを知っていないと思い込んでいたくらいには月日を重ねていた。それでも、高校の同級生というのは不思議なもので、そういった期間を一瞬で吹き飛ばす、「間が合う」というものがある。サプライズで連れてこられた人、家族にウソをついて、しかもめちゃくちゃ遅くから来てくれた人も参加したとてもいい夜だった。高校の同級生だなーって一番感じたのが、次に行く飲み屋の区画まで歩いて20分くらいかかるところを、僕の、ウエストバッグを斜めにかけて、軽くびっこを引くような歩き方が、お前を思い出すと言われながらも、だらだら喋りながら歩いていったところだった。タクシーがあまり通らないようなところということもあるのだが、職場の同期だとすぐに歩かないでいい方法を探すが、なんの照らし合わせもなく、歩いて向かうことが当たり前というその感覚が、高校からの同級生だなーっとなっていた。

 何年も会っていなかったのが嘘かのように、この夏は月1回くらいで、その連なりから派生した会合があった。積立NISAなどの現在のお金の話から、クラスで一人だけ卒業文集をもらっていないと6京回擦っている話、口周りがデデデ大王に似ている同級生女子から告白されたという初耳の話や、共通の同級生がハウスクリーニングを立ち上げたからお願いしたら最悪な仕事をされたので気まずくなって疎遠になった話などが出て、旨飯幽助な夜だった。

 他にも別の友達とは、首里にあるあやぐ食堂という、地元民だけでなく観光客にも人気の、40年以上続く食堂が閉店するということで、駆け込みで行くことに急遽行くことにしたりした。まだまだ日差しが強い中、結局1時間くらい待つことにはなったものの、その間、ずっと近況を喋っていたので、楽しい、いい時間を過ごすことが出来た。

 中学の同級生とは全て縁を切ってしまったので高校の同級生に限るが、油断すると疎遠になってしまうが、会うと、一瞬であのノリと間が復活するということに、年齢を重ねれば重ねるほど、感動すら覚えてしまう。

 ちゃんと、生活に根付いた交友関係をしていかないとダメですね。

 

 

 30FAVを超えたら来年もこの記事を書きますのでよろしくお願いします。

 リプライでもベストエンタメください。